住宅やオーディオ、ホームシアターに関しての記事が中心だったが、今はあまり書くこともないのでブログをamebaに引っ越しした後も更新していなかった。
ただwebの集合知(疑問に思ったことの回答を誰かがwebに掲載してくれている)というものに人生で何度も助けられている自覚があり、webの集合知に対して深い敬意を持っている。今まで扱ってきたジャンルとは異なるけれども、集合知の充実に微力ながらでも一部になれればと思い別シリーズの記事も書き始めることにする。
誰かが調べ物をした結果、当ブログに到達し何かしらの助力になったとすれば幸いである。
子供の希望がきっかけで昨年からカブトムシ、クワガタムシ類の飼育を始めた。
自分が小さい頃もカブクワは好きであったが、当時の小学生レベルでは幼虫飼育は国産カブトムシくらいで、クワガタは難しいという雰囲気があった。
外国産の甲虫も当時は輸入が解禁されておらず、生きている姿を見るということはできない存在であった。基本的には図鑑の中の存在か、外国産甲虫の標本展を見に行く為に親に頼んで県内の範囲で遠出させてもらった記憶がある。標本を見ることまでが限界の存在であった。
だが今は外国産の甲虫の輸入が全部ではないが解禁されており、国内で繁殖されオークションで数百円〜数千円程度の相場感で多くの品種が購入できる。インターネットで飼育方法や繁殖方法の情報も網羅されており、飼育用品も様々なものが出ている。そしてインターネット通販により最寄りの店で販売されていない物も簡単に入手することができる。
昔カブクワ飼育をやっていた時とは比較にならないような敷居の低さと種類の豊富さに驚愕し、子供の教育目的だけでなく自分の子供の頃の見果てぬ夢を叶えるという目的も兼ねて国産クワガタの繁殖や外国産カブクワの飼育繁殖を始めた。
カブクワの飼育は幼虫は基本的には寝床のマットや菌糸自体が餌になるし、成虫もゼリーを数日〜1週間に一度交換するだけなので大変な作業は少ない。ただ問題になるのが、国産も外国産も含めて飼育には多かれ少なかれ温度管理が要求されることにある。室内飼育でなるべく日の当たらない場所に保管しておくにしても夏は温度が高すぎ、冬は温度が低すぎになりやすい。
しっかりカブクワ飼育をしている人は飼育部屋を用意してエアコンで常時温度管理を行って解決させる場合が多いが、専用室でやるほどの規模や予算を許容していない場合は別の手段で温度管理を行うことになる。
小さな飼育空間で温度を上げる場合は対応が容易でマルチパネルヒーターという電熱器で適温に調整することができる。温度を均一に過熱を予防するという意味では出力の控えめなものを複数設置して熱のムラを抑制し、全部でなくて良いので一部のヒーターは温度調整機能付きのものを使えば温度を一定に保つことができる。
電気を熱に変換するだけなのでそれほど高価なものではないし、安物でも熱効率は基本的に変わらない。
参考図 引用:アマゾン(ショップリンクなし)
温度を上げることは小規模飼育でも比較的用意ではあるが、問題となるのが飼育空間の温度を下げる場合となる。温暖化した日本の真夏は大半の種で温度が高すぎになってしまうので冷却はほぼ必須となる。
エアコンやスポットクーラーにしても過剰設備となる場合、ペルチェ素子で冷やすにしても効率が悪く、十分な出力のものは価格や耐久性がネックになる。
一番手軽かつ冷却を期待できる方法として冷凍庫で冷やした氷を保冷剤にして飼育空間に入れることにより飼育空間の温度を適温にする方法がある。冷凍庫自体は元々生活で使用していたものを使用できるので追加で導入する費用がなく、冷凍庫のヒートポンプで冷やした氷で空間を冷却するのでエネルギーコストも割と効率的なものと言える。
ネックになるのは保冷剤の交換を1日数回行わなければいけないという手間と、冷却能力に限界があることと、温度管理が手作業になることにある。
参考図 引用:あたらしい日日
自宅の空間で飼育に都合の良い空間や室内温度の分布を調査検討した結果、飼育空間として適しているのは玄関横の収納と階段下収納であることが分かった。
玄関付近は日当たりが少なく温度が低めに安定している。下駄箱の近くなので臭いの拡散防止のため室内換気の吸気口も近くに設けられており、飼育の臭いも生活空間に影響しづらい。空間スペースとして持て余し気味の二階も冬季では使えそうな空間が複数あるのだが、夏期は温度が上がりすぎてしまうので一年ベースで考えるとあまり適していない。
階段下収納部分は周囲の温度が比較的安定していることに加え、階段下であることから天井が低く面積も室容積も小さい閉鎖空間であり、容積が小さい分だけ温度の上げ下げに必要なエネルギーが少なくて済む。
さらに生活空間から遠く、形状の問題で取り回しの悪い収納のため本来の収納目的でそこまで役に立っていない状況だったので転用しやすいというのもあった。
我が家の階段下収納は幅が80cm、入り口部の高さが140cm、奥行きが150cmだったので三角柱として単純化して考えるとおおよその容積は0.84m^3(840ℓ)だった。
1畳の押し入れ(天井高2.4m)を使おうとすると容積は2.69m^3(2690ℓ)と大きな空間になってしまうし、上下に仕切りがされている1畳の押入れの片方を利用するにしても1300ℓ程度にはなってしまう。温度管理の効率を考えると階段下収納はかなり効率がいいと思われる。自宅でここまで小さい閉鎖空間は階段下収納以外には床下空間くらいしかない。
参考図(出典:スーモ)
