観客席から見たカーリング 2nd Season -2ページ目

2018年、2月24日。
 
日本のカーリングが新しい章に入った記念日です。
 
 
ロコ・ソラーレが戦った、3位決定戦。
そして獲得した、オリンピックの銅メダル。
 
素晴らしいです。
 
「日本が初めてオリンピックで獲得したメダル」。
 
そうです。
そして、その素晴らしさをさらに高める、
ロコ・ソラーレが見せたもうひとつの価値。
 
解説の敦賀さんが、石崎さんが、それを語ってくれないのなら、私がみなさんにお伝えしたいです。
 
それは、
 
「逃げずに、挑んで、掴んだ勝利」。
 
 
 
8エンドが終了し、得点は 3 - 3 。
 
ブランクエンドを重ねた日本ですが、複数得点はならず、
残り2エンドの時点で同点。
 
9エンド、後攻はイギリス。
ここで後攻のイギリスが考える戦術パターンは3つ。
1. ブランクエンドにして、同点で10エンド。10エンドを後攻で1点取って楽に勝つ。
2. 2点以上取って、得点で先行して10エンドに進む。先攻だが、日本を1点に抑え込んで勝つ。
3. 最悪、ここで1点でも、10エンドで日本を1点に抑えれば、再び同点で延長戦。延長は同点で後攻だから圧倒的有利。
 
イージーに勝てるのは1番。
でも、できれば2番のパターンで勝ちたい。
最悪、3番でも勝てる。
 
イギリスはこう考えたはず。
 

第9エンドが開始。
 
先攻日本、リードの1投目は、順当にセンターガード。
 
続くイギリスのリード1投目。
ストーンをリリースした直後のスイーパーのコールは「Seven !」。
ガードではない。ハウス内へのドロー。
 
ブランクエンドにするなら、ひたすらクリーンな展開に持ち込めばいい。石はいらない。
スルーでもいいし、ウィックでセンターガードをズラして、シューターはアウトさせて取り除けばいい。
 
しかし、イヴ・ミュアヘッドの選択は、ハウス内へのドロー。
 
日本はヒットし、センターへのロールを狙ってくるだろう。
ロールした石が完璧に隠されなければ、打ち合いに持ち込んで、得点かブランクか?は流れで決められる。
 
しかし、日本はまだ石を入れない。
リードの2投目は再びセンターガードとし、ダブルセンターガードで中央をふさいでいく。
 
藤澤も当然分かっている。
ブランクは一番いけない展開だ。イギリスにクリーンな展開には持ち込ませない。
ガードを外される前に、もうひとつ置く。ハウス内に、絶対に石を溜めていくんだ。
 
それを見たミュアヘッドはブランクの選択肢を捨てた。
日本がダブルセンターガードで次に中央を狙ってくるなら、先に中央を押さえてワン・ツー、として2点パターンに持ち込む。

ミュアヘッド、リードに2投目はセンターガードの裏へカムアラウンド、を指示。
 

この9エンド、イギリスは、ブランクエンドのオプションを持ったままスタートしましたが、日本の強い「中央を取る」という意思表示に呼応。
2点以上を取るために、石をハウスに入れていきました。
 
しかし、日本の方がカムアラウンドを正確に決め、ハウス中央を確保。
逆に、絶対に日本にスチールを許すわけにいかないイギリスはセンターガードを外しにいきます。
ダブルテイクを多用して、センター前を、ハウス内を、クリーンに。
 
ブランクを阻止したい日本は、最後、イギリスがダブルテイクを狙ってセンターに残してしまった赤の石をガードとし、ハウス内、ティーライン前に完璧なカムアラウンド。
 
そこまでダブルテイクでクリーンにしていたイギリスは、最後の1投も、前の赤を打ってハウス内の黄色をテイクし、赤もそのままロールアウトさせてブランクを狙います。
それまでずっとテイクウェイトで投げ、テイクのラインも何度も使っていますから、いきなりスローなウェイトで曲げて打つよりは慣れているショットを選択するのは冷静で当然の判断です。
 
9エンド、イギリス、ミュアヘッドのラストストーン。
ミュアヘッドの手から放たれたシューターは力強く前の赤にヒット。
その勢いを託された赤いストーンは、中の黄色をテイクするべく黄色へと向かいます。
 
