『中国宰相列伝』古代中国の周代~東晋までの宰相たちの列伝。

人物は、管仲・子産・晏子・商鞅・孟嘗君・李欺・蕭何・陳平・公孫弘・諸葛孔明の10人で、

「宰相とは名軍師や名参謀ではなく、王佐として補佐する者である。」という定義のもとに善悪区別せずに取り混ぜて扱っている点に好感が持てます。

あくまでも冷静に、宰相としての力があった人という考えなんですね。


その補佐する君主には当然名君も凡君も暗君も愚君もいます。

名声を得たとしても、うとまれてしまったり挙句の果てには命を狙われてしまう危険すらあります。

そんな状況でのバランス感覚、軍事・外交・政治それぞれへの力、君主をいさめる説得力などなど、さまざまな才能や能力が必要になります。

でも宰相として一番必要なのは世の中を定めることなのかもしれません。


人には、ナンバーワンタイプ、つまりリーダーシップを取って先頭に立つ方と、

ナンバーツータイプ、影で支える裏方がいるような気がします。

こういったいろんな宰相たちの生き方は今の私たちにも大きく役立つのではないか、と感じました。


また、中国の古代の歴史の入門書としてはもってこいのような内容でした。

マニアな方や、もっと深く面白い内容を知りたい方には物足りないかもしれませんが、

この時代の背景など、広く浅く知っておきたい人にはすごくいい本ではないかな、と思いました。


・読んだ日:'00/05/12~05/14。


『中国宰相列伝』 『中国宰相列伝』 - 守屋 洋

出版社 : プレジデント社
出版年 : '93/07/30
売り上げランキング : 1,158,680

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『アエラムック 歴史学がわかる。』1995年発行の歴史学の入門書。

確かに10年一昔。内容などは古いかもしれません。

しかしその観点や意味は色褪せません。これがまさしく歴史学の面白さです。


この本は・・・

・敗者のみが知る人間の真実(網野 善彦)

・日本近代歴史家たちのアジア観(鹿野 政直)

というアジア史から、


「歴史学の25人」ということで、

・日本中世史・・・石井 進、・日本古代史・・・吉田 孝

・フランス史・・・二宮 宏之、・北アジア史・・・北川 誠一

・古代ギリシャ史・・・桜井 万里子、などなどそうそうたる顔ぶれ。

もう、どれも興味深い内容ばかりです。


また、「世界史の鍵」として、

・ハプスブルグ近代史の再評価・・・大津 留厚、

・栄養不良の世界史・・・見市 雅俊、・フェミニズム史学の形成と変遷・・・荻野 美穂

・オウムとナチスを結ぶ補助線・・・望田 幸男、などこれまた興味深い内容めじろおし。


従来の歴史、つまり日本史や世界史の枠組みは常に変わり続けています。

まったく別の新しい学問になってしまう可能性すらあります。

そうなれば、既存の常識や非常識はすべて打ち破られます。

では、「一体どうなっていくのか?」ということですが、そのアプローチには自分はまだまだ未熟です。

こんな未熟なままでいたくないな、とまず感じました。


歴史とは主観の積み重ねです。完全な客観の歴史は存在しません。

この主観。どういった主観が積み重なったのかを知ることこそ「歴史学」です。


かの有名な歴史学者E・H・カーさんは、

「歴史とは歴史的意味の選択の過程である」と言いました。

毎日起こっている出来事、取材や報道、どれも「取材的意味の選択の過程」です。

なので、無限の事実、本当に些細なことを持ち寄ることはできません。どうしても意味のあることを選択してしまいます。

「恣意」という行為を行う必要があります。


自分の尺度や意見をしっかりと持たなければいけないな、と感じました。


・読んだ日:'98/02/01~02/28。


『アエラムック 歴史学がわかる。』 『アエラムック 歴史学がわかる。』

出版社 : 朝日新聞社
出版年 : '95/10/10
売り上げランキング : 117,403

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

sorry,no image2004年に惜しくも亡くなられた野沢尚さんの連続TVドラマの2作目のシナリオ本です。

「人間万事塞翁が馬」「禍福はあざなえる縄の如し」など人生訓や処方箋にはさまざまなものがあります。

この物語はそんなすべての人生訓を含んでいます。どんなも人生訓を超えてしまっている一冊でした。


一人の料理学校の女講師とその娘、一つの母子家庭の物語です。

誰かを愛したこと、誰かを愛すること、

自分のために生きること、誰かのために生きること、

自分を許すこと、自分に甘えること、そして自分を越えること・・・。


これは「人生」そのものです。彼女を取り巻くさまざまな男たちも「人生」です。

どの男たちも人間臭く、強烈ですごい個性を出しています。


自分の好きな言葉に「生きているだけでまるもうけ」という言葉があります。

「人生」とは、他の人から見て、情けなくて、格好悪くて、不細工で、不器用なものなのかもしれません。

しかし、そんなものこそ本当の人生の姿かもしれません。格好いい人生なんてありません。


主人公の生き方はどんな人生訓にも勝っています。そして、どんな人生訓よりも参考にならないかもしれません。

こういうものこそ「人生」なのでは・・・と思いました。


・読んだ日:'98/02/12~02/13。
sorry,no image 『素晴らしきかな人生』 - 野沢 尚

出版社 : フジテレビ出版(初版は扶桑社)
出版年 : '93/09/10
おすすめ平均 :☆

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『魂の言葉』最近ちょくちょくテレビに出るようになった占星術研究家鏡リュウジさんの名言・格言集。

