樹木の木質部分は他の生物と違って体を構成する要素にほとんどタンパク質を必要としていない。木質の構成要素の大半を占めるリグニン、セルロース、ヘミセルロースすべてが基本的には多糖類であり窒素分は含まれないので、木質中のタンパク質成分は微量である。

対照的に光合成を担う葉緑体にはタンパク質が豊富に含まれており、樹木の中ではタンパク質が豊富な部分と言える。また果実や種子にもタンパク質が含まれる。
落葉する際には葉緑体はある程度は回収されるようだが、落葉広葉樹の群生している地域の地中には植物のパーツの中でタンパク質が比較的豊富な遺骸が蓄積している。土中には窒素固定菌も存在する。樹木以外の動植物の遺骸も蓄積する。
生物の遺骸が重力で落ちて沈んでいくことと、空気中から窒素を固定する菌が地中にいることから、地中で生活する幼虫は窒素化合物を手に入れることは極端に困難ではないように思える。
カブトムシの幼虫が特に多い木の根元の腐葉土はなおさらである。木には多くの生物が集まり死んでいくためその遺骸は根元に集中する。木の根の周囲の土壌には共生関係にある土壌細菌が特に豊富に存在する。
逆説的に言えば人工的に落ち葉だけを集めて地上に積み上げて作った腐葉土が、カブトムシ幼虫にとって自然に形成された腐葉土と比較してそれほど有効なマットにならないことも示唆される。結果的に有効な場合があったとしても腐葉土ができるまでの期間を早めるために加える添加物がその足りない要素を補っているのかもしれない。

腐朽材を食べる幼虫にしても、土中に埋まっている腐朽材を食べるいわゆる根食い虫なら土中の窒素の循環の恩恵を受けることができるかもしれないし、腐朽が進んでボロボロになっている材中に地虫がいたとしても、そこは分解に次ぐ分解で糖質以外の栄養が凝縮されているし、外界や土中との交通がある程度存在するのでそこまで違和感はない。

逆にそうした土壌との接触がない立ち枯れの木が白色腐朽菌に侵食されただけの状態だと窒素も少なく、外界との交通もほとんどなく、分解による栄養の濃縮も進んでいない。この状態の材を利用して成長する特定のクワガタ属はかなり窒素だけが極端に貧弱な環境に特化して適応をしたのだろうと思われる。

ただここで気になってくるのは、そうした白色腐朽材を食べて生活している訳ではないカブト幼虫に材由来で作った発酵マットを使うことである。
生オガ発酵マットにしても廃ホダマットにしても廃菌床マットにしても元の材の栄養はかなり偏っている。廃ホダや廃菌床は白色腐朽菌に腐朽させているがそれで栄養価はそこまで改善されない。白色腐朽菌を回した後に好気性菌に分解させるにしても、自然で腐朽するよりも期間が大幅に短く、自然の循環からはある程度隔絶された環境で処理されるのだから外界からの窒素源の流入を期待すべくもないし、好気的環境なので窒素固定菌の活躍も期待できない。

結局のところ、添加物という名の植物の中で窒素分の最も凝縮された部位の遺骸(種子の胚芽や表皮)を添加することで自然分解で得られるはずだった窒素分を補償することがカブト幼虫を大きくさせるための足りないピースを埋め合わせる要素なのではないか?添加剤は発酵を促進させ完成を短期間化するためだけのものではなさそうだ(廃菌床マットは菌床の時点で添加剤が入っているので追加の添加剤が栄養的に必要なのかはなんとも言えないが)。
食性が腐朽材に特化したクワガタとてタンパク質が豊富に摂取できるに超したことはないので添加剤による恩恵は菌糸瓶にも言えることかもしれない。

食性がそれに適合する種ならまだしも「無添加のオガや廃ホガのカブトマット」は食性の広い大型種に果たして最適なのか?コストの高い基材で時間をかけて発酵させた言わば「素材を活かした高級料理」だが、あまり適合した選択肢とは思えない。収量を稼ぐために植物性タンパク質を添加した菌床を使い終えたものにさらにタンパク質を添加して短期間で効率的に細菌分解をさせて作った廃菌床マットはさながら「生産性重視のジャンクフード」だが、そちらの方が幼虫にとって必要なものなのかもしれない。
そのジャンクフードはこの理屈で言うとベターなものなのかもしれないがベストではないのかもしれないし、無難なものかもしれないがもっと他に扱いが難しい代わりにより大きなリターンを狙える選択肢があるのかもしれない。そのあたりに何か他の手があるといいのだが。

国産カブトムシの野生での発生時期は樹液が出る時期から考えると後半の方で、しばらくすると樹液は得られにくくなってしまう。野生下ではおおよそ1ヶ月しか寿命がなくドルクス族と比較すると短命と言える。

ここまで発生が遅く、樹液を得るギリギリの時期で短命に生きるのは、前回の外来大型カブクワ放虫が定着しないことに関しての考察でも行ったが、大型になると前蛹〜後食開始までが時間がかかりすぎるので、春になってから前蛹になって樹液が得られる時期に後食開始できる大きさとしてほぼ最大限を実現したのが今の国産カブトムシではないかと思われる。

そもそもカブクワは世界でみても成虫寿命が千差万別であることが興味深い。体の大きさや幼虫期間や生息地域の温度などとあまり相関していない。クワガタの方が寿命が長い傾向はあるが、短いクワガタもいるし、比較的長く生きるカブトムシ属もいる。

そのあたりの寿命の長短は何が決定づけているのかに思いを馳せてみるのも面白いのかもしれない。

 

①個体数の多さ

基本的に成虫は次世代を残すために特化した生態をしている。寿命が長ければその分だけチャンスがあるのかもしれないが、寿命が短くても次世代を残す機会が十分にあれば支障がないということになる。セミやカゲロウなどはまさにその典型ではある。オスが樹液などの餌場に行って闘争に勝利できればメスと高確率で交尾できるというのであれば、寿命は短くても構わないと言える。だがそれは普通種として産地に同種が多く存在しなければ成立しない理論で、個体数が少なければ餌場の闘争に勝利しても、運が悪ければ異性と出会えないこともある。この場合は試行回数を稼がねばならず、試行回数を稼ぐには長い寿命が必要になる。

国産カブトムシがオオクワガタ並の個体数の少なさだとするとどうなるだろうか。樹液場に行って椅子取り競争に勝ってもメスと出会える可能性はそれほど高くないのでは種の繁栄は難しいだろう。個体数が多いからこそ出会いの頻度が担保され寿命が短くても成虫としての役割を果たすのに支障がないということになる。それであれば成虫寿命の短命化と引き換えに他の性能を伸ばす進化をする方が合理的なのだろう。

