映画探偵室 -2002ページ目

Z

もう旧聞に属するかも知れないが,一度は書きたいと思っていたこと。ジダンの事件です。日本人は自国内の差別について鈍感すぎる上に,海外での事情に疎すぎる。マスコミもしり込みして正確な解説をしない。ジダンがあの時なんて言われたかは定かではありませんが,想像はつきます。ヨーロッパに行くと「Z」に良く出会います。彼らを差別する意味でなく,知っておきたいアルファベット,それはZで,有名なタバコの「ジタン」もジプシー(これは蔑称と言われている)の踊り子をデザインしたものです。かのザンパノもジェルソミーナに故郷(くに)を聞かれて「どこでもいいじゃないか」と答えています。哀しい映画「ピアニストを撃て」のアズナブールもその出自を隠してはいません。コスタ・ガブラス監督,イブ・モンタン主演による「Z」というギリシャ映画(政治フィクション)もありました。イブモンタンもイタリアからの移民でした。

醜男ではなく真の男前

チャールズ・ブロンソンがヒゲの生えた顎をなでて,確かに「ウーン,マンダム」と言ったのは衝撃的だった。

「男の世界」というバック・ミュージックも手伝って,美男ではない男でもいい男になれると信じさせてくれた。

この頃,ブロンソンはアメリカの大物俳優としてフランスに招かれ美男俳優として名高いアラン・ドロンと共演し,男振りを一段と上げていたのだ。

醜男であることをズバリ,テーマにした「マーティ」という映画に出たアーネスト・ボーグナイン。味のある俳優だった。

そして醜男であることを全く感じさせない最高の国際俳優アンソニー・クイン。数々の映画の中でも,晩年の「老人と海」(注:スペンサー・トレーシー出演のものとは違う)は本当に良かった。

TVも有難い

このブログを始めてから必ず書こうと思っていたトピックの掲載が果たせないうちに,昨年の暮れに久世光彦氏の訃報を聞く羽目になってしまった。向田邦子との連携による仕事をはじめとして功績は計り知れない。中でも寺内貫太郎一家の番外編として制作された「さくらの唄」はその主題歌(「さくらの唄」:これはカッティングされなかった)を歌った美空ひばりと共に強く印象に残っている。詳しい話は氏の「マイ・ラストソング」をご覧ください。韜晦で鳴らした氏のことゆえこの本にも書いてはいないが,この唄の歌詞(なかにし礼)には西行の辞世の句が隠れていると思っている。若山富三郎の父親が知恵の遅れた娘の桃井かおりに,それが人間の道に反することになる故(相手は既婚者の田村正和),その叶わぬ恋をあきらめるよう諭す最後の場面はとても哀しかった。