不定期連載「蟹さんと読む韓国経済」 第1章貯蓄銀行構造調整 その8 | Korea Economic News by KANI

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ミ( ゚w゚)彡 <貯蓄銀行の章は、後始末の問題を取り上げて最後になります。


「蟹さんと読む韓国経済」
 第1章 貯蓄銀行構造調整

5.貯蓄銀行の後処理

 こうして2011年1月から始まった貯蓄銀行構造調整によって、のべ20行が営業停止になった。営業停止中は融資の回収を除いて、預金や融資などほとんどの業務が停止される。営業停止と同時に預金保険公社は金融監督院と共同で経営管理人を派遣して監督下におく。1ヶ月以内に経営陣が新たな再建策を提出して、それが金融当局に認められれば再開も可能だが、ほとんどは新たな出資者(引き受け先)を求めて、預金保険公社により売却手続きが進められる。営業停止になっても預金保険公社により、元利金合計5000万ウォン以下の預金は全額保護されるほか、手続きが間に合わず緊急に資金が必要な場合には、預金保険金を担保にした仮払いや貸付が行われることになっている。

 しかし、今回の三次に渡った構造調整だけでなく、韓国がIMF管理下に入った1997年のアジア通貨危機から貯蓄銀行の破綻は続いていた。およそ二百あった貯蓄銀行は2010年までにほぼ半減している。この結果2010年6月の段階ではすでに、預金保険基金の貯蓄銀行アカウント(貯蓄銀行が積み立てて貯蓄銀行破綻に備える)は赤字になっていた。2010年後半からは、銀行、保険、証券など、それぞれの業界ごとのアカウントの一部を貯蓄銀行アカウントに移そうとする議論が始まっていたが、各業界から他業種の不良を穴埋めすることは自身の顧客に説明がつかないなどの反対にあい、赤字解消は進まなかった。

 1997年から2010年11月までに貯蓄銀行が積み立てた保険料は1兆600億ウォンだったが、預金保護だけで1兆4415億ウォンが使われ、そのほか支援や融資を合わせると4兆5288億ウォンに達していたという。回収された融資も含まれるので、この差額は赤字額とイコールにはならない(報道によると赤字はおよそ3兆2千億ウォン)が、単純に比較しても預金保険料収入より実際に保護に使われた金額が多いという、とんでもない状況に陥っていたことは明らかで、この状態のまま2011年1月の第一次貯蓄銀行構造調整を迎えることになった。

 ひとまず第一次から三次の構造調整では、貯蓄銀行中央会が集めていた基金や、政府が設立した基金のほか、預金保険公社による新たな公社債発行と、都市銀行にクレジットライン(あらかじめ定められた範囲内での借り入れ)を設定して何とか乗り切っている。ちなみに2011年12月の報道によると、預金保険公社の公社債発行残高は24兆ウォンに達し、2012年の償還規模は5兆7千億に達している。

 第三次構造調整直前の2012年4月の報道を見てみよう。

預金保険、史上初の赤字に…昨年11兆借入 【東亜日報 2012年4月23日】
http://news.donga.com/Economy/3/01/20120423/45742777/1
貯蓄銀行構造調整の直撃により預金者へ12兆支給
9年間の保険金が底をつく

 営業停止処分が下された貯蓄銀行の整理業務を担っている預金保険公社が、昨年11兆ウォンを借入れていたことが分かった。金融会社の保険料で造成されていた預金保険基金が、不良貯蓄銀行の被害者へ大量に支払われた結果、史上初めて赤字に転落したためだ。総選挙後に先送りされていた第三次貯蓄銀行構造調整が始まれば、再び基金からお金が支払われることになり、預金者保護のために造成された
預金保険基金の不良化が憂慮されている。