しかし、当たらず。
 
黄色が残って、日本1点スチール。
 

9エンドが終了。
 
日本、4 - 3 とリードして、最終10エンドを先攻で迎えます。
 
ここで先攻の日本が考える戦術パターンは2つ。
1. イギリスに1点取らせて同点とさせて、同点のエクストラエンドを後攻で圧倒的に有利に戦う。
2. スチールして、このエンドで終わらせる。
 
この2つのみ。
ブランクエンドでは何も変わらない。ブランクの選択肢はない。
 
イージーに勝てるのは1番。
でも、できれば2番のパターンで勝ちたい。
 
藤澤の頭の中には、そんな考えがあったはず。
 

最終10エンド。
 
スチールした日本が先攻。
イギリスを1点に抑えるなら、石はいらない。クリーンな展開で攻める。
もう、相手が石を置かない限り、自分の石も置かずにスルーしたい。
だけど、スルーしてまで露骨に石をなくすのはみっともないから、とりあえずハウス内のいいところに入れて、相手が打ってくるのを待つ。
 
それが当たり前の戦術。
 
しかし、藤澤はその戦術を拒否します。
 

リードの1投目。
吉田夕梨花に指示したショットは、センターガード。
センターガードは、先攻がハウス内に石を置くためのショット。
藤澤は、石を入れていく展開を選択。
クリーンにはしない。逃げて勝つことはしない。
エクストラには行かず、このエンドで決着を付ける。
 
イギリスの1投目は、コーナーガード。
2点取らなくてはならないイギリスは、複数得点のために石を貯めるためのコーナーガード。
 
日本、リード2投目。
クリーンな展開を拒否し、得点してこのエンドで勝負することを決めた藤澤は、迷わずセンターへカムアラウンドを指示。
 

そして、両チーム、ハウス内のセンターを取るべく、ヒットロールを打ち合います。
 
日本、鈴木夕湖の2投目のヒットロールが完全に決まり、石はガードに隠れて見えません。

それでもイギリスはヒットロールを強行。
セカンドの2投目は中央の黄色をヒットしますが、飛んだ黄色はハウス後方に残っていた石に当たり、ハウス内に留まります。シューターの赤はハウスに残らず外へ。
 
そして再び、日本は残った赤のセンターガードにカムアラウンド。キッチリと石をガードの裏へ。

先攻の日本が石を2つ入れ、ミュアヘッドにスチールのプレッシャーをかけていきます。
 

そして、
後攻イギリスのラストストーン。
 
ワンはイギリスの赤、ツー・スリーが黄色。
 
このままでも、同点としてエクストラエンドに進めます。
しかし、エクストラではイギリスは先攻。
後攻の日本は、1点取れば勝ち、という圧倒的に有利な状況に。
 
ミュアヘッドは2点を取りに行きます。
不利な状況でエクストラに進むくらいなら、ここで2点取って試合を決める。
 
ミュアヘッドが選択したウイニングショットは、ハウス内の石を2つ動かして、赤がワン・ツーを取るという高難度のショット。
 
 
はっきり言って、難しい。
ここで無理なショットを選択しなければならないのであれば、不利でももう1エンド戦う、という選択肢もあるはずです。
 
しかし、イヴ・ミュアヘッドは勝負に行く。
 
イージーな先延ばしの選択肢は選ばない。
目の前の困難な状況を自らのショットで打開し、チームを勝利に導く。
 
自らのスーパーショットでの逆転勝利に挑む。
 
 
結果は、黄色に厚く当たってしまい、黄色が赤のワンを外に押して、黄色はそのまま中央にロール。

アナウンサーは叫んだ。
「ナンバーワンは、 ・・・日本だ!!」
 
日本、スチール。
 
 
 
藤澤が、
イージーな展開を拒否し、石を置くんだ、点を取って勝負するんだ、と挑む。
 
ミュアヘッドが、
イージーな選択肢を拒否し、自らの力で困難を打開しての勝利に挑む。
 

2人のスキップが、逃げずに自ら勝利を掴みに行く。
 
 
 
オリンピックのメダルをかけた戦いとは、こういうことだ。
 

逃げない。
 
困難に立ち向かう。
 
その結果、勝利を掴む。
 
 
カーリングは、これだから面白い。
カーリングは、これだから熱くなる。
 
日本代表、ロコ・ソラーレ。 銅メダル。
 

おめでとう!
 

