からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -238ページ目

逆さまランデブー

雰囲気川柳


口癖が
ちくしょうだった
きみとぼく


ちくしょうちくしょうと笑いあう、そんなふたりに、乾杯。




死ねおれ。

ボツ台本ターニングポイント完結編

「完結編」


『どーも、初めまして。ほらあいさつ』
「ウィーン、ウィーン」
『わぁ上手い上手い。はい。こんにちは』
「ウィーン、ウィーン」
『はいはい。上手上手。なでなで。あ、喜んでるみたいですよ。踊ってます。なかなか見れないんですよ。今度はちょっと逆さまにして置いてみましょう。ほら、ちゃんと立つんですねぇ』
「ウィーン、ウィーン」



相棒はAIBO。


死んじゃえよ。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(27)

「さてと、時間とらせたね」
小山さんはようやく太ももを動かした。おそらくブレーキペダルの何倍もある足。踏みつぶされるペダル。ハンドブレーキを器用に外して軽自動車は発進した。バックミラー越しに見る公園は段々ぼんやりと、小さく、他の景色に吸い込まれて見えなくなって消えた。僕や小山さんや彼女や彼女の家族にとって一生忘れられない公園。どうでもいい人達に忘れられていく公園。いずれ奇異な視点からも記憶からも消えていく。花も置かれていないもの。
来客中。家に例の社長が来ていた。小山さんは僕を降ろすと、「じゃあよろしく伝えといて」と言って去って行った。僕のことに気づいた社長は作り笑顔をして僕に手を振った。ちょっと少し前、助手席のドアを閉めるまで、運命の別れ道、大一番、まるで真空の中にいたみたいな時間を過ごした僕はさっさと部屋に行っていつもの空気を吸いたいのだが、僕も、どちらかと言えば苦笑いに近い、笑顔をつくって応える。
「おぉ、健一、おつかれさん」
社長にそう言われた瞬間、急にくたびれた。
「いや、どうも」
「健一ぃ」
あぁ、仕事の話だ。社長が僕の名前を少し伸ばして言う時は仕事の話だと決まっている。今の気分ではとてもじゃないけど仕事なんかしたくない。元々仕事をしたくないからニートなのだが、とにかく、今、そんな話はしたくない。たった今、僕は僕の運命を持ち帰って来たばかりなのだから。だけど当然社長は続ける。
「明日から仕事があるんだけどさ」
「はぁ」
この気の抜けた僕の返事で交渉は決まったも同然だ。断らない自分。もう断れない自分。嫌悪する。
「手紙を配る仕事なんだけど、今回はポストに入れるだけのね。判子とかはもらわなくていい。どうだい?」
どうだい?と聞かれても、社長の中ではもう僕は戦力として計算されているんだろ。
「はぁ、大丈夫です」
この言葉しか出ないのだ。いや、僕はいつもこの言葉しか出せない。情けないとは思うけど、かなり死にたくなる。なら断ればいいのにね。
「おう、じゃあ明日、ま、明日中に配りきらなきゃいけないってもんじゃないから午前中に来てくれればいいよ。多分二、三日かかると思う。一応自転車は用意してあるけど」
「いや、チャリンコで行きますから」
「うん、わかった。じゃあ明日、よろしく。ではでは用件も済んだことですし」
別れの挨拶を済ますと、すぐさま部屋に戻りベッドに横たわる。明日の事を考えると絶望的な気持ちになる。うん。死にたい。日本が銃社会で手軽に銃が買えたなら僕はとっくに自殺していることだろう。僕の自殺はいつもそう。だろうだろうで、とても飛び降りなんて出来やしない。以前、よっしゃあ!家中の薬を飲みまくってやる!って意気揚々と手当たり次第に飲みまくったことがあるけど、それぐらい。本当に死ぬ気があったのか疑問だ。うちに睡眠薬ないし。どうせ死なない、なんて計算してたに違いない。そしてその通りにただ少し寝て、猛烈な吐き気に襲われて吐いて、やけに口の中が乾いて、胃がムカムカして、そんな程度だった。まあ半分は優しさで出来ているものや、胃に優しい胃薬とか、関節の炎症を抑える薬じゃこんなもんだろう。あ、アレルギーの薬もあったな………はは…。
道助のことを考えているうちに眠ってしまった。そういや昨日寝てなかった。気が付いたら午前4時。もう無理矢理にも眠れない。寝過ぎて頭痛い。軽い頭痛がしていることを除けば体は至って元気で、食事を取るように促す。牛乳を飲み、頭痛薬を飲む。さて朝飯。朝飯といっても昨日の昼からなにも食っていないのでノリは夕飯のノリだ。がっちり食べたい。ということでとりあえず肉を焼く。豚バラをポン酢で焼いただけのでいいかなと思ったけど、玉子があったので路線変更。ネギを刻み、チンゲンサイ的な野菜を千切る。オリーブオイルで肉を焼いてある程度火が通ったら野菜投入。そして玉子を入れてぐちゃまぜ。味付けは塩胡椒とほんの少しのウスターソース。思いつきで作った割にはうまい。
さておかずは出来た。あとは米だ。ジャーの中の米を確認することを忘れていた。米がなかったら早くて四十分は待ちぼうけだ。パカり。よかった。米はある。冷や飯。猫舌だからチンはしない。だがいかんせんこの季節この暑さ。ご飯の匂いは否応なしに僕の食欲を減退させる。おかわりしたけど。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(26)

