拝啓 藤澤五月様
これから、ロシア戦ですね。
このオリンピックを見て、思うことをお話ししたいと思います。
いままでは、私はあなた方の試合を見ては「この試合のこのエンド、このショットが」などというディテールを追いかけたことを書いていました。
今回のオリンピック。
あなたにとっては初めてのオリンピック。
あなたの4試合を見て、なんだかそういう気持ちにはなりません。
あなたの試合、あなたの姿を見て、ただただ思うこと。
それは、
素敵な選手になりましたね、ということ。
素晴らしいリーダーになりましたね、ということ。
そればかりが私の瞳に映ります。
私はカーリングをしないので、あなたの選手としてのレベルや資質は、正直良く分からない。
でも、「人を見る」という職業にある者として、これだけはちゃんと分かります。
素晴らしいスキップだなあ、ということ。
カーリング選手としてのことは分からないです。
でも、チームを率いるリーダーとしての存在。そのレベル感は分かります。
すごいね。
今の藤澤五月って、こういう感じなんだ。
これなら、人がついてくる。
これなら、チームが機能する。
そう思います。
もう何年前だか忘れてしまいました。
日曜のSCAPで、独りでストーンを投げ続けている君の姿を見たあの日。
君は、あのときはカーリングをしていなかった。
カーリングとは違う何かと戦っていた。
その姿はとても悲しかったです。
今でもおぼえています。
そして今、オリンピックのアイスの上でカーリングをする
藤澤五月の姿を、TVの画面を通して見ています。
藤澤五月を見て思う。
いい選手になった。
きっと、とても良い人になったのでしょう。
そして、思う。
勝て。
メダルを取れ。
日本人で初の、メダリストのスキップになれ。
いままで、チームを応援したことはあった。日本代表を応援したこともあった。
でも今は君を応援する。
藤澤五月、がんばれ。
メダルを持って帰ってこい。
いつかまた、どこかのカーリング場で出会ったときに、
「おめでとうございます」
と、言わせてください。
もう一度言います。
藤澤五月、がんばれ。
メダリストになれ。
健闘を、切に願います。
敬具。