季節が移り変わり、ときが流れて

ゆくが、時代が変わても、ひとが

人を恋するこころは、かわりない。

 

参議等

平安時代の頃に詠まれた百人一首。

参議等の歌もそのひとつである。

参議等とは源 等(みなもとのひと

し)のこと。

参議等(880-951)は嵯峨天皇の

ひ孫にあたる。60歳に宮中の相

談役の参議に昇進している。

 

 

参議等こと源等(880-951。養朴常信画・画帖)

 

参議等の歌は『古今和歌集』の「

詠み人しらず」の歌

浅茅生の小野の篠原

しのぶとも人知るらめや

いふ人なしに

を本歌としている。

(心の中に想いを忍ばせていても、

あの人はわっかっていてくれるだ

ろうか、いや、だめだろう伝えて

くれる人がいなければ)

 

参議等の百人一首の歌(39番)

 

 

参議等の「あさじふの」の歌

 

浅茅生の小野の篠原

しのぶれどあまりてなどか

人の恋しき

 

浅茅生(あさじふ)は小野(をの)

に懸かる枕詞。たけの低い茅(ち)

がまばらに生えている野原のこと。

浅茅生の小野の篠原は「しのぶれ

ど」の序詞。

「しのぶれどあまりて」は、どう

してあなたがこんなに恋しいのだ

ろうか。

と、詞書に「人につかはしける(

人に詠んで贈った歌)」とあり、

恋人の彼女に贈った歌。

 

「北斎百人一首うばがゑとき」

百人一首の多くが恋心を詠むなか、

これを北斎が歌にあわせ「北斎百

人一首うばがゑとき」で、描いて

いる。

浅茅生の小野の篠原

しのぶれどあまりてなどか

人の恋しき

(小さな野辺に生える篠竹のように、

運命を耐え忍んでいますが、なぜこ

れほどまでに悲しいのでしょうか)

 

 

 

「北斎百人一首うばがゑとき」(北斎が描く歌の風景画)

 

北斎の絵

陽が沈む。

うつむいた源等が水田と葦の原を

隔てた畦道をゆく。

稲をかりとった5人がおり、沼地

に靄(もや)がかかり、ふたりの

供を伴い、畔道には平伏している

2人がいる。

源等の恋心と重ねた北斎の風景画。

 

 

 

参議等こと源等(「北斎百人一首うばがゑとき」)

 

 

 

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