営業が受注すると必要部材を計算し、いっきに発注。部品点数が多いので購買から営業から総出で注文書を発行しまくる。お客と合意した納期が超短納期のため、材料の注文書上の希望納期はいつでもASAP. これでは価格交渉もできず値段は仕入先の言い値。嵐のようは発注と受け入れ処理を乗り越え、一休み。そろそろ価格交渉しようか??と言っているうちにまた次の受注! こういった繰り返しで価格交渉に取り組みたくても取り組めない会社は多い。

良い購買とは時間の半分以上を未来のためにつかう。次の発注を余裕を持って行えるように営業の受注するときの製品リードタイムは何日にしてほしいか伝える。まえもって価格交渉行えるように年間の購入数を見積もるための数字をマーケティング部門へ要求する。大量の注文書をいっきではなく日程的に分割して出せるように発注リードタイムを更新しておく。こういった前仕掛け(未来のための仕事)に時間を使うことで後工程になる発注作業を手早く効果的に行うことができる。

 

 

 

 

「ちょっと近くまで来たのでご挨拶させていただけませんか」と電話してくる仕入先の営業マン。先方の営業プロセス管理がどうなっているか、という問題は別としてこういう申し出に全部対応していると購買担当の時間が無くなってしまう。これは7つの習慣でいうところの「急ぎではなくかつ重要で無い」仕事のカテゴリであり、これによって物事を中長期的に改革していく、ということを阻害していく。購買担当だけの話では無いが、「急ぎでは無いが重要なこと」というのに時間をとって取り組んでいくことがないといつまでたっても組織は火消し仕事だけに追われて進歩しない。仕入先との打ち合わせはその重要度によって年間の予定を定め、フォローする案件を決める。定期的な会議においてはその議題を集中して討議し、次回までのアクションを決めるのが肝要。その上でどうしても会わないといけない緊急事態のみ飛び込みも可とするのがいいでしょう。

これによって重要な仕入先との対話がされないまま1年経ってしまいました、なんてことも避けられますしね。

 

 

間接材購買戦略 間接材購買戦略
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担当のだれそれさんが休んだので代わりの人が仕入先に連絡して注文書を入れ無いといけない。そんな時にそのものを

どこから買えばいいのか、その会社の担当者が誰なのか、データベースはあるだろうか。別途エクセル表を見ながら

発注システムに注文先のコード番号を打ち込む、宛先は担当営業がついていないのでブランク、ということは無いだろうか。エクセルの表があっても更新されていない、すべては担当者の頭の中、ということでは仕入先の力を最大限生かした購買への道は遠い。人と同じで会社も一人では生きられない。その道のスペシャリストである仕入先の知見をもって新たな価値を生み出している。注文書を発行できればいいや、ということではそのプロセスは単なる流れ作業。データベースがあることを前提とした上で、購買担当者は仕入先の営業担当を発注プロセスという作業の中に一心同体的に巻き込んで行かないといけない。

購買部門は忙しいので、こうしたマスターを整備する人の仕事は後回しになりがち。しかしサッカーチームのグランドキーパーのように仕事の土台を整備する人は購買のプロセスのひとつの大きな貢献としてしっかり評価しないといけない。

 

 

 

 

 

受け入れ検査に力を入れている購買がある。納入された材料を開封し、たとえば外観不良があれば傷など発見し、仕入先に連絡して返品し代納を要求している。海外品などだと、日本人と美観の感性が違うとかで仕入先と意見が合わ無い場合もある(その場合は代納品はなし)。聞けばすべての材料を検査しているわけでは無いという。

ここで問題がある

どれを検査してどれを検査しないか誰が決めているのか?

不良品か良品かを判断する基準は文書化されて仕入先と取り交わされているのか?

不良となった材料は廃棄するとすれば費用はどの部門で社内処理されているのか?

廃棄費用は製品原価に適切に反映されているのか?

そもそも不良品ありきのプロセスになってい無いか?品質改善は仕入先で行われているのか?

不良となった数量は追加の手配が必要になるが生産計画に間に合うのか?

