ちょっと発酵マットについて調べ物をしていたときに紹介されていた「カブトムシ幼虫の腸内環境と微生物の相互作用」という論文を読んで気になる部分とその内容から幼虫期間の長い外国産カブトムシ幼虫へ応用するための仮説を考えたのでここに考えをまとめてみる。

 

国産カブトムシは孵化後3ヶ月程度で急激に大きくなり、その後はマットを食べるにも関わらず大きくならない期間を経て羽化するケースもある。

その期間に炭素/窒素の比率で炭素が多く窒素が少ない発酵マットを用いた幼虫は体重が減少し、炭素が少なく窒素が多い幼虫は体重が増加した。

 

外国産カブトの幼虫も三令に脱皮して数ヶ月で急激に体重が増加する。その後体重増加が鈍化してだんだん黄色っぽい体色になってくる。国産カブトの実験結果が応用できそうな気はする。

 

三令幼虫初期は幼虫→幼虫としての脱皮をすべて終えて、三令期間の間に成虫のボディを構成する栄養と、蛹化→羽化→後食までの数ヶ月もの絶食期間を乗り切るための栄養をすべて摂取しなければならない。

幼虫として最終的な脱皮を終えたヘラクレスやゾウカブトなどの三令幼虫は150gを超える体重が入ることも可能な外皮を手に入れたことになる。

幼虫も柔らかいとは言え脱皮を行う外骨格生物なので、キャパシティの限定された外皮の二令幼虫時代は大きくなれる範囲は限られている。

ここからは仮説でしかないが、だが大きな外骨格のキャパシティを手に入れ体重制限が大幅緩和された三令幼虫は最初にまず消化能力の許す限りひたすら体重を増やそうとする。

中身はどうあれ、まずはある程度の大きな体がないと外的に襲われるリスクも高いし、今後の栄養の厳選を行っていくにしても大きな体の中の大規模な消化器官があった方が効率的に行えるからというのもあるだろう。

 

種類により多少の程度の差異はあるが、基本的に発酵マットは炭素つまり糖や脂肪が多くタンパク質が不足しがちだ。

だから三令初期の体重急増時、ひたすら食べて血肉としている時期の幼虫は糖分や脂肪分が多くタンパク質は比較的少ないことが予想される。

だが成虫は硬い外骨格にタンパク質を多く必要とする。生殖にもタンパク質は必要になるだろう。マットを食べて得られた栄養をそのまま溜め込んだだけでは甲虫の成虫としての構成要素としてはタンパク質が少なすぎてバランスが悪い。

おそらく食事によって体に吸収されや糖や脂肪は幼虫時代の貯蓄が多ければ多いほど良いというわけではない、成虫にすべて引き継げるわけではないのだろう。

 

その根拠となるのがある程度大きくなった後に体重があまり増えなくなる時期が存在することだ。

この時期には幼虫の体色はだんだん黄色くなる、つまり蛹化に向けて必要な体内のタンパク質を増やしているということなのだろう。

その際に摂食により一緒に糖や脂肪も摂取できるはずなのだが、それはあまり溜め込まない。むしろタンパク質と比較して体内の糖や脂肪が過剰であれば代謝により減少させる必要がある。

だからある程度の体重まで大きくなった時期に、拒食になっている訳ではなく健康そうではあるけれども体重が増えない、むしろ若干減少してしまうというケースが見られるのではないか。

 

だからそういう時期にはC/N比が少ない、糖が少なくタンパク質が多いものを食べさせてやる必要がある。国産カブトムシの場合は論文では腐葉土を食べさせて三令終盤の体重増加を達成しているが、外国産でそのまま適応するわけにもいかないのではないか?食性がもともとメインで腐葉土を食べている訳ではないようなので。

腐葉土がこの場合良かったのは落ち葉にタンパク質が特別多いという訳ではなく糖の分解が進んでいて相対的にタンパク質が多くなっていたという理解をしている。

だから外国産カブトムシの場合はその時期に分解の進んだ完熟系の発酵マットを使うのが幼虫の体重ひいては羽化後の全長や体重の増加のために望ましいのではないか。

これは一般的に言われている幼虫の成熟が近づくにつれて完熟マットを多くした方がいいと言われることが多い傾向と合致はする。

 

そのあたりを理屈として理解して、幼虫の体重増加ペースや体色を見ながら使用するマットの種類を変えたり、完熟系を多少ブレンドしたりすると最終的に大きな成虫になってくれるのではないかと思うので今後に実践してみたいと思う。

 

結論としては、

発酵の浅いマットは高栄養と言われるが、完熟マットは糖が分解されて少なくなっている分だけ同重量あたりのタンパク質が多い。だから発酵の浅いマットは高カロリーかもしれないが、タンパク質の観点から見れば完熟の方が高栄養とも言える。

完熟マットは食性的にそれでないと合わない品種に使うのはもちろんだが、発酵が浅いマットをメインで食べる種にとっても成長のステージの後半には最適なのかもしれない。幼虫の体色や体重増加ペースを参考にマットの種類を途中からシフトすると良いのかもしれない。