宗谷本線の旅 / 無人駅・秘境駅に停車しながら北へ歩を進める鈍行列車【夏の北海道⑪】 | 湘南軽便鉄道のブログ

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本ブログは鉄道・バス・船舶・航空機等について、記録も兼ねて記事掲載。

その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(JR宗谷本線音威子府駅  稚内行き鈍行)
  







JR宗谷本線 士別→名寄
士別駅ホームの看板「羊のまち 士別」

1番線ホームから、13時58分発快速「なよろ6号」旭川行きが発車

JR宗谷本線の旭川〜名寄間の快速や普通列車の殆どが、新型H100形気動車に置き換えられた。


愛称は「DECMO(デクモ)」


駅名板の下のサッポロビールの看板は契約終了により撤去が進む。


士幌(しべつ)駅14時15発の特急「サロベツ1号」稚内行きが入線

この特急は、旭川駅13時35分始発→稚内17時23分着の宗谷本線全線を走り抜ける列車

特急型261系気動車


特急サロベツ号に乗車し名寄へ向かう。所要14分。
士別駅を過ぎると、すぐに天塩川を渡る。天塩川は士別市の天塩岳(1558m)に源を発する全長256kmの北海道第二の長大河川。



名寄駅が近づくと、進行方向右側の丘の上に旧・JR名寄本線の廃線路があり、何両もの静態保存車両が見える。

名寄公園(名寄駅から800m、徒歩約10分)のSLとキマロキ編成

この編成は、かつて除雪を担っていたSL排雪列車準鉄道記念物に指定されている。

「キマロキ」編成とは、機関車の(キ)、マックレー車の(マ)、ロータリー車の(ロ)、機関車の(キ)の順に組成された排雪用編成列車。編成の全長は約75メートルに及ぶ。






最後尾には緩急車(車掌車)を連結

腕木式信号機も静態保存


間もなく宗谷本線の拠点駅・名寄

隣には国鉄時代末期に製造されたキハ54形気動車





名寄(なよろ)駅14時29分到着。ここで下車。

名寄駅ではかつて角舘商会が駅弁を販売していたが、今は廃業により無くなった。


1番線から跨線橋を渡り2番線へ。


1番線の特急「サロベツ」稚内行き(左)と、2番線の普通 稚内行き(右)


稚内に向け去っていく特急サロベツ号





跨線橋から旭川方面を望む。


名寄駅発車時刻表
名寄を境にして、上り旭川方と、下り稚内方面で列車本数が大きく異なる。
下り稚内方面は特急3本、普通4本のみ。本線とは名ばかりの長大ローカル線で、名寄〜稚内間183.2kmは廃止も危惧される。

3番線には、14時42分発の快速「なよろ8号」旭川行きが発車待ち


H100形気動車は、JR東日本GV-E400系気動車と基本仕様は同じ。乗降扉と客室を隔てるデッキはない。側窓は固定式だが一部の窓は上部が僅かに内側に開く。

H100形気動車は、座席数が少なく旅行者には不向きなローカル輸送車両

H100形気動車は近年、函館本線山線(長万部〜小樽)、室蘭本線(長万部〜苫小牧、室蘭〜東室蘭)、石北本線(旭川〜上川)、宗谷本線(旭川〜名寄)、根室本線(新得〜釧路)と、急速にその勢力を拡大している。


名寄駅は、かつてはJR名寄本線(名寄〜遠軽、中湧別〜湧別)JR深名線(深川〜名寄)も発着していたが、名寄本線は1989年(平成元年)5月に廃止、深名線も1995年(平成7年)に廃止されてしまった。

2番線の稚内行きキハ54形気動車(右)と、3番線の旭川行きH100形気動車(左)