階段下収納を温度管理スペースとするため局所的簡易的なDIYリフォームをすることにした。簡易的な保温庫としての機能を持たせる為、扉と周囲の壁に断熱材を入れる。元に戻せる範囲で断熱材を壁や天井に固定するのは制限が多い。発泡スチロールはテープがくっ付かないし接着剤でくっつけるのは原状復帰に支障が出る。また天井は常に重力がかかっているので落下もしやすい。
コストの問題もあるが必然的に軽量さ重視の断熱になってしまうので100均一で購入した厚さ10mmの発泡スチロールボードと使わなくなったマットレスから取り出したウレタンフォームをメインとして、隙間にプチプチの梱包材を充填し、内側に一層の遮熱シートを敷いた。
ドアの隙間もなるべく隙間をなくす為に隙間風防止用の断熱テープを使ってドアとドア枠の空間の調整を行なった。
開け閉めの時に冷気が溢れ出ることを最小限にするようにエアカーテンも取り付けた。
これである程度の断熱性は確保できたが、熱がまだまだ逃げやすく断熱材の厚みが不足している感は否めない。厚さ3cmくらいは欲しいところだったかもしれないがコストや施工性や室内空間の広さとの兼ね合いで難しい。
結局追加の断熱として飼育容器は発泡スチロールの箱に入れて蓋を開けて管理している。飼育容器内の温度の安定という意味では保冷剤の効果切れ後の温度の急上昇や保冷剤設置後の過冷却を防げるので、空間全体の断熱性能が良好であったとしても発泡スチロール箱内管理は望ましいもののように思える。
空き箱や菌糸ボトルや菌糸ブロックの保管も一緒に行っている。
温度管理には温度の把握が不可欠だが、限られた冷却能力で冷却している収納空間の温度把握のために収納の扉を何度も開け閉めをするわけにはいかない。冷気が簡単に逃げてしまう。そのためリモートの温度計を用いて室温を把握して温度調整している。収納空間の最奥が最も温度が安定しているため飼育空間のメインになるので、その部分の温度を非リモートの温度計で温度把握するのは大変だ。階段下収納での飼育にはリモートの温度計は必需品と感じられた。
夏季でも23度台を維持することを目標に温度管理を始めた。玄関横の収納部分は家の中でも最も涼しい部類の空間だが、室外が35度を越える温度だと玄関横も28度以上に温度が上昇してしまう。夏季は高温に強い種類のみしか設置できないが高温に強い種類であれば最適温ではないながらも生存は可能な温度で収まってくれる印象。1年で数回程度の酷暑期間はすべて階段下の温度管理空間に移動させた方が良さそうだ。
階段下収納は外気温32度、玄関横27度程度までであれば保冷剤の冷却で23度維持が可能であった。概ね500mlペットボトルに水を入れて凍らせた保冷剤1本につき1度の室温低下することを12時間程度は期待できる。周囲室温が24度台であればペットボトル1本を12時間で交換、25度台であればペットボトル2本を12時間で交換、26度台であればペットボトル3本を12時間で交換、27度台であればペットボトル4本を12時間程度で交換、28度以上であればペットボトル5本以上を12時間で交換が大体の使用感であった。
ただ自分が使っている冷凍庫の出力では常温の水ペットボトル4本以上を一度に入れても12時間以内に完全に凍らせることができないので、多少は凍りきっていない状態の保冷剤を使用せざるを得なくなる。そのため周囲温度が28度以上の場合は5本以上入れても期待通りには冷えてくれず、実際の運用では冷凍庫に入る分だけの保冷剤を冷やして(7本程度)、それをすべて使用することになる。
また最初は500mlペットボトルを使用していたが、スペースの効率が良い1000ml前後のペットボトルの方が使いやすいことが分かって現在では両者を併用している。
保冷剤は水切りカゴと発泡スチロール箱に設置して冷却する。水切りカゴに保冷剤を設置するのがメインで冷却能力が高いが保冷剤の持ちは悪い。発泡スチロール箱に設置すると冷却能力は低いが長持ちする。この2つを使い分けて温度を管理する。水切りカゴに入れるのは結露する水の量が半端ないので排水のしやすさや防カビ性を考慮した結果ではある。最初はファンで送風して室内空気を撹拌させるつもりであったが、保冷剤は急冷させるよりも長持ちさせる方がよっぽど大事なので自然対流で十分だった。上の方の空間が温度高めでも飼育容器のある床付近の温度が低めになってくれるような温度ムラがある方がむしろ好都合だったのでファンは結局使っていない。
一年の間で最も暑い酷暑の期間に関しては23度を維持するのは正直厳しく感じる。周囲温度から5度以上冷却させると保冷剤の溶け具合での経時的な温度変化を極小に留めておくことができず、一時的には24度を上回ってしまう。一番暑さの厳しい時期は25度を一時的に越えるのも仕方ないという印象。そのためこの飼育方法の場合は25度程度の高温にもある程度の耐性がある種に限定することになる。一時的に25度オーバーする程度ならかなりの種類が飼育可能ではあるが、保冷剤の交換がおろそかになってしまった時のことを考えると飼育温度がギリギリになってしまう低温種は推奨しづらい。飼育空間の断熱処理とパネルヒーターの確保さえできてしまえば冬季は比較的容易に乗り切れるので、同じような環境であるなら高温に強い種を優先して飼育するのが望ましいと思える。
何よりこの飼育方法だと夏季は冷気が逃げてしまうので保冷剤の交換以外で収納部を開け閉めは極力控えなければならない。つまり頻繁に生体の姿を確認することができない。幼虫ならまだしも成虫でこの飼育方法は楽しさという意味では微妙だと思える。低温種の飼育は無理ではないかもしれないが、あまり向いていない。