やっぱりそうなのか。僕は、「俺の、俺だけの彼女になにをしてやがる」という気持ちに駆り立てられた。けれどすぐに、「たとえ恋人であっても、ふふふ、あの姿は知るまい」と、優越感とでもいうべきものに浸った。
いけない。
自分の顔がにたりと笑っていない感覚にほっとして、
「うーん、残念ながら記憶にはありませんね。何分、日が経っているもので」
と、感情をお首にも出さずに言った。なかなかどうして板についてきた。アカデミー主演賞をくれ。いや助演賞だ。主役は彼女以外いない。なんならマカデミー賞でもいい。マカデミー賞ってなんだよ!副賞はマカデミアナッツをキロにして60くれ。キロにしてってなんだよ!ちくしょう。ちくしょう。
本当に僕の記憶力を頼っていたのかどうかは知らないが、小山さんは意気消沈といった様子で、
「………そうかい」
とだけ僕の報告に応えると、すぐに顔を期待と脂で濡らし、
「じゃあ怪しい人物の方はどうかな?」
と、おもちゃを買ってもらえそうな子供の様に聞いてきた。その目に見えてわかる純真な表情に、思わず、小山さんは僕を疑っている、というのは僕の勝手な思い込みなのか、と、頭にちらちらちらちらとちらついたが、心の中で頭を横に振り、いいやそれはないだろう、もし万が一そうであっても関係ない、恋人だと知った以上、いや知るより前から、小山さんが事件の関係者だと知ってしまった以上、やり通すしかない、しらばっくれ続けるしかない、一生。僕が犯人である以上逃げ場などないのだ。
「怪しい人物…うーん、ちょっと思い当たらないですね。…まあ僕より怪しい人物はなかなかいませんからね、見たら印象に残ってると思うんですけど、いや、容姿の上で」
長髪、色白、よれよれのTシャツ。誰が見ても僕は怪しい人物だ。変な話だが怪しさには自信がある。
「えっ、あ、それもそうだね」
小山さんはおもちゃを取り上げられた子供の様になって、つぶやくように言った。
「ちょ、ちょっと、ひどいですよ。ひょっとして僕のこと疑ってるんじゃないですか、なんて」
軽口で攻める。小山さんがどう返すか気になってしょうがない。
「あ、いや、ごめんごめん」
小山さんは空になってるはずの缶コーヒーを口に運んだ。カコン、小山さんにしては少しランボルギーニ、もとい、乱暴にカップを置いた。
「…………実を言うと、少し、少しだけ健一君を疑っていた、のかもしれない」
来た。ど真ん中直球。今こそ逆転満塁ホームランとかいうチートみたいな展開発動のチャンスだ。冷静に、しかし顔や仕草は慌ててる様子と事態が飲み込めないという様子の掛け合わせで、イメージトレーニング通り。
「あ、いや、ごめん。気を悪くさせてしまったね。…恋人が殺されて、こんな事件になって、疑心暗鬼になっていたんだよ。なんというか、絶対に犯人を捕まえてやるっていう気持ちとあらゆる可能性を探るっていう気持ちを混同してしまっていたんだよ、きっと。いまいち自分でもよくわからないのだけれど。そのあらゆる可能性の中に君を含めてしまっていたんだな。うん。いや、本当にごめん。一つ勘弁しておくれ」
小山さんはその大きな頭を僕に向けてつむじが見える程下げた。土下座を要求すれば通るような雰囲気。要求しないけどさ。
「そんな………。いや、え、しょうがない…そうですよ、しょうがないないですよ。きっと僕も小山さんの立場ならきっとそう思っていましたよ。しょうがないことですよ」
どうだ。乗り切った…か?正直、今日小山さんがこんなことを言うとは思ってなかった。もっと先の話だと思っていた。なにか確固たる要因があって僕を疑っていると思っていた。これで終わり?希望的観測。本音?かけ引き?頭の中が虚実入り乱れて鏡地獄の中にいるみたい。
とりあえず、僕は手元にあった彼女の写真を小山さんに返し、
「たぶん、いや、おそらく、いやいや、絶対、犯人は捕まりますよ。日本の警察だってバカじゃないんですから」
と、言った。日本の警察だってバカじゃない、か。…………。
小山さんはまた、ごめん、と言って、
「そうなるさ、そうならなけりゃ嘘さ」
そう言った小山さんの目は力に満ちていた。
僕はその目に恐怖した。