宗谷北線へ
JR宗谷本線(通称︰宗谷北線)、名寄始発・稚内行き普通列車


国鉄末期ににデビューした、昭和61年富士重工製のステンレス製気動車





「キハ54  528」。サボは行き先表示ではなく、路線名に利尻島の利尻富士が描かれたものに変更



キハ54形気動車は、JR四国の0番台と、JR北海道の500番台があるが、両者は仕様がだいぶ異なる。


窓と座席割が一致しない。

側窓は一段上昇の開閉式。冷房はない。






3番線から、14時42分発の快速「なよろ8号」旭川行きが発車




キハ54形気動車の稚内行き鈍行に乗車

前方。右側は便所スペース

車内はセミクロスシート

車両中央部は、転換クロスシートが並ぶ。

車内に冷房は無い。

扇風機のスイッチ

天井には扇風機が並ぶ。

扇風機には国鉄マーク「JNR」が残る。

キハ54形500番台気動車


JR北海道のキハ54形500番台はデッキを備える。


乗降ドアは片開きでステップ付き

長距離運用が多いため、デッキには和式便所を備える。


側窓は一段上昇式の開閉窓。酷寒仕様のため内側にもう一枚窓を備えた二重窓構造。

車内は非冷房




クロスシート部分の一部がロングシート化改造され、ロングシートのスペースが製造時より広がった。


扇風機が回る。



宗谷本線(宗谷北線)名寄始発・音威子府行き普通列車、終点音威子府でそのまま稚内行き普通列車になる。実質は名寄と稚内を結ぶ一本の普通列車。


14時59分、名寄(なよろ)駅を発車



JR貨物の名寄駅。日本最北端の貨物駅。

JR貨物の名寄駅は、オフレールステーションで鉄道貨物輸送ではなく、トラックで輸送を行っている。





名寄川を渡る。



名寄盆地を行く。


日進(にっしん)駅
小さな待合室がある無人駅で利用者は1人以下。


(日進駅待合室︰Wikipediaより)


板張りのホーム









JR北海道では近年利用客の少ない駅が続々と廃駅になっているが、宗谷本線は特に廃止になった駅数が多い。

日進駅の隣に、秘境駅として名高かった北星(ほくせい)駅があったが、2021年(令和3年)に廃駅になった。
(旧・北星駅待合室︰Wikipediaより)


北海道第二の長さを誇る大河・天塩川(てしおがわ)に沿って走る。



智恵文(ちえぶん)駅

待合室はヨ3500形車掌車の廃車体

利用者は10人以下



智北(ちほく)駅

利用者は1人程度




北海道は駅間が長く普通気動車もハイスピードで走る。

智恵文駅の次は南美深(みなみびふか)駅があったが、2021年(令和3年)に廃駅に。


美深(びふか)駅。15時25分〜15時29分の4分間停車。

かつて美深駅から「日本一のローカル線」と呼ばれた国鉄・美幸線(美深〜仁宇布)があったが、1985年(昭和60年)9月に廃止になった。現在、美幸線跡は、仁宇布近辺の5km程の廃線跡が「トロッコ王国美深」として、動力付きトロッコの運転体験を楽しめる場所になっている。


美深駅では、15時29分発特急「サロベツ4号」稚内発・旭川行きと交換。この列車は稚内駅13時01分に発車し、旭川駅には16時49分到着のダイヤ。




初野(はつの)駅

利用客1人程度の駅

ホームは降雪時に滑りにくい板張り。北海道には板張りの駅が多い。


初野駅の次に紋穂内(もんぽない)駅があったが、2021年(令和3年)3月廃駅に。


恩根内(おんねない)駅

利用者はほぼいない。




豊清水(とよしみず)信号場。2021年(令和3年)3月までは豊清水駅だったが廃駅に。





 

天塩川温泉(てしおがわおんせん)駅

駅から約700mのところに天塩川温泉(住民保養センター天塩川温泉)がある。

利用者はほぼいない。


ここもホームは板張り


ホームが短く、一両のキハ54形気動車すらホームからはみ出す。




咲来(さっくる)駅

この駅も利用者はほぼいない。



名寄盆地は日本における稲作の北限地で、名寄盆地より北は水田も無くなる。

列車は間もなく音威子府


※2022年(令和4年)8月上旬