(株)北工房staff blog 虹を追っかけてみる

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北海道発・「建築」と格闘中!!

まだまだ春らしい春には程遠い北海道ですが、この雪解けの時期になると必ずと言っていいほど雨漏りのご相談が増加します。

 

でもそれは寒冷地・多雪地域特有の春先に起こる「すが漏り」(すがもれとも言います)という事象なんです。

そもそも屋根板金自体に穴が空いているなどの不具合により発生する雨漏りとは発生原因が違いますので、対策も異なります。

 

以前もブログで書いておりますが、今回再度ポイントを絞って簡潔にご説明したいと思います。

 

 

◆すが漏れとは◆

 

①屋根に積もった雪が室内からの熱で解ける

②その雪解け水が外気に晒される軒先で凍る(つらら)

③氷の塊(つらら)によって水がダムのようにたまる

④行き場を失った水が屋根の板金の継ぎ目から染みて室内に漏水する

 

 

◆すが漏りが発生してしまったら◆

 

発生のメカニズムは雨漏りと異なりますが、室内に入り込んだ水が木材を腐食させたり、カビや蟻害などを招く点では被害リスクは同じです。

 

気づいたら早めの対処が必要となります。

漏水自体が止まっても木材や断熱材が濡れた状態のまま放置するとどんどん被害が広がる可能性もありますし、そもそもの原因となる部分に対策を施さないとすが漏りが繰り返し発生する可能性もあります。

放置せず専門家へご相談ください。

 

 

◆すが漏りを防ぐために◆

 

屋根に室内の暖房の熱などがダイレクトに伝わってしまうことが原因となりますので、天井裏の断熱強化が必要となります。

屋根板金自体に不具合がある場合もありますが、前述のように穴や隙間が開いていなくても、凍ったり解けたりを繰り返すことで継ぎ目などを押し広げ、漏水が発生します。

 

また、ダムをつくらないよう、屋根の雪下ろしもとても効果的です。

 

ただし屋根上の氷を割るために一緒に屋根に傷をつけてしまい漏水することもありますし、雪下ろし作業での転落事故等も多く報道されていますので、雪下ろしの際はプロに依頼するか、命綱を着用して一人では行わない等、安全に配慮して行うようにお願いいたします。

 

※過去ブログで、すが漏りは瑕疵(かし)保険の保険金の支払対象外ですと記載いたしましたが、室内側への漏水の場合は対象となる等、保険会社や状況によって対応が異なるようなので、お詫びして訂正させていただきます。

ご加入されている保険会社(被保険者)までお問い合わせください。

 

 

 

漏水等、何かお住まいのことでお困りでしたら、まずは北工房までお問い合わせください。

 

北工房にもブログというものがあったのか…というくらいお久しぶりの更新となってしまいました。

広報の成田です。

SNSで気軽に情報を発信してゆける時代ではありますが、やはりしっかりと読み物としての情報の発信は必要不可欠ですね。

スタッフの様子など小さな記事でもコツコツと更新を頑張りたいです。←って毎回言っている気がしますが…

 

 

北工房は設計事務所ですが、住宅や公共施設の設計だけではなく、ホームインスペクション(住宅診断)や耐震診断、各種証明書発行のための適合検査等も行っております。

 

その中でとても多いお問い合わせが「中古住宅の購入にあたり、住宅ローン減税のために耐震基準適合証明書を出してほしい」というお問合せです。

 

築20年(非耐火建築物の場合)を超えていても税制優遇が受けられるとネットに書いているため、証明書をお願いしたいんですけど、とお申し込みをいただくのですが、これがそんなに簡単ではない事をお伝えしたいと思います。

細かな諸条件や例外は省いてできるだけ簡潔にお伝えしたいと思います。

 

住宅ローン減税を受ける要件や必要書類については検索するとたくさん情報が出てきますので今回説明は省きます。

また、マンションの場合はまた話が変わってきますのでまたの機会に書くことにして、今回は木造の一戸建て住宅の場合でご説明いたします。

 

 

 

わたしたちの行っている耐震診断は一般診断法と呼ばれるもので、専門家が目視・非破壊で行う診断法です。

現地にて劣化の状況等を確認後、専用ソフトで計算を行っていき、「上部構造評点」という点数で判定が表されます。

 

<上部構造評点の判定>

1.5以上 倒壊しない

1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない

0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある

0.7未満 倒壊する可能性が高い

 