これは成虫寿命が短いレックスゾウカブトでも言えることだろう。レックスは南米熱帯雨林の低地では普通種とされている。幼虫時代を長く取って栄養を蓄えているので成虫の長寿命化に振り分ける進化が不可能とは思えない。だがその必要がなかった。昆虫として最も大きい躯体を生かして餌場に居残り続けることができれば高確率で短期間に異性と出会えて次世代を残せる。個体数の多さゆえに異性と出会うチャンスに試行回数を使わなくていいということなのだろう。

逆にヘラクレスは原産地でもあまり個体数が多くないということである。いくら餌場での格闘に強くても異性と出会えるチャンスが少ないのであれば寿命を長くして、異性に出会うための試行回数を稼ぐことにスペックを振り分けなければならないのではないか。ただ格闘が強くて寿命も長ければ文句なしで種が繁栄して結果的に個体数が増えそうな気がするが実際はそうではない。そのあたりは別の要因が絡んでくるのだろう。

 

②活動時期の集中化

個体数が多ければ寿命は長くなくてもいいという理論の延長線上ではあるが、寿命が短いのに発生する時期が分散してしまうと結局は異性と出会える機会も分散してしまう。だから温度の上昇など皆が得られる情報を契機に一斉に幼虫は蛹室を作り始め、同じ時期に一斉に発生する。そうすることで異性と出会う機会を増やし寿命を伸ばす必要性をなくしている。

つまり季節に限定して発生が集中する昆虫は寿命が短い傾向があり、雌雄の羽化ズレも起こりにくいと言えるのではないだろうか。

羽化ズレを起こすのは熱帯雨林で年中発生する種であったり、四季のある地域の虫でも寿命が長かったり、羽化後の休眠期間が長く羽化ズレを後から調整できる種である場合が多いのではないだろうか。

 

③捕食圧

もし寿命が長かったとしても、捕食されてしまうリスクが高ければ高寿命を活かせる確率は低くなり、その前に捕食される確率が高くなってしまう。

クワガタ属は概してカブトムシと比べて木の隙間に隠れて大型捕食動物から逃れる能力が高い。その代償として薄型ゆえに軽量となってしまい、単純な格闘性能では不利になってしまうことも多い。逆にカブトムシは逃げ場が少ないため、鳥類や哺乳類からの捕食圧が高くなってしまっている。その分だけ夜の樹液場争奪戦での有利さに能力を重点的に分配している。そういう性質だからこそ国産カブトムシは寿命が長いことの恩恵が少ないのではないだろうか。

ミヤマクワガタはクワガタ属としては厚みがあるが、耳状突起を極端に進化させて挟む力の強化を行なっているように格闘性能に重点的に割り振っており発生後の寿命が短い。温暖化になる前は高山帯では個体数が多かったという。厚みがある分だけ隠れるには不利なので低寿命で高格闘性能、高個体数という国産カブトムシと似たような戦略をとっているように思える。

 

④活動量の多さ

オオクワガタなど長寿の種はあまり動かずじっとしていることが多いし、国産カブトムシなどの短命な種はせわしなく動いている印象が強い。成虫になってからの活動量が多い種ほど短命というのはあるだろう。なぜ活動量が高い種と低い種がいるかというのは先に述べたことともある程度重複するが、異性とであうチャンスの多さや捕食から逃れる技量の高さ、活発に樹液場に出向いて居残れる確率などにも絡んでくるのだろう。結果的に積極的に活動した方が有利な種は寿命を犠牲にして動いた方が得だから動くし、消極的な方が有利な種はあまり動かずに長く生きてチャンスを待つという戦略になるのだろう。

 

⑤餌の取得可能期間

国産カブトムシの発生が大きさ故に比較的遅めというのは先に述べたが、発生して1ヶ月もすると秋が見えてきて基本的に樹液が出る場所は少なくなってしまう。それが故に寿命が長かったとしても餌となる樹液がなくて生きられない。発生時期の餌の状況から考えて長く生きられるはずがないのに長寿命がプログラムされているはずがないということにはなる。早い時期に発生して樹液の出る期間を満喫できるコクワガタやノコギリクワガタに比べて国産カブトムシが寿命が短めなのも当然ではある。

国産カブトだけで考えるのならこれが決定的要因と言えるのだが、世界の種でみるとレックスやコーカサスなどの常夏の地域のカブトムシも寿命が短いのだから、カブトムシ属が寿命が短めなのは①〜④の原因の方がメインなのだろう。

国産カブトムシがより大きく進化するのには国産クワガタの多くが可能であるような、幼虫期間を長くして夏の後半〜秋に羽化してそのまま蛹室で越冬して次の初夏に発生するという戦略が必要になるのであろう。

クワガタ属ができるのにカブトムシ属にこれができないのはなぜだろうか?長期的に見ればに越冬できる種に分岐進化する最中なのか、体を大きくしたり早い時期に発生できるというメリットよりもデメリットの方が大きいため越冬しない種が残っているだけなのか、国産クワガタ属の中でも大きめの種は発生前に越冬することを選び、それよりも大きい国産カブトムシは越冬しない戦略に選択が分かれた原因は何なのか。

コーカサスオオカブトムシの日本本土産カブトムシに対する生態リスク評価

を読んで、放虫問題を少し自分でも考えてみた。

外国産昆虫の放虫は許容されるべきではないというのは大前提だが、そもそもこれだけ大量に国内にカブクワが輸入され繁殖されている。あまり知識の少ない人も育てているし、飼育ケースから脱出する能力が非常に高い昆虫である。意図的であれ過失であれ今までに外国産昆虫は野に放たれている。

だが、それにも関わらず外来種問題は推定される脱走の数の割に大きな問題になっていないように思える。

どうして日本で飼育種として大量に飼育されている外国産カブクワが日本の野外で定着しないのか、外国産のようなカブトムシ、クワガタが生息していないのかを考えてみる。

そもそも人気種は東南アジアや南アメリカなどの常夏の熱帯地域に多いため冬越しができないと生息できないというのは挙げられる。

ただ地中2mより深くまで潜れば種類によってはギリギリ生存な温度ではあるようにも思える。

引用:

 

国産種よりも小さい外来種はより国内環境に適した国産種との競合に勝てないからだとして、国産種よりも大型で単純な格闘性能で国産種よりも強い種のケースにおいて、幼虫時代の冬も深い地下に潜ってやりすごせばギリギリなんとかなりそうななりそうな種(ネプチューンなど)でも定着しないのはなぜだろうか?
大型種の場合は蛹室作成から前蛹で1か月、蛹で2ヶ月、後食に2ヶ月程度はかかる。ある程度温かくならないと前蛹にならないし羽化もできないので少なくとも4月に入らないと蛹室は作らないだろう。だが大型の場合は4月に蛹室作成しても後食開始し地上に発生するのは9月以降になってしまう。この時期はまだ温度は高いにしても樹液は出なくなっているので餌不足になってしまうのではないか。樹液の噴出は木に穴を開ける昆虫の発生時期にリンクし、時間の経過とともに治癒機構により噴出部は塞がってしまう。そして木が秋の気配を悟ると根に栄養を移してしまうのでなおさら樹液が出づらい。
このあたりが放虫された大型カブクワが日本に定着しない決定的要因になるのではないだろうか?そして現在のヤマトカブトムシよりも大きな種が日本で進化して出現しなかった理由とも考えられる。
クワガタの場合は秋に羽化した場合には越冬してから活動開始することにより、暖かくなってから蛹室を作り始めると羽化した時には樹液が間に合わなくなるという制約を回避できるので、在来よりも大きいヒラタやオオクワなどの外来種、混血種が定着しない決定的理由にはならない。他の原因があるのかもしれないし、今後出てくるのかもしれない。
また秋に実をつけるような果樹を栽培している果樹園のある地域では大型カブクワの発生が可能となる余地があるのかもしれない。
 
