映画探偵室 -2003ページ目

コマーシャルは有難い

「映画で見せた顔をまた見せてくれる」という意味でも,「映画では見せなかった顔を見せてくれる」という意味でも,日本のコマーシャルに登場するスターにボクは好意を持っています。ちょっと前に生命保険の(?)CMに出てただ笑っていたユアン・マグレガー。あの笑い方をどこかのサイトでは「軽薄」と評していましたが,あれは生きるということ,命の切なさを一杯に表した他人への励ましなのです。あのような笑い方ができる俳優は現在ユアン・マグレガーしかいません。演技ではない。人間の品格,オーラです。かつて同じレベルの(つまり一切の批評を超えた)顔を見せたスターにジェームズ・ディーン,アラン・ドロン(もちろん存命中),そしてブルース・リーがいました。あのコマーシャルを見た世のご婦人はつい,その生命保険に入ろうと思ったのではないでしょうか。愛する者のために。

トミー・リー・ジョーンズ

クリント・イーストウッドがアカデミー賞を貰ったこともあり,最近トミー・リー・ジョーンズが「Boss]のコマーシャルに出ているので二人が共演した映画を取り上げてみました。

スペース・カウボーイ,まさしくイーストウッドらしい現代版西部劇でした。夢が果たせずにもはや老い,落ちぶれているかつての「男」たちが再起を賭けたチャレンジをする。そこに野心だけはある若者も参加する。体力の衰えを嘘とゴマカシで乗り切ろうとするところなど,今のワタシには共感できるところも一杯ある。途中がまた泣ける。帰れぬと知りながら「俺の夢は月への一番乗りだった」と言いながらカウボーイ魂を追い続けたトミー・リー・ジョーンズが満足げに月で横たわっていると,そこへ「星に願いを」が優しく流れる。

しかし,ワタシの一押しは地上指揮を執ったウイリアム・ディベインと共演した「ローリング・サンダー」だ。べトナム帰りで暴力的な刺激の中にしか「生きている実感」を持てなくなった男たちが,理不尽にも仕向けられた地獄へとまっすぐに向かっていく。

クリント・イーストウッドが西部劇を愛したがゆえにマカロニウェスタンに出た一方で,正統派西部劇を追及したサム・ペキンパーも別の面から終始「男の伝説」を扱っている。一押しはやはり「ワイルド・バンチ」でしょうね。いずれまた詳しく。

大地は揺れる

主人公が最も大事にしていた断片はヴィスコンティの「大地は揺れる」からのワンシーンでした。漁民の反抗を扱ったこの映画が何故(映画の中では)削除の対象になったかは,海岸で潮風に吹かれている庶民の娘があまりに官能的すぎる,という理由でした。まさしくこれだけで「大地は揺れる」(映画館内では少年達の手もせわしく揺れていました)のです。このシーンはその後のキスシーンと共に削除されたのでした。これで何故「ニューシネマパラダイス」なのかお分かりいただけたでしょうか?(もちろん,ボク流の解釈です。)