BOM(bill of materials )と部品表は厳密には同じかでない。部品種と使用個数があれば一応部品「表」にはなるが、BOMになると、これとこれを合わせてこれを作り、そっちのこれと組み合わせる、という作り手としての思想が込められる。階層構造によってはA部品はB部品ほど早く使用しない、ということになり、買いのタイミングを遅らせキャッシュフローを楽にする可能性がある。
購買職は激務である。昨今市場予測は難を極めるので営業からのオーダーは上に下にぶれる。小さめの受注製造式の装置メーカーなどいったん受注が入ると祭り状態となる。何千となる構成部品の在庫状況、発注状況を精査しながらどの部品をいつ手配するのか?発注すれば納期管理、不良品の対応、受け入れ、支払いとプロセスは続く。うまくいけば当たり前、問題が発生すると叩かれるのが購買の常。社内での購買部の発言権は低い。おのずと若手はキャリアプランというものに疑問を抱く。去年と比して進歩したのか?会社に貢献したのか?購買責任者はこういった部員の言葉になら無い疑問に答える術を持たねばなら無い。
購買は利益を創出する部門としてより評価されなければならない。野球で言えば守備の要のキャッチャー、サッカーで言えば戦術を実行に移すハンドル役としてのボランチ。ロックバンドで言えば全体ノリを気持ちよくドライブさせるリズムセクション。元気のある会社は購買の人が勉強しているし活力がある。逆に元気の無い会社は購買担当者が定着しない。
数値的に今購買プロセスがどのような状況にあるのか、メンバー内でKPI(key performance indicator)が共有されているだろうか?去年の自分と今年の自分が理解できれば将来の予測も可能になってくる。
ちかごろセールスフォースなるサービスが流行っている。低価格で導入しやすいこともあり比較的小さめの会社でも入れているようだ。数年前に日本での宣伝イベントに参加したことがあるが、ベニオペ社長登壇時にストーンズのスタートミーアップなどかけたりして、かなりロックな会社なのである。ご存知無い方に簡単に言うと営業の活動をプロセスに分解し、案件各々の進捗をインプットさせ、数値化し将来予測しようというもの(他にもいろいろあるがもっとも知られているものとして)。営業マンはアポを取った見込み顧客に対して契約成立確率や営業プロセスの深度を入力すると営業部長は将来予測ができるという仕組みである。いかにも末端の従業員を疑ってかかるシステムでは無いか?? しかし日本の問題として、営業マンはなかなか契約成立確率を上げない。かなり受注できる、もしくは受注した、という段階になってセールスフォースに入力するのは日本人の「非有言実行主義」「頑張ったやつブラボー」的な気質に原因があるのではと思う。営業部全体としても言った事が出来ない、というのはネガティブに捉えられるので営業部長はさらに数字を下に読む。
さて、購買の立場からこれを見るとどうなるか。先月言われていなかった受注がどんどん入ってきて生産キャパはいっぱい、納期遅れ、営業からは「せっかく受注したのに機会損失しているのは購買の責任だ」論調で言われる。購買としてはいかなる対抗策があるのであろうか。
先月での予測数字と実際の今月数字の対比による予測精度の悪さは毎月ベースで指摘し原因を営業自身に考えさせたい。
また年間の販売予算を年間でどのようにブレークして毎月受注する予定か、それが外れた時はどこで挽回する予定なのか、営業に答えさせる事が必要だろう。受注が年始から低めに動いた場合期末に集中して挽回するのがかなり非現実な状況が見えてくる場合もありうる。
全体として、予測は予測、適宜修正して社内調整をおこなってバランスをとる、どこかの部門にしわ寄せし無いカルチャーは大事だと思う。
さて、地震などが国内で発生した場合、会社の調達は大丈夫か?と購買に問い合わせがある。「今の所問題ありません」(仕入先から問題があると言う連絡はありません)というところはヤバい。仕入先の本社が被災地に無くても工場や、また二次仕入先が被災地にあると言うことがある。素早くリアクションするためにはそういうデータベースを日頃から備えておく必要があるが、いつあるかわからない事態のためこういった活動は負担である。特に中小企業には難しい。
全仕入先の情報は難しいので経営に影響の大きいコア部材だけでもデータベースが欲しい。その他の部材については企業をまたいだで共有を構築する方向は模索していくべきだろう。
