昨日は、兵庫芸術文化センター管弦楽団PAC第131回定期演奏会を聴きに行ってきました。

指揮は、ピエタリ・インキネン、ソリストは川久保賜紀さん、プログラムはシベリウスのフィンランディア、ヴァイオリン協奏曲とストラヴィンスキーのハルサイ。シーズン全9回の公演の中でも、特に期待の大きい公演でした。

出演
指揮:ピエタリ・インキネン
ヴァイオリン:川久保賜紀
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

コンサートマスター:田野倉雅秋
 

プログラム

前半
シベリウス:交響詩「フィンランディア」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲

 第1楽章 アレグロ・モデラート
 第2楽章 アダージォ・ディ・モルト

 第3楽章 アレグロ・マ・ノン・タント

後半
ストラヴィンスキー:春の祭典

 第1部 大地への賛仰

  導入~春のきざしと乙女たちの踊りから誘拐の遊戯~春のロンド~敵対する部族の遊戯~賢者の行進~大地への賛仰~太地の踊り

 第2部 いけにえの祭

  導入~乙女たちの神秘的な集い~選ばれた乙女への賛美~祖先の霊の呼びさまし~祖先の儀式~神秘的な踊り、選ばれた乙女

 

【ソリストアンコール】J. S. バッハ:パルティータ第2番より サラバンド
【PACアンコール】シベリウス:悲しきワルツ op. 44

 

インキネンを生で観るのは、2019年1月の樫本大進さんをソリストに迎えてプラハ響と演奏()したとき以来、2度目になります。内容はほぼほぼ忘れていますが、以前の記事を見て、そういえば、ソリストアンコールでは樫本さんと二人でヴァイオリンを弾いていたなぁと思い出しました。


先ずはコンサートの最初にしばしば演奏されるフィンランディア。この曲を聴くと必ずワクワクして盛り上がります。

これを聴くのは、今年1月の藤岡幸夫さん指揮・関西フィルの滋賀・野洲でのリラックスコンサート()以来。

藤岡さんのシベリウス愛が込められた熱い演奏もよかったですが、フィンランド出身のインキネンが弦5部16-14-12-10-8の大編成PACを率いて、大音響でぶちかますフィンランディアもとても良かったです。

 

続いて、川久保賜紀さんのヴァイオリン協奏曲。川久保さんを前に聴いたのは、1月のびわ湖ホールでの鈴木優人指揮・日本センチュリ響との名曲コンサート()ですが、この時は室内楽のような小編成のバッハ・ブランデンブルク協奏曲だったので、フルオケとのコンチェルトは8月のチャイコ3連投()以来です。また、シベリウスのかっこいいヴァイオリン協奏曲は2019年10月、大友直人指揮・大フィルと服部百音チャンの演奏()を聴いてから久しく、この時、百音チャンがヴァイオリンを当てる鎖骨の上を真っ赤にして熱演していたのを覚えています。

 

僕は、今迄の川久保さんに持っていた印象は、結構、眼光鋭く、会場を見つめながら男前の演奏をされる方という感じでしたが、昨日は少し違っていました。昨日の演奏では、強音の力強い迫力よりも弱音の美しさが際立ち、表情も柔和。自身の演奏がない時は、リズムを身体で取りながら、にこやかにコンマスの田野倉さんに微笑んだりされていました。

アンコールは、バッハのパルティータ第2番より サラバンド。美しい音が会場に響きました。

 

後半は、ストラヴィンスキーの春の祭典、ハルサイ。

ハルサイを聴くのは、2020年1月、エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏()を聴いて以来なので、これも久しぶりです。この後、数か月でコロナ禍になり、今に至っているので、当時の熱気が懐かしく思い出されます。

久しぶりに聴く、ハルサイ、やっぱり、凄く良かった!!

僕は、不協和音の多い曲は基本的に苦手なので、この曲も家ではCDなどで聴くことは、まず、ありませんが、生で聴くと不思議と、その不協和音や荒々しいリズムが溢れているところがとっても楽しく感じられ、引き込まれていきます。

今回の演奏も、正にそうでした。インキネンの指揮でPACの若さが溢れ、炸裂していました!

特に僕がいいなと感じたのは、ゲスト・プレーヤーの読響ティンパニ首席・岡田さんとPAC3年目ティンパニ・コアメンバーの池田くんとの2台によるリズミカルな演奏。更に、今回の公演はゲストプレーヤーとしてPACのOBで、今は京響の首席をされているトランペットのハラルド・ナエスとコントラバスの黒川冬貴さんが出演されているのを見て、京響・贔屓の僕としては嬉しかったです。

 

ハルサイで終わるのかなと思っていたら、数度のカーテンコール後、インキネンが「もう1曲。シベリウスのワルツを演奏します。」と言ってくれて、アンコールは、「悲しきワルツ」。ハルサイで興奮している感情をクールダウンするような美しい曲でお開きになりました。

 

開演15時、休憩20分を挟み、終演17時過ぎ。平日昼間の公演ですが、サイドバルコニーに空席があったものの全体ではほぼ90%くらいは入っていたと思います。なかなか客入りが悪いオケの定期演奏会が多いように思いますが、兵庫県の補助もあって割安になっていることもあってか、PAC定期の人気恐るべしです。