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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、「○○をすれば、IQが高くなる」、そう聞けば多くの人が興味を持たれるのではないでしょうか。
このIQの元となる知能テストは、ソルボンヌ大学の心理学実験室の室長であったアルフレッド・ビネーという人が、20世紀の初めにその原型を考案しました。
彼は、このテストを、知能に遅れのある子どもを特定し、その子ども達にレッテルを貼るのではなく、彼らに手を差し延べ、改善するために利用したいという理念を持って開発しました。
しかし、その後、知能は生まれつきものであるとする遺伝決定論者たちによって、ビネーの理念は葬り去られ、専ら人間をランク付けし、レッテルを貼るために利用されるようになったのです。
つまり、人種差別を正当化するために利用されたのです。
遺伝決定論者たちの目的は、もちろん、白人が人種の中で最も優れた存在であり、その最下層には黒人が来ることを証明することにありました。
そして、その結果ありきのために、知能テストは歪められ、人種差別を正当化する道具として利用されたわけです。
また、階級の高いものは高い知能を持っており、階級の低いものは低い知能であるがゆえに、彼らは支配されて当然なのだ、という階級制度を正当化するための道具としても利用されました。
(詳しくは、スティーブン・J・グールド著『人間の測りまちがい』をご参照ください。)
その後、ビネーの理念は、残念ながら復活することなく、IQテストは、未だに、人々をランク付けしレッテルを貼る道具として使用されています。
そもそもテストとは、本来、人の理解度を測るためのものであり、ランク付けしたりレッテルを貼ったりするための道具ではありません。
また、IQとは、人間の能力の一部に過ぎず、それによって人間の能力の全てが明るみにでたり、あるいは、人間の本質が浮き彫りになったりするものでもありません。
最近では、IQの高さと人生の成功度の間には、有意な相関関係は見られない、という研究結果も発表されています。
増してや、今の社会では、残念ながらほとんどの人たちが自分の能力を使おうとはしていません。
そんな中で、IQやテストの点数、あるいは偏差値の数字は、人間のなにものをも映し出してはいないのです。
私たち人間が持つ本当の能力は、そんなものでは測ることなど到底できないものなのです。
【参考文献】
人間の測りまちがい―差別の科学史
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