日米戦争と戦後日本
- 日米戦争と戦後日本 (講談社学術文庫)/五百旗頭 真
- ¥1,050
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「真珠湾」から半年余、わが国が緒戦の戦勝気分に酔っていた頃、
米国ではすでに対日占領政策の検討に着手していた。
そして終戦。
三年の歳月を要した米国による戦後日本再建の見取り図はどう描かれ、
それを日本はどう受け止めたか。
またそれを通じ、どう変わっていったか。
米国の占領政策が戦後日本の歴史に占める意味を鳥瞰する。
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上記は、Amazonサイトの概要欄よりの転記である。
読後、「私たちは幸運に恵まれた」と心から思った。
いくつか挙げてみる。
・アメリカが第1次世界大戦を経験していたこと。
・ルーズベルトの死と後継者がトルーマンであったこと。
・数名の知日家が占領政策立案に登用されたこと。
・昭和天皇が在位で、鈴木貫太郎が総理に任命されたこと。
・マッカーサーが占領指揮官であったこと。
・吉田茂がそこに居て、朝鮮戦争が起こったこと。
・不謹慎かもしれないが、原爆が京都に投下されなかったこと。
もし投下されていたら、一億総玉砕は不可避であったと思う。
これらの幸運に恵まれずして、奇跡の復興は在り得ただろうか。
否、と言わざるを得ない。
一方で幸運ではなく、これらは人為的な行為ではないかという意見もあるかもしれない。
しかし、これらのどれかが欠けても我々が持っている歴史は実現しえなかっただろう。
その組み合わせまで考慮すれば、やはり幸運、つまり必然では無かったと私は思う。
周知のように、この戦争について、いくつかの議論がある。
代表的なものは、原爆投下は必要だったか、南京大虐殺か虐殺か、侵略戦争か否か、等などである。
これらの議論をすることは誤りではない。
しかし、その目的が一国の立場を擁護するものであれば、それは途端に誤りとなる。
大切なのは、一国、一国民の立場を超えた視点を持って、これらの事実が起った背景を学び、
そして将来に活かすことである。
サブプライムローン破たん後の不況に対して、我々は去る大恐慌に学び、世界的な対策を打った。
今もまだ渦中にあり、奮闘中ではあるが、これは歴史から学ぶことの好例ではないか。
我々が生きる将来は、経済においても、環境においても、連環である。
癌が転移することを、我々は歴史を持って体験している。
けして目先の、そして一つの立場のみを追求してはならない。
ジェフ・イメルト ~変わり続けるGEの経営~
ジェフ・イメルト GEの変わりつづける経営/デビッド マギー
- ¥1,890
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世界的に著名な経営者であるジャック・ウェルチの後継者であるジェフ・イメルトの人柄とその経営戦略について概括した本。
なぜこの時期に引き継いだのか、なぜイメルトなのか、それに興味があって購入した。
ウェルチと言えば、事業買収売却と成果主義人事制度の徹底によって、「合理化」と「多角化」を両立することに成功し、在任期間中にGEの売上を4倍に拡大した20世紀を代表する伝説的経営者である。
20世紀終盤の世界的な経済成長を巧みに捉えた見事な拡大戦略を採ったと称賛されている。
言うまでもなく、偉大な前任者の後を引き継ぐのは困難な仕事である。
しかもイメルトが舞台に上げられたのは、なんとあの9・11テロのわずか4日前だったそうだ。
ドラマチックな出現を終え、GEの更なる成長の為に彼が掲げた戦略は、
「価値創造企業への転換」である。
その根底には、高度な技術や知識を基盤に持続的な成長を実現したいという思いがある。
ウェルチは企業買収売却を検討する際、その事業がもたらすであろう中長期的な利益にはあまり興味を示さなかったらしいが、それと比較すると、彼が掲げた戦略は、正に「転換」と言える。
残念ながら本書では、上記の戦略を実現する為に実施したいくつかのメソッドについて紹介はあるものの、その詳細な内容や具体的成果についての記述はない。
しかし、「企業を時代に適応させるリーダーを選択する」ということの重みが感じられ、その意味で当初の期待に応えてくれる内容であった。
9・11テロという時代の転換を象徴するような出来事の後、アメリカでは「変化」を訴え、初の黒人大統領が誕生した。
「GEのオバマ」にもみえるイメルトが何を実現するのか。
いましばらく歴史を見守りたい。
This book outlined a strategy and charactor of current GE's CEO, Jeff Immelt who is a successor to Jack Welch, a ever legend of management in the history of business.