 

 

カーリング女子、決勝。
 

9エンド終わって、3 - 8。
韓国、5点のビハインド。
 

カーリングでは、5点の点差はひっくり返せない。
 
ゲーム終盤での5点差は、それは即ち、負けを意味し、ほとんどの場合でコンシードになる。
 

だが、私は韓国はコンシードせずに10エンドに進むだろうと思った。
 

最終10エンドでゲームをひっくり返すには、6点が必要だ。
それは、リードの2投でガードを作り、残りの6つのストーンを全てハウスに入れ、しかも全て相手のストーンよりも内側で、全てをNo.1からNo.6までにしなくてはならない。
先攻に先にボトムを抑えられ、ひとつでもストーンをテイクアウトされたら終わり。
それは「不可能」の領域だ。
 
そう考えるのが、当たり前ではある。
 
しかし、
 
ここは韓国、江陵。

自国開催のオリンピック。
 

しかも、ことさらに民族意識の高い韓国。
 
試合を途中終了させて負けを確定させるなど、できるはずがない。
 

この大会で、やっと「コンシード」という表現が定着してきたが、日本でも少し前までは「ギブアップ」と表現されていた。
 
「何故、試合途中で勝負をあきらめるのか。可能性のある限り戦え。」
「最後の最後まで、全力を尽くすのがあたりまえだろう。」
そう言われるのは目に見えている。
 
だから、
私は韓国チームはコンシードしないだろうと思った。
コンシード「できない」だろうと思った。
 

9エンドが終わり、やはり韓国チームはスウェーデンと握手する素振りはない。
 
ハウス内のストーンをシート脇に片づけ、4人で集まって会話を始める。
 

私はその姿を見て、「かわいそうだな」と思った。
 

そして、韓国チームは話し合いの円陣を解き、動き出した。
 
しかし、スキップのキム・ウンジョンの向かう方向は、10エンドのハウス方向、ではない。
その向かった先には、スウェーデンチーム。
 

両チームが握手を交わす。
 
騒然となる会場。
 

韓国、コンシード。
 

試合終了、8 - 3 で、スウェーデンの優勝が確定する。
 
 
韓国チームは、最後の最後、その高潔な意地を見せつけた。
 
自国民に、韓国のカーリングファンに、真の「カーリング」を見せる。
 

オリンピックの決勝戦。
 
世界で最も権威のある試合。
 

韓国チームが、「カーリング」を見せた。
 
 
韓国女子カーリングチームは、その胸にメダルを掲げるにふさわしい、
 
素晴らしいカーリングチームだった。
 
 
そして、
江陵カーリングセンターは、拍手と歓声に包まれていきました。
 
 

「勝って!」と、

「がんばって!」と、

祈ってください。 願ってください。

その祈りは、その願いは、
必ず5人に届きます。

必ず、5人の力になります。


がんばれ。 ロコ・ソラーレ。

勝て! 日本!

 

カーリングが他に類を見ない特殊性として、

「あたまをつかう」 という部分があると思います。

 

 


先日、仕事で本社に行って研修を受けた時に、講師が

「みなさん、見てますか、オリンピック。 カーリング!」

と言い出したのにはちょっと驚きました。(笑)

 

講師は社内の人間で、以前からの知り合いなので休憩時間にカーリングの話題を振ったら、かなりちゃんとカーリングを見てくれていました。

 

本人は「いやいや、このオリンピックから見始めたばかりなんで」と謙遜していましたが、メンタルの面とか、アイスのメカニズムの面とか、本当にちゃんと理解してくれていました。

 

 

そして、世間的にも「ブーム」と呼んでもいいと思えるほどのカーリング熱。

 

別に「そだねー」でも「もぐもぐ」でもいいんですよ。(笑)

サツキでもチナミでもいいんです。

 

4年に1度だっていい。

そのひとがそこからカーリングに良い印象を持ってくれること。

 

カーリングの試合を見て「面白い」と思ってくれること。

 

そして、

そのひとがそのひとなりに「カーリング」というものを考え始める。

 

そこにひとつの、新しいカーリングが生まれてゆく。

 

 

小林 宏 さんは、女満別空港の搭乗待合で私に言った。

 

