からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -236ページ目

おれを構成しているもの

やっぱおれの基本はババアだな。

偉そうに…

ボツ台本換気扇のいななき

「せいぜいモヤモヤして下さい」



『よお、禁煙席の換気扇』
「やあ、喫煙席の換気扇」
『久しぶりだな』
「まあ、なかなか会う機会無いよね」
『そうだな、喫煙席と禁煙席、金八と多摩川ぐらい離れてるもんな』
「確かにね」
『おれら換気扇の羽だしな』
「羽だもんね」
『おれ昨日気付いたんだけどさ』
「なに?」
『人間様でいうところの脳みそってこの真ん中のモーター部分なわけじゃん?』
「そうだね」
『ていうことはおれ達換気扇の羽じゃなくて換気扇のモーターなんじゃないかって』
「ああ、なるほどね。でもさ、こうは考えられないかな。花はさ、花を咲かしてなくても花っていうよね。花は植物だから花にとって生命維持に一番重要なものは、根幹部は、僕達にとってのモーター部は葉っぱや根っこでさ。花は生殖器なわけで、生きていくのにはいらないわけでしょ」
『お、おう』
「でも、それでもやっぱり花は花が咲いてこそ花じゃん。咲いてこそ意味がある。だから普段から花って呼ばれるわけでさ。ていうことはつまり僕達も羽があるから羽なんじゃないかな。羽がまわってこその僕達なわけで。電気的に生きていても羽がなかったら換気出来ないからね」
『なるほどな、キンダーガーデンしか出てないおれにもよくわかったよ』
「僕大学出だからね、換大卒」
『へーフフフ』
「フフフ」
『換気扇に教育機関なんてないのにな』
「やめようよ、そういう本当のことを言うのは」
『本当のことは心をズタズタにしかねないからな』
「その通りだよ換気扇君」
『いやぁ、それにしても見てよ、この見事にヤニ焼けした体。裏側まで真っ黄色だぜ』
「うわぁ、本当だ。いいなぁ。僕も換気扇君みたいになりたいなぁ」
『まあ汚れてなんぼみたいなとこあるよな、おれ達』
「そうだよ。僕なんて大して動いてないからメタボになる一方だよ」
『まあ、環境の違いってやつだよな』
「いいなぁ。僕も一度でいいからタバコの煙まみれのところを換気してみたいよ。見てよこの埃しか付いてない体。メタボだよ」
『換気扇にメタボなんてないのにな』
「やめようよ。本当のこと言うのは」
『そうだな、本当のことなんて犬も食わないよな』
「バクは食うらしいよ」
『おいおい、バクが食うのは夢だろ?本当のことの正反対のものじゃないか』
「ああ、そうだったね。てことは夢を食べたバクのウンコが本当のことなのかな」
『ああ、本当のことなんて夢の残りかすみたいなもんだからな。バクの腑には夢を現実に変える機能が付いているのかもしらん』