ボツ台本ターニングポイント

「ターニングポイント」


『最近のおれは駄目だ』
「なんだよいきなり」
『その原因というか要因はわかってんだ。コピーライト方式をしてないからだ』
「はあ?」
『いやね、最近ここに書いてるのは全部書きながら考える、行き当たりばったり方式なんだよ』
「ああ、コピーライト方式ってのはまず先にタイトルを考えて、タイトルからストーリーを作っていくってやつね」
『そう、元々おれはそっちの出なんだよ』
「そっちの出ってのはおかしいだろ。コピーライターやってたわけじゃないし」
『そのタイトルが浮かんで来なくなっちゃった』
「ああ、そうなの?」
『そうだっつってんだろうが!ったくよぉ、大体な、お前のせいだぞ!』
「おれの!?なんでだよ!?」
『正直お前の扱いがよくわかんねぇ!』
「おい!頼むよ!」
『お前さぁ、一体何がしたいの?』
「いや、そんな、お前が作ってんならお前が考えろよ!おれに言われてもどうしようもないだろ!」
『それ!全ての始まりはその“!”だよ、お前の変な“!”で行き当たりばったりの型にはまっちまったんだ。おれは元々“!”を多用するタイプじゃねえんだ。今後“!”はあまり使うなよ』
「ああ、まあそういうことならそうするけど」
『そしてそれはお前のキャラが出来上がってないってことなんだ。今からお前のキャラ考えるからその間独りでなんかやってて』
「ええ!?じゃなくて、うーん、まあわかったよ」
『よし、始め!』
「お前は“!”を惜しげもなく使うんだな」
『ブツブツ』
「あ、考えてる………思えば僕の役割ってのは読者の代役なんですよ。だからなるだけシンプルに受け答えしてる。変な言い回しとかしないようにしてた。読者が勝手に僕のセリフを補えるようにさ」
『読者なんていねえじゃねえか』
「そう言うなよ」
『誰もこんなの読んじゃいないのにね』
「なんか寂しくなっちゃうだろ」
『ブツブツ』
「……さっきこいつに“お前一体何がしたいの?”って聞かれた時さ、答えられない自分がいたんだ。僕は一体何がしたいのだろう、一体今まで何をしてきたのだろう、そんなことを今まで出来るだけ考えないようにしてきたのかもしれない。なんか夢のない若者みたいなこと言ってるけどさ。ニートみたいなこと言ってるかもしれない。そんなこと自分で考えろよみたいなさ」
『かっこ悪ぃなお前』
「ああ、そうかもな。おれの単調なツッコミでお前をスランプに追いやっていたとしたら、そりゃおれなりに苦しいよ。お前あってのおれだからな」
『ブツブツ』
「…確かに僕にはキャラがない。空気みたいにやってきた。目立つつもりはないけど、それがいいと思うけど、そのことでこいつを苦しめていたと思うとね。かなりショックだよね。キャラがないって言ったけど、つまらなくするキャラ、型にはめるキャラであったと言えるわけでしょ。なんていうかもうね…。こいつは本来自由にやりたいはずなんだよ。何も決まってないとこで、何も決めつけられてないとこでさ。セオリーも何もない自由なとこでね。僕がいることでそれが出来ないなら、僕はいらないのかもしれない。いやきっといらないんだろう。だからこういう事態になってるわけだし。こいつの為を思うならいっそ身を引こうかな。ははは…」
