■韓国は今日、静かな「オリニナル(子供の日)」です | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「オリニナル(子供の日)」を迎え、多くの子供連れが弔問に訪れた。(ソウル広場)


●「先駆けた人」たちの犠牲


今日韓国は、国全体が、例年とまるで違う雰囲気の、“静かなオリニナル(子供の日)”を迎えました。


韓国で5月は「家庭の月」と呼ばれ、その皮切りに今日が「オリニナル(子供の日)」であり、続く5/8が「オボイナル(父母の日)」ですが、例年なら子供たちの笑顔でにぎやかになる街やテレビも、今年は静かにセーブされ、遺族や行方不明者家族の痛みを分かち合う雰囲気の中にあります。皆、何とか「父母の日」までに残る子供たちが父母の懐に帰れば、ということを祈ってます。


実際、「オリニ・ナル」は、正確には子供の日ではなく、「オリニ=オリン(幼い)+イ(人、大人)=幼い人」の日です。すなわち、大人よりも未来を背負い、大人たちよりも先駆けた人である子供を大人以上に尊重すべきという思想のもとに創られた「オリニ」という言葉を記念する日であるわけです。まさにその意味を心に刻みつつ、その“未来を先駆けた人”の多くを失ったこの国は、深い反省の中にこの日を迎えています。


ちなみにこの「オリニ」運動は、かつて児童人権思想家の方定煥(パン・ジョンファン)が提唱したものであり、「オリニ・ナル」制定は1922年5/1。これを制定するため、方定煥はソウルの人口が30万人しかいない時代に、12万枚ものチラシを印刷してまいて運動を展開したといいます。当時14回まで記念して、日本によって一度廃止され、独立後にまた復活したわけですが、その際に、すでにメーデー「勤労者の日」であった5/1に重ならないように5/5に移したということで、結果的に私たちの日本の「こどもの日」と同じ日付になってます。


韓国語では「子供」を表す言葉は元来、「アイ」しかなかったわけですが、今では方定煥の思想が定着して、「オリニ」はすでに子供を表す一般名詞として通用しています。そのようにして、今日は、「大人よりも先駆けた人」たちの価値を再確認する日であり、本来は、子供に贈り物をし、美味しいものをご馳走し、楽しい所に連れていくという日なわけです。


『京仁日報』によれば、「オリニ・ナル」を迎えた今日、合同焼香所には、朝早くから親子連れが多く訪れ、子供たちが遺影の前に献花、黙祷を捧げて、「お兄さん、お姉さん、安らかにお眠りください」、「きっと家族のもとに帰ってください」などの文を“もみじのような手”で書いている姿が、大人たちの頭を自然に垂れさせたと伝えています。


『連合ニュース』によれば、今日は静かな「オリニ・ナル」であり、ソウル広場の合同焼香所に、道峰区から7歳の孫を連れてきたチュ・サンスクさん(67、女)は、「孫が初めて経験することとして、見せてあげなければならないと考えて一緒に焼香所を訪ねた。もう二度とこのような悲劇が起こらないことを願う思いだけ」と語ったとのこと。同じく、友達と一緒に訪ねたというミン・ソヒョンさん(17、女)は、「同じ年代の子たちが被ったことなのでいっそう心が痛む」としながら、「今回のことが、いくらもせずに忘れられてしまうのではないかということが心配でならない」と語ったそうです。



●5/4「宗廟大祭」の舞いにも


さらに、昨日5/4は、韓国の歴代の王に祭祀を捧げる「宗廟大祭」の日であり、鍾路の宗廟では、韓国の重要無形文化財第1号であり、ユネスコ世界無形文化遺産でもある「宗廟祭礼楽」が奏でられ、「八佾舞」が踊られました。この国家的な危機にあって、先祖の王に祈りを捧げることにも深い意味をもたせざるを得なかっただろうと思います。


ちなみに、この「宗廟祭礼楽」の奏でられる中で、8×8の64人が一糸乱れずに踊る美しい「八佾舞」は、本来、中国で行われていたものでありながら、いまやその祭礼の方法や祭器、踊り、音楽などは中国でも失われ、韓国にだけ残されているということです。


いっぽう、同じ「八佾舞」を踊る儀式として、孔子への祭祀である「釋奠大祭」がありますが、全国の儒教の象徴である郷校で行われるはずの春期「釋奠大祭」のほうは、今回の事故への哀悼で多くが取りやめになっているようです。


なお昨日までに、韓国全国の合同焼香所を訪れた弔問客数は、115万5千237人になったということ、そのうち、31%の36万人が安山の合同焼香所を訪れているということです。現在まで、死亡者は260人、行方不明者は42人になっています。





ソウル広場の一画には、弔問客がメッセージを書いた黄色い折り舟を浮かべる場所がある。




韓国のサンド・アーティストであるシン・マリさんと、演出家のナム・ジソンさんがセウォル号追悼のためにつくったサンド・アニメーションです。題名は『私を忘れないで』。胸に迫ります。
「この映像はセウォル号沈没事件による犠牲者たちを記憶し、悲しみと痛みに陥った方々に小さな慰労と治癒となることを願ってつくりました。絶望の中に希望が見つけられることを…」



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