「夢を現実に変える、か。こういう使い方があるなんて知らなかったよ」
『叶うだけが夢じゃない。夢見てないで現実を見ろってことも多々あるからな』
「そうだね。タバコを吸ってる人が、おれは病気にならないだろ、って思ってるみたいなことだよね」
『おいおい、それはおれのこと言ってるのか?』
「そうだよ」
『おやまあ、こいつぅ、本当のこと言うなんて。本当のことなんてバクのウンコみたいなもんだぞ』
「やっぱり棄てられるのも早いんじゃないかな。喫煙席の換気扇の方が」
『でもタバコの箱には“喫煙はあなたが廃棄される時期を早める原因の一つとなります”なんて書かれちゃいないぜ』
「僕達換気扇のことなんて一々書くわけないでしょ」
『お前急に本当のこと言い出したな』
「てへへ」
『なにかわけがあると睨んだおれの電子回路のひらめきをどう思う?』
「当たりだと思う」
『では聞こう。なぜ急に本当のことを言い出したんだ?』
「実はさ、一度バクのウンコを換気してみたかったんだ」
『ああ、なるほどね』
「夢を食う生き物のウンコを換気するなんてロマンティックだと思わないかい?」
『わかる!その気持ち凄いわかるよ。ロマンだよな』
「でしょ?だから本当のことを言ってみたってわけさ」
『気分を味わいたかったんだな。納得の一言に尽きるよ』
「てへへ」
『実はおれも一度換気してみたいものがあるのさ』
「この期に及んでかい?そんな立派な、歴戦の猛者みたいな体してるのに」
『こんなおれでも夢はあるのさ』
「是非聞かせておくれよ」
『二つあるのだが』
「二つもあるなんて欲張りだね」
『一つは…………セックスをしてみたいんだ』
「ええ!?君、したことないの!?」
『お前はあるのか!?』
「あるよ。右隣りの換気扇ちゃんとか、左隣りの換気扇ちゃんとか」
『本当かよ!羨まし過ぎるぜ!そうか、禁煙席だもんな。おれの職場なんてヤローばかりだからさ』
「へー、うちらなんて暇だからヤリまくりだよ」
『きゃ、客の上でもやるのかい?』
「客の上でもやるさ」
『何か……何か滴り落ちたりしないのかい!?』
「ふふん、僕達は一体何者だい?」
『!!そうか、滴ると同時に』
「そう、吸い込んでいるのさ」
『なるほどな。しかし客の上でなんて見かけによらず変態だなお前は』
「へへへ、まあでも君の職場にも憧れるね。ヤローばかりなんてさ」
『でもセックス出来ないぜ?』
「出来るよ」
『出来るのか!?』
「心の持ちよう次第さ」
『ヤリまくりで両刀使いなんて、お前は本当に変態だな』
「へへへ、で、もう一つの夢ってのはなんだい?」
『それはだな。一度でいいから森の新鮮な空気を換気してみたいんだ』
「このダメ換気扇め!見損なったよ!」


