平成26年に世界遺産登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」。
着物に関わる仕事をしている身として、一度は行かねばならないと思っていたこの場所に、このたび、初めて訪れてまいりました。
構成資産は、4か所
・富岡製糸場
・田島弥平旧宅
・高山社跡
・荒船風穴

今回は東京から日帰りで、荒船風穴と富岡製糸場の2か所を見学してきました。
なかなかの弾丸ツアーです(笑)
まず向かったのは荒船風穴。
東京駅から新幹線で高崎駅へ。
そこから上信電鉄に乗り換えて下仁田駅へ向かいます。

さらにタクシーで約30分。
荒船風穴を見学した後は再び下仁田駅へ戻り、上信電鉄で西富岡駅へ。
そこからタクシーで富岡製糸場へ向かいました。
富岡製糸場では、最終のガイドツアー開始時間である15時に何とか間に合い、ガイドツアー終了後も閉館時間の17時までじっくり見学。
結果から言うと、「行ってよかった!」の一言です。
明治から昭和にかけて、日本の製糸業がどのように発展していったのか。
教科書で見たことはあっても、実際に現地を見ることで理解が深まりました。
現在、日本の製糸業は海外との価格競争に押され、規模は大きく縮小しています。
しかし、かつて日本は世界有数の生糸生産国であり、その技術は世界の絹産業の発展にも大きく貢献しました。
だからこその、世界遺産なんだ、ということがよくわかりました。
着物に関わる仕事をしている身として、日本の絹産業が果たした役割の大きさを改めて実感し、とても誇らしい気持ちになりました。
荒船風穴とは?
恥ずかしながら、私は今回訪れるまで「荒船風穴って何?」という状態でした。
「荒船」は、荒船山(あらふねやま)の麓にあることから付けられた名前です。
荒船山周辺は特殊な岩塊地形になっており、岩と岩の隙間を通り抜ける空気が自然に冷やされます。
その結果、年間を通じて冷たい風が吹き出す「風穴(ふうけつ)」という現象が生まれます。
明治38年、この天然の冷気を利用して作られたのが荒船風穴です。
ここは、蚕種(さんしゅ)と呼ばれるカイコの卵を保管するための、日本最大規模の冷蔵施設でした。
当時、養蚕は年1回しか行えませんでしたが、風穴で卵の孵化時期を調整できるようになったことで、複数回の養蚕が可能になり、生糸の大量生産を支える重要な役割を果たしました。
つまり、生糸を大量に作るためには、まずカイコの卵を安定して供給できなければならない。
その仕組みを支えたのが、風穴を利用したこれらの冷蔵施設だったのです。
自然の冷蔵庫を体験
現在、当時の冷蔵施設そのものは残っていません。

しかし、現地へ行くと、ここに冷蔵施設を作った、その理由がよく分かります。
施設跡の岩場へ近づくと、岩の隙間から冷たい風が吹き出しているのです。



まさに天然の冷蔵庫です。
風穴にはガイドさんが常駐されていて、見学者には必ず案内してくださいます。
「この穴からが一番冷気が感じられます」と場所を教えていただけるので、誰でも冷風を体感できます。
実際に風に当たってみると、
「なるほど、これは冷蔵技術のない時代なら利用したくなる」と納得。
自然の力を巧みに利用した先人たちの知恵に触れられる、とても貴重な体験でした。

次回は、富岡製糸場についてご報告します。
絹産業の中心地だった現場で見たもの、感じたことをお伝えしたいと思います。
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