閑話休題 -キングダム- | Model world

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素晴らしい模型の世界に魅せられました。

本日は皆さまの無駄な知識にお役立ち、な閑話休題。

 

今日のテーマはキングダム時代の英雄

 

空想科学小説では英雄を簡単に描くが、現実は一層複雑で、且つ更にその偉大さが際立ち、一層魅力的な場合が多い。

 

 

今回取り上げるキングダムの世界では、その英雄譚は見る者を魅了するものの、史実はそう甘い世界ではなく、一方で一層魅力的だ。

 

ちなみに私は史実は熟知していると認知しているが、キングダムは実写版の映画を「2」までしか見ていないし、原作も見たことは無い。従って相当史実とかけ離れるキングダムのネタバレにはならないだろう。

 

 

キングダムでは『李信』という歴史的に全く無名な将を架空の英雄(史実では恐らく実在はしたであろう程度の扱い)として描いている。

 

紀元前、最初に全中華を直轄地にしたのは、『秦(Chine)』だが、その『秦』が中華を統一していく過程を、キングダムは史実とは大部分で異なる空想で描いている。

 

『秦』が中華統一の過程で、軍人、将軍として一番貢献しているのは実はキングダムの物語が始まる直前の英雄『白起』将軍以外、その他の将は全く比較にならない為、挙げるのは困難だ。

「李牧」「廉頗」「桓騎」「王箭」なんかでは足下にも及ばない。

横道にズレるが、「李信」は「李牧」一族という記録もあったりするてへぺろ

 

 

この『白起』将軍は、中華を暴れまわり、事実上『秦』以外の国が『秦』に対抗できる戦力を徹底的に潰した。特に『趙』の戦力は、この時点で完全に壊滅したといっても良い。完全武装で訓練の行き届いた兵士は簡単に補充できない為、『趙』はこの時点で再起不能が確定であり、負けが確定した。

 

その後、多少戦に負けても、「合掌」、「連合」などの語源の作戦を立てられても、無尽蔵のような人材、兵士に余裕のある国力を持っているのは『秦』のみであって、抵抗をする際に多少貢献した、『秦』にとってみれば取るに足らない凡将が出てきても、対局に影響は全くなかった。

 

圧倒的な恐怖、圧倒的な進軍、圧倒的な強さで『秦』は、相手を恐怖のどん底に陥れて戦に勝利していく。

 

敢えてキングダムに登場する武将で、史実に照らし合わせ、英雄として挙げることができるのは『蒙恬』のみだろう。彼は、オルドスに進駐してトルコ系騎馬民族『匈奴』から中華を防衛した。

 

だから、歴史上『秦』の代表的な軍人武将として、『蒙恬』『白起』が挙げられるのだ。

 

そして『秦』に対抗する勢力を代表させるのであれば、終盤も終盤の登場が想定される『項燕』のみ。

キングダムでは、事実上のラスボスになるであろう『項燕』。判らないが。

最後に滅亡する『燕』の「公孫丹」ではあまりに役不足だからだ。

(しかしながら、公孫丹の側近は「秦」から脱走した「桓騎」の可能性もなくはない)

 

だが、「蒙恬」「白起」、「項燕」、これらは軍の統率に限って優秀であったということ。

 

戦争が強いだけの武将が居ても国力が弱ければ継戦能力も無く全く意味は無い。

ガンダムの世界観で言えば、アムロやシャアの様にエースパイロット単体では大局を覆すだけの力は無いのと同じだ。アムロ達を超えて1人で大局を覆したウッソは例外だが、それはあくまで空想上の世界の中の話でしかない。

 

寧ろ内政、宰相の能力に国力が左右されてしまう。

 

国力があったればこそなのだ。

 

『秦』の代表的な宰相は「李斯」だ。「李斯」は『秦』を世界で初めてまともな法治国家にした。

ヨーロッパにはその優秀な宰相「李斯」ほどの宰相がいなかったために、シーザーが登場しても、カール大帝が登場しても、グスタフ・アドルフが登場しても、ナポレオンが出てもヒトラーが出ても、統一されることは無かった。ロシアの東進もだからこそ生じた。

 

「李斯」の内政で「秦」は国力が他国に全く及ばないほどに差をつけることが出来た。

だから異常な大軍を動かすことが出来た。

 

キングダムの世界で言えば唯一、『李斯』以外はいない、ということになる。

その悪行は焚書坑儒など、後世に悪い意味でのみ伝わっている場合が多い。

 

だが、将軍どもが仮に前線で負けても、『秦』には無尽蔵に有能な将が、次から次へと控えていた。

つまり、将軍共は単なる『駒』に過ぎない。

 

後年4文字熟語にもなる逸話を残す『秦』最後の大物将軍『章邯』ですら『秦』の天下統一戦には参戦していない。つまり後方で戦争にでず、終戦を迎えた。

 

こんな戦デビューをしなかった戦(いくさ)未経験新人将軍でさえ、後年キングダム登場武将とは桁違いに強力な『項籍』の大軍を翻弄し、大いに撃破するのだ。「項籍」は、北斗の拳で例えれば、ケンシロウの居ない世界の「ラオウ」のような存在。

 

「項籍」の軍を撃滅する為に「蒙恬」が出撃しても良かったが、二世皇帝(「趙高」)に「死ね」と言われ服毒死を遂げていた。

既に多くの戦闘経験を擁し、連戦連勝、負けを知らない「項籍」の軍勢ではあったものの、鎧を持つ士卒も少なかっただろうし、所謂雑魚集団に他ならない。

 

黒い装甲を身にまとった完全武装の『秦』の正規兵を率いる将軍「章邯」は、20万という大軍で見る者に恐怖を与え、あの「項籍」を相手にしなかった。「司馬遷」の史記には、黒い兵士が、大地の彼方から洪水の様に押し寄せてくる様を恐怖で比喩している。

 

「章邯」が人類3,000年の歴史の最強武将筆頭格である、あの『項籍(羽)』を何度も撃ち破った事実は消すことが出来ない。いくさ素人では最強の武将を破ることは出来ないだろう。それだけ『秦』の将軍の層は他国と桁違いに分厚いものがあった。

人材が星の如しいるという証左である。

 

そんな「章邯」であっても、時代の流れに逆らうことはできなかった。

後方で、後年「軍神」と評される歴史的天才の「韓信」が、『秦』の都咸陽を陥とした。

前線で孤立した「章邯」は戦う意味を失った。

 

 

従って、キングダム時代の英雄は、歴史的宰相『李斯』を英雄格とさせていただこう。

 

今に通じる法治国家を具現化した功績はあまりに大きい・・・

 

追記:あずなぶるの数値評価(偏差値換算)