I'd like to learn why did they choose him at the time.
Jack Welch had enlarged sales of GE 4 times more than before he was chosen CEO of the company.
He had set up "rationalization and multilateralization" as a strategy for GE's growth. For the purpose, he had taken a two core policies, a active business aquisition or disposal and a pay-per-performance system related to quarterly result.
He had thoroughly excecuted the strategy. The strategy had exactly matched 20 years period of the end of 20 century. It was a high economic growth period.
Needless to say, it is absolutely difficult to take over the charismatic leader in all industries and duties.
Furthermore, Jeff Immelt was putted on the stage only 4 days 9.11 occured.
He took a new strategy to overcome the harrowing event, to bring up more growth for GE's future. He is aiming to change GE into innovation-based company. He has highlighted what a CEO should do is to build a steady business system for all stake holders. At the base of his mind, there is a idea which to realize sutainable growth to GE's future, based on high quality knowkedge and technology.
When considering a business aquisition or sellout, Walch was not interested in a long term profit the businesses may achieve. He focused on its short term profit. As compared to the policy, the new concept truly means "switch."
Unfortunatelly, there is only a brief introduction of his method and is not write down the specific result.
However, I was really satisfied with the contents because I learned that Serrecting suitable a right person who fits with the time is significant.
After 9・11, first black president was born in US. He required US citizens to change and he is the change.
I think Immelt seems to be "GE's Barack Obama."
What make he will.
I'd like to keep eyes on his history.
維新風雲回顧録
- 維新風雲回顧録---最後の志士が語る (河出文庫)/田中 光顕
- ¥840
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“いわゆる二流の志士である。”
本書の冒頭に寄せられた故司馬遼太郎氏の田中光顕評である。
以下に全文を引用する。
”田中光顕は、土佐の人である。年少の郷関を脱藩し、いわゆる幕末の風雲をつぶさに体験し、昭和十四年九十七歳まで生きた。
幕末の頃には、長州の高杉晋作の腰巾着のようにして奔走し、高杉が死ぬと土佐の中岡慎太郎に従い、維新後は土佐系というよりも長州系の傍役として、かずかずの要職についた。
いわば典型的な二流志士であるが、二流の場所であるがゆえに、かえって西郷、木戸、大久保、坂本といったひとびととはべつな視点をもつこともできた。
「維新風雲回顧録」はかれが語り残した風雲の実体験記であり、歴史の証言でもある。”
二流という言葉はなかなかに辛辣である。
司馬氏に悪意は無いと思うが、それにしても、と初読の際に感じた。
いつの世においても革命のあとに続く世代というのは損なものだ。
何事においても、それを始め、かたちにするというのは大変なことである。
だからこそ、パイオニアは尊敬される。
イチローはこの点において、一生野茂英雄を超えることはできない。
しかし、あとに続く者たちにも喜怒哀楽さまざまの人生があり、それらは確かに輝いているのである。
私の実家に、父方の祖母が残した手記がある。
彼女は太平洋戦争とともにその20代を過ごした。
戦争を知らない世代である私には想像もつかない苦労をしたのである。
だが、そんな彼女がこう綴っていた。
「孫たちの時代も大変なようです。いつの世も、神様は私たちを楽にはさせてくれません。
頑張ってと、婆はそれしか言えません」
この言葉を読んだとき、何か認められたような、そんな気がした。
祖母は名もなき市井の人間である。
しかし私の父を含む子供たち4名を社会に送り出し、祖父を支えた。
そこにあったのは、“懸命に生きる”それのみである。
我々は、生きる環境を選ぶことはできない。
それはときに、愚痴りたくなる。
苦労を背負っている時、認めてもらえない時、どうしても叫びたくなる。
だが忘れずにいよう。
懸命に生きてさえいれば、いついかなる時も輝いているのだと。