※上部構造評点とは大地震(マグニチュード7前後の地震を想定)の時の建物耐力要素を表しています。

 

この上部構造評点が1.0以上で耐震基準適合証明書が発行されます。

 

ただ、1度で適合し、証明書が発行されるという事は実はほとんどありません。

 

ひび割れなどの建物自体の劣化状況なども加算して診断を行うため、新築時に耐震性についてクリアしていて築年数が浅めの物件でも、状態によっては適合とはならないケースもあります。

 

 

これを適合させようと思うと、「耐震設計」を行い、「耐震改修工事」を行い、上部構造評点が1.0以上(「適合」の状態)にさせる必要があります。

工事費用がどの程度かかるかはその建物の状況によりますが、外壁を剥がすついでに断熱工事も…、窓周りも…となる事が多く、合わせると数十万円~数百万円になる事が多いです。

 

 

また、税制優遇を受けるためには「引渡し前」に耐震基準適合書が必要となりますので、引渡し後に改修工事を行うのであれば事前に手続きが必要となります。

事前の手続きを忘れて引渡しが終わってしまうと、耐震基準適合証明書による税制優遇は受けられません。

 

知らずに1回目の確定申告時に税務署に聞いて慌ててお問合せくださる方も多いのですが、その時点で時すでに遅し…となってしまいますのでご注意ください。

 

 

ネットにはよく耐震基準適合証明書があると税制優遇を受けられる!と簡単に書いていますが、それはなかなかハードルが高い場合が多いのが事実です。

もちろん診断を行い、問題なく適合となりそのまま証明書が発行されるケースもありますので、可能性がないわけではありませんが…。

 

 

今後生活していくご自身のお住まいの耐震性について知り、しっかりと弱い部分を改修して安心して住まいたいと改修工事を前提に診断を行うのはとても大切なことであると思います。

ぜひ大きな声でおすすめしたいです!

その場合は診断後の設計、工事の事も考え、経験値のある信用できる建築士に耐震診断をお願いすると良いと思います。

 

ただ、目的が「税制優遇を受けるため」であるのなら、数百万円の工事費用がかかるかもしれないことを視野に入れたうえで依頼を行う必要があります。

建物のメンテナンスの状況にもよりますが、築20年以上であればご想像されているよりも簡単に発行される証明書ではなく、また不適合で証明書が発行されなくても調査や診断費用は発生します。

 

 

 

税制優遇のための書類として、それに代わるものに売買瑕疵保険の付保証明書というものがあります。

感覚的に耐震適合証明書よりは出てきやすいかと思いますが、こちらも建物の状態によってはなかなかハードルの高いものになっております…。

 

また別記事でご紹介したいと思います。

 

 

2020年10月17日の夕方、北海道苫小牧市の2階建てアパートで外廊下の床が抜けて幼児を含む5人が転落するという事故が発生しました。

 

この事故について、「全国賃貸住宅新聞」にて、北工房代表の栃木渡が取材協力させていただきました。

 

記事はこちらからお読みいただけます。

(全国賃貸住宅新聞のページに飛びます)

【クローズアップ】北海道築古アパート外廊下崩落事故

 

 

 

こちらの記事ではオーナーと管理会社との修繕に関するやりとりや、栃木によるインスペクションと定期メンテナンスの必要性について書かれていますが、栃木からもう少し建築的な見解やアドバイスを聞くことができましたので、書かせていただきます。

 

 

■原因の推察■

 

まずは今回のアパートが海岸から2km以内の場所にあり、そもそも塩害が発生しやすい場所に建築されていました。

しかし代表が現地を確認したところ、塩害についての対策(塗装など)を行っている形跡がなかったといいます。

 

溶接部においても、ピンホール(塗膜などの表面に生じる小穴。溶接上の不具合。)から凍害(※)を起こす可能性が十分に考えられる状態だったようです。

 

※凍害とは、寒冷地においてひび割れなどからコンクリート内部へ水が浸入し、それが凍結・融解を繰り返し膨張することによって劣化していく現象です。

進行すると剥離・剥落し、構造材等へ影響を及ぼす、非常に危険で侮れない寒冷地特有の劣化事象です。

 

 

また、錆汁の状況から、相当昔から劣化していたと思われます。

結論としては記事内にも記載があるように建物の管理状態が悪かったことが原因で、きちんと状況把握をして定期的にメンテナンスを行っていれば防げた事故でした。

 

 

■この事故から学ぶこと■

 