終わり 読まなきゃよかったでしょうね

当然頭数に入ってないさ

雰囲気川柳



恋をした
らくだをはいてる
おじさんに


女じゃないよね。うん、女じゃない。ティーンな男だよね。ある日見た用務員室で着替えてるおっさんに恋心ひっかかってさ。誰にも言えない感情を一人抱えて、日に日に強くなる思いにどうにかなっちゃいそうで。テスト期間中の職員室に貼られた立ち入り禁止の文字を殴りつけてさ、比較的温厚な中年の女教師に見つかってさ。どうした?なんて言われて、どうもこうもねえよ、って心の中で叫んで。わぁーってなって。そんな青春に乾杯。



死ねおれ。

ボツ台本スウェーデン幻想

「スウェーデン幻想って平成生まれに通じるのかな」



『どーも、スウェーデンに花が咲く、でーす』
「どーも」
『フリーセックス!』
「下!?いきなり下!?」
『そうです!そもそもスウェーデンに花が咲くってのもド下ネタですから!』
「昔の洋ピンか!」
『股間の間に花が咲く、たまにありますよね』
「まあ、今でもコメディ映画とかであるよな」
『いや、生け花プレイとか』
「確かにあるけど!女優が着物着てたら高確率で!」
『あれ誰が興奮してんのかな?』
「いやまあ、いるんだろ、主にSの人じゃないか?」
『そうとは限らないぜ!』
「おれもそう思う」
『まずカーリーな』
「華道家だからって假屋崎は喰いつかねえよ!バカにすんな!」
『まあ菊専門ってことで』
「うるせえ!」
『まじめな話、Mはどう見てるのかな。あんなことされたい、とか思うのかな』
「まじめな話かな?Mって女のMってこと?」
『まあ男でもいいんだけど』
「M側の視点でそういうの観たことないからなぁ。おれ達は、なんていうか攻める姿勢に共感してるわけだから」
『勝手におれ達って言うなよ!お前はともかくおれがSかMかなんてお前にさらけ出してないだろ!』
「ああ、まあ確かに」
『おれどちらかというとSだからね!』
「普通じゃねえか!想定の範囲内だよ!」
『あんなとこに生けられる花の立場にもなってみろって話だよな』
「まあ確かにな」
『菊の方ならまだ栄養があるかもしれない』
「いいよそっちの話は!」
『堆肥にも使われてるからさ、ウンコは』
「おれの話を聞け!」
『歩きづらいし』
「ずっとさしてるわけじゃねえ!なんだ!?そいつはそこで育ててるのか!?」
『だろ?』
「だろ?じゃねえよ!」
『でも、とびっことか』
「それとこれとは話が違うだろ!とびっこってお前」
『タンポン代わりは?』
「デリケートな問題に口出しすんじゃねえ!」
『口内射精ってことか』
「うるせえ!」
『血を吸って育つわけ。とりわけ処女の血がいい。有史以来処女の血には魔力があるとされてるからね』
「わけわかんねえよ」
『マン……ドラゴラだよ』
「一瞬ヒヤッとしただろ!」
『マンドラゴラってさ、死刑台から流れる血を吸って育つみたいに言われててさ、抜くと人型の根っこが凄い声をあげるんだよ。その声を聞くと死んじゃう。だから抜こうと思ったら肉汁をマンドラゴラの周りにかけて犬に掘らせるんだ。で、犬は死んじゃうんだけど、ちゃんとしたマンドラゴラを売ってるところだとマンドラゴラの傍らに犬の死骸が置いてあるんだ』
「へー、なんか現代のスーパーで売ってる野菜みたいだな。田中さんが作りました、みたいな」
『だから股間のマンドラゴラを抜く時は要注意だぜ。抜いたら死ぬ』
「まず股間に生えてる花の種類の話に戻ろうか」
『声が出るからな。あえぎ声』
「そんなこったろうと思ったよ!」
『その声を聞くと死んじゃうわけだから、やっぱりここでも頼りになるのは人類の友、猫!』
「犬だろ!」
『まあどうせ死ぬから犬でいいか』
「めんどくせえなあ!」
『こう、バターを塗りたくって』
「バター犬かよ!このバター品薄のご時世に贅沢な使い方だなおい」
『抜く前に犬が死んじゃって』
「なんでだよ!無駄死にじゃねえか!」
『やっぱりさ、舐められただけで出ちゃうわけ、あえぎ声』
「いやいや、マンドラゴラの声じゃねえだろそれ!ただのあえぎ声じゃねえか!」
『モオアァ、モオアァ』
「なんだよそれ!?」
『牛みたいなあえぎ声の女っているよな』
「うるせえ!」
『もうマンドラゴラに寄生されてるからさ、彼女自体がマンドラゴラなんだよ』
「ああ、そういうことね」
『マンドラゴラを抜いたら死ぬけど、彼女で抜いても死ぬ』
「なにうまいこと言ってんだよ!もういいよ!」
『甲賀忍法帖に出てきたくの一みたいなもんだよな』
「もういいよ、終わろうぜ」
『甲賀忍法帖を実写化したときに地虫をあのスポーツライターにやらせたらやっぱ怒られるのかな』
「もういいって!」
『フリーセックス!』
「帰れ!」


終わり

読んだら損する「運命はテイクアウト」(29)

