北工房にもブログというものがあったのか…というくらいお久しぶりの更新となってしまいました。
広報の成田です。
SNSで気軽に情報を発信してゆける時代ではありますが、やはりしっかりと読み物としての情報の発信は必要不可欠ですね。
スタッフの様子など小さな記事でもコツコツと更新を頑張りたいです。←って毎回言っている気がしますが…
北工房は設計事務所ですが、住宅や公共施設の設計だけではなく、ホームインスペクション(住宅診断)や耐震診断、各種証明書発行のための適合検査等も行っております。
その中でとても多いお問い合わせが「中古住宅の購入にあたり、住宅ローン減税のために耐震基準適合証明書を出してほしい」というお問合せです。
築20年(非耐火建築物の場合)を超えていても税制優遇が受けられるとネットに書いているため、証明書をお願いしたいんですけど、とお申し込みをいただくのですが、これがそんなに簡単ではない事をお伝えしたいと思います。
細かな諸条件や例外は省いてできるだけ簡潔にお伝えしたいと思います。
住宅ローン減税を受ける要件や必要書類については検索するとたくさん情報が出てきますので今回説明は省きます。
また、マンションの場合はまた話が変わってきますのでまたの機会に書くことにして、今回は木造の一戸建て住宅の場合でご説明いたします。
わたしたちの行っている耐震診断は一般診断法と呼ばれるもので、専門家が目視・非破壊で行う診断法です。
現地にて劣化の状況等を確認後、専用ソフトで計算を行っていき、「上部構造評点」という点数で判定が表されます。
<上部構造評点の判定>
1.5以上 倒壊しない
1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある
0.7未満 倒壊する可能性が高い
※上部構造評点とは大地震(マグニチュード7前後の地震を想定)の時の建物耐力要素を表しています。
この上部構造評点が1.0以上で耐震基準適合証明書が発行されます。
ただ、1度で適合し、証明書が発行されるという事は実はほとんどありません。
ひび割れなどの建物自体の劣化状況なども加算して診断を行うため、新築時に耐震性についてクリアしていて築年数が浅めの物件でも、状態によっては適合とはならないケースもあります。
これを適合させようと思うと、「耐震設計」を行い、「耐震改修工事」を行い、上部構造評点が1.0以上(「適合」の状態)にさせる必要があります。
工事費用がどの程度かかるかはその建物の状況によりますが、外壁を剥がすついでに断熱工事も…、窓周りも…となる事が多く、合わせると数十万円~数百万円になる事が多いです。
また、税制優遇を受けるためには「引渡し前」に耐震基準適合書が必要となりますので、引渡し後に改修工事を行うのであれば事前に手続きが必要となります。
事前の手続きを忘れて引渡しが終わってしまうと、耐震基準適合証明書による税制優遇は受けられません。
知らずに1回目の確定申告時に税務署に聞いて慌ててお問合せくださる方も多いのですが、その時点で時すでに遅し…となってしまいますのでご注意ください。
ネットにはよく耐震基準適合証明書があると税制優遇を受けられる!と簡単に書いていますが、それはなかなかハードルが高い場合が多いのが事実です。
もちろん診断を行い、問題なく適合となりそのまま証明書が発行されるケースもありますので、可能性がないわけではありませんが…。
今後生活していくご自身のお住まいの耐震性について知り、しっかりと弱い部分を改修して安心して住まいたいと改修工事を前提に診断を行うのはとても大切なことであると思います。
ぜひ大きな声でおすすめしたいです!
その場合は診断後の設計、工事の事も考え、経験値のある信用できる建築士に耐震診断をお願いすると良いと思います。
ただ、目的が「税制優遇を受けるため」であるのなら、数百万円の工事費用がかかるかもしれないことを視野に入れたうえで依頼を行う必要があります。
建物のメンテナンスの状況にもよりますが、築20年以上であればご想像されているよりも簡単に発行される証明書ではなく、また不適合で証明書が発行されなくても調査や診断費用は発生します。
税制優遇のための書類として、それに代わるものに売買瑕疵保険の付保証明書というものがあります。
感覚的に耐震適合証明書よりは出てきやすいかと思いますが、こちらも建物の状態によってはなかなかハードルの高いものになっております…。
また別記事でご紹介したいと思います。