■決して海に沈むべきでない韓国の道徳性 | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

祈りを込めてリボンを結ぶ韓国の子供たち。明日は韓国も「オリニナル(こどもの日)」です。



今日『朝鮮日報』のコラムは、韓国の学校では今、子供たちが、「先生の指導を聞かない練習もしないと、いざという時に助からない」といい、教師たちも生徒が規則を守らなくても叱ることができず自らを恥じる状況になってると伝え、「子供たちの信頼を回復していくのが大人世代のすべきこと」と結んでます。


しかし、私は韓国の道徳性は生きていると信じたいです。「動くな」といわれた大人の言葉に従おうと、互いに手をつなぎ合い、恐怖を慰め合いながら、「秩序を守ること」の大切さを信じ続けた生徒たちの中にであり、彼らを救おうと水に飛び込んだ教師たちの中にであり、自らは胴衣も着ずに最後まで生徒を助け続けた乗務員らの中にです。


確かにその時、大人の言葉は誤っていたけれど、それで大人の言葉に従わないべきだった、秩序を守らず飛び出すべきだったというのは、何より彼らが守った良識や文化まで否定することになるし、その正しい子供たちを最後まで生かそうとした正しい大人たちまで否定することになると思えて残念でなりません。


手をつなぎ合い、互いに励まし合いながら、「秩序を守ること」の大切さを信じ続けた生徒たち。彼らのため、自らの身を殺して仁を成すという「殺身成仁」を果たした大人たち。たとえ、体は海中に沈んで帰らぬものとなっても、彼らが守ったこの国の道徳性だけは、決して今も沈むことなく生き続けていると信じます。


ちなみに、韓国では、こういう国家的な事態がある時ごとに、キリスト教や仏教の宗教指導者を社会の師として仰ぎ、その言葉をうかがうということをよしとしますが、少し前に各メディアは、韓国仏教浄土会の会主である法輪僧侶が伝えた言葉を紹介していました。


浦項市で行われた講演会ということですが、この国が再び正されていく一つの指標として、亡くなった方々のためにも、要約したものを読みながら訳してみました。



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■法輪僧侶


「セウォル号契機に私たちの社会を再整備すべき」
「生き残った私たちの責任を果たそう」



◆“国家的措置必要…人を咎めてはいけない”


犠牲者たちの冥福を祈り、家族の方々に慰労を送ります。見る私たちもこれほどたいへんなのに家族たちの心はいかばかりでしょうか。しかし事件はもう起こってしまいました。すでに残ったことは、二度とこのような事件が再発しないようにしなければならないということです。


不幸な事件が起こった時に、大部分は人を咎めるようになります。本当になさけなくてあまりにも悔しくて、どのようにもできることが何もないので、それも仕方のないことでしょう。


それで、政府のせい、会社のせい、船長のせいにするようになるのです。しかし、このような大事故は、ある特定の一人が過ちを犯したといって起こるのではありません。多くの原因が複合して起こった事故であり、今回の事故の原因をよく明らかにして改善策を用意しなければなりません。



◆“セウォル号沈没は私たち皆の責任”


沈没事件にかかわった船長など何人かの責任が一番大きいのは確かですが、彼らだけの責任だというよりは、社会構成員全員の責任です。私たちの社会は、まじめに仕事をして成功しようと思うよりは、容易に楽をして成功しようと考え、僥倖を願う雰囲気でした。


お金さえ稼げれば何をしてもいいという、そのような物質主義、拝金主義に、社会のあちこちがなびいていました。


調査をしてみたら、多くの問題が現われています。セウォル号だけがそうでしょうか。事故が起こらなかった所でも再び調査をしてみれば、問題が皆出てくるのです。


私たちは、船長と船員たちに殺したいとばかりに悪口をいいますが、もしかしたら本人たちはそれを不当に思うかも知れません。これは私たちの社会が、全般的に職業倫理意識が非常に不足していたためです。


私たちの社会全部がこのような感じです。これまで、大型の惨事が起きなかっただけであって、常に起き得る状況が蔓延していたのです。



◆“社会を再整備する運動が起きる時”


セウォル号の惨事をきっかけとし、私たちの社会を全般的に再整備しようという運動が起きなければなりません。沈んで憂鬱になりながら、どうしようもないという所にとどまっていてはいけません。何人かの罪を問いただして処罰するといって、社会制度が正されるということはありません。再発を防ごうとすれば、私たち皆の反省が必要なのです。


今、社会の雰囲気は、とても息苦しく頭に来ていて爆発する直前です。誰か一人でもつかまえて袋叩きにでもすれば憤りが解かれるかという具合です。


私たちの社会全般に安全点検が必要な時です。事件の原因について宗教的・倫理的に接近することも正しくはなく、報復論理で接近することも正しくはありません。今回の事件は、私たちの皆が責任を負わなければなりません。


二度と私たちの社会にこのような不幸が起きないように、私たち皆が一緒に安全な社会をつくっていきましょう。これがセウォル号事件に犠牲になられた方々のための真の追悼であり、生きている私たちの責任です。



[原典] 법륜스님 “세월호 계기로 우리 사회 재정비해야”



説法をする法輪僧侶。



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