また熱帯雨林の土壌はラトソルで分解が早く、土壌成分が基本的には少ない。秋に落葉することもない。腐植を大量に摂取するカブクワの幼虫に十分な餌があるとは思えない。向こうの野生カブクワ幼虫はやはり大半は巨木の枯れ木で生活しているのだろうか。もしくは部分的に腐植が多く積もった土壌部分にのみ存在するのだろうか。産卵場所の選定行動で現地と勝手が異なるというのもあるのかもしれない。
また南米種の場合、南米地域にはモグラがいないと言われている。モグラへの気配を消すなどの対抗手段がないなどがあるのかもしれない。

腐植を摂取して成長する昆虫にとってより良い腐植の状態はどんなものなのだろうと考えてみる。

まず一般的に言われていることとして、種によって最適なもの異なるという話はあり、それは事実である。クワガタ類の多くは白色不朽材を食べさせることで大きくなりやすく、カブトムシ類はより分解された腐植でより大きくなる。

だが月夜野きのこ園でヘラクレスの幼虫を菌糸ブロックで飼育する実験を行っている記録がネットに存在するが、幼虫は82gまで成長している。ヘラクレスとしては取り立てて大きなサイズではないが、クワガタの幼虫とは一線を画すサイズと言える。少なくともヘラクレスの幼虫は専門外とはいえ、白色腐朽材を専門にするクワガタの幼虫よりも白色腐朽材から栄養の総量をより多く摂取できたということになる。

ではマットも菌糸も食べられるクワガタがなぜ菌糸で大きくなるのか、マットも菌糸も食べられるカブトムシがなぜマットで大きくなるのか、マットも菌糸もどちらの方が栄養を摂取しやすいのか、どのような菌糸やマットだと成長しやすいのかという疑問が残る。

そしてマットも菌糸も摂取できる昆虫がなぜ、どちらにしか産まないのだろうかという疑問もある。

そもそも腐食を摂取する昆虫にとって栄養が豊富なエサというのがそもそもどのようなものかがイマイチ釈然としない。

そのあたりの考察のために以下の論文を読んだ。

 

腐朽材の特性がクワガタムシ類の資源利用パターンと適応度に与える影響)
荒谷邦雄
九州大学大学院比較社会文化研究院

(2002) 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/52/1/52_KJ00001776813/_pdf/-char/ja

 

気になる部分を所々抜粋

・オニクワガタにとっては褐色腐朽材は利用はできても決して望ましい資源ではないらしいことも示唆された.しかし,最適採餌戦略の観点からすれば,なぜオニクワガタがより好ましいはずの白色腐朽材専門食になってしまわないのか疑問が残る.この点に関しては褐色腐朽材にも餌資源として優れた点がある可能性もあるが,先の木材の腐朽型とクワガタムシ科幼虫の発生に関する野外調査の結果から示唆されたように,腐朽材資源の量的な不足が食性の幅に関係している可能 性が高い 

 

・コクワガタの幼虫が食痕トンネル中で自分の糞と噛み砕いた木片を混ぜて発酵させ,それを再摂食することが報告されており(小島1996など),これが窒素のリサイクルである可
能性がある.これを確認するために,材中に掘られたコクワガタ幼虫の食痕トンネルに充填されていた糞混じりの木屑も採取し分析に加えた.コクワガタ幼虫の食痕トンネル中の木屑は周辺の材部と比べて,炭素含有量は減少している反面、窒素含有量は高くなっており,C/N 値も低かったコクワガタの幼虫が食痕トンネル中で木屑と糞を混ぜ合わせて窒素のリサイクルに努めていることも示唆された.

 

・ノコ ギリクワガタやヒラタクワガタの幼虫などでも同様の糞の再摂食行動が報告されており (小 島 1996;荒谷 1994),こうした食痕トンネルを使った窒素のリサイクル機構はクワガタムシの間で広く行われている可能性が高い

 

・ヤエヤママルバネクワガタ幼虫の場合,まず腐植物がたまった木洞の壁部分は,窒素含有量がかなり高くC/N値も低いことから,褐色腐朽のまさに最終段階の状態にあるものと判断された.さらに驚くべきことに,木洞中の腐植物の窒素含量はキノコシロアリの菌嚢(MATsuMoTo 1976)のそれに匹敵するほど高かった.そのC/N値は腐朽材と土壌C/N値の間に位置 した.これらを総合すると,ヤエヤママルバネクワガタの幼虫が生息する木洞内の泥状の腐植物は腐朽材が土壌に分解される過程の最終段階であり,木材起源の餌資源 としては最もよい栄養状態にあるとみなすことができる,お そらくこうした木洞内の腐植物の生成にはシロアリやオオゴキブリなどの食材性昆虫やミミズなどの腐食性の小動物の関与を経て,長い年月をかけて徐々に木材成分が分解・変成作用を受けて生成されるものと推定される.いずれにせよ,これらのクワガタはより高い窒素含有量を求めてシロアリ巣中や木洞内などの腐朽材起源の腐植物を餌とするようになったことが強く示唆される

 

・コクワガタ幼虫においても,細胞壁構成多糖類のうち,木材腐朽菌の働きによって低分子化されたものを消化・吸収している程度で,結晶性のセルロースは利用できないことが顕微鏡観察によって示唆された

 

・コクワガタはキシロ一スを消化利用するがツヤハダクワガタは全く利用しないことが示峻された,野外ではツヤハダクワガタが針葉樹の腐朽材から多く発見される.キシロースは広葉樹の細胞壁に多量に含まれ,キシロースの残存量からみればツヤハダクワガタの幼虫が利用する広葉樹の褐色腐朽材は成分的には針葉樹に近い状態になっているとみなすことができる.このことから,白色腐朽材中のキシロ一スがツヤハダクワガタの成長阻害物質である可能性が示唆され,非常に興味深い.

 

・コクワガタの幼虫の炭素分の消化吸収率は平均5.2%,窒素分の消化吸収率は平均23.1%であった.コクワガタの幼虫が利用している炭素分は腐朽菌によって低分子化された糖類のみであり,幼虫は炭素分よりも積極的に窒素分の消化吸収に努めていることが示唆される.

