からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -235ページ目

マウイの釣竿

今からランニング走る人DASH!


晴れ出るまで走るぞ~




おれのこと嫌いになればいい。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(31)

「あぁ、健一君、お酒は何がいい?」
最後の抵抗を試みる。
「小山さんが呑んで下さいよ。帰りは僕が運転しますから」
まあ多少無理がある。
「いやいや、ありがたいけどね。構わずやってよ。あの車僕にしか保険効かないしね。だから、ま、気にしないで」
まあ、そうなるわな。誘ったのあっちだ。代行もあるが、どうせ呑む気はないのだろう。
「あ、そうだ。健一君今月誕生日だよね?」
「へ?」
今月は僕の誕生月ではない。半年以上先の話だ。
「ほら、今月誕生日だったでしょ。ね」
小山さんはウィンクをしてきた。なんともはや。似合わない。呆れるほど似合わない。まぶたでちょっとした風が発生しそうな重いウィンク。錆だらけのシャッターを降ろす様なウィンク。目の前を新幹線が走り抜けたかのような…って、とにかく不細工なウィンク。
「ちょっと小山さん、勘弁して下さいよ」
店員が、弱ったなぁ、という感じで言った。
「いやね、ここ、誕生日の月の人は一杯サービスしてくれるんだよ。ははは。だから、さ」
意外に器が小さい、というか等身大の小山さんを見たというか、僕は少し笑ってしまった。僕の知らない、仲間内での小山さんは案外こういう小手先のことを楽しんだりする人のようだ。小山さんは友達の店に行けばむしろ余分にお金を払うようにするタイプだと漠然とではあるが思っていた。それは外見上のイメージに過ぎなかったようだ。
「はい、今月です」
まあ、ここで、いや違います、と答えるわけにはいかんだろう。
「もう、本当はそれを証明出来るものが無ければ駄目なんすからね。まったく。キミ、こんな人と付き合っててもいいことないですよ」
店員はオーバーアクション気味に言う。
「おいおい、お前、あのこと…」
「ああ、それは言わない約束でしょうが!まったく。もうわかりましたよ、わかりましたから、で、何にします?」
「それがお客様に対する態度か」
「そういうことはちゃんとお客様にふさわしい態度ってもんをしてから言って下さいよ」
この二人デキてんじゃないかというような気持ち悪い掛け合いが続きそうなので終止符を打とうと、「ええ加減にしなさい」、の代わりに、「じゃあビールで」、と、マッドクラブのいる穴に手を突っ込む様な気持ちになりながら言ってやった。よし、策はなった。
運ばれてきた鶏料理の数々はどれも大変おいしく、今まで食べてきた鶏は一体何だったの!?的な某料理んぼ漫画みたいなことに…っと、そこまでには至らなかったが、至らなかったのかよ、まあ、味をしっかり確かめるような状況ではなかった割にはやたらおいしかった。わかんねえよ。
この日の小山さんは饒舌で、さっきの店員が後輩であるということ、オーナーが大学同期であること、オーナーは三十半ばにしての大学生活であったこと、さっき店員に遮られた言わない約束の続き、等を次々と喋り、喋っては食い、食っては喋り。
お酒は日本酒に変わり、僕は酔っ払わないように注意しながらチビチビ飲み続けた。注意はしていたのだが、僕の声量は大きくなる一方、まあ多少は酔っ払わないと普通ではないのだが、それに従い気も大きくなっていき、ついつい彼女について色々なことを聞いてしまう。それは大チョンボとでも言うべきものなのだが、止められない。僕の中にある小山憎しという感情が酒の力で表層に現れてきたのだ。開放されつつあるのだ。まずいことではあるけれど、止めるのも僕なら声を大きくしているのも僕なのだ。
小山さんは僕の発するいくつかの暴言をうまくかわしながらニコニコ笑顔で応える。その笑顔を、駄目だ駄目だと思いながらも、崩してみたくてしょうがない。犯人とそれを追うものの茶番劇。殺した後愛する者と殺される前殺された後も愛し続ける者。どう考えても僕に勝ち目はない。彼女は今でも小山さんの後ろにいる。でも唯一、僕は小山さんの知らない彼女を知っている。…小山さんはそれ以外の彼女の全てを知っている。
半ば自棄糞になって小山さんに突っ込んでいく。が、小山さんにとってそれらは顔の周りを飛んでる蚊程度にしか過ぎないらしい。もどかしい。もどかし過ぎる。奥歯に挟まった繊維よりもどかしい。心が痒い。掻きたいけど掻けない。