 23日金融委員会によれば、預金保険は昨年、基金の赤字を埋めるために11兆6199億ウォンを借入れた。昨年の借入れ規模は、2003年から作られている新預金保険基金積立金12兆7800億ウォンに迫る金額だ。預金保険が大規模借入を行った理由は、昨年貯蓄銀行16行へ営業停止処分が下されたことで、支払われた預金保険金が雪だるまのように増えたためだ。
 預金保険は昨年、貯蓄銀行預金者に1人5000万ウォンを上限とする元利金を保障するために12兆5931億ウォンを使った。預金保険が金融会社から受け取る年平均保険料は1兆3000億ウォン前後であるため、およそ9年以上積み立てていたお金を、一年で全て使ってしまったことになる。営業停止した貯蓄銀行被害者がまだ請求していない預金が2兆5000億から3兆ウォンあるため、基金はさらに減ると展望される。また、昨年の借入れ金11兆6199億ウォンに対する年間利子5000億ウォンも相当な負担だ。
 昨年の借入れ金のうち10兆4199億ウォンは、都市銀行から年利4.6%前後で借りたほか、1兆2000億ウォンは年3.7%の債権(預金保険債)を発行して調達した。借入れ金は全て1年満期なので、今年中に全て償還しなければならない。預金保険は一部を満期延長する計画だが、残りは債権を追加で発行するか、他の金融会社から金を借りて償還する計画だ。金融当局関係者は“預金保険が金を借りて借金を返さなければならない悪循環に入った”と話した。

 さらに大きな問題は、近く第三次貯蓄銀行構造調整が始まるという点だ。昨年に適正な時期までの是正猶予措置を受けた貯蓄銀行4行のうち、どれほどが構造調整対象になるかは、まだ不透明な状況だ。構造調整対象になるおそれがある4行はいずれも大型なため、1ないし2行だけが営業停止処分になるだけで、最少でも5兆ウォン以上の資金が必要になるものと見られる。
 この結果、預金保険基金の赤字規模が現在のような傾向で増え続けることになれば、国民の税金で補填しなければならなくなることも考えられる。預金保険のある関係者は“昨年借りたお金は、金融会社から受け取る保険料で返していくことができるが、今後貯蓄銀行問題でさらにお金が必要になれば、それを返済する有効な手段は現在としてはない”と話した。


 いかがだろうか。ちなみに初赤字というのは貯蓄銀行だけでなく全金融機関アカウントを含めてのものだ。全金融機関から入る年間の預金保険料が1兆3千億ウォンなのに対し、2012年中に償還しなければならない公社債が5兆7千億ウォンに達している。さらに都市銀行から調達した9兆2千億ウォンの元利金償還も含めると、貯蓄銀行どころか預金保険が破綻してしまいそうなほどだ。もちろん預金保険の収入は各金融機関からの保険料だけとは限らない。営業停止になった貯蓄銀行を詳しく調査して、不良債権の処分が上手く進んで再出発できる環境が整えば、出資者に売却して売却益を得ることが出来る。とはいうものの、もはや金融機関と名乗ることすらおこがましいような貯蓄銀行の清算で、黒字が出るのかどうかは疑問だ。

 預金保険は、不良化した貯蓄銀行の引き受け先は、やはり金融持株などの大手金融業者が妥当だとしている。しかし一時は金融機関としての規模拡大をメリットと捉え、不良化した貯蓄銀行を買収していた金融機関も、第三次構造調整のころになると拒否の姿勢を示し始めた。
 一連の構造調整以前の引き受けは同業の貯蓄銀行が多く、また建設業者など金融業の経験のない企業もしばしば引き受け手になっていた。しかし同業者引き受けでは、釜山貯蓄銀行(第一次構造調整対象)やソロモン貯蓄銀行(第三次構造調整対象)のように、規模拡大を追求するための手段として買い取り、結果的に不良の拡大再生産を生じさせた例や、プライム貯蓄銀行(第二次構造調整対象)のように、グループの新たな資金源として横領や不正融資の温床となる事例が相次いだ。このほか、金融当局は第一次構造調整直後に8・8クラブへの規制緩和を撤廃しているため、すでに規模の追及で利益が得られる構造も失われている。


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