我が家の昆虫飼育は子供の教育目的で行っているので、基本的に極力お金をかけないようにしている。
おこづかいの範囲内で再現性のある飼育にするというのが1つめの理由で、より多くのお金を払って解決する前に自分で考えて工夫することで解決する習慣をつけてほしいというのが2つ目の理由。
そこで有力な選択肢になるのが2025年6月時点では月夜野きのこ園のきのこマット、完熟マット、黒土マットと言える。
ふるさと納税で注文できるところが何よりの良いポイント。ふるさと納税は経費部分、つまるところ総額に対する送料部分の割合が大きな商品でお得感が強いという特徴がある。
そういう意味では発酵マットは価格が安い割に重量と嵩が大きい。普通に通販で買う場合は本体部分と比較して送料の割合が大きくなる。そのため寄付金額の半額程度の送料込み商品を入手することができる。ふるさと納税で注文するメリットは大きい。
公式通販購入金額(送料込)/ふるさと納税額の割合を計算すると
きのこマット50ℓ:3895/8000=48.6%
完熟マット50ℓ:4564/10000=45.6%
黒土マット40ℓ:3947/9000=43.8%
と比較的高還元率と言える。
ふるさと納税は無限に使える訳ではないため、実際に購入するマットも必要だ。ヤフオクで販売されていて、現時点では実績が多いわけではないがコスパが良くちゃんと使えるという噂があるTENRYUアルプスマットも使用した。50ℓ1000円+送料は地域によるが1300円とすると50ℓ2300円で入手できる。
この中できのこマット、完熟マット、アルプスマットを使ってみたので個人的な使用感を記録してみたいと思う。
※注意:あくまで個人のレビューであり、母数として貧弱です。長期レビューでもありません。他の人のレビューも横断的に確認して最終的に判断してください。ロット差や保管状態、加水量、飼育温度などによりレビューと異なる結果が他の環境では出る可能性があります。また今回の記事は業者の依頼で広告目的に書いている訳ではありません。
きのこマット、完熟マットは開封して1週間〜数週間ガス抜きを行い、必要に応じて加水してタッパーで小分けして冷凍した。冷凍は4〜7日間一般的な冷凍庫で保存した。解凍してから空気穴を開けたタッパーに入れたまま1週間〜数週間は常温で放置してから使用した。発酵に関与した菌が冷凍により一部死滅し菌量が減少した分を取り戻すことを目的としている。検証のため冷凍→解凍して数週間放置→冷凍→解凍と2度冷凍して使用したりもした。
TENRYUアルプスマットは封を開けてから加水し1日1回攪拌を続け、臭いや発酵熱が明らかに落ち着くまで2週間程度ガス抜きした。その後タッパーで小分けして3〜4日冷凍し、解凍してから空気穴を開けたタッパーに入れたまま1週間〜数週間は常温で放置してから使用した。マットは最大3ヶ月程度で交換した。
きのこマットは冷凍して使わない場合キノコバエ、線虫、トビムシ、コナダニの発生が見られたが冷凍した場合はキノコバエ、線虫は発生しなくなった。
ただトビムシ、コナダニの発生は冷凍処理を行っても十分は抑えることができなかった。コナダニが多く発生した場合はトビムシは発生しなくなった。ダニがトビムシを捕食したためだと思われる。
2度冷凍すると1度の冷凍よりもトビムシ、コナダニの発生が減少するという印象はなかった。同じような時期に同じような量で発生した。冷凍を2度行うと付加効果が期待できるという印象はなかった。
トビムシ、コナダニともに使用後1ヶ月程度でも大量発生することがあった。サイクルが短いダニはまだしも、世代交代が年に数回のトビムシが1ヶ月で大量発生するということは、到着時もしくは保管時に既に冷凍抵抗性のあるトビムシの卵が多量に存在していた可能性がある。
