溝彫システムでは,加工場所の下部に吸塵ホースをセットしています。気流は上から下に向かい,発生した木屑を伴って集塵機に入ることを期待しています。トリマガイドの下は,左右のマイターレールを付けた台の間が開いていて,そこからも吸塵ホースに向かう気流が起こります。その分,上から下に向かう気流が少なくなります。そこで,2つの薄合板を用意し気流止めにしました。気流止めを2つに分けたのは,左右の台の間隔を変えても隙間ができないようにするためです。台はそれぞれ2枚の板の間に角材を入れています。ここの隙間を埋めるのに,取っ手を兼ねた角材を取り付けました。また,なかば廃棄状態の板だったので汚れていますが,性能に関係ないのできれいにする手間は省略しました。そんな板だったので反っていましたが,角材を取り付けた結果,反りは解消されました。
M5で10 cm位のボルトを探していましたが,手に入りませんでした。そこで先の記事では,長いものが手に入るネジロッドを用いました。ネジロッドは頭がないので,六角ナットを端に付けることで頭にしました。六角ナットが回ってしまっては意味がないので,六角ナットと四角ナットをダブルナットとして固定していました。2つのナットの間には緩み防止のためスプリングワッシャを入れていました。四角ナットは厚さが六角ナットの半分程度なので,頭の高さを抑えるために使いました。それでも,頭は結構な厚さになっていました。
ここでは,1つの六角ナットが回らなくなるよう,工夫しました。まず,ネジロッドに六角ナットをセットし,ネジロッドの端と,六角ナットの面が一致する位置にした後,ネジロッドと六角ナットの間にφ3mmの穴を開けました。
開けた穴にφ3 mmのアルミ線を挿し,3 mm程残して切断しました。
飛び出しているアルミ線をたたいてつぶしました。これでアルミ線は抜けなくなり,六角ナットは回らなくなり,ボルト頭として機能するようになりました。
これで長い六角ボルトとして使えるようになりました。これから使ってみて,十分な強度があるか確認したいと思います。ちなみにストッパーとして機能しているアルミが崩れるようなことがあった場合は,釘などの鉄材を使ってやってみる選択肢もあると思います。
角材溝彫りガイドシステムは,作業台の下にセットします。四隅をクランプで留めますが,留める前は押さえていなければなりません。押さえながらクランプで留めるには手が3本以上必要です。以前にオーディオ台をセットするときも同様でした。その時は,上に板をセットした三脚で押し上げておいてセットしました。その時は一回限りの作業でしたが,溝彫りガイドシステムでは,溝彫り作業をするたびに行わなければなりません。そこで,楽にセットする方法を考えました。それは,ガイドシステムをひっかけるところを作ることです。写真の丸印の所3点に溝彫りガイドをひっかけることができます。
溝彫りガイドをひっかけたところです(パノラマ撮影のため歪んでいます)。このように手を離すことができるので,四隅をクランプで留めることが楽にできるようになりました。
これまで集塵機ケースには,集塵機本体,電動機器の動作を感知して集塵機をON-OFFするコントローラー,集塵ホース,集塵袋など,一式を保管するようにしていました。コントローラーには,強制ON, OFF及び電動機器動作時にONにする“連動”の3段階の切り替えスイッチが付いています。木工作業の最後に,吸いきれず飛び散った木屑を吸うためにスイッチを強制ONにしていました。その際,集塵機ケースが下にあるのでかがむ必要がありました。そこで,コントローラーを外置きにして,スイッチの切り替え時にかがむ必要がないようにすることを考えました。これまではケース内の集塵機に並べてコントローラーがありましたが,ケース内からコントローラーがなくなると,集塵機を寄せて,集塵袋を付けたままにすることも可能になります。
外置きにするためのケースを作り,作業場の上の方にネジ留めしました。ここにコントローラーを置き,奥の方に開けた穴を通して,電源などのコードを通します。
外置きケースにコントローラーをセットしました。電線は後ろから出しているのですっきりしています。
動作中の集塵袋です。集塵機ケースの側面からふくらみます。
収納時は集塵袋をこのように押し込み,扉をセットします。
