貧困肥満とヘルスリテラシーについて -ハラリの「ホモ・デウス」より | S blog  -えすぶろ-

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-人は年をとるから走るのをやめるのではない、走るのをやめるから年をとるのだ- 『BORN TO RUN』より
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今日、食べ物が足りなくて死ぬ人の数を、食べ過ぎで死ぬ人の数が史上初めて上回っている。感染症の死者数よりも、老衰による死者数のほうが多い。兵士やテロリストや犯罪者に殺害される人を全部合わせても、自ら命を絶つ人が数で凌ぐ。21世紀初期の今、平均的な人間は、旱魃やエボラ出血熱やアルカイダによる攻撃よりも、マクドナルドでの過食がもとで死ぬ可能性のほうがはるかに高い。

俗説では、18世期には、大衆が飢えていると聞いた王妃マリー・アントワネットが、パンがなければケーキを食べるように言ったとされる。そして今、貧しい人々は文字どおりこの勧めに従っている。ビバリーヒルズの富裕な住人たちがレタスサラダや、蒸した豆腐とキアヌを食べる一方で、スラムやゲットーでは貧乏人がクリーム入りのスポンジケーキやコーンスナック、ハンバーガー、ピザをお腹にたらふく詰め込んでいる。

2014年には、太り過ぎの人は21億人を超え、それに引き換え、栄養不良の人は8億5000万人にすぎない。2010年に飢饉と栄養不良で亡くなった人は合わせて約100万人だったのに対して、肥満で亡くなった人は300万人以上いた。

 

現代の人間はどうしてこれほど甘いものが好きなのか?21世紀初頭の今、私たちは生き延びるためにアイスクリームやチョコレートをお腹にたらふく詰め込む必要はないのだが、石器時代の祖先が甘い果実や蜂蜜を見つけたとき、最も賢明なのは、なるべく多くをなるべく速く食べることだったからだ。

 

「ホモ・デウス」で著者ハラリはこのように現代の世界で発生しているいわゆる「貧困肥満」問題について語っています。

俗説では、18世期には、大衆が飢えていると聞いた王妃マリー・アントワネットが、パンがなければケーキを食べるように言ったとされる。そして今、貧しい人々は文字どおりこの勧めに従っている。

安くて腹に溜まり調理不要か簡単な食べ物は炭水化物が主体です。摂り過ぎれば人体の生理上、確実に肥満に結びつきます。

日本なら、上記の他にも、おにぎりや菓子パンとインスタントラーメンとか、外食ではチャーハンや丼ぶり等とラーメン・うどん等のW炭水化物セットとか(私も昔はよく食べてましたが)・・・

動物である人間の体には他の動物同様、「飢餓」に対する様々なセーフティネットが構築されていますが、「常時飽食」「加熱デンプン・砂糖等純度の高い糖質過剰摂取」という現代の正に「夢のような」食生活は想定外なので、ほぼ無防備状態。そういった食生活は確実に肥満・高脂血症・糖尿病等々、様々な不具合へと直結していきます。。。

 

今後の人生100年時代、「健康寿命」をいかに延ばすかが、個人にとっても社会全体にとっても、今より更に重要になってくることは明白です。そんな時代だからこそ、健康に関する情報を収集・理解・評価・活用できる力、「ヘルスリテラシー」がとても重要になってくると思います。

ハラリが、ビバリーヒルズの富裕な住人たちがレタスサラダや、蒸した豆腐とキアヌを食べる一方で、スラムやゲットーでは貧乏人がクリーム入りのスポンジケーキやコーンスナック、ハンバーガー、ピザをお腹にたらふく詰め込んでいる。と指摘する通り、富裕層と貧困層の健康格差問題の一つには、この「ヘルスリテラシー」の格差があると思われます。

ランニング・糖質制限食・一日一食を実践している私のこのブログも、ささやかながら、どこかの誰かの健康・ヘルスリテラシー向上にちょっとでも貢献できればと願っています。

 

ヘルスリテラシー

健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの

 

●貧困肥満問題も含む日本の健康格差の現状を、NHKスペシャル取材班が追ったこのドキュメント本も読みました。給食が無い休みの期間に家庭で炭水化物に偏った食事を与えられて太ってしまう気の毒な子供達の話等も載っていました。

 

●糖質制限関連記事と本

「炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】」①私の糖質制限体験と糖質制限についてのおさらい

「炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】」②「食べ物=カロリー」は19世紀科学の古びた仮説

 

 

「甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体」書評

 

●人生100年時代の記事と本

「LIFE SHIFT(ライフシフト) -100年時代の人生戦略」感想