「それでいいんですよ。カーリングを見るだけでもいいんです。 あなたが『ああ、来週カーリングの大会があるから見に行こう』と考えることが、それはあなたの中に、あなたの人生に、カーリングというものがある、ということだから。」

 

これはいまでも、私の中の「カーリング」を支える言葉です。

 

 

いま、わたしはとても楽しい時間を過ごせます。

このアメブロで、「#カーリング」のブログを片っ端から読みまくっています。

 

そのなかでは、「そだねー」や「もぐもぐ」に混じって、「カーリング」に出会うことがあるのです。

 

必要なのは、「正しいか」「間違っているか」ではないと思います。


考えること。

 

誰かの話をただ信じるのではなく、考えること。

自分で、考えること。

 

それが新しいカーリングになる。

それが木になり、林になり、森になり、世界になる。

 

それが、新しいカーリングをつれてくる。

 


 

 

ねえ。

 

君たちは、10年以上も先、

大人になったら、その胸に日の丸を付けて、

日本代表としてオリンピックへ行くんだ。

 

そして、そのオリンピックの期間中、

毎日、日本中の人をカーリングで熱狂させる。

 

そんなこと、想像できるかい?

 

でもそれは夢じゃないんだ。

 

君の未来に起こる、現実の話なんです。

 

だからこれからも、

そしてその先も、頑張るんだ。

 

君が、日本のカーリングの未来を切り開く。

 

※吉田姉妹の間の選手は北海道銀行フォルティウスの小野寺佳歩さんです

 

 


今夜、初めて見る試合が行われます。

日本チームが戦う、オリンピックの決勝トーナメント戦。


いままで、テレビで見たときも、現地の会場で見たときも、
決勝トーナメントには日本チームはいませんでした。


日本チームが出る出ないに関わらず、オリンピックの決勝トーナメントは素晴らしい試合だと思います。
真のカーリングファンなら、日本チームには関係なく、オリンピックの決勝トーナメントならワクワクして観戦する。
というのがカッコいいんでしょうね。

ええ。
まあ、そうなんでしょうね。
でもですね、

私はやっぱり、決勝トーナメントに日本チームがいるかいないか、で「見たい」という気持ちは大きく変わります。

全然違いますよ。
だって、日本チームを応援していますから。
日本チームにメダルを取ってほしい、って思っていますから!
金メダル取って欲しいです!

ミーハーだ、ってバカにされたっていいよ。
川合はやっぱり本当のカーリングファンじゃない、って言われたって全然構わない。

がんばれ! ロコ・ソラーレ!

韓国チームのスーパーショットなんて見たくない。
韓国チームにミスして欲しいとすら思う。

日本チームに勝ってほしいんです。
それでも、勝ってほしいんです。

ここで応援しないなら、どこで応援すればいい?

バカにされたっていい。
笑われたっていい。


がんばれ、ロコ・ソラーレ。

勝て。 掴め。
オリンピックの決勝トーナメントで勝ってみせろ。


今日は、日本のカーリングファンにとって初めて訪れた、
オリンピックの決勝トーナメントで日本チームを応援できる日です。


応援してください。

あの5人を応援してください。


勝て。 ロコ・ソラーレ。



 

いろいろな感情が入り混じり過ぎて、

どういう言葉にすればいいのか・・・

 

ですが、その中で、

明確で揺るがない感情を取り出して言葉にするならば、

 


よくやった!

 

ですかね。

女子チームに。

 

「おめでとう」は、まだ先のハナシです。

「ありがとう」は、さらにその先。

 

 

逆に、

準決勝に行って、まさか手ブラで帰ってくるつもりじゃないですよねぇ?ってことですよ。(笑)

 

簡単じゃない、なんてことは分かってます。

分かってます。

 

だからこそ。

 

だからこそ、そこへ行ったなら、掴んでほしい。

 

チームジャパンが悔し涙を流すシーンはもう何度も見ました。

それしか見たことない、というくらい、オリンピックではそればっかりでした。

 

だから掴んでほしい。

 

ソルトレイクでカーリングを知り、トリノでカーリングを憶え、バンクーバーでカーリングを見た。

ずっと、チームジャパンは悔しい涙だった。

 

だから、

笑っている顔が見たい。

嬉し涙でぐしゃぐしゃになっている顔が見たい。

 

 

君たちの笑顔の姿を見て、僕たちは笑顔になる。

 

君たちが笑うこと。

それは僕たちが笑うことだ。

 

