こんにちは!薬剤科です
病院や調剤薬局でお薬を受け取る際に「冷所に保存してください」とか
「開封するまでは冷蔵保存のお薬です」などの説明を受けたことはありませんか?
今回はお薬の「冷所保存」や「冷蔵保存」について説明したいと思います。
まず、一般的な医薬品の保管方法は大きく「室温保存」と「冷所保存」に分けられます。
冷所保存の医薬品は、「室温保存」の医薬品よりも
熱によって成分が壊れたり溶けてしまうものや
「防腐剤」のような保存剤が無添加の医薬品が挙げられます。
そのような医薬品は「冷所保管」「冷蔵保管」が必要なものもあります。
・ 一部の錠剤(例:リアルダ錠1200mg 30℃以上で有効成分の溶出性が上昇するため)
・ 開封後の液剤(例:アルロイドG内用液5% 防腐剤が含まれていないため)
・ 一部の目薬(例:ザラカム配合点眼液 有効成分が分解する可能性があるため)
・ 一部の座薬(例:ジクロフェナクNa坐剤 基剤の融点が体温程度のため)
・ 一部の塗り薬(例:ユベラ軟膏 有効成分が分解する可能性があるため)
・ 開封前のインスリン製剤(例:インスリングラルギンBS注 有効成分が変性するため)
・ 一部の自己注射薬(例:フォルテオ皮下注600μg 有効成分が変性するため)
参考文献:各医薬品インタビューフォーム・添付文書
などが挙げられます。
では「冷所保存」「冷蔵保管」について簡単に説明します。
①冷所保管は「日本薬局方」では1℃~15℃と定められています。
多くの冷所保存の医薬品は2~8℃で保管するよう規定されています。
当院の薬局では4℃~5℃で保管できる冷蔵庫で管理しています。
②冷所保管とは言え、「冷凍庫」で保管することはできません。
医薬品は凍結すると成分が壊れる可能性があります。
③冷蔵庫の中でも冷気の吹き出し口付近は、凍結の可能性があるので避けましょう。
そのため、冷蔵庫のドアポケット等の直接冷風が当たらない場所がおすすめです。
(下記の写真では右側がドアポケット、左側中央奥側に吹き出し口)
④ 医薬品によっては「開封前」と「開封後」で冷所保存が必要かどうかが変わる場合があります。
お薬のお渡しの際や初めて使用されるお薬の場合は必ず説明をさせていただきます。
医薬品の「服用方法」や「成分・薬効」等のご質問は多くいただきますが、
「保管方法」についてのご質問をいただくことは稀です。
病院や調剤薬局にお越しの際は、
お薬の保管方法が正しいか確認するのも良いかもしれません。
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(薬剤科)