こんにちは。
中村佳代です。
病気で、入院していた時のこと。
抗がん剤治療の副作用で
ご飯が食べれない日があって。
1日かけておにぎり一個とか。
そんなくらいの食欲。
や、食欲はゼロだった。
けど、体力つけるために、なんか食べなきゃと思って食べる感じ。
食べやすかったのは素麺。
本当にダメな日は、アイスクリーム。
けど、アイスクリームさえのどを通らない日があって。
1日かけてカップアイスを1/2食べるのがやっとの日があった。
アイスクリーム1/2がやっとの翌日。
ふと、ホットケーキが食べたくなった。
それも、父の焼いたホットケーキ。
父は料理をほとんどしない人なんだけど、
ホットケーキだけはすごく上手で。
物心ついた頃から、日曜日の朝食は、
父の焼いたホットケーキだった。
そんな思い出のホットケーキ。
食べたいと実家に連絡したら、
父がすぐに焼いて持って来てくれた。
いつも通り美味しそうに焼き上がったホットケーキ。
うれしかった。
少し食欲がわいてきた。
早速、パクッとひと口食べた。
一口食べたっきり、
ふた口目が食べれなかった。
いつも３枚は食べる大好物のホットケーキなのに、
その時の私は、ひと口しか食べることが出来なかった。
それほど、体がしんどかったのだ。
ひと口食べて、すぐに横になった。
体のしんどさと申し訳なさで、
父に背を向けて横になった。
「ありがとう。またあとで食べるね。」
と言うのがやっとだった。
父はそのまま黙ってしばらく座っていた。
無菌室の狭い病室の中で父と私のふたり。
ぐったりと、覇気なく横たわる娘を見て、
父はどう思ってたんだろうな。
家から病院まで1時間も車を走らせて、
持って来てもらったのに。
食べることも出来ず、話すことも出来ず、
寝てるしかない自分が歯がゆくて歯がゆくて。
背を向けながら、少し泣いた。
父に迷惑をかけるばかりで、何一つ喜ばすことも、
役に立つことも出来ない自分が情けなかった。
そのまま、30分くらい座って父は帰って行った。
帰り際の、父の優しい言葉を思い出す。
「また食べたくなったらいつでも持って来たるから。」
その後、食欲が戻ったときに、もう一度持ってきてもらった。
その時は、おいしく食べることが出来た。
父も私も笑顔になった。
のちに父に反抗し、愛されていないと暴れるのは、この数年後の話。
どこぞの誰が愛されていないとほざいたのだろうか。
反抗しまくったあの頃の自分をちょっぴり説教したい。
頑張り屋さんが、がんになると聞いたことがあります。
私も超の付く頑張り屋さんでした。
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