ボツ台本英語とババア

「英語学校やババアであるという設定をまるで生かさない。なぜなら長くなるから!軽い合いの手みたいなの入れてくと大変なことになるのよ☆そして衝撃のオチ」



「さて、今日の生徒は、え?88歳のお婆さん!?へー、88歳にもなって英語を学ぼうなんて凄い意欲の持ち主だなぁ。あ、そろそろ時間だ」
ババア登場
「こんにちは」
『……………』
「あ、あの、本日は体験入学ということで、英語を教えさせて頂くAと言います」
『……………』
「あの、今日は短い間ですけどよろしくお願いします」
『……………』
「野良犬を見てるような目でこっち見てるな…どうしよう」
『……………』
「今日はいい天気ですね」
『……………』
「あの、お婆さん?」
『……………』
「まだ一言も発してないぞこのお婆さん……あ、もしかして耳が遠いのかな?そうか、そうだな、(声を大きくして)お婆さん!今日ね!一時間ですけど!よろしくお願いします!」
『………………』
「ええ~…結構声出したよおれ?前にこんな声張り上げたのは彼女にフラれて半泣きになりながら枕を殴った時以来だよ」
『……………』
「よーし、もう一度、…あの!すみません!」
『……………』
「くっ……恥を捨てろ。よし、あの!!すみませんけども!!」
『うるせえ!!!』
「うわあ!………あ、あの」
『ギャーギャーと五月蝿いガキだわい。ここは動物園の食堂か!?』
「ええ!?聞こえてるのか!?ていうか動物園の食堂って動物園であることあんまり関係ないよな」
『なんじゃ、ギャーギャー喚いてると思ったら今度は小声でブツブツと』
「あ、すみませんって聞こえてたんですか」
『さっきから全部聞こえとるわ!まったく、最近のガキは年寄りのことを野良犬扱いしやがって』
「微妙に聞き取れてねえ!いや、違いますよ。そんなこと言ってませんよ」
『うるしゃあ!』
「ひぃ」
『おなごにフラれてメソメソと枕を殴りつけとる奴に言われとうないわ!』
「うわ、おれの恥部はばっちり聞き取れてるよ。ていうかおれが小声で言ってるの心の声じゃないんだ」
『大体なんじゃキサマの態度は!それが人にものを教えようという者の態……ゲプ……にゃらあ!』
「ゲップした!?強引に持ってったな」
『ゲップ違う!キサマ、レディの扱い方を知らんな!失礼な奴じゃ!』
「あ、すみません」
『そんなんだから孫にフラれるんじゃ!』
「ええ!?てことはまさか!あなたはカナちゃんのお婆さん!?」
『違う!わしの孫はひかりにのぞみにこだまにこまちじゃ!』
「違うのかよ!なんだよもう!ドキッてしたじゃんかよ」
『それとやまびこって男がおる』
「へー、新幹線の名前からとったんですか?」
『偶然じゃろうなぁ』
「……お婆さんが名付けたわけではないんだろうからツッコミの仕方がわからないよ、でも明らかに新幹線からだよなぁ、息子か娘から名前の由来教えてもらってないのかなぁ」
『ブツブツブツブツと人のことナメくさりやがって!』
「ああ、重ね重ねすみません」
『そんなんだから孫にフラれるんじゃ!』
「また!?あの、お婆さん?僕お婆さんの孫とお付き合いしてないみたいなんですが」
『わしの孫にキサマと付き合うようなたわけはいやしらん!』
「はぁ、まあ、その通りですけど」
『やまびこも含めてな!』
「やまびこはどうでもいいよ」
『どうでもいいとはなんじゃ!やまびこはわしのかわいいま……うぃ……にゃらあ!』
「またゲッ…いやいや、あの、大丈夫ですか?」
『大丈夫とはなんじゃらほい!』
「あの、体調は…先程から胃の不調を訴えるサインが」
