普通考えると「この会社は欠品が多い。在庫保持がぎりぎりなんだろう」あるいは「この会社は在庫が多いなあ。そのかわり欠品は起こさないだろうね」ってありそうですが、現実はそうではないことが多い。つまり「欠品を起こす会社は在庫が過剰」「在庫の多い会社は同時に欠品率も高い」

欠品多い、すなわち狙ったブツが集めきれず、その分狙いでないブツをかき集めている。担当者の仕事の向く方向も同じことで、会社の役に立たない仕事をひたすら残業してやっているイメージ。予測が外れている、あるいは予測すらしていない。

なので「欠品」「過剰在庫」はセットで発生している。

「予測」→「実行」→「実行できたか?」→「できなかったのはなぜ?」→「予測がずれたか?」→「なんで予測がずれた?」→「新しい予測」。。。この繰り返しにしか回答はない。

 

 

 

在庫が多い、購買は在庫管理ができてい無い、と言われる。多い、とか高い、というのは何かと比較して言って初めて意味がある言葉だ。170センチという身長は日本人の成人女子としてはまあまあ高めであるが男子のサッカー選手としては低め。海外の基準で見ればちびっこである。「昨年の同時期にくらべて1割増加しているから多い」というのならわかる。しかし昨年の同時期に比べて販売予定はどう変化しているのか?によっては「多すぎる(から減らせ)」という単純な判断はできない、むしろ今後の販売予測を考慮すれば少なすぎるから今は在庫を積む、のが作戦として正しいこともありうる。なぜこのような物言いを車内に許すことになるのかといえば、「在庫計画」が無いことに尽きる。これこれの販売予測の元、これこれの資材調達状況を考慮し、当社の資金状況を考慮し、在庫のあるべき数量はこれこれである、これが在庫計画である、という理論武装ができていないからである。むろん環境はつねに変化する。戦況は日々移り変わる。 この条件がこう変化したので在庫計画はこのように変更する、とういうアップデートは常に必要だ。その上で「先月の販売予測がまったく外れたため在庫計画が達成できない、どうしてくれる?」という関係各所への「攻撃」が必要になる。これは購買部、あるいはサプライチェーン部の活動やモチベーションを守るという局所的な理由で言うのではなく、最終的には会社あるいはグループ全体の生き死にを左右することになる可能性があるからあえて強調させていただきたいのだ。

 

 

 

基幹業務システムはあるがWMS(倉庫管理システム)を持っていない会社では何が起こるだろうか。「今期の売りの目標に対して在庫が多すぎる」かあるいは適正かどうか。例えば材料Aの在庫が100個あったばあい、システムから吐き出した在庫データは

部品A  数量100

以上?これ以外に100個中50個は去年の12月に入庫したロット番号xxx

のこり50個は先月入ったロット番号zzz. といったデータは取り出せるだろうか。

基幹システムのみで在庫を見ている場合、多くのケースでこういった全体数量を納入時期で深掘りしたデータが出しにくい(ことが多い)。そうすると100個の在庫の中で何個が長期滞留在庫で、何個がそうでないか、という分析ができないことになる。わからないデータは往々に長期放置され、なんでこんなに買ったんだっけ??という記憶は担当者がいなくなってますます倉庫はブラックホール化するのであった。。。

 

(在庫の多い少ないは多分に発言者の感覚による部分が多いケースが多いのではあるがこの点はまたあらためて書きたい)

 

 

 

時々品質保証部の無い会社に出会います。だいたいはエンジニアが見ているから大丈夫!ということなんですが、バイヤーとしては心配になりますね。例えば長さ100ミリの黄銅丸棒を100本買う場合。長さの精度をどうするか。±0.08ミリで作ってくれと要求する(この精度でないと組み立て時に問題が出る、と想定)。はいできます、と仕入先。さて、この100本を仕上げるために彼らは何本作業するのだろうか。

120本作業して20本程度は仕様の外になってしまう、と考えるのか。あるいは仕様が厳しすぎるため40本は失敗する可能性があると見るか。それによって製品単価は変わってくる。そういったことを会社として考えていただいていますよね?という問題。バイヤー企業にとっては納期に100本きっちり入ってくれば問題なし。しかしその裏で統計的手法を元にした科学的根拠で仕入先には進めていただく必要がある。さも無いと納期になっても100本揃わない、または100本揃ったかに見えて先方の出荷検査で大量にスペックアウトしていたりする。

いろいろな理由があり小さめの会社と付き合わ無いといけ無いケースはありうる。しかし仕入先管理の観点では違ったスキルが必要とされる。大企業の優秀なリソースにおいては当たり前のことが実はあたりまえでない世界も存在する。

 

 

 

前回の「購買のGoogleとのつきあい方」にそれなりに「いいね」がついたのでまた検索ネタ。

 

Googleで出てこないような会社の検索に使えるサイトとしては

 

製品ナビ

株式会社インコム運営。製品を載せるのは無料。オプションで企業情報の詳細を載せた簡単なウェブサイトも作れる(年間36万円) 推定登録企業数9548社。

https://www.incom.co.jp/

 

NCネットワーク

株式会社NCネットワーク運営。 登録企業数公表17264(会員数)掲示板も運営。

掲載は基本無料、オプションで詳細情報が載せられる。

http://www.nc-net.or.jp/

 

イプロス製造業

株式会社イプロス運営。掲載会社数公表37251社。掲載は基本無料、オプションで広告など追加機能がある。

https://www.ipros.jp/

 

などがある。中には自社のサイトを持たず、こういったポータルにのみ現れる会社もある。家族経営式で製造キャパも限られる会社は特段ビジネスを急激に拡大しようという意図も無いのだと思う。品質管理担当者も居なかったりするため、品質保証の部分までバイヤー企業が引き受けないといけないケースもあり、もしお付き合いするの出あれば、普段より「仕入先を育成する」マインドが要求されるという覚悟が必要。

