米国は出口戦略へ始動
ドル円は85円を試す展開へ
4月2日(土)14時05分配信 フィスコ
■米・出口戦略への思惑強まりドル買い継続し84円台に上昇
ドル・円は、G7円売り協調介入への警戒感、
円キャリートレード再燃や本邦輸
出減少の思惑による海外勢のドル買いで81円30銭から堅調スタート。
ブラード米セントルイス連銀総裁による量的緩和第2弾の規模縮小の可能性への言及を
受けて、
米出口戦略への思惑からドル買いが強まり83円乗せ。
ファンド筋による四半期末のポジション調整のドル売りに82円57銭に反落後、
コチャラコタ
米ミネアポリス連銀総裁が年末までの利上げの可能性を示唆したことでドル買いが再開。
予想外の改善を示した米3月雇用統計を受けた米早期利上げ観測でドル買いが加速し84円73銭まで上昇した。
その後、ダドリー米NY連銀総裁のハト派発言を受けて早期利上げ観測がやや後退し、反落。
■米・出口戦略の始動への思惑が根強く残り85円を試す展開
今後のドル・円は、米国の量的緩和第2弾の早期終了または規模縮小、
出口戦略の始動への思惑が根強く残り、ドル買いが継続、85円を試す展開になる可能性がある。
4月1日発表の米3月雇用統計で予想を上回る改善が確認された後、
ダドリー米NY連銀総裁の金融緩和政策の正常化に対する慎重な発言で
ドル買いの勢
いがやや鈍った感じだが、
4日にバーナンキ米FRB議長の講演があり、ドル買いは続くのか、または、落ち着くのか、
そのヒントを与えてくれる可能性があ
る。
なお、福島第1原発事故は危機的状況が長期化する可能性が出ており、
状況の悪化では株安・リスク回避パターンで円買いが再燃する可能
性が引き続き残る。
ただ、3月末を以って日本国内でのリパトリ(本国への資金還流)に絡む円買い需要は一巡したはずであり、
需給の変化(円買いの後退)が
見込まれる。
3月18日に実施されたG7(先進7カ国)の円売り協調介入は、
その後ドル・円が80円台で下げ渋り、大震災前の水準である83円台に戻していることもあり、
第2弾の実施を留保する状態になっている。
だが、玉木財務官は「G7の協調介入の結果に満足」としながらも、
「通常通り引き続き警戒していく」と表明。
また、サルコジ仏大統領は「円相場の動きは、
介入が通貨システムにとって不可欠なセーフガードであることを示した」と述べ、
欧州またはG8として今回の円売り介入を評価する姿勢をみせており、
介入再開
に対する警戒が必要な状況は続く。
米国の金融政策については、ここに来て、
プロッサー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは、近い将来、
出口戦略の開始が必要となる可能性」「政策金利の引き上げと保有資産規模の縮小を同時に」と発言し、
米国の利上げ時期が早まるとの見方が浮上。
それに
続いて、ブラード米セントルイス連銀総裁が
「量的緩和第2弾の規模が、6000億ドルを若干下回る可能性」、
コチャラコタ米ミネアポリス連銀総裁が
「年末
までに政策金利を0.75%ポイント引き上げる必要がでてくる可能性はもちろんある」
と述べたことで、量的緩和第2弾の早期終了または規模縮小、
出口戦略
の始動への思惑も強まる状況にある。
4月1日に発表された米3月雇用統計では、
失業率が予想外に低下、非農業部門雇用者数も予想を上回
増加となり、
雇用情勢の改善が確認された。
ただ、その後、ダドリー米NY連銀総裁が
「成長に関して過剰に楽観的になるべきでない」
「FRBの2つの責務
(完全雇用とインフレ抑制)の達成には程遠い」
と述べており、早期利上げ観測や出口戦略への思惑はやや後退。
今後も米国の金融政策の行方が注目される状況
が続く。
4日にバーナンキ米FRB議長の講演があり(日本時間5日午前8時台)、
金融政策に関する発言に注目が集まりそうだ。
そのほか、4日と8日にロッ
クハート米アトランタ連銀総裁の講演(経済見通し、金融政策)、
7日にラッカー米リッチモンド連銀総裁の討論会参加などが予定されている。
また、5日に3
月15日開催のFOMC議事録が公表される。
日本の金融政策については、4月6-7日に日銀金融政策決定会合が注目される。
報道によれ
ば、東北関東大震災の影響を考慮して、
幅広い金融機関に対して低利で長めの資金を貸し出す制度(金利0.1%、期間1年が軸)の創設を検討。
また、景気判
断を下方修正する可能性があるとの見方が出ている
(2月から「景気は改善テンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」)。
3月14日に
開催された前回の日銀会合では、
「無担保コール目標を0-0.1%で推移させるとの調整方針を全員一致で維持」。
そして、「資産買入基金を総額5兆円から
10兆円に拡充」との追加緩和策を決定。
白川日銀総裁は「潤沢な資金供給を行い、金融市場安定に万全を期す」と述べ、
日銀は当日過去最大の資金供給を行
い、それ以降も大量の資金供給を続けている。
その後、白川総裁、宮尾日銀審議委員は「経済・物価の状況を点検し、
必要なら適切な措置をとる」とし、状況に
よりさらなる追加緩和を検討する可能性を示唆している。
4月1日に発表された3月調査日銀短観は、大企業製造業、非製造業の業況判断DI
がともに改善した。
だが、日銀は
「3月調査の日銀短観は、3月11日の調査回収基準日までに72%の企業が回答」
「震災前と後に分類した短観結果を4月
4日午前8時50分に発表する」
としており、今日以上に注目が集まりそうだ。
今後の主な予定は、4日(月):(日)3月マネタリーベー
ス、
(中)清明節で5日まで休日、(米)バーナンキ米FRB議長講演(日本時間5日午前8時台)。
5日(火):(米)3月ISM非製造業景気指数(総
合)、3月15日FOMC議事録
6日(水):(日)日銀金融政策決定会合(7日迄)、2月景気動向指数速報値
7日(木):(日)日銀政策金利発表、白
川日銀総裁会見
8日(金):(日)2月経常収支、4月日銀金融経済月報、(米)2月卸売在庫・売上、2月消費者信用残高。
[予想レンジ]
ドル・円82円50銭-85円50銭