トビムシはマット交換後1~2ヶ月程度で大量発生して、2ヶ月過ぎたことに一斉に死亡する状況がよく見られる。死亡するタイミングの一致も既に大量に卵が存在していたと疑わせる因子になっている。
どの時点からあったかは今回の検証では確認できないが、商品に空気穴がある仕様なのでどこにでもいるダニやトビムシがいつ侵入しても不思議はない。
コナダニやトビムシはほとんど幼虫の発育に影響しないと言われ気にしていない方が良いとも言われている。高栄養の発酵の浅いマットには宿命的な存在ではあるが、小規模屋内飼育の場合は家族への配慮もあり、やはり可及的に抑制したい。きのこマットを用いた飼育でダニやトビムシを完封するのは正直自分のスキルでは難しいように感じた。
きのこマットは実績が多く、データベースの蓄積があるため安心して使える。品切れも少なく安定して入手でき、価格もお手軽でふるさと納税でも入手できるので総合的には良いマットであると感じるが、雑虫を気にする人には使いやすいとは言えないかもしれない。
またマットを飼育容器に圧接して詰めた時や水分が多めだった時は使用後2ヶ月経過以降に泥状に硬くなることがあり、うまく幼虫が食べられない状態になり体重が落ちてしまうこともあった。水分量を多すぎないようにして圧を加えて詰めることも控えるとその現象は確認されなくなった。スキルがあれば同じような問題は起こらないだろうが、マットの扱いに不慣れの場合そういったことが起こり得ることも留意した方がいいのかもしれない。具体的にはマットに粒状感がなくなり固形化している印象があれば2ヶ月程度で交換すると無難かもしれない。
完熟マットは未冷凍のままの使用は行っていないので未冷凍のレポートはできない。
冷凍処理した完熟マットは3ヶ月で交換であれば雑虫はギリギリ許容範囲内で大量発生で困るほどはなかった。外からの侵入防止が甘い産卵セットの埋め込みマットとして使用した際に一度キノコバエが発生したことがあったが、外からの侵入や産卵木由来であった可能性が高い。
幼虫飼育や産卵セットでかなりの確率でトビムシが発生し、ダニもそれなりの頻度で見られることもあったが3ヶ月に1度でマット交換するのであれば大量発生に至る前に交換できた。線虫も確率はそれほど高くないが見られた。
保管温度によっては幼虫を入れずに放置した際に白カビのようなものが生えることがあった。真菌類がマットの発酵に関与していそうだ。しいたけのような臭いもすることがある。
初令〜3令のどのステージでも食の進みが良く、発酵が浅いマットと比べても思ったほどは栄養が貧弱な印象はなく、しっかり大きくなってくれる印象があり使い勝手が良く感じた。
TENRYUアルプスマットはすべて冷凍処理を行って使用した。未冷凍での使用は行っていないのでそのレポートはできない。
商品到着時には商品説明にある通り嫌気状態になっている。空気穴は付与されていない。開封すると嫌気発酵臭がするが、糞臭ではなくアルコール発酵のようなポジティブに言えば芳醇系の臭いなのでガス抜きはそれほど苦痛ではなかったが、室内に保管してのガス抜きはやや厳しいと思った。
空気穴が付与されているきのこマットと比べるとやはりガス抜き期間中の発酵臭は短期間では抜けず、途中で発酵熱もしっかり出る印象。自分は完全に安心して使えるまで夏季では1週間、暑くない季節では2週間程度の攪拌が必要だと感じた。実際はもう少し短くても使えるのだろうが、しっかり馴染んだ状態というのには2週間くらいを要する印象。
ガス抜きは商品到着時に段ボールの中の大袋にマットが詰められている状態なので、「袋を開ける→水分量を見て必要に応じて加水する→攪拌する→空気をある程度入れて大袋が若干膨らんだ状態で袋の口をねじって封をする」という動作をするとマットの移し替えをせずに雑虫の侵入を極力防ぎながらガス抜きができて具合が良かった。

開封前

開封

加水と攪拌