『ああ、ゲップのことかえ』
「わかってもらえて嬉しいです」
『だからゲップと違うと言うとろうが!』
「ええ!?どういうことですか」
『ゲップと違う。思い出し笑いしただけじゃ』
「明らかに嘘だろそれ!表現にもほどってもんがあるだろ!あのタイミングで何を思い出したって言うんだよ!」
『やまびこが万引きで捕まった時じゃよ』
「思い出して笑う場面か!?やまびこも何やってんだよ!」
『まあ嘘じゃ。軽いババアジョークってやつじゃよ』
「だろうな!ああ、もうわけわかんなくなってきた」
『やまびこが万引きで捕まったのは本当じゃが』
「やまびこぉ!」
『本当はウンコ漏らしただけじゃ』
「ええ!?ゲップより大変なんじゃねえの!?大丈夫なんですか!?」
『大丈夫大丈夫、年中垂れ流しておりますわい』
「そういう問題じゃねえよ!汚れるでしょ!」
『ああ、問題ないわ、ちゃんとつけとるよ』
「え、ああ、オムツですか」
『いや、柄物のパンツ』
「なんだよ!中学生がブリーフからトランクスに履き替える理由かよ!汚れ目立たないから!?そういう問題じゃねえって!」
『洗えばいいじゃない。減るもんじゃなし』
「洗うのおれなんだよ!もう!ちょっとトイレ行ってきて下さいよ!」
『大丈夫、全部出し切ったから』
「大惨事じゃねえかよ!」
『なに!?第三次世界大戦が始まったか!?』
「始まってねえよ!始まるとしたら大惨事ウンコ清掃だ!」
『あの頃わしゃ中国で会社勤めしておっての』
「ああ、戦時中の話?」
『今で言うONじゃ』
「OLな!ONじゃ国民的英雄になっちゃうでしょ」
『PL?』
「OL!なんで野球関連!?」
『その頃爺様と出逢ってのう』
「ああ、そうなんですか」
『わしも道を歩けば道に咲く花という花が下を向くほどの美人じゃったから、爺様わしに一目惚れしての』
「へー、人に歴史ありですね。今の姿からは想像も出来ない」
『若い人にゃ年寄りのことなんぞわかるめぇ』
「まあ確かに、将来の自分を理解出来ないのは問題ですね」
『その頃はわしらはまだ若くての、老後なんて考えもしなかったもんじゃ』
「まあ時代が時代ということもありましたでしょうからね」
『毎日毎日アナルセックスばかりしておった』
「ええ!?卑猥過ぎるだろ!突然なに言ってんだあんた!」
『そのツケがこれじゃ。ケツだけに』
「だからなの!?だから肛門緩いの!?」
『罰があたったんじゃな。お天道様はすべてお見通しじゃよ』
「お天道様なに見てたんだよ!ただの出歯亀じゃねえか!」
『まあそういうことじゃから、ウンコのことは気にするでない』
「気にするわ!そうだよ!ちょっとお婆さん立って!」
『乳首は今も勃つでの』
「うるせえ!ちょっと現状を把握するから立てって言ってんだよ!」
『せっかくなんじゃから英語で言ってみたらどうじゃろか』
「はあ!?もう、わかりましたよ!はい、じゃあ、スタンダップ!」
『スタンダップ!』
「スタンダップ!」
『スタンダップ!』
「スタンダップ!」
『スタンダップ!』
「て授業じゃねえよ!おれがいつリピートアフターミーって言った!学ぶ姿勢は評価したいけど!立てよもう!」
『はいはい、ったくぼったくりが』
「ぼったくりじゃねえよ!……………あれ、椅子は汚れてないな、あー良かった」
『綺麗じゃろ、漏らしてるんだぜ』
「タッチか!また野球関連だな!なんなんだよもう!まあいいや、じゃあもう授業始めますからね!」
『おう、それじゃ、実は今日教えてもらいたい英語があっての』
「はぁ、なんですかそれは」
『はて、なんじゃったかな』
「おれは今日でこの仕事辞める!」