君たちが幸せをつかむこと。

それは僕たちが幸せを感じることだ。

 

 

だから、掴んでほしいんだ。

君たちのために。

 

もう、日本の僕たちのことは忘れてもいい。

自分たちのことを考えなさい。

 

誰かの顔を思い浮かべなくていい。

アイスの上の他の3人を、そして本橋麻里を、

チームの4人だけを見てカーリングをするんだ。

 

自分のために、チームのために、

それだけにカーリングをしよう。

 

僕たちはそれを見るだけだ。

そしてそれを共有する。

 

だから、もう、自分のためにカーリングをしてください。

 

今、オリンピックのカーリングは、そのためにある。

 

君たちがメダルを、幸せを、夢見たものを掴むために、

今、君たちの前にカーリングはある。

 

 

掴め、 ロコ・ソラーレ。

 

今まで誰もその手に触れることのできなかった、その夢を掴め。

 

 


昨日は、もうひとつ、
ロコの試合を見ていて「よっしゃ!」と口から出たシーンがありました。

カナダ戦、第一エンド。
先行、カナダ。後攻、日本。

カナダ、リードの1投目、センターガード。

対する日本、
リード吉田の1投目、カナダのセンターガードの裏へカムアラウンド。


思わず口から出ました。
「よっしゃ!」って。


色々な要素があると思います。

でも、カナダ戦です。

1エンド後攻でセンターガードにカムアラウンド。


嬉しいじゃないですか。

やるんだ、という意思表示。
格上カナダからすれば、「は? 生意気な。」という感じでしょうか。


勝てたら最高。

勝てなくたって、ロコの4人がカナダに真っ向勝負のシュートサインを叩き付けての試合。


そんな4人が見られることが嬉しい。


あいつら、戦ってるんですよ。
全然、逃げてない。

サイコーじゃないですか。



19日のカーリング女子は、朝と夜の2試合。
カナダ、スウェーデン、とのダブルヘッダー。

カナダとスウェーデン。
この大会の成績は別として、実力で言えば間違いなくワン、ツー、のトップチームです。

夜のスウェーデン戦はゴールデンタイムでの放送だったので、ご覧になられた方も多かったと思います。

スウェーデン戦は、試合内容で言ったら両チームがグダグダのダメな試合かもしれません。

でも、最終10エンド、
同点での1点勝負。

両チームスキップのラストストーン対決は最高に見応えのあるものでした。


先に失敗したのは藤澤。

難易度の高さで言えば、藤澤のショットの方が難しかったと思います。
それを差し引いても、藤澤のショットは失敗。

スウェーデンは、赤のストーンをノーズから少しずらして叩いて出し、センター方向に少し流すだけのショット。


ショットは決まらなかった。
曲がりすぎて当たりが薄すぎた。

ヒットされた赤が7時の方向に出されていく。
ヒットしたシューターの黄色が4時の方向に流れる。

スウェーデンが赤を、
日本が黄色を、
全力でスイープしていく。

ルール上、日本は1人しかスイープできない。
藤澤が黄色の石を全力でスイープ。
本当なら、チナミも加わって2人で掃きたい。

通常、ハウス内でスイープするのはバイススキップの役目だ。
サードとスキップでは、試合中にスイープをする回数はサードの方が明らかに多く、スイープ力ではサードが上回ってスキップはスイープをあまり得意としない場合が多い。
だから通常はハウス内ではバイススキップがスイープをする。

藤澤が行く。

吉田ではない。
藤澤が黄色いストーンを掃く。

藤澤はスキップではあるけれど、スイープができるタイプの選手だった。
そして、直前の自分のショットが成功しなかったことを、誰よりも悔やんでいるのは藤澤だった。


藤澤は掃き切った。
黄色のストーンは、藤澤のブラシに引き寄せられたかのように、
11時に残された赤のストーンよりも、わずかにハウス中心から遠い位置に静止する。

10エンド、日本スチール、1点。

5 - 4 で試合終了。
ハウス内で握手を交わす両チーム。



私は全力で右の拳を握り締めましたね。
カーリングの試合を見て、
こんなに全力でガッツポーズするのは本当に久しぶりです。


あれは、スウェーデンのショットが失敗して日本に得点が入ったんじゃないんです。

藤澤が黄色のストーンをスイープして出したから、
日本の得点になったんです。


試合はダメだったなんて言わないでください。
スウェーデンがミスしたから勝てたなんて言わないでください。

掃き切った藤澤五月を、
自分たちの力で逆転した日本を、

がんばったね、って誉めてあげてください。




見ていて思うんですけど、
この会場のアイスって変じゃないですか?