・クワガタムシ幼虫の消化管内に存在する多数のバクテリアは細胞壁成分の分解・消化よりもむしろ窒素分確保のために働いている可能性が高い.食痕トンネルの利用によってさらに効率のよい消化・吸収が行われていることも予想される.一方,ツヤハダクワガタの幼虫は消化・利用能力がオニクワガタやコクワガタより劣っていることがここでも示された.

 

・ツヤハダクワガタは資源としてより好ましい白色腐朽材を 利用できないので仕方なく褐色腐朽材を利用していることが強く示唆される.

 

この論文や既知のネット情報からのポイントや自分が思ったこと

①コクワガタは白色不朽菌が分解したグルコース、キシロースの摂取を行う。

②コクワ、ノコギリ、ヒラタなどではトンネル形成した壁に糞と木片が混合されており、その部分は普通の腐食部よりも窒素成分が多く含まれ、それらの種は糞の再摂食が報告されている。これを考慮すると種によって菌糸で育てる場合に交換頻度を調節する必要があるのかもしれない。種によっては窒素がより必要な三令後半ではあえて菌糸の食いカスになってからも一定期間置くなどが正当化されるのかもしれない。

③木洞の腐食が溜まった部分は窒素成分が多く腐食性昆虫にとって自然界の中でも特に栄養条件が良い部分と言えるらしい。これはオオクワガタやテナガコガネなどの地域のトップレベルの大きさの甲虫がウロを棲家としている理由として納得ができる。ウロの腐食が栄養満点だからそこに住む大型種に必要な栄養を供給できるということなのか、ウロの腐食は非常に局所的な資源のため大型種が1匹居座ると他の小型種が使える余地がないだけなのかはわからないが。

④キシロースの分解能の有無が食性をかなり左右する要素と思われる。以前紹介した「カブトムシ幼虫の腸内環境と微生物の相互作用」の論文ではカブトムシ亜科にはキシラナーゼを持たないが腸管微生物がキシロースを分解するようではあり、間接的に利用できるくらいのようだ。カブトムシはキシロースが残存している白色腐朽材は食性としてメインではないということなのではないか。

⑤菌糸の食べカスでカブトムシがよく育つというのは食べカスにはタンパク質が多くなっていることなどから科学的にも肯定的な事象と言えるようだ。もしかしたら菌糸ビンを早めに交換することでクワガタ達が「後で熟成させて再度食べようと思っていた部分」を採取することができ、カブトムシの成長に有益な結果をもたらすのかもしれない。

⑥腐植は分解を重ねることにより徐々に窒素分が多くなっていくというのが一般的な事実のようだ。ただ一般的な発酵マットは作成が自然分解に比べて短時間であり、窒素固定菌が活性化する環境ではない。急速に温度を上げて発酵させるとアンモニアの発生などで窒素分が揮発してしまうおそれもある。フスマなどの添加物でタンパク質を人為的に増やしているがそれが適正な量なのか、吸収しやすい状態なのかは疑問が残る。時間をかけて低温で分解されたマットというのは商業的には厳しいとしても自作でできる余地があるのではないかと思われる。シロアリやオオゴキブリに分解させるのは無理があるにしてもクワガタの幼虫を発酵マット作成係として最大限利用する手段を模索しても良いのかもしれない。

 

以上から

白色腐朽材で育つクワガタの幼虫は、

・キシロースの分解能

・多少の硬さが残った材木も砕ける力強い顎

・糞と粉砕した朽木を混ぜ合わせた坑道を作りそれを再摂食することで窒素分を摂取する行動

という白色腐朽材内で育つのに最適化された特性を持つことで朽木の中で効率的に成長できると考えられる。

より分解の進んだマットでは菌糸よりも大きくならないケースが多いのはマットに体質が最適化されていないことや糞とマットを混ぜ合わせる行動の効果があまり発揮されないことにあるのかもしれない。

白色腐朽材の中では外敵となりうる存在の多くが排除されており、安全性も高く、より分解された腐植を好む昆虫との競合を回避しつつ、モグラなどの襲撃も回避できる。という戦略と考えられる。逆にトンネルを意図的に作成するという行動がモグラなどの捕食者にとって獲物を容易に発見する結果に働いてしまうため、腐葉土に産むような行動をするクワガタが過去に多くいたとしても現在までにほとんど生き残れなかったのだろう。

大半のクワガタの幼虫は白色腐朽材内での成長に特化する進化戦略を行ったから菌糸ビンで大きく育つのであって、必ずしも菌糸ビンがすべての腐食摂取を行う昆虫にとって栄養的に全面的に優れているとは言い切れない。

 

逆にカブトムシの幼虫はより白色腐朽材よりもさらに分解の進んだ土状になった腐植に最適化している。クワガタ幼虫とは分解できる成分に思ったほどは差はないように思える。だがカブトムシの幼虫は柔らかい腐植を大量に摂取し、短時間でそこから栄養を大量に回収できるため、一般的にはクワガタの幼虫よりも多く体重を増やすことができる。

カブトムシ幼虫は一回の消化管通過で栄養を取り切る戦略なので、材の分解があまり進んでいない菌糸で飼育すると硬くて食べづらく、消化効率も悪いのでマットよりも栄養の摂取効率が低いのではないか。

 

クワガタムシ類は大枠としてニッチの分野で繁栄する戦略を取って繁栄しているフシがあるように思える。

原始的なクワガタは資源量も少なく、腐朽前は防虫成分が含まれており、リグニンが残っているため、競合相手が少ない針葉樹の枯れ木を原始クワガタは拠点とした。

その上で、キシロースの分解能を獲得する進化を遂げた種が、より資源量が多い広葉樹の白色腐朽材をエサにするようになり、多種化大型化して繁栄している。

白色腐朽材の中で生活するには、

・材を齧って進めるだけの強い顎

・白色腐朽菌糸をそのまま栄養に変換できるキシロース分解

・一度に消化吸収するのが困難なため糞と粉砕した材を混ぜ合わせて再摂食する行動プログラム

・腐朽材に硬さが残っているために材内の移動にコストが多くなりがちだが、それを低減するためのトンネル作成と細長い幼虫の体。

・菌糸に強い抵抗力を持つ免疫機能

が必要となる。腐朽材内のライバルはカミキリムシ幼虫やシロアリなどであり、それらよりも一般的に巨大であるクワガタムシ幼虫は優位に立てる。

逆に腐朽材内での生活に特化しているため、仮に卵を土に産んで土を食べて成長できるとしても土の中では優位に立てないので、現在は土に産むクワガタはあまり残っていないということなのだろうと思う。

クワガタ幼虫は大きさが強さが直結する自然界で土の中で競合するカブトムシ幼虫より成長ペースが遅いため不利になる。土中は腐朽材内のように木の皮や材で守られていないので、モグラなどの捕食者が縦横無尽に探し回り襲われるリスクがある。トンネルを掘る性質は捕食者に目印となってしまう。強い顎も発揮できない。