 

 

 

 

 

新規サプライヤーを開拓せよ、というミッションを受けて購買が使う検索エンジンgoogle。検索窓にどんなワードを入れて検索するか。ノイズを拾わない為の検索テクニックとは何か?理解しておくことが必要。国内の板金加工を探したいのか?荒川区限定のレーザー加工業者を探したいのか?インドネシアにある靴製造のアウトソーシング先を探したいのか?定期的に購買チーム内でも検索知識の共有化することをおすすめしたい。google様は常に改善を行っている。

https://www.google.com/advanced_search?hl=ja&fg=1

さてさて、とはいえgoogleに出てくる会社が全てでは無い。ウェブサイトは持っていても検索にあがってこない、またサイトすら持ってい無い会社もまだまだあります。

逆に言うと金を払えばそこそこ見栄えのするサイトが完成する昨今です。良さげな会社にみえても品質ボロボロなんてのはお付き合いすると悲惨です。くれぐれもネットを過信しないように。

検索エンジンはgoogle以外にもありますのでご参考まで例をあげます

 

ipros製造業

https://www.ipros.jp/

 

 

 

倉庫と言って我々が通常イメージするのは完成品あるいは原材料が次のプロセスに移動するまでのあくまでも暫定的な置き場、という感じだが、最近はどうも様子が違っている。海外から輸入したものをいったん備蓄して国内の顧客へ発送する、といった一見普通の倉庫でも、検査データを同梱するとかあれやこれやを箱に詰めてキットにして、とか、なんらかの作業が行われている。あまりに作業が多すぎて、「これって倉庫というより工場では??」なんて状況もある。

であるので倉庫管理マネージャーとして雇われた人が、実はこういった工場っぽい作業プロセスの改善の経験がなくて困る、ということもあるようだ。

こういう倉庫では受け入れから出荷までそれなりにリードタイムがかかり、それを改善するような仕事は単なる倉庫番ではなく製造業の工場長か製造部長の方が向いている気がする。

改善の為にはプロセスを分解して最適化する必要があるのであるが、そもそもその作業要るの?という観点は重要である。最先端の計測機器を輸入販売している会社の企業価値はあくまで「最先端の計測技術」の提供なのであって、「もれなくテストでーたがついています」では無いわけ。客はそこには金を払わない(ついてて当たり前だし)。とすればもっとそこのとこをうまくやってくれるサードパーティ、あるいは輸出してくるもとのところで同梱させるべきだろう。

 

 

 

食堂の皿洗いという仕事に対して、実際の洗いがオペレーションとすれば、食洗機の選定や洗いやすい皿の選定などは戦略的なお仕事と(あえて)言える。企業活動のデスクワークであっても同様、数ヶ月先の予測をたてて準備する仕事もあれば、直近の注文書発行もまた必要な仕事である。大事なのは直近の仕事におわれて将来に芽吹く為の種まきができていますか、ということ。

あなたがその種まきの時間を十分に取れるよう資材購買のオペレーションを下請けいたします

https://rockit-procurement-service.business.site

 

 

 

 

 

 

こんな記事があった。

 

標準購買履歴データフォーマットが採用されました

標準化を通じたサプライチェーンのデータ連携の推進に向けて

http://www.meti.go.jp/press/2018/01/20190115005/20190115005.html

これによると

「正確な消費者理解に基づく製品・サービスの開発・提供に役立つデータとして、購買履歴データがあります。他方、多くの場合、購買履歴データは事業者ごとに異なったフォーマットで生成されており、提供された購買履歴データを他の事業者が活用するためには変換テーブルの作成やデータクレンジング(データ項目の修正等)が必要となるため、効率的な利活用が困難でした。
そこで、経済産業省では平成30年6月に「標準購買履歴データフォーマット」策定し、効率的な購買履歴データの活用に向けた環境整備を行いました。:」

つまりセブン&アイホールディングスのような会社がコンビニで取得した「顧客の購買データ」をグループ内の百貨店とかでスムーズに活用できるような基盤整備がされるということだ。セブンの場合はすでにもうある程度の連携ができているのかもしれないが、今回実証実験に参加したローソンなどはこれからというところなのだろう。これはBtoCの世界だが、BtoBの世界に展開したら。。。電子部品や医療機器、顧客がコンシューマーでなく企業、医院であるといった業界でもシナジーを期待したグループ化が盛んだ。半導体の商社がブループ内にアッセンブリー工場を持っていたりする。そんな環境で1社が取得している販売のデータを他社でもシームレスに利用できれば販売計画のみならず生産計画、在庫計画といったサプライチェーン全体のメリットになるだろう。業界全体で大量な売れ残りを持つこともなくなる。。。どの企業と組むのか、ビッグデータをどう活用するのか。データを巡る企業戦略に注目したい。

 

 

 

 

 

 

 

とある上位製品が何かの都合で生産中止となる。他の製品に使っていないいわゆるユニークな部品材料である場合、あるタイミングで仕入先への発注ロット変更するなど対応しないと余計な購入を行ってしまい、最終的に廃棄せざるを得なくなってしまう。製品廃止の場合の手順を決めておかないためにこのようなことが起こるが、こういった件の責任を一購買担当者のミスということで片付けてはいかないだろうか。担当者が見ていないから、ということで減給対象としているところもある。

人を憎まず、プロセスを憎め。で、この機会を教訓にしてあるべき手順を構築したい。

生産中止でなくても、新製品の導入による製品ラインの入れ替えはよくある話だし、

それによって購買、また仕入先は大きく影響を受ける。

購入量が今後減るとしたら、影響の大きい仕入先にはコミニケーションしていく必要もある。