東京などの不動産投資家の方から北海道の物件が人気があるようで、北工房(さくら事務所ホームインスペクション北海道)へも多くのお問い合わせをいただきますが、きちんと建物の状況を把握するためにも、購入前のインスペクションは必須です。

 

購入前にご自身で現地確認をしっかり行ったとしても、本州の方では発生しない「凍害」「スガモリ(すが漏れ)」などの不具合や劣化事象もあります。

必ずその地域のことを熟知したインスペクターへ依頼し、見てもらうようにしましょう。

 

管理会社がやってくれるから、とお任せしてしまうオーナーさんもいらっしゃいますが、そういった建物の劣化や、建築的な目線での建物メンテナンスに詳しい担当者はそう多くはないと思います。

 

 

 

建物オーナーさまにはぜひ居住者の命を預かる立場として、購入前インスペクションで建物の状態と修繕時期、修繕費用の目安などをしっかりと確認し、数年に1度の計画的且つ定期的なメンテナンスを実施していただきたいなと思います。

 

 

札幌市の木造住宅の耐震診断が無料で受けられるのはご存知でしょうか?

諸条件はありますが、対象となれば全く費用がかからずに耐震診断が実施でき、またその後の耐震設計・耐震改修工事にも補助金が出ます。

 

【耐震診断無料化の対象となる住宅】

次の(1)から(6)に該当する住宅が対象となります。
(1)    札幌市内にある木造の戸建住宅、長屋、共同住宅
(2)    昭和56年(1981年)5月31日以前に建築又は着工されたもの
(3)    在来軸組構法で建てられたもの
(4)    地上階数が3以下で、木造部分の階数が2以下のもの(診断は木造の部分のみ)
(5)    住宅の床面積が延べ床面積の2分の1以上のもの
(6)    過去に本事業による派遣、又は、補助金の交付を受けて耐震診断を実施していないもの

 

*********

 

令和2年度の耐震診断員派遣事業の受付期間は次のとおりです。

<2020年10月1日(木曜日)から2020年10月20日(火曜日)まで>

⇒応募多数の場合は抽選となるようです。

 

お申し込みから診断結果のご報告までのおおまかな流れは過去記事にありますので、ご参考にしていただけたらと思います。

(過去記事⇒「札幌市の無料耐震診断、令和元年度も北工房にお任せを!!

 

*********

 

申込時に必要な書類は

①派遣申請書

②登記事項証明書など、新築年及び延べ面積がわかる書類

 

となっており、共同住宅・長屋・貸家等で入居者がいる場合は

③入居者の合意がある旨の申出書

が全員分必要となります。

 

*********

 

北工房はこの札幌市の木造住宅耐震診断の診断員の資格を持った建築士が所属しております。

 

派遣申請書の希望診断員欄に

「登録番号 第653号 桶谷 秀和」
「登録番号 第760号 大林 厚志」
「登録番号 第761号 木村 涼子」

いずれかの診断員名をご記入いただけましたら、さまざまなご相談に対応させていただきます。

 

また、事前のご質問やご相談も承っております。

・我が家は対象なの?

・図面がないけど大丈夫?

・両親の住む実家が心配なのですが申し込めますか?

・調査にどのくらい時間がかかるの?

といったことでも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

 

北海道胆振東部地震から2年がたちました。

また、9月1日は防災の日でもありましたね。

 

せっかくの制度ですので有効に活用し、次いつくるかもわからない震災に備え、今できることをしていきましょう!

 

先週末、札幌市内でリノベーション工事を進めておりましたS様邸、施主検査・お引渡しがありましたので広報成田、同行させていただきました。

 

いつも写真撮影をお願いしている小森学さんに撮影もお願いしたので、近日中にホームページへ掲載予定です。

 

▼特徴的な造作壁と床下収納

 

 

▼階段下の収納

 

 

▼リビング吹き抜けの様子

 

 

▼キッチンとその奥の客間

 

 

若いご夫婦と猫ちゃんがここで新しい生活を始められます。

 

ウッドデッキや壁面のキャットウォーク、造作建具の塗装などはこれからゆっくりご夫婦で楽しみながらつくっていくとのことで、北工房リノベーションでは多い「未完成状態でのお引渡し」となりました。

 

この先、どんなふうにアレンジされてゆくのか楽しみです^^

 

細かいリノベーション内容についてのご紹介は改めてホームページにてさせていただきますのでお楽しみに…!!