クワガタムシは同じエリアでもコクワガタ、ノコギリクワガタなど別の種が共存することは当然のように存在するが、ニッチを取りに行く戦略がゆえに共存が難しくないのだと思われる。

 

逆にカブトムシ類は南極のオキアミをエサにして育つクジラのような戦略に思える。

腐食に担子菌類が取り付き、リグニンとセルロースが分解された後に、リグニンとセルロースが少なくなり、分解された糖分が多くなると、他の細菌が優位になり、担子菌類の勢いもある程度落ちたような土状の腐食の中に住み、腐食ごと細菌を大量に摂食する。

ものすごいペースで摂食し、糞を再利用しなくても済むほど消化吸収力に優れ、飼育すると成長期にはマットも短期間でみるみる減っていく。

土の中にいる幼虫としてもどの種類の幼虫よりも大きくなれるし、大きくなるペースが早いので、土の中の資源の取り合いで優位に立つことができる。

広葉樹の腐食の積もった土の中という柔らかく、境界のない広い場所で同じような性質の環境が広々と続くエリアでは、より大きくなれる種が有利となり、それ以外はなかなか生き残る道を見出しづらいのではないか。カブトムシ類は基本的にその地域ごとに1〜2種類しかいない場合が多く、クワガタのように多種が同一エリアで共存しづらい傾向を感じる。カブトムシが地域単位では種類が少ないことと、土中で育つクワガタが少ない理由はそのあたりにあるのかもしれない。

雑木林の樹液に大量にいるカナブンですら土中で生活せず、クズの葉の下というニッチに追いやられていることからしても、雑木林の土中の地虫の縄張り争いというのは相当厳しい世界なのかもしれない。

カブトムシ幼虫自体が肉食でもなければ攻撃的でもなく、多種多様が繁栄するスペースが足らなくなるほどカブトムシ類幼虫の個体数が多いとは思えないので、一定サイズ未満の地虫は他の土中生活者の捕食圧がかかるのかもしれない。

少し前の記事で紹介した2400ml角大のタッパー(238×138×117mm)が我が家のヘラクレスとゾウカブトの幼虫飼育のメイン容器に定着していた。

 

 

理由としてはサイズとして十分大きいこと。
ヘラクレスもゾウカブトも成長期には大きなフンがハイペースでマットの表面に溜まっていくので、表面のフンを取り除いてマットを足すという作業がやり易いこと。
ボトルだとフタ部にくびれがあるのでフンの除去が難しい。マット交換にせざるを得ないが、成長期は勢い良くマットが減るので3ヶ月もマットは持たない。交換でストレスかける頻度が高くなってしまう。
細長い長方形なので万が一蛹室作り始めても寸法的には許容範囲内であることだ。

調べてみるとQBOX20と内寸が結構近いようだ。このタッパー自体はメジャーではないかもしれないが実績のある寸法ということになる。


ただ困ったことにこの商品が欠品になったままだったので調べてみたら販売終了になっていた。そして後継商品は価格が大幅に上がったうえで抗菌剤入りということである。
発酵マットの担子菌類を保全させたいのに抗菌剤はデメリットにしかならない。

 

なので2400mlタッパーの新規購入ができない前提で運用を考えなければならない。

まずゾウカブトの幼虫は今のところ生産終了となっていない110円で購入できる砂糖の1900mlタッパー(172×135×116mm)を用いるのが良さそうだ。細長さはそこまでではないが他は2400mlタッパーと遜色ない。

 

 

実測したが1900mlの水を入れるとタッパー満杯になった。最大限に詰め込んで1900mlの容器ということになる。

ゾウカブト幼虫の飼育容器運用として体重90gまでは公称1350ml実測1550mlの味噌タッパーで飼育し、90〜130gは砂糖タッパーで飼育し、それより大きくなったらメガフードコンテナや3.1Lのブロー容器で飼育するのが良さそうに思える。

 

ヘラクレスの幼虫の場合、1900ml砂糖タッパーは使えるケースが限定されるかもしれない。早期蛹化されると寸法的に厳しいので孵化後9ヶ月以降は使用を控えた方がいい。またゾウカブトよりも激しく動くので同じくらいの体重の幼虫でも一回り大きな容器の方がいいからだ。

孵化後9ヶ月以内で70〜100gくらいの時期には砂糖タッパーはちょうどいいのかもしれない。結構限定的な感じだ。それより小さいなら味噌タッパーでいいし、メスはずっと味噌でいい。

90g以上もしくは孵化9ヶ月後以降は2400mlタッパーの家にあるものを使うか、メガフードコンテナを使うか高額なタッパーを用いるしか選択肢が残っていない。

 

パン容器の110円タッパーがあれば一番いいのだが、2400mlも次善の策として具合が良かった。

これもなくなるとなかなか選択肢が厳しくなる。メガフードは中盤では個人的に大きすぎると感じる場合が多いし、砂糖タッパーはヘラクレスには小さすぎる。

少し値が貼るとしても食パン保存容器やQBOXを買い揃えるのがいい気はしてきている。

ちょっと発酵マットについて調べ物をしていたときに紹介されていた「カブトムシ幼虫の腸内環境と微生物の相互作用」という論文を読んで気になる部分とその内容から幼虫期間の長い外国産カブトムシ幼虫へ応用するための仮説を考えたのでここに考えをまとめてみる。

 

国産カブトムシは孵化後3ヶ月程度で急激に大きくなり、その後はマットを食べるにも関わらず大きくならない期間を経て羽化するケースもある。

その期間に炭素/窒素の比率で炭素が多く窒素が少ない発酵マットを用いた幼虫は体重が減少し、炭素が少なく窒素が多い幼虫は体重が増加した。

 

外国産カブトの幼虫も三令に脱皮して数ヶ月で急激に体重が増加する。その後体重増加が鈍化してだんだん黄色っぽい体色になってくる。国産カブトの実験結果が応用できそうな気はする。

 

三令幼虫初期は幼虫→幼虫としての脱皮をすべて終えて、三令期間の間に成虫のボディを構成する栄養と、蛹化→羽化→後食までの数ヶ月もの絶食期間を乗り切るための栄養をすべて摂取しなければならない。

幼虫として最終的な脱皮を終えたヘラクレスやゾウカブトなどの三令幼虫は150gを超える体重が入ることも可能な外皮を手に入れたことになる。

幼虫も柔らかいとは言え脱皮を行う外骨格生物なので、キャパシティの限定された外皮の二令幼虫時代は大きくなれる範囲は限られている。

ここからは仮説でしかないが、だが大きな外骨格のキャパシティを手に入れ体重制限が大幅緩和された三令幼虫は最初にまず消化能力の許す限りひたすら体重を増やそうとする。

中身はどうあれ、まずはある程度の大きな体がないと外的に襲われるリスクも高いし、今後の栄養の厳選を行っていくにしても大きな体の中の大規模な消化器官があった方が効率的に行えるからというのもあるだろう。

 