変、というか、不自然な感じがします。


なんだか、ウェイトと幅が、今まで見てきたカーリングの試合の感覚とかなり違うんですね。

まあそれは単に私の問題なのかも知れませんが、

それよりも、
そこまで好調だったスキップが、いきなり2人ともウェイトが全く合わなくなってショートしたり、オーバーしたり。

片方だけが失敗するなら「あちゃー」で終わりなんですが、両チームとも急にウェイトが合わなくなる、
って場面を何度か見ている気がします。


アイスって、徐々に変化していくのは自然な現象で、それがアイスリーディングと言われる、アイスの状況を把握してショットの幅やウェイトを変えていくというスキルのひとつになっています。

でも、その変化があまりに唐突で、1分程度で急激に変わっているように見えます。

両チームのショットが同時に狂い出す、というのはそういうことなのではないかと思います。


それと、申し合わせたような、カナダ、アメリカ、の北米勢の不調。


見てるわけではないですし、知っているわけでもないので、ただの想像でしかないです。

でも、私は不自然だなぁと感じます。


だって、絶対に
「日本と同型のアイスだから、日本勢が好調なんだ」とか言う人いると思う。
そんなこと言われても癪じゃないですか。

たとえそういった要素があったとしても、
ロコとSCには関係ない。

彼女らも、彼らも、ただひたすらにベストを尽くしているだけで、
そこには批判すべき要素は微塵もない。


だからこそ、アイスという足下はフェアであって欲しいです。

偶然とか仕方なくなら、それは乗り越えるしかないですから。


エンターテイメントは、作るものじゃない。
生まれるものです。

それがオリンピックという舞台であれば、
なおのこと。


 

拝啓  藤澤五月様

 


これから、ロシア戦ですね。

 

このオリンピックを見て、思うことをお話ししたいと思います。

 

いままでは、私はあなた方の試合を見ては「この試合のこのエンド、このショットが」などというディテールを追いかけたことを書いていました。

 

今回のオリンピック。

あなたにとっては初めてのオリンピック。

 

あなたの4試合を見て、なんだかそういう気持ちにはなりません。

 

あなたの試合、あなたの姿を見て、ただただ思うこと。

 

それは、

素敵な選手になりましたね、ということ。

素晴らしいリーダーになりましたね、ということ。

そればかりが私の瞳に映ります。

 

私はカーリングをしないので、あなたの選手としてのレベルや資質は、正直良く分からない。

 

でも、「人を見る」という職業にある者として、これだけはちゃんと分かります。

 

素晴らしいスキップだなあ、ということ。

 

カーリング選手としてのことは分からないです。

でも、チームを率いるリーダーとしての存在。そのレベル感は分かります。

 

 

すごいね。

今の藤澤五月って、こういう感じなんだ。

 

これなら、人がついてくる。

これなら、チームが機能する。

 

そう思います。

 

 

もう何年前だか忘れてしまいました。

 

日曜のSCAPで、独りでストーンを投げ続けている君の姿を見たあの日。

 

君は、あのときはカーリングをしていなかった。

カーリングとは違う何かと戦っていた。

 

その姿はとても悲しかったです。

今でもおぼえています。

 

 

そして今、オリンピックのアイスの上でカーリングをする

藤澤五月の姿を、TVの画面を通して見ています。

 

藤澤五月を見て思う。

 

いい選手になった。

きっと、とても良い人になったのでしょう。

 

 

そして、思う。

 

勝て。

 

メダルを取れ。

 

日本人で初の、メダリストのスキップになれ。

 

 

 

いままで、チームを応援したことはあった。日本代表を応援したこともあった。

 

でも今は君を応援する。

 

藤澤五月、がんばれ。

 

メダルを持って帰ってこい。

 

 

いつかまた、どこかのカーリング場で出会ったときに、

「おめでとうございます」

と、言わせてください。

 

 

もう一度言います。

 

藤澤五月、がんばれ。

メダリストになれ。

 

 

健闘を、切に願います。 

 

敬具。