終わり いやね、オチなんていくらでも思いつくのよ?でもさ、めんどく…………やっぱりババアといえばこれでしょ!いや、ははは、最後まで読んでる人なんかいないだろうけどさ、なんていうか…ごめんね。うん。ごめん。でもさ、男の子にやまびこって名前付けるのセンス(笑いでなく現実の名前の話)あると思わない?山田やまびこみたいなさ………ごめん。本当ごめん。“び”がいい感じで不協和音を奏でてって、ごめん。先生!やまびこ君の声だけやまびこしません!そんな奴は死んでしまえ!みたいなさ。いや、ごめんね。でも名前と容姿が釣り合ってない、ってごめん。謝る気ないだろって?うん、としか言えないよ。

ある日のメモ

来た、見た、換えた
デリヘル嬢のチェンジをカエサル風に言うと。


作詞してえなぁ。


深夜のメールには気をつけろ。

読んだら損する「運命はテイクアウト」(30)

「お疲れさま。小山です。アドレス、おばさんに教えてもらいました。今後ともよろしく。突然だけど、今日会えないかな?おごるよ。」
メールの返答を考える。チャリンコ漕ぎながら考える。意図は?どう返信する?会いたくなんかない。だけど僕の性格、小山さんが知っている僕の性格を考えると、普段の僕というものを意識すると、これはもう会わざるを得ない。容易に断れない。断らない。断ることを知らない。だけど会いたくない。凄く会いたくない。めちゃくちゃ会いたくない。チャリンコはどんどん家に向かっている。漕いでるのは僕か。あのコンビニも過ぎた。とりあえず家に帰ってから考えよう。そうしよう。そうするしかあるまい。
が、僕の目論見はまんまと破られた。小山さんはうちにいた。なんたるちあ。母親の口癖ぐらいしか頭に浮かばない。しかし、いつものスイッチは入った。もう小山さんと飯を食う覚悟は決めたらしい。凄いね、パブロフの犬的人体。
「やぁ、お疲れさま。メール送ったのだけど見てくれたかな」
「えっ」
少し慌てた様子でポケットから携帯を取り出し、「あ、本当だ」と呟いた。
「すみません。マナーモードにしてたんで」
「うん、それはそうだろうね。ところで内容の方なのだけれど、どうかな?」
決まってるし、さっき決めた。ちょっと前まで拒否の言葉を探していた自分が馬鹿らしくなるくらいあっさりと、僕は小山さんの軽自動車に乗っていた。いつも通り、小山さんは僕を疑っているということを前提に行動するんだ。
「あ、朝、小山さん見ましたよ」
当然自ら切り出す。
「あ、そうだったね。僕も気付いたよ。あのコンビニのところだろ?」
「はい、そうです」
「あ、ところで何か食べたいものの希望はあるかい?一応どんな要求にも応えられると思うけど、でも、福沢諭吉がいなくなるようなところは…」
アゴを揺らし、ふふふ、と声無く笑う小山さん。あんまり大したユーモアでもなかったので、僕はただ、
「そんな、おごってくれるだけでありがたいです」
と、無味乾燥に答えた。
「そう言ってもらうと助かるよ。実はもう行くところには目星をつけていてね。今日起きた時からかな、今日の気分は鶏、うまいところがあるんだよ。そうだ、健一君お酒は呑めたかな」
僕は呑む。呑むことは大好きだ。だが弱い。ファッションで酒を呑んでる奴と呑むと二度と誘われることはなくなる。弱いくせに強い酒をがぶ呑みして、記憶を無くし、記憶が戻った時は決まって寝ゲロをしているから。まあ、誘われなくなるのも当然か。といっても僕だって呑む相手を見ている。無茶するときは相手と今後会うことはないだろうなって場合で。もちろん人に合わせて節度のある呑み方も出来る。だけどアルコールが入った時、小山さん相手に呑んだ時、下手したらボロを出しかねない。白状(ゲロ)しかねない。しかし、やはり嘘は駄目だ。母親にでも聞けば僕が酒を呑めることぐらいすぐわかる。もう既にリサーチ済みかもしれない。
「はい、好きです」
小山さんはとてもいやらしく、にやっ、と笑って、
「それは楽しみだね」
と、鼻を揺らした。
お店は小山さんに似合わず割と派手な、オサレな焼鳥屋(?)で、カウンター席をステディな関係の男女が独占しているような流行りの店だった。小山さんが店内に入るとずらりと居並ぶステディ達は皆同じように二度見をした。それはなかなかに壮観な図だった。小山さん店員と知り合いらしく、また、どうやら予約を入れていたらしく、このことは先程車内でした会話と矛盾する即ち小山さんは僕がどう答えるか知っていたということを意味する、所謂VIP席のような、オーナーが店を造る時に仲間内で使うことを前提にして造られたと思われる部屋に案内される。小山さんは座るなりオーダーをし始めた。といっても実に簡潔に、
「じゃあよろしく」
の一言。