種類により多少の程度の差異はあるが、基本的に発酵マットは炭素つまり糖や脂肪が多くタンパク質が不足しがちだ。

だから三令初期の体重急増時、ひたすら食べて血肉としている時期の幼虫は糖分や脂肪分が多くタンパク質は比較的少ないことが予想される。

だが成虫は硬い外骨格にタンパク質を多く必要とする。生殖にもタンパク質は必要になるだろう。マットを食べて得られた栄養をそのまま溜め込んだだけでは甲虫の成虫としての構成要素としてはタンパク質が少なすぎてバランスが悪い。

おそらく食事によって体に吸収されや糖や脂肪は幼虫時代の貯蓄が多ければ多いほど良いというわけではない、成虫にすべて引き継げるわけではないのだろう。

 

その根拠となるのがある程度大きくなった後に体重があまり増えなくなる時期が存在することだ。

この時期には幼虫の体色はだんだん黄色くなる、つまり蛹化に向けて必要な体内のタンパク質を増やしているということなのだろう。

その際に摂食により一緒に糖や脂肪も摂取できるはずなのだが、それはあまり溜め込まない。むしろタンパク質と比較して体内の糖や脂肪が過剰であれば代謝により減少させる必要がある。

だからある程度の体重まで大きくなった時期に、拒食になっている訳ではなく健康そうではあるけれども体重が増えない、むしろ若干減少してしまうというケースが見られるのではないか。

 

だからそういう時期にはC/N比が少ない、糖が少なくタンパク質が多いものを食べさせてやる必要がある。国産カブトムシの場合は論文では腐葉土を食べさせて三令終盤の体重増加を達成しているが、外国産でそのまま適応するわけにもいかないのではないか?食性がもともとメインで腐葉土を食べている訳ではないようなので。

腐葉土がこの場合良かったのは落ち葉にタンパク質が特別多いという訳ではなく糖の分解が進んでいて相対的にタンパク質が多くなっていたという理解をしている。

だから外国産カブトムシの場合はその時期に分解の進んだ完熟系の発酵マットを使うのが幼虫の体重ひいては羽化後の全長や体重の増加のために望ましいのではないか。

これは一般的に言われている幼虫の成熟が近づくにつれて完熟マットを多くした方がいいと言われることが多い傾向と合致はする。

 

そのあたりを理屈として理解して、幼虫の体重増加ペースや体色を見ながら使用するマットの種類を変えたり、完熟系を多少ブレンドしたりすると最終的に大きな成虫になってくれるのではないかと思うので今後に実践してみたいと思う。

 

結論としては、

発酵の浅いマットは高栄養と言われるが、完熟マットは糖が分解されて少なくなっている分だけ同重量あたりのタンパク質が多い。だから発酵の浅いマットは高カロリーかもしれないが、タンパク質の観点から見れば完熟の方が高栄養とも言える。

完熟マットは食性的にそれでないと合わない品種に使うのはもちろんだが、発酵が浅いマットをメインで食べる種にとっても成長のステージの後半には最適なのかもしれない。幼虫の体色や体重増加ペースを参考にマットの種類を途中からシフトすると良いのかもしれない。

おそらく冬〜春に仕込みをしたと思われるアルプスマットを春に購入して使用していた際は2週間程度の攪拌で明確に再発酵が落ち着いてくれて、雑虫もそれほど湧かない、幼虫の食いがよく、すぐ幼虫が落ち着いてくれる使いやすいマットだと思っていた。

 

ただ初夏〜夏に仕込みをしたと思われるアルプスマットを夏に購入したものはそうもいかなかった。

加水攪拌しても発酵臭がなかなか落ち着かずやがて腐敗臭になってしまい細菌の活動が過剰になりすぎてしまう、雑虫も冷凍処理をしても使用開始直後からダニの大量発生が起こる、幼虫も交換後数日は落ち着かずに上の方に出てきてしまうなどかなり使いづらい印象になってしまった。

 

製造時も周囲の季節や温度に影響されるはずなので、製造する季節によって雑虫の侵入頻度は異なるだろうし、発酵臭があるため購入後のマットは屋外管理となるが、気温が高すぎて細菌の活動が活発になりすぎるのがあるだろう。

できるだけ冬場にマットを馴染ませて冷凍保存して夏場に解凍して使うか、夏場のみ完熟マットを多少混ぜるなどの工夫が必要に感じた。

 

また、雑虫対策のためマットは基本全交換としていたが、夏場の整っていないマットで拒食される洗礼を味わったことでまた方針の転換を余儀なくされた。

ソリューションを列記してどうするか考えたが

 

①だいたいマットを食べ尽くしたら全交換

これはマットのコンディションがしっかりしてないと拒食や上に出てくるなどの有害事象が出ることがある。

 

②大きなケースで食べ尽くすまで時間がかかるようにして交換頻度を下げる

これはスペースを浪費するし、マットのトラブル時の廃棄量が増える、幼虫の影響が相対的に少なくなり雑虫の増殖に適した安定した環境を与えてしまうため大量発生リスクが増える。

 

①と②のそれぞれの問題から③の手法を採用することにした。

③雑虫が大量発生していないボトルで幼虫がマットをそれなりに食べた時期に上に溜まっている糞を除去して空きスペースに追加のマットを入れる。

 

これだとマットの全交換はしないので拒食や表層に出てくるリスクが低く、大きいボトルを使用しないので幼虫が周囲の環境を自分が都合の良いように攪乱するし、人間によって新しいマットを追加するので雑虫にとって環境が安定せず大量発生しづらい。

 

この方法が一番いいように思えている。ただしこれは大型カブトムシの飼育に限った話にはなる。糞が大きくて明確に表層に浮いてくるからこそマット交換なしで糞を抽出除去できる。

無駄に大きいボトルで幼虫を飼うとマット交換前の最後の方はマットの劣化で栄養も少なくなるし、雑虫にとって落ち着ける環境になってしまうデメリットが最近結構気になっている。

蛹化の心配がない時期であれば、若干小さめかなという容器を使うことで、幼虫の日常生活の移動で中のマットが隅々まで攪拌され、食事が進むことで表層の環境がマット主体から糞主体に短期間で環境が変わり、糞の除去と新しいマットの追加でまた短期間に環境が変化するというのを繰り返すと雑虫にとって都合が悪く増殖が抑制されやすいことが分かってきた。

 

マット交換も交換時にマットを満杯にせず少なめに入れて、少し間を置いた雑虫の活動が活発になりそうな時期に追加することで環境を安定させないなどの工夫もいいのかもしれないので試してみようと思う。

今我が家で幼虫飼育容器として活躍中の味噌ストッカーだが、容量は公称1.35L、1350mlとのことである。

 

 

ただ他の飼育容器として用いられるブロー容器と比較しても1600mlと遜色ない大きさなので、もっと入るだろ!と思っていたので独自の調査を行った。

 

