ラストストーン、最後の3秒。 | 観客席から見たカーリング 2nd Season

19日のカーリング女子は、朝と夜の2試合。
カナダ、スウェーデン、とのダブルヘッダー。

カナダとスウェーデン。
この大会の成績は別として、実力で言えば間違いなくワン、ツー、のトップチームです。

夜のスウェーデン戦はゴールデンタイムでの放送だったので、ご覧になられた方も多かったと思います。

スウェーデン戦は、試合内容で言ったら両チームがグダグダのダメな試合かもしれません。

でも、最終10エンド、
同点での1点勝負。

両チームスキップのラストストーン対決は最高に見応えのあるものでした。


先に失敗したのは藤澤。

難易度の高さで言えば、藤澤のショットの方が難しかったと思います。
それを差し引いても、藤澤のショットは失敗。

スウェーデンは、赤のストーンをノーズから少しずらして叩いて出し、センター方向に少し流すだけのショット。


ショットは決まらなかった。
曲がりすぎて当たりが薄すぎた。

ヒットされた赤が7時の方向に出されていく。
ヒットしたシューターの黄色が4時の方向に流れる。

スウェーデンが赤を、
日本が黄色を、
全力でスイープしていく。

ルール上、日本は1人しかスイープできない。
藤澤が黄色の石を全力でスイープ。
本当なら、チナミも加わって2人で掃きたい。

通常、ハウス内でスイープするのはバイススキップの役目だ。
サードとスキップでは、試合中にスイープをする回数はサードの方が明らかに多く、スイープ力ではサードが上回ってスキップはスイープをあまり得意としない場合が多い。
だから通常はハウス内ではバイススキップがスイープをする。

藤澤が行く。

吉田ではない。
藤澤が黄色いストーンを掃く。

藤澤はスキップではあるけれど、スイープができるタイプの選手だった。
そして、直前の自分のショットが成功しなかったことを、誰よりも悔やんでいるのは藤澤だった。


藤澤は掃き切った。
黄色のストーンは、藤澤のブラシに引き寄せられたかのように、
11時に残された赤のストーンよりも、わずかにハウス中心から遠い位置に静止する。

10エンド、日本スチール、1点。

5 - 4 で試合終了。
ハウス内で握手を交わす両チーム。



私は全力で右の拳を握り締めましたね。
カーリングの試合を見て、
こんなに全力でガッツポーズするのは本当に久しぶりです。


あれは、スウェーデンのショットが失敗して日本に得点が入ったんじゃないんです。

藤澤が黄色のストーンをスイープして出したから、
日本の得点になったんです。


試合はダメだったなんて言わないでください。
スウェーデンがミスしたから勝てたなんて言わないでください。

掃き切った藤澤五月を、
自分たちの力で逆転した日本を、

がんばったね、って誉めてあげてください。