等々。

不良が頻発しだすと、現場としても不良があって当たり前のプロセスが横行しているケースが多い。中には「不良対策課」のような部署が常設であったりするとこれはジョークか??と思う。そもそも仕入先での品質管理がきちんとしているのが

仕入先選定の条件でなくてはならない。

発注計画をどうするか?
①営業から年間販売計画と先四ヶ月を入手。そのうち先一ヶ月は確定させる。(どこまでを確定させるかは製造リードタイムに関連するがあまりに長いレンジだと営業は嫌がるのが常)
②前回入手した計画と比較し、問題ありと突っ込むべきところは修正を依頼
③必要部材数にブレークダウンし購入計画として月別に割り振る。
コアな材料については仕入先と協議し、問題を洗い出す。必要に応じて補完する仕入先の検討。
④洗い出したリスクと対応策を合わせ生産管理部門と協議。生産計画を策定する。

営業の販売計画に対して問題全くなし!というのは基本あり得ず。いかにリスクを見つけて走りながらつぶしていくか。もっと言うと、「問題ありません」というのが最大のリスクなのである。

品質保証部の役割はまずは自社製品の品質保証であるが、製品の品質を構成する一部として仕入れた材料の品質も考慮しなければならない。通常は規定の品質が保証された材料に頼って完成品の品質が成り立つ。しかしながら材料の品質不良問題は常に購買を悩ませる課題の一つであり、そういうときに車内で相談出来る部署がなかなかない。品証部は自社製品のケアで手一杯。部材の問題まで頭が回らない。
購買としては材料の採用時に極力品証を巻き込み、安定かつ高品質な部材の納入仕様書を固めるべきであろう。良くあるのはこちらが求める仕様を明確にできないために仕入れ先の仕様書をスルーで受けてしまうことだ。仕様の合意が上手くできれば納入時に問題は起こらないはず。起こったとしても仕様書を見て相手に指摘して粛粛と進めることが出来る。また品証部に問題を丸投げすることないように購買担当としても品質管理の基本原則をよく理解しておくべきだろう。
あそこの会社の購買は勉強不足で嘘つき、二度と付き合いたくない、なんて言われたくないですね。営業と並んで購買は社外との窓口、ちゃんとした会社だ!と言われるためにも購買担当の立ち居振る舞いは大切。正直で公平、そんな購買指針を掲げる会社も多い。
下請法は定期的に最新版を確認し購買の組織内で勉強会を行おう。くれぐれも下請法を守っていればオーケーというわけではなく、こらは最低の条件。買い手は比較的優位な立場で仕入れ先と相対するのだから、独占禁止法観点からも不当に優位な立場を利用してはならない。お互いにとってフェアなビジネスを行おう。
生産管理と購買は組織的に独立分離すべきであろうと思う。独立というのはそれぞれに長が居て関係性が対等という意味で。購買は材料の調達リードタイムを提示し、生産管理はそれと製造リードタイムを合わせ検討して生産計画を立てる。一旦立てた生産計画を守るべく購買は材料を集める。集まらなければ購買と生産管理は計画の修正を議論しなければならない。それでは同じグループの中に入れておけば良いではないかと言う意見はあろうが、同じ枠に入れると、議論が担当者レベルのグダグダになりがち。出来ること出来ないことを整理した上でより上位の判断(生産計画を変更する承認)を仰ぐ為の議論を行いたい。
購入仕様書を書く工数が無いので仕入先から納入仕様書をもらっている。という会社では仕入先から仕様書が来るたびに内容確認に忙しくなる。買い手として仕様書内容は主導的に決定したい。特に品質基準を仕入先に任せると、実際納入時にこんなはずではない、品質不良を扱いに困ることになる。主管部署は開発部として、コアでない部材は購買技術部門があればそちらで請負い、さらにはカタログ品については仕入先仕様書を使うのもありだろう。
MRP(material requirement planning )は1960年代からのコンセプトだが未だにエクセルの関数計算で発注数を決めている会社はある。およそMRPを実行するためには
仕入先
リードタイム、
単価
最小発注数
発注ロット数
在庫数
発注残
と言ったデータが常に最新の状態になっている必要がある。特に定期棚卸しで帳簿と現物の差異が大きい会社はまずそこを改善しないと部品の欠品や余計な買い物をしてしまう。