仕事は至って単純で、僕は地図と公的なお知らせを知らせるハガキを大量に渡されるとすぐに担当地区へと向かった。仕事は単純なのだが、住所というのは案外でたらめなところがあり、なかなか目的の家を見つけられなかったり、肝心のポストがない家などもあった。ただこれは予想の内だ。
以前社長のバイトではないバイトで生活保護を受けている方に宅配したことがあるがその時程の苦労はない。映画だったら銃撃戦が始まるような、中華料理屋の裏手の従業員通路みたいなところに入って行きながら何度も地図と住所を見比べてドキドキしながら階段を昇り、ベニヤ板で仕切られただけの部屋がたくさんある日中なのにやけに暗いフロアで目的の部屋、人物を探す。渡された資料には「三号室」と書かれていたがどの部屋にも「~号室」など示されちゃいない。雰囲気的にこの中にいるのは間違いない。もう当てずっぽうで三号室っぽい部屋、一切ヒントはない、の扉を叩く。この時は運良く一発でおめでた、もといめでたく目的の人物に当たった。用事を済まし、帰り際ふと扉を見ると、端の方に鉛筆で「3」と消えそうな程にかすんだ字で書いてあった。もう、ふふふ、と笑って納得するしかなかった。入れ墨丸出しの人も多かった。まあ親切に対応してくれて何もなかったけど。生活保護を受けている人の家だから肉体的に元気な人だけじゃなくて当然老人や障害者の人も多い。鼠だらけの部屋で鼠に食われてしまうんじゃないかと思ってしまうほど、寝たきりで痩せこ
けていて鼻にチューブが刺さっていて尚且つ声が枯れていてなに言ってるかわからないお爺さんに必死になって自分のことを説明したこともあった。結局伝わらなかったのだが。そういう街の持つイメージや駅前再開発のような美的感覚から臭いものに蓋をされるように排除されている、なるべくなら見たくはない、見て見ぬふりをされてる方達と出会って、平々凡々に蓋の上を歩いて生きてきた僕は衝撃を受けたもんだった。
その時訪れた家の中に一人暮らしの全盲のおばちゃんがいた。僕が訪れた時、ちょうど待ち人が来る時間と重なっていておばちゃんのアパートのドアは開け放たれていた。明るくて話好きのおばちゃんで、人が尋ねてくることが分かっている時はあらかじめドアを開けておくんだよ、と笑顔で教えてくれて、ジュースをくれた。開け放たれたドアの向こうから幸よ来たれ、出来るなら幸だけ訪れろ、心からそう祈ったっけ。そういえばあのバイト中はやたらとジュースを貰ったなぁ。バイト中物を貰うと言えば、またまた別のバイト中、大手宅配業者でバイトしたときにも結構頂戴した。お歳暮シーズンということもあり、今宅配したばかりのダンボールの中からミカンを貰ったり、行けば必ず栄養ドリンクをくれるところもあった。おばあさんと世間話に花が咲いてビールを貰ったりもしたし、なんといっても極めつけは千円札を貰ったことだ。これも僕の割とかわいげのある容姿と本来の人見知りな僕が追いつめられて生み出したお仕事スイッチが入った状態の丁寧親切かつどことなく人懐っこい接客術の賜物だろう。反吐が出る。
つらつら思い出して見ると、基本的にある程度以上の金持ってそうな家から何かを貰うことは無い。応接態度も素っ気ない場合が多い。まあそれはいい。普段の僕の応対だって素っ気ないし何かをあげる発想もなかったから。でも、社会の底辺で生きてる人ほど明るい笑顔だったし、優しくしてくれたし、協力してくれたし、ジュースをくれたし、なにより感謝された。逆に言えば弱肉強食のこの社会、五体満足でない人を除けば、そういう親切心過剰な人は向いてないのかもしれない。親切心過剰ということは即ち何かに怯えていたり、優柔不断だったり……やめよう、まるで……。
今回はポストが無い家、しかも不在、に困ることはあったが心を揺さぶられることはない。
あっという間に時間が過ぎて、6時頃社長から電話がかかってきて今日の仕事を終えた。
帰り道、雨が降り出しそうになってきたので滑稽なほど速く脚を動かす。半分ほど来たところで大きな交差点に捕まり、なんとはなしに携帯電話を見た。メールあり。小山さんから。僕は今朝考えていたことを実行に移そうと決めた。