日米戦争と戦後日本 | Man is what he reads.

日米戦争と戦後日本

日米戦争と戦後日本 (講談社学術文庫)/五百旗頭 真
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「真珠湾」から半年余、わが国が緒戦の戦勝気分に酔っていた頃、

米国ではすでに対日占領政策の検討に着手していた。

そして終戦。

三年の歳月を要した米国による戦後日本再建の見取り図はどう描かれ、

それを日本はどう受け止めたか。

またそれを通じ、どう変わっていったか。

米国の占領政策が戦後日本の歴史に占める意味を鳥瞰する。
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上記は、Amazonサイトの概要欄よりの転記である。


読後、「私たちは幸運に恵まれた」と心から思った。

いくつか挙げてみる。

・アメリカが第1次世界大戦を経験していたこと。
・ルーズベルトの死と後継者がトルーマンであったこと。
・数名の知日家が占領政策立案に登用されたこと。
・昭和天皇が在位で、鈴木貫太郎が総理に任命されたこと。
・マッカーサーが占領指揮官であったこと。
・吉田茂がそこに居て、朝鮮戦争が起こったこと。
・不謹慎かもしれないが、原爆が京都に投下されなかったこと。
 もし投下されていたら、一億総玉砕は不可避であったと思う。

これらの幸運に恵まれずして、奇跡の復興は在り得ただろうか。
否、と言わざるを得ない。
一方で幸運ではなく、これらは人為的な行為ではないかという意見もあるかもしれない。
しかし、これらのどれかが欠けても我々が持っている歴史は実現しえなかっただろう。
その組み合わせまで考慮すれば、やはり幸運、つまり必然では無かったと私は思う。

周知のように、この戦争について、いくつかの議論がある。
代表的なものは、原爆投下は必要だったか、南京大虐殺か虐殺か、侵略戦争か否か、等などである。

これらの議論をすることは誤りではない。
しかし、その目的が一国の立場を擁護するものであれば、それは途端に誤りとなる。
大切なのは、一国、一国民の立場を超えた視点を持って、これらの事実が起った背景を学び、

そして将来に活かすことである。

サブプライムローン破たん後の不況に対して、我々は去る大恐慌に学び、世界的な対策を打った。
今もまだ渦中にあり、奮闘中ではあるが、これは歴史から学ぶことの好例ではないか。

我々が生きる将来は、経済においても、環境においても、連環である。

癌が転移することを、我々は歴史を持って体験している。

けして目先の、そして一つの立場のみを追求してはならない。