これまで、昔のことが語り継がれ

てきたが、大河ドラマ「光る君へ

」を見てか、絵もその内のひとつ

妙な夢枕をみるようになった。

 

季節は移りゆき、川の流れの如く

時が過ぎてゆき、時代は変わり、

闇の中で蠢(うごめ)く都。

 

 

「小柴垣草子」

京都に都があった頃に描かれた一

枚の絵巻・「小芝垣草子」がある。

この絵は寛和の変の4日前、つま

り寛和2(986)年6月23日に若

い花山天皇が出家し、幼帝・一条

天皇が践祚したという、摩訶不思

議な事変を題材としている。

 

 

 

醍醐天皇の孫の斎宮と小芝に伏した警護の武士(寛和2(986)年の変)

 

Enjoy「小柴垣草子」(月の影)

枕絵の「小芝垣草子(こしばが

きぞうし)は絵巻物(十図)。

 

夜が更け、月が男女を照らす。

小柴のもとに伏したる男。

その男に小袖一枚を引きかけ縁

の下で寝ているこの男を踏みつ

け起こす女性がいる。

白く美しき肌に、黒くある月の

影を見出したる男。

心がまどひ、いわずもがな、あ

とは語らずとも…。

 

平安時代末期の頃の作と言われ

ているが、いつ、誰が描いたか

不詳。

斎宮の済子(なりこ)女王が、

伊勢神宮の済宮となり、野々宮

で斎戒沐浴していたときに、警

護野武士・平致光(たいらむね

みつ)を誘惑して密通したとい

う噂がたち、伊勢ゆきをとりや

めになった。ということが『十

訓抄』(1252年)に記されて

おり、これが絵巻に残されてい

る。

 

この絵巻は一説に詞書が後白河

法皇で、画が住吉慶音といわれ

ているが諸説あり、この絵も江

戸時代に描かれたもの、写本で

あり、もとの原本がない。

本画巻は、月の夜に済子が縁に

腰かけて美男の武士・致光を誘

惑する場面から始まり、幾度も

逢瀬を重ね男女のさまざまな営

みの姿が描かれてゆく。

 

 

 

野々宮での済子平致光の密通(絵巻「小柴垣草子」)

 

昔も今も変わらないのが憂き世。

浮き世とあの世の得も知れない

快い夢のような世界を描く枕絵。

最近夢のなかで朝方に枕絵が登

場する夢枕をよくみるようにな

った。

 

 

 

 

野宮神社(京都市右京区嵯峨野宮町1)

 

 

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