京都の着付け教室 きものシャン
レッスン会場:烏丸御池教室 (京都市営地下鉄烏丸御池駅すぐ)
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ドアノブや机類など室内のアルコール除菌、また換気も徹底しております。
講師はマクスを着用いたします。
黄色いところが襟先。グリーンのところが襟先から下の長さ、褄下です。
リユース着物を買われる時に全体の身丈が明記されることはあっても、なかなか褄下寸法は書かれていないことが多いようです。もちろん他の寸法から推測はできるのですが、全く気にせず買ってから疑問に思う人もおられるとか。
通常身丈は背縫いから裾までの縫い目の全体の長さ=身長として割り出して、褄下はその身丈の2分の1とします。
現代では脚が長い人、つまり腰位置の高い人が多いので必ずしもコレが当てはまるとはいえませんが、脚の長さだけでなく、肉付きや骨格によってもこの身丈の配分は左右されます。
つまり身丈=身長といっても、肉付きの良い人であれば上半身に布を取られて、おはしょりが思うように出せなくなってしまうこともあるので、実際の身長からの割り出し分よりも上半身分長くとり、腰から下の褄下の部分は自分の足の長さに応じて決めます。
逆に肩幅もなくバストも小さい細身な人なら、上半身の布が余ってしまいますからそのぶん調整します。
私の体型は、肩幅めちゃくちゃ狭い痩せ型、バストもほとんどありません。(控えめではなくほんとうにバストありません。)
さらに腰位置がとても高く、脚がとても長いです。(昔のユニクロのパンツ類は全部股下が短くて合うものがありませんでした笑)
なので、実際の割り出し寸法よりも上半身の寸法は短く、そのぶん下半身の寸法を長くしているわけです。
この上半身と下半身の区切りが衿先のところです。
さて、もう一度画像を見てください。
ではこの衿先(黄色マーカー部分)は、どの位置にあるのが良いのでしょうか?
10年前かそれくらいだったと思いますが、雑誌やネットで、この衿先がおはしょりから見えない方が着やすい、かっこいいという意見、こだわりがよく話題にされることがありました。
見えない方がいいという根拠として、見えているとやぼったい、見えない方が脚が長くスッキリ見える というものでした。
2000年代初め頃からスリムに洋服のように体に合わせて着物も仕立てるべきでは?という議論が出て、個人的にはマイサイズのカオス時代と呼んでいますが笑、まあそんな時期がありました。
はじめはひとつのアイデアとして議論されたものでしたが、いつのまにか本来の着物の仕立てやサイズ、さらにベーシックな着付けの知識のない人たちにこのような情報だけが伝わり、「スタイル良く見せるための寸法」なんてものを講座にする着付けの先生まで現れました。懐かしい。
さてさて、衿先もそれと一緒で、一部の人の個人的なこだわりについて、あたかも衿先がおはしょりから出ていたら野暮ったいのが当たり前だという人がが出てきたりと、プチ混乱があったようで、着付け教室の先生が仕立てに文句をつけるというようなこともありました。(カオスです笑)
着付けの手法を理解した人は、ここから抜け出せるのですが、着付けを習得しないままに寸法変えればキレイになると思って、高額な金額の講座を受けに行ったり、ネットの情報に惑わされて何が本当かわからないまま、着物を敬遠してしまう人も私は見てきました。
でもね、衿先って飾りではないので、野暮ったいとかそういうことよりも、そもそもの衿先の機能を考えればどこにあるのが良いのか、カンタンにご自身で答えが出せます。
さて我々は、歩くときには
このように、片足を前に出して重心を動かして進みます。
その際に、脚を前に出すことによってひるがえった着物の裾は、襟先が腰エリアにくっついていることによって、自然と同じ場所に戻ってきます。
つまり着物の衿とは、裾の形を安定させる役割も担っているのです。
そう考えると、足の付け根のエリアにあるのが自然だと言えます。
私は、このように鼠蹊部の延長に衿先の1番下が来るように仕立てています。またここが分かると合褄幅についても理解が出来ます。
この衿先が当たっている場所が脚を動かす際の根本のエリアなので、自然に体の動きに添います。
またここより少し上の位置でも合理的であると言えるでしょう。おはしょりからギリギリ見えないくらいの位置でも理屈が通ります。
ただ、衿先があまりに下、足の付け根を通り越して、下の画像の赤線のような位置、太ももエリアにある場合は、この衿先の役割が機能できないので不合理かなと感じます。
着物を気軽に着るのは良いことですが、サイズや機能や着付けの知恵を無視して好き勝手にやって、そこで着心地に対する不満が出た矛先を着物そのものに向けられるのは、着物ファンとしては、ただただ超迷惑です。絶望します。
皆様好き勝手にこうなはずだ、こうでなければならないという発信を一方通行で空中に放り出しておられ、まともに検証することをしない人が多い。
世の中には顔に似合う衿合わせの角度診断、着方で工夫できる!みたいなものもあるそう。初めて知った時は驚きました。
襟に関しては着付けというより仕立ての際にすでに設計されてしまう部分が多い。
それを無視して肩山のけぞって袖ひっくり返らんばかりに無理に衣紋抜かれているお客様の画像を見ると、前も後ろも布がスクリーム...(布の悲鳴が聞こえます)という違和感しか生まれない。SNSでどんどこ流れてくる、あれ、何事も無理矢理はよろしくない。
ちなみに着付け教室をしていて、他所から相談されるほとんどのお悩みが「襟元」と「帯」です。
まずは目の前にある着物の形、サイズに従って着ること。それが出来れば、サイズも着付けも理解できる。夢広がること間違いなし。
いつでもご相談ください。こういう悩みも単発レッスンで請け負うのが当教室の強みです。
ちなみに私の着物は指導の際にもわかりやすいように細かい寸法、一般的にはインビジブルなものにも注意して作ってます。例えばこうした方がスッキリするというオルタナティブを取らないことでどうなるか、というような類の。