CFO経営
- CFO経営/佐藤 英志
- ¥1,500
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CFOの仕事について、その概要と心構えを知りたい方にお勧めしたい本である。
どちらかというと、営業部門の方や新入社員の方といった初学者向けで、実務のノウハウを求める財務畑の方には物足りないかもしれない。
経営環境の複雑化、すなわち直接金融の台頭によりステークホルダーが多様化していること、コンプライアンス遵守を求める気風の増加しており、リスク管理の幅が大きくなってきていることにより、もはやCEOのみでは対処しきれない。
よって、対等な共同経営者として、CFOが必要だと主張している。
CFOの役割として、大きく四つ挙げている。
・戦略意思決定
・財務戦略の策定
・B/S、P/Lのカイゼン
・IR
である。
本書では、「戦略意思決定」こそが従来の経理部長、財務部長と異なる点であると強調されている。「戦略意思決定」とは、将来の市場環境を見越した上で、ヒトモノカネの配分を決めることであると定義している。
そして、この「戦略意思決定」には、「先が読める」ことがセットになっていなければならないようだ。
しかし、「先が読める」といっても、市場環境の先を読むことは、実業から遠いCFOには難しいであろう。
ならば、おのずからCEOもしくはCOOが策定した企業戦略に対して予測される財務上のインパクトを元に言を為すということになるだろう。
つまり受動的である。
であれば、本当に従来の経理部長、財務部長とその役割が異なるのであろうか。
会社、人材によるのであろうが、素人である私には、その点が腹に落ちなかった。
I recommend this book for you who want to know what is CFO's responsibility and overview the duties.
This book is kind of what for a beginners rather than an expert who are engaged a financial works, to seek know-how on financial duties.
The author said that business environment has been going to more complicated, direct finance becomes a major way of financing, a company has been required to keep on compliance.
Therefore, CEO would not deal with the complicated business environment alone.
Four major duties of CFO are shown us in this book.
・Strategic decision-making
・Building financial strategy
・Improving B/S and P/L
・IR
“Strategic decision-making is highlighted as a difference between a chief controller and financial director. “Strategic decision-making” is “Logistics”, to adequately and timely allocate Human-assets, Products and Funds.
In addition, this decision-making must contain a right vision to where a industry which the company belongs is going on.
However, if the CFO want to be a prophet, it is too difficult that the CFO could not make a good prediction of future business environment of the industry because he or she would be away from actual business his or her company does.
So, he or she is passive, actually shows a possible financial influence on the company for CEO or COO.
Therefore, I don’t understand what the difference between the chief controller and financial director on a role.
Needless to say, the difference depends on each company and each person, but I am still confused.
トヨタ流英語上達術
- トヨタ流・英語上達術/スティーブ・モリヤマ
- ¥1,575
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多職種の海外業務経験を詳細まで知る機会はなかなか無い。
海外ビジネスの体験記は、販売部門出身の人間がよく上市する。
今日、新興国はともかくとして、欧米であれべ、海外駐在員を希望している若手・中堅社会人は多いと思うが、
実際どのような業務に従事するのかまでを想像できている人は少ないのではないだろうか。
営業系か製造系のみしか無いと思っている方も多いだろう。
本書には、労務や経理部門の経歴を持つトヨタマン達が登場し、著者との対談形式で、その海外での業務経験が語られている。
登場するトヨタマン達の肩書を列挙してみよう。
・トヨタフランス(仏販売代理店)管理部門最高責任者
・欧州トヨタ自動車(汎欧州統括会社)副社長
・TPCA(トヨタとチェコのPSAとの生産合弁会社)
・欧州トヨタ自動車経理財務部門マネジャー
・トヨタ本社グローバル人事部総括室室長
・豪州トヨタ自動車(オーストラリアの販売・生産会社)副社長
そうそうたる面々である。
ところで著者もその経歴は彼らに負けてはいない。
もちろん、”トヨタ事情通”という点においても信頼できる。
著者は、プライスウォーターハウス社にてトヨタの担当者を10年務めており、トヨタ及び登場人物についての豊
富な知識を有しているのだ。
”英語でホワイトカラーできますか?”
そんな問いを本書は投げかけている。
We would not have enough opportunities to know about many kind of jobs in the detail.
I think many Japanese younger or solid business-persons wantto be transfered to abroad as representative their company.
However, the fewer only imagine well how to work they are in the abroad branches.
In addition, many of them think Sales and Marketing or Production are mainly the type of occupation if they want to be the representatives.
The author had a talk with several Toyota's business persons who have worked on the duties abroad for years. Their type of occupations are various, Accounting, Labor management, and of course Sales.
The author also has strong relationship with the persons because Toyota is his company's client and the author and the persons had worked together in their carrer.
So, the author succeed to pull many string of their experiences in detail.
"Can you contribute a company as White-color in English?"
This book may throw such question to us.
Book Review 感情の地政学
- 「感情」の地政学――恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか/ドミニク・モイジ
- ¥1,785
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このところ、いわゆる”地政学本”を書店店頭で見かけることが多くなっている。
ソ連崩壊、金融バブル、新たなテロの脅威、インターネットによる世界変化を予測してきたと言われる、フランスの作家ジャック・アタリの「21世紀の歴史」がヒットしたのが発端であろう。
ご多分にもれず、その影響を受け、「21世紀の歴史」とジョージ・フリードマンの「100年予測」を読んだが、その将来予測はフィクションのように思えた。
また、その将来予測の元となる歴史認識の段においても、司馬史観に覚えた共感は無かった。
島国の子孫と、国境を他国と接し、侵略行為が隣人であった国の子孫、及び冷戦というイデオロギー戦争に勝利する為に世界戦略を練ってきた国の子孫とでは、歴史から刻み込まれたものが異なる。
これは仕方の無いことだが、消化不良感が残っていた。
本書「感情の地政学」は、その消化不良への良薬となった。
著者ドミニク・モイジの主張は、シンプルだ。
訳者あとがきより抜粋する。
・(ポスト冷戦時代においては)アイデンティティを模索する人々の営みが歴史を動かす原動力である。
・アイデンティティの拠り所は、「自信」である。
・人々は、この「自信」を得る為に行動する。
・その行動には各種あるが、その多様性の背景には、積み重ねた歴史からもたらされた、三つの感情がある。
・三つの感情とは、「希望」「恐れ」「屈辱」である。
・感情は、意識の持ちようで変えられる。
というものである。
この主張に基づき、2025年の世界について、「恐れ」が支配した悲観シナリオと「希望」が満ち溢れた楽観シナリオを提示している。
残念ながら、私にとっては、これらのシナリオは、やはりフィクションに思えた。
しかし、先述の作品と異なり、
”歴史の文脈から推察される感情に着目せよ”との主張は、正論だ。
個人間の人間関係に置き換えれば、もっと分りやすい。
我々個人の行動は、必ずしも合理的では無い。
感情に左右される。
そして、希望・恐れ・屈辱は、感情の中でも、個人の行動に対して、強い影響力を持っているものたちである。
よって、モイジは、極めて常識的な視点を提示していると言えるだろう。
個人的考えとしては、「希望」の元に人々が集うには、情報化社会の進展と、持続的かつ世界各地で同時多発的な経済発展の継続が必要十分条件であると思う。
情報の流通は、制約を抱えた人々に経済成長がいかに生活を変えるかを伝え、制約を撤廃する動機を創り出す。
そして、経済成長は、多くの不都合を忘れさせる。
2025年、世界を支配しているのは、「希望」か「恐れ」か。
私は、前者だと信じたい。