注文書の無い会社がある。発注は総務の方がコピー用紙やボールペンを頼むが如く、生産用の直接部材についてもメールにて行われる。〇〇株式会社御中 電源ケーブルを3メートル、即納でおねがいしまーす云々。支払い条件、不良品時などの取り決めなし。日本の中小企業は優秀なのでどうにかものは入ってくるので何か問題でも?という具合。しかし「何か」はかならず起こる。納期は守られず、不良品は納入される。担当者が辞めたら回らない。
定型的な注文書の雛形はネットに転がっている。まずはそこから始め、文書は保存しよう。発注システムを使えば更に良い。さも無いと仕入先は、このフォーマットに注文内容を書いてファクスしてくださいとか言う。そこには小さい文字で先方に都合よい販売条件が書かれている。

在庫の無い会社がときにある。正確に言うと倉庫に行けば部材や機器が置いてある。ただしコンピュータ上の帳簿には出ていない。さらに言うと購入した部材を帳簿につける、というプロセスが無い。前提として買ったものは全量、使用工程に投入される前提なのだが実際は余る部材があり、それらは倉庫に残される。結果として倉庫は棚番号も無い単なる物置と化している。開発や製造現場では次回発注時に、倉庫にあるかどうか探せないため、新規発注を行い、また物置が埋まる悪循環である。大企業では考えられない事だが、中小では時々ある話だ。小さな会社が発展の過程で身につけるべき在庫管理のプロセスが丸ごと抜け落ちている。無駄な金を払って材料を買っても潰れないだけの資金に余裕があるうちはいいが、結果として経営の不成績は給料のカットで手当てせざるを得ない。新たな投資もしにくいであろう。うちらは小さな会社なので在庫管理のリソースがなくて、とは言い訳にならない。
たしかに在庫管理は手がかかる。面倒なら生産ごとサードパーティに外注すれば良いが、生産を自社で持つなら在庫管理は避けて通れない。しかもSKU数で100とか言うのならアクセスやエクセルでない専用のソフトで管理しよう。