計量カップで大まかに測定した200mlの水が何倍入るかというガバガバな調査である。

それによると満杯になるまで1500~1600ml程度の水が入った。やはり公称よりも多く入るようだ。

 

1350ml分の味噌を無理なく入れられますよという公称のため、ブロー容器の公称とは測定ルールが異なっているようだ。

本日スマトラヒラタの幼虫が羽化しているようだったので掘り出しをした。オークションではオスメスペアの三令幼虫ということで落札したものだが、オスがなんか怪しいと思っていた。雌雄判別の相違補償はないとのことだった。

やはりというかなんと言うか、掘り出しをしたらメスの幼虫が2匹出てきた。

 

今年はこれだけではない。ギラファの三令幼虫雌雄判別なしというものを落札したが数ヶ月前に全てメスが羽化してきた。

雌雄判別なしとされているものとオスメスペアと呼ばれているものの合計6匹すべてがメスだったことになる。確率的には低いながらもあり得るとは言え、確率だけで片付けられるのかという疑問もある。

すべて三令で落札したものなので手慣れている出品者であればオスメスの判別はある程度つくはずだからだ。

 

仮に悪意が無かったとしても比較的育ちの良いものは自分用に確保して、比較的育ちが遅いものをオークションで出品するケースが多いだろう。

そういった抽出をするとオスだと思っていた個体も実はメスだったという可能性は高くなるし、雄雌判別してない4匹だとしても成長が遅めのグループの中から無作為抽出したならばメスの確率は大きく上昇するはずだ。

 

そういったこともあるのでオークションの幼虫は雌雄の割合はだいぶ割り切った方が良いようだ。成虫も幼虫も安い種類の場合は成虫を買った方がいいようにも思えている。

ただ、羽化したギラファがすべてメスだったため、成虫のギラファ♂を急遽落札したのだが、到着初日は元気そうに見えたが翌日には元気をなくして死んでしまった。後食後の個体は成虫なりのリスクもある。

 

満足はしていないが、高額なものではなかったのでトラブルにはしていない。仕方ないとは思っているが初心者の洗礼を受けたような感覚だ。

 

 我が家の昆虫飼育は子供の教育目的で行っているので、基本的に極力お金をかけないようにしている。

おこづかいの範囲内で再現性のある飼育にするというのが1つめの理由で、より多くのお金を払って解決する前に自分で考えて工夫することで解決する習慣をつけてほしいというのが2つ目の理由。

 

 そこで有力な選択肢になるのが2025年6月時点では月夜野きのこ園のきのこマット、完熟マット、黒土マットと言える。

ふるさと納税で注文できるところが何よりの良いポイント。ふるさと納税は経費部分、つまるところ総額に対する送料部分の割合が大きな商品でお得感が強いという特徴がある。

そういう意味では発酵マットは価格が安い割に重量と嵩が大きい。普通に通販で買う場合は本体部分と比較して送料の割合が大きくなる。そのため寄付金額の半額程度の送料込み商品を入手することができる。ふるさと納税で注文するメリットは大きい。

公式通販購入金額(送料込)/ふるさと納税額の割合を計算すると

きのこマット50ℓ:3895/8000=48.6%

完熟マット50ℓ:4564/10000=45.6%

黒土マット40ℓ:3947/9000=43.8%

と比較的高還元率と言える。

 

 ふるさと納税は無限に使える訳ではないため、実際に購入するマットも必要だ。ヤフオクで販売されていて、現時点では実績が多いわけではないがコスパが良くちゃんと使えるという噂があるTENRYUアルプスマットも使用した。50ℓ1000円+送料は地域によるが1300円とすると50ℓ2300円で入手できる。

 

この中できのこマット、完熟マット、アルプスマットを使ってみたので個人的な使用感を記録してみたいと思う。

 

※注意:あくまで個人のレビューであり、母数として貧弱です。長期レビューでもありません。他の人のレビューも横断的に確認して最終的に判断してください。ロット差や保管状態、加水量、飼育温度などによりレビューと異なる結果が他の環境では出る可能性があります。また今回の記事は業者の依頼で広告目的に書いている訳ではありません。

 

きのこマット、完熟マットは開封して1週間〜数週間ガス抜きを行い、必要に応じて加水してタッパーで小分けして冷凍した。冷凍は4〜7日間一般的な冷凍庫で保存した。解凍してから空気穴を開けたタッパーに入れたまま1週間〜数週間は常温で放置してから使用した。発酵に関与した菌が冷凍により一部死滅し菌量が減少した分を取り戻すことを目的としている。検証のため冷凍→解凍して数週間放置→冷凍→解凍と2度冷凍して使用したりもした。

 

TENRYUアルプスマットは封を開けてから加水し1日1回攪拌を続け、臭いや発酵熱が明らかに落ち着くまで2週間程度ガス抜きした。その後タッパーで小分けして3〜4日冷凍し、解凍してから空気穴を開けたタッパーに入れたまま1週間〜数週間は常温で放置してから使用した。マットは最大3ヶ月程度で交換した。

 

 きのこマットは冷凍して使わない場合キノコバエ、線虫、トビムシ、コナダニの発生が見られたが冷凍した場合はキノコバエ、線虫は発生しなくなった。

ただトビムシ、コナダニの発生は冷凍処理を行っても十分は抑えることができなかった。コナダニが多く発生した場合はトビムシは発生しなくなった。ダニがトビムシを捕食したためだと思われる。

2度冷凍すると1度の冷凍よりもトビムシ、コナダニの発生が減少するという印象はなかった。同じような時期に同じような量で発生した。冷凍を2度行うと付加効果が期待できるという印象はなかった。

トビムシ、コナダニともに使用後1ヶ月程度でも大量発生することがあった。サイクルが短いダニはまだしも、世代交代が年に数回のトビムシが1ヶ月で大量発生するということは、到着時もしくは保管時に既に冷凍抵抗性のあるトビムシの卵が多量に存在していた可能性がある。

トビムシはマット交換後1~2ヶ月程度で大量発生して、2ヶ月過ぎたことに一斉に死亡する状況がよく見られる。死亡するタイミングの一致も既に大量に卵が存在していたと疑わせる因子になっている。

どの時点からあったかは今回の検証では確認できないが、商品に空気穴がある仕様なのでどこにでもいるダニやトビムシがいつ侵入しても不思議はない。

コナダニやトビムシはほとんど幼虫の発育に影響しないと言われ気にしていない方が良いとも言われている。高栄養の発酵の浅いマットには宿命的な存在ではあるが、小規模屋内飼育の場合は家族への配慮もあり、やはり可及的に抑制したい。きのこマットを用いた飼育でダニやトビムシを完封するのは正直自分のスキルでは難しいように感じた。

 きのこマットは実績が多く、データベースの蓄積があるため安心して使える。品切れも少なく安定して入手でき、価格もお手軽でふるさと納税でも入手できるので総合的には良いマットであると感じるが、雑虫を気にする人には使いやすいとは言えないかもしれない。