『………よし、出来たぜ!』
「そのことなんだけどさ、おれいいよ、もういいや、どっか」
『では発表します』
「もういいよ、もういいんだ、もうや」
『お前の新キャラは、ダラララララララララ、ダン!お前に決定!』
「……はあ?」
『やっぱよく考えてみるとさ、おれの相方はお前しかいないんだよね。お前が、今まで通りのお前が一番だってことに気が付いたんだ』
「お前……あれ、おかしいな……急に天井見たくなっちゃった、はは…ここの天井はいい天井だなぁ、ははは………うぇーん」
『おおよしよし、泣くな泣くな。爺様が死んだ時のまだ幼稚園児だったおれみたく泣くな』
「ひぐっ…いや、ぐぐっ、わけわかんねえよ!…ひっ」
『ははは、まったくお前は、お前ってやつは、“!”をあんまり使うなって言ったのによ。へへ』
「悪いな…へへへ」
『っていうのはウッソー!』
「……え?」
『ああうざってえ。お前のキャラを変えるって話してんだぜ!?そのまんまなんてあるかよ!おれマジでお前のせいだと思ってるからね、このスランプ。どげんかせんといかん!お前をどげんかせんといかん!』
「え?…え?」
『ていうか本来なら切り捨ててもいいんだけどな!小数点以下の1から4みたいなもんだよな。つうかもう小数点以下以下の存在だよな。お前の人生これからずっと小数点以下以下だよ!それをわざわざ文句も言わずに今まで使ってやってよぉ。おれってなんてのんびり屋さんだったんだろ。しかもまだ新しいキャラを考えてやってよ。おれ本当器でかいよな』
「…………」
『ええ、じゃあお前の本当の新しいキャラ発表します。“うんこちゃん”です。うんこ食べて下さい。はい。あ、あと毎日ちゃんとうんこの風呂に入って下さい。ていうかうんこになって下さい。今のお前よりうんこの方が百倍はましだからね。うん。決め台詞は“うんこっこちゃん”だよ、覚えたか!?うんこっこちゃーんって言いながら床を舐め回してうんこのありかを見つけて下さい。口からうんこ出せるようになって下さい。そしておれに近付かないで下さい。臭くてたまらないからね!ナハハ』
「…………ああそう、ああなんか駄目だ…もう駄目だ、いいやもう…ああもう駄目だ…」
『誰かの腸内に入って善玉菌と戦ってきてよ。ほら早くしろよバカ!プチ整形してまぶたをうんこにしてきてね。ナハハ。うん?なんなんだようるせえなぁ、ブツクサ言いやがって、うんこだけにブツがクサいかよ、聞こえねえよ!本当お前は駄目だな!早くどっか消えろよ!帰れ!おれはうんこの独り言につきあう、そんな暇はねえんだよ!………うん?うわっ!…なん……だ…よ、おい…うご、ごごぎぎごご…ごが…………ポク………………』
「お前が消えろよ」



さて、ボケが死にました。衝撃の展開です。この先どうなるのでしょう。ツッコミの彼はどうなるのでしょう。次回をお楽しみに!