袋内に空気をしっかり入れて、雑虫侵入対策に入り口を再度封をする。
マットを到着時の段ボール内でガス抜きをする場合、最初は底の方のマットは攪拌用のスコップが届かず、うまく攪拌することができない。そのため上から半分程度しかガス抜きできないが、消費していく内に深い位置にあるマットも攪拌できるようになるので問題はなかった。むしろ直近で使用しない底部のマットの無駄な劣化を防げたので、底部のマットの攪拌が最初は届かない現象が逆に都合が良かった。
寒い時期に仕込んだと思われるマットは冷凍処理と侵入対策をすれば3ヶ月に一度の交換なら雑虫の大量発生は回避できることが多いようだ。
白くて小さめのダニが高確率で飼育容器内で1ヶ月弱以降から見られるようになり、それなりに増殖はするが3ヶ月程度でマット全交換するのであれば大量発生までには至らずに済む印象。
1.5ヶ月程度でトビムシもそれなりの確率で見かけるようになるが、こちらはそれほど心配なレベルではない。ダニが先に増えるためダニの捕食対象とされることもありライフサイクルが短くもないので、トビムシはあまり勢力の伸ばさない。
線虫は低確率ながら確認された。増えるようなら交換だが、確認できたのが2ヶ月経過後であったため3ヶ月弱は持たせることができた。
最初に注文したマットは印象としては良かったので夏季に再注文したのだが、おそらく春季〜夏季に発酵を行っているせいか、大きめのダニが大量発生してしまい、また発酵臭が落ち着くまで時間がかかったり、幼虫が上に出てきやすかったりと一転して扱いづらい印象を受けた。
このマットはダニにとっても好物で増殖するのに適した食材であることは間違いないと思われるので処理方法や使用期間や許容閾値に応じてある程度は覚悟すべきだろう。
実績はネットに上がっている報告はそれほど多くはないが、添加に強く発酵が浅いマットを好む種であれば良く食べてくれる印象。ヘラクレス、ゾウカブト、ニジイロ、ノコギリ辺りは検証することができた。基本的にはきのこマットでなじむ種は同じ感覚で使えるのではと感じている。
自宅での使用感は上記のような印象だったため、現在では完熟マットとアルプスマットを併用している。個人的に具合良く感じたのは底に3〜4割程度完熟マットを入れ、幼虫を引越しさせてから、その上にアルプスマットを6〜7割入れる方法である。
引越ししたばかりの幼虫はまだ割り出し直後の場合は若齢であったり、アルプスマットが完全に馴染んでいなかったり、幼虫が引越し直後で環境の変化に適応できていなかったりする。
引越し直後は大抵は食べやすい完熟マットを優先して食べる(底にあるマットを優先して食べているだけかもしれないが)。ある程度幼虫が大きくなって環境にも馴染んできた時期に追熟して食べやすくなったアルプスマットの方もしっかり食べてくれる。
よく古いマットやフンを混ぜておくと交換後も幼虫がなじみやすいと言われるが、ダニやトビムシが増え始めているマットを引越しすることになりかねない。マット交換後に雑虫が指数関数的に大量発生するリスクがあるのを無視できなかったので、よほど雑虫を完封できている自信がある時以外は古いマットの混入は行っていない。
ヘラクレス♂やゾウカブト♂のように3ヶ月経過もたずにマットが激減する種類は浮いてきた糞を捨てて上にマットを継ぎ足すことでそもそも全交換せずに済むようにしている。
完熟マットとアルプスマットの組み合わせで使用してもその2種類であれば雑虫が大量発生するというのは現時点では見られず、幼虫もよく食べてくれるので育てる種類にもよるが当面はこれを自分のメインマットとして使用していくつもりである。
長期的な使用レポートができればまた書きたい。1年を通じて使用する場合には今以上の内容が書けるとは思うので。
ヤフオクでBIGマットなど同系統のマットが他の業者からも出ているようなのでそれもいつか試してみたい。