咥えジグでは,M5×100 mmのネジが必要でした。ホームセンターで探しましたが見つかりませんでした。頭の付いていないステンレス製のネジロッドは長いものがありました。長さが285 mmでした。それを半分に切れば丁度良い長さになります(140 mm程度の厚さまで咥えられます)。カナノコなどで切断すると,切り口が乱れてナットが入らなくなる恐れがあります。そこで,ネジ切断機能の付いた電工ペンチで切ろうと思いました。しかし,手で握っても切れません。手で握る部分を万力で締めましたが,ネジは曲がる程度で切れませんでした(電工ペンチが傷むと思いますが,いくつも持っているので壊れても良いという覚悟でやりました)。やむを得ず,電動ノコに金属用の刃を付けて切断しました。切断された所にはナットは入らないだろうと思っていましたが,問題なく入りました。ステンレスはネジがつぶれないで切断できるようです。
ネジロッドはネジ頭がないので,ネジ締めが難しくなります。そこで,末端にはダブルナットを取り付けました。ダブルナットでは,ナット2個分+スプリングワッシャーの厚みを取ってしまいます。そこで内側には薄い四角形のワッシャーを使いました。手持ちのワッシャーの径がちょっと大きすぎたため,六角ナット側には平ワッシャーが必要でした。これにより,ナット回しでネジを回すことができるようになりました。
前に作った咥えジグでは,チャンネルの内側と外側のナットで挟み,その位置を変えることにより作用点の所の厚さに対応させる構造でした。調整するには,スパナとナット回しの2つを用いる必要がありました。そこでもうちょっと楽に調整する方法を考えました。それが写真のものです。手前が支点です。下側にM5のネジ穴を作りました。前のと同じように押し付ける力がかかるので,上側チャネルの下側にはダブルナットでチャネルが下がるのを押さえるようにしてあります。こちらのネジをナット回しで回転することにより支店の高さを変えられます。前よりずっと簡単になりました。力点にも下側チャネルにM5のネジを作ってあるので,ここのボルトをナット回しで締めることにより,作用点が押し付けられます。
長さが91 mmある丸鋸ガイドでは最大91 mmまで切断するのに使えます。ただ,ガイドを被切断材に押し付けるには,左右からクランプのようなもので締める必要があります。ただ,通常のクランプだと,締める部分が上に飛び出し,丸鋸ノコのモーター部分に当たってしまいます。そこで,咥えるジグを作りました。スチールチャネルを12.5 cmで切断し,M8ボルトで締めるようにしました。写真右側のボルトが支点となり,左のボルトが力点,左側の丸鋸ガイドの部分が作用点となります。右側のボルトには下向きの力がかかります。間隔が縮まないよう,ボルトで支える形になっています。その位置を作用点の所の厚さと同じにすることで,色々な高さのものを締めることができます。
ラボジャッキ置き台の真ん中に集塵ホースの穴を開けると集塵効率が上がると考えました。特にトリマでは削り屑がたくさん出るので集塵は必須です。これまで,大きな穴は,自在錐を使っていました。自在錐は対称でないので,安定に切るために,これまではボール盤にしっかりと固定して行っていました。しかし,これが大きすぎて,狭い工房内に置かれたボール盤のところにセットできません。ユーチューブなどでは,ドリルを使って開けている例がありました。「大丈夫ですか」とコメントすると,「問題は全くない」との回答が返ってきました。
先ずは,薄い合板でやってみました。ちょっと多く押し下げると跳ねることがありました。それでも何とか開けることができました。そこで,12 mm厚のラボジャッキ置き台で試してみました。しかし,中心のドリル穴を広げてしまうくらい跳ねてしまいました。ちょっと慣れが必要です。危ないことはしたくないので自在錐を使うのは断念しました。次にジグソーを使ってみました。ジグソーで半径が小さめの穴を開け,最後にトリマできれいにすることを考えたのです。写真で穴の中心から奥の方に向かっている溝がジグソーによるものです。この先,円周のところまででカーブさせるのはちょっときつい感じがしました。やり直すとしたら,ジグソーのスタートのφ10 mmくらいの穴を改めて開ける必要があります。そこで,切りくずは多くなるものの,いきなりトリマを使うことにしました。先に作った薄い合板の穴を倣いの型にして円形に削り出しました。
出来上がった穴です。左奥の方を見るときれいに開けられています。右下がギザギザになっていて,その手前に円弧状の傷がついています。これらは,自在錐による傷です。裏はきれいです。
作った穴には集塵ホースを挿します。わずかに緩い感じがしました。下から挿すので,重さで抜けてしまう恐れがあります。そこで,少し小さめの穴を開けた厚い板を重ねました。この板は小さいのでボール盤を使えました。今度はわずかに径が小さく,集塵ホースを入れるのに苦労します。そこで入り口の辺をテーパーを付ける形で削りました。これで集塵ホースを楽に入れられ,奥に押し込むことでがっちりと固定できるようになりました。




















