「炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】」②「食べ物=カロリー」は19世紀科学の古びた仮説 | S blog  -えすぶろ-

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今回はカロリーについてです。

 

 

前作と今回の最終解答編の2冊を読むと、「食べ物=カロリー」という考え方の誤りが良く理解できます。

摂取カロリー<消費カロリー、カロリー制限すれば痩せる等といまだによく使われていますが、、、

 

前回の記事はこちら↓

「炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】」①私の糖質制限体験と糖質制限についてのおさらい

 

●カロリーについて

 

・食物のカロリー≒(食物を燃やした熱量-それを消化して排泄された便を燃やした熱量)×各栄養素の消化吸収率(92~97%)

というのがカロリー算出の計算式。これにより炭水化物とタンパク質=4kcal/g、脂質=9kcal/gという数字が割り振られた。

 

・これは19世紀の科学者が熱力学を応用して考え出した仮説に過ぎない。

インプット=石炭→アウトプット=蒸気機関動力 

を人体にも適用して

インプット=食物→アウトプット=身体活動

と考えられるとした。

食物は炭水化物もタンパク質も脂質も全て体内でエネルギーに変換されるという前提の数式だが、全てがエネルギーとして使われるわけではない。

 

・タンパク質は各種アミノ酸、脂肪は各種脂質に分解されて体内の各細胞の成分としても使用される。

人体では毎日約1兆個もの細胞が入れ替わっている。食物から摂られた栄養はエネルギーだけでなくここにも使われている。

 

・人間の便は、はがれた腸管の細胞と腸内細菌(死骸も含む)が大量に含まれていて、食べ物のカスだけではない。

「食べ物の熱量-便の熱量=カロリー」という計算式は成り立たない。

 

・腸内には腸内細菌が数百~数千種、百兆とも千兆個とも言われる程大量に生息している。その大量の腸内細菌それぞれが腸内で人間が食べた物を食べ消化して排泄するという「代謝」を行っている。人間にとっての摂取カロリーの総量には、食べた物だけでなく、この腸内細菌が食べカスを代謝して人間に有用な栄養に変えてくれた分も含まれる。

 

・草食動物の場合で考えると分かり易い。草はカロリーで考えると超低カロリーのはずだが、牛は草だけであれほど大きな体に成長して栄養豊富なミルクまで作り出せている。摂取カロリーに見合わない膨大な消費カロリー。

牛は4つの胃を持っているが3つは腸内細菌の農場ようになっている。ここに共生している細菌達に植物のセルロース(消化器官では消化できない)を分解してもらい、細菌達の代謝によって牛に必要な栄養素を作り出してもらっている。更に胃から腸に流れていく細菌自体も牛の栄養源になっている。

 

・パンダは熊なので元々肉食でいまだに腸は肉食獣のままだが、草食動物と同じく植物のセルロースを分解できる腸内細菌を持っているため、竹を食べて生きていける。

 

・人間でも青汁だけしか摂らずに健康に生きている日本人女性も存在する。この女性も腸内細菌叢を調べたら牛に近いレベルだったそうだ。

 

カロリーについて2冊には以上のようなことが書かれています。なので

「食べ物=カロリーは仮説」に過ぎないが、現在も「健康の為に低カロリー食を」等と私達を惑わし続けている「19世紀科学の亡霊」とでも呼べるものだ、ということです。

 

腸内細菌も現在研究がどんどん進んでいて、消化や栄養関連だけでなく、体質や他の病気との関連等についても解明されてきていてとても興味深いです。

精製された糖質がダメ、というのはもう確定した事実だと思うのですが、「じゃぁ何を食べればいいの?」という疑問が残ります。著者は牛・豚・鶏も人間と同じく穀物による飼育が主流となっているが、大量の穀物栽培自体そう遠くない将来に破たんすると語っています。そこで著者のイチオシは「虫」(笑)。牛や豚と違い、エサを大量に摂取する必要の無い変温動物であり、なおかつ栄養豊富で養殖も簡単だから。

私は大腸内にいる腸内細菌による植物の繊維質(炭水化物の一部)分解→人間の栄養化、つまり菜食というのも重要なポイントなのではないかと思っています。植物からの独立戦争と本書では謳っていますが、腸内細菌の人体への影響の大きさ・重要性がここ数年でかなり分かりつつあるので、大腸まで消化されずに届き腸内細菌のエサとなる繊維質は重要なのでは?と思っています。私も熊からパンダに変わるべきか(笑)

これについてはもう少し勉強してからあらためて書きたいと思います。