 またマットを飼育容器に圧接して詰めた時や水分が多めだった時は使用後2ヶ月経過以降に泥状に硬くなることがあり、うまく幼虫が食べられない状態になり体重が落ちてしまうこともあった。水分量を多すぎないようにして圧を加えて詰めることも控えるとその現象は確認されなくなった。スキルがあれば同じような問題は起こらないだろうが、マットの扱いに不慣れの場合そういったことが起こり得ることも留意した方がいいのかもしれない。具体的にはマットに粒状感がなくなり固形化している印象があれば2ヶ月程度で交換すると無難かもしれない。

 

 完熟マットは未冷凍のままの使用は行っていないので未冷凍のレポートはできない。

冷凍処理した完熟マットは3ヶ月で交換であれば雑虫はギリギリ許容範囲内で大量発生で困るほどはなかった。外からの侵入防止が甘い産卵セットの埋め込みマットとして使用した際に一度キノコバエが発生したことがあったが、外からの侵入や産卵木由来であった可能性が高い。

幼虫飼育や産卵セットでかなりの確率でトビムシが発生し、ダニもそれなりの頻度で見られることもあったが3ヶ月に1度でマット交換するのであれば大量発生に至る前に交換できた。線虫も確率はそれほど高くないが見られた。

保管温度によっては幼虫を入れずに放置した際に白カビのようなものが生えることがあった。真菌類がマットの発酵に関与していそうだ。しいたけのような臭いもすることがある。

初令〜3令のどのステージでも食の進みが良く、発酵が浅いマットと比べても思ったほどは栄養が貧弱な印象はなく、しっかり大きくなってくれる印象があり使い勝手が良く感じた。

 

 TENRYUアルプスマットはすべて冷凍処理を行って使用した。未冷凍での使用は行っていないのでそのレポートはできない。

 商品到着時には商品説明にある通り嫌気状態になっている。空気穴は付与されていない。開封すると嫌気発酵臭がするが、糞臭ではなくアルコール発酵のようなポジティブに言えば芳醇系の臭いなのでガス抜きはそれほど苦痛ではなかったが、室内に保管してのガス抜きはやや厳しいと思った。

 空気穴が付与されているきのこマットと比べるとやはりガス抜き期間中の発酵臭は短期間では抜けず、途中で発酵熱もしっかり出る印象。自分は完全に安心して使えるまで夏季では1週間、暑くない季節では2週間程度の攪拌が必要だと感じた。実際はもう少し短くても使えるのだろうが、しっかり馴染んだ状態というのには2週間くらいを要する印象。

 ガス抜きは商品到着時に段ボールの中の大袋にマットが詰められている状態なので、「袋を開ける→水分量を見て必要に応じて加水する→攪拌する→空気をある程度入れて大袋が若干膨らんだ状態で袋の口をねじって封をする」という動作をするとマットの移し替えをせずに雑虫の侵入を極力防ぎながらガス抜きができて具合が良かった。

 

開封前

 

開封

 

加水と攪拌

 

袋内に空気をしっかり入れて、雑虫侵入対策に入り口を再度封をする。

 

 マットを到着時の段ボール内でガス抜きをする場合、最初は底の方のマットは攪拌用のスコップが届かず、うまく攪拌することができない。そのため上から半分程度しかガス抜きできないが、消費していく内に深い位置にあるマットも攪拌できるようになるので問題はなかった。むしろ直近で使用しない底部のマットの無駄な劣化を防げたので、底部のマットの攪拌が最初は届かない現象が逆に都合が良かった。

 寒い時期に仕込んだと思われるマットは冷凍処理と侵入対策をすれば3ヶ月に一度の交換なら雑虫の大量発生は回避できることが多いようだ。

白くて小さめのダニが高確率で飼育容器内で1ヶ月弱以降から見られるようになり、それなりに増殖はするが3ヶ月程度でマット全交換するのであれば大量発生までには至らずに済む印象。

1.5ヶ月程度でトビムシもそれなりの確率で見かけるようになるが、こちらはそれほど心配なレベルではない。ダニが先に増えるためダニの捕食対象とされることもありライフサイクルが短くもないので、トビムシはあまり勢力の伸ばさない。

線虫は低確率ながら確認された。増えるようなら交換だが、確認できたのが2ヶ月経過後であったため3ヶ月弱は持たせることができた。

 

 最初に注文したマットは印象としては良かったので夏季に再注文したのだが、おそらく春季〜夏季に発酵を行っているせいか、大きめのダニが大量発生してしまい、また発酵臭が落ち着くまで時間がかかったり、幼虫が上に出てきやすかったりと一転して扱いづらい印象を受けた。

 

このマットはダニにとっても好物で増殖するのに適した食材であることは間違いないと思われるので処理方法や使用期間や許容閾値に応じてある程度は覚悟すべきだろう。

 実績はネットに上がっている報告はそれほど多くはないが、添加に強く発酵が浅いマットを好む種であれば良く食べてくれる印象。ヘラクレス、ゾウカブト、ニジイロ、ノコギリ辺りは検証することができた。基本的にはきのこマットでなじむ種は同じ感覚で使えるのではと感じている。

 

 自宅での使用感は上記のような印象だったため、現在では完熟マットとアルプスマットを併用している。個人的に具合良く感じたのは底に3〜4割程度完熟マットを入れ、幼虫を引越しさせてから、その上にアルプスマットを6〜7割入れる方法である。

 引越ししたばかりの幼虫はまだ割り出し直後の場合は若齢であったり、アルプスマットが完全に馴染んでいなかったり、幼虫が引越し直後で環境の変化に適応できていなかったりする。

 引越し直後は大抵は食べやすい完熟マットを優先して食べる(底にあるマットを優先して食べているだけかもしれないが)。ある程度幼虫が大きくなって環境にも馴染んできた時期に追熟して食べやすくなったアルプスマットの方もしっかり食べてくれる。

 よく古いマットやフンを混ぜておくと交換後も幼虫がなじみやすいと言われるが、ダニやトビムシが増え始めているマットを引越しすることになりかねない。マット交換後に雑虫が指数関数的に大量発生するリスクがあるのを無視できなかったので、よほど雑虫を完封できている自信がある時以外は古いマットの混入は行っていない。

 ヘラクレス♂やゾウカブト♂のように3ヶ月経過もたずにマットが激減する種類は浮いてきた糞を捨てて上にマットを継ぎ足すことでそもそも全交換せずに済むようにしている。

 

 完熟マットとアルプスマットの組み合わせで使用してもその2種類であれば雑虫が大量発生するというのは現時点では見られず、幼虫もよく食べてくれるので育てる種類にもよるが当面はこれを自分のメインマットとして使用していくつもりである。

 

長期的な使用レポートができればまた書きたい。1年を通じて使用する場合には今以上の内容が書けるとは思うので。

ヤフオクでBIGマットなど同系統のマットが他の業者からも出ているようなのでそれもいつか試してみたい。