鏡リュウジさんは妖しい雰囲気でどうかな?なんて思いましたが、本はいたって真面目です。

きれいな言葉や素敵な言葉、励まされる言葉、勇気付けられる言葉、感動する言葉までたくさんの言葉であふれかえっている一冊です。


【どうして私達が狂っているのかと思うのか、そのインディアンに尋ねた。

「白人達は頭で考えているそうだな」彼は答えた。

「当たり前じゃないか。君達はどこで考えてるんだい」驚いて私は聞いた。

「ここさ」彼はハートを指さしていた。                       ユング自伝より】

が秀逸。あの人間心理の第一人者であるユングの言葉なのかいいなぁ~。


そしてもう一つ。

【できることなら何でも、夢見られるなら何でも、いますぐ始めたまえ。

大胆さには、才能、力、魔力がある。さあ、いますぐ始めたまえ。        ゲーテ】

もいい。まさしくその通りです。さて、始めましょうか!


・読んだ日:'99/02/25。


『魂の言葉』 『魂の言葉』 - 鏡 リュウジ

出版社 : 学習研究社
出版日 : 97/11/07
売り上げランキング : 249,447
おすすめ平均☆

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『本多勝一の研究』 新聞記者であり、ルポタイターであるジャナーリスト本多勝一氏の研究本。

本多勝一氏というと『週間金曜日』や『中国の旅』にて「南京大虐殺」を取り上げた人物として有名かもしれません。


そんな彼でも素晴らしい著作もあれば、「これはどうか?」と思われる著作もあります。

そういった良い本ばかりを取り上げて紹介していない点、いい面ばかりを一辺倒に取り上げていない点に好感が持てた一冊でした。


本多勝一氏を「日本人の中の日本人、記者の中の記者」という位置付けをしているのは言い得て妙な気がします。

何を考え何を思ってその多岐に渡る行動に出たのか、その断片を垣間見ることができました。


本多勝一氏は峻烈で、厳格な激情家です。そして、その一貫性は義理・人情と切っても切れないような気がします。

自然の恩恵を受ける人間として、悪者を覆い隠そうとするマスコミに対して旧恩を忘れない弱者の味方でもあります。

もしかしたらかつての日本人たる日本人とはこういう人だったのかもしれません。

私が本多勝一氏にひかれるのは日本人として失ってしまった何かを求めているからなのかもしれません。


日本は確かに発展しています。日進月歩の勢いです。豊かです。

しかし、それと引き換えに大事なものやアイデンティティを失ってしまっています。

それは多分、大多数の日本人が気付いています。

これは真の発展・真の豊かさなのでしょうか?・・・。

そんな「日本人とは?」ということを考えた一冊でした。


・読んだ日:'99/07/10~07/13。


『本多勝一の研究』 『本多勝一の研究』 - 岡崎 洋三

出版社 : 晩聲社
出版日 : '90/12/25
売り上げランキング : 564,215

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『ノーライフキング』何が本物で何が偽物か分からない仮想現実、つまりヴァーチャルリアリティの氾濫する社会へ、そこに住む私たちへ警鐘を鳴らしている小説です。
この小説を読んで「妄想だ」と「まったくの作り話だ」と笑い飛ばすことはできないような気がします。

それはやはり、何が現実で何が非現実なのかなどは分からないからです。

多感な小学生たちが逃れることのない魔物のような存在である社会に必死にあらがい、抵抗し続けます。

それは今も昔も変わっていません。


この社会

社会には従属しなければいけないのでしょうか?社会は敵なのでしょうか?とすると、人生とは戦い続けることなのでしょうか?この戦いは参加しなければならないのでしょうか?傍観していてはいけないのでしょうか?

知らず知らずのうちに社会の一部に組み込まれてしまった私たちに「社会」とは何かを考えるきっかけを与えてくれた一冊です。


1988年、つまり昭和発行のため内容からは古さが否めませんが、どれだけ時間が過ぎても、いつの時代も変わらないこと・色あせないことはあるのだなを感じます。

「真実」とは何か、すべて「虚像」なのか、などいろいろなことが盛り込まれている一冊です。

確かにマイナーな本ですが面白い内容でした。


・読んだ日:'98/02/08。



『ノーライフキング』 『ノーライフキング』 - いとう せいこう

出版社 : 新潮社
出版日 : '91/05(書籍は'93/11/12出版)
売り上げランキング : 53,430
おすすめ平均

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『アムリタ』(上)ある母子家庭(母・主人公・弟)と居候二人のちょっと不思議な物語。

主人公や弟、死んでしまった妹たちで霊的な・オカルトな物語が展開します。

「生」「死」の狭間にあるものや、「現実」「空想」の間にあるものたちをとても暖かく描いています。

ここに暗さや悲しさ、怖さや後ろめたさなどがまったくないのにすごく好感が持てました。


特に主人公と弟に展開する常識では考えられないようなドラマティックなお話はすごく興味深くて面白いです。

これは二人の母の生命力、そして二人の妹の生命力にふれて生きてきた人にしか起こりえない命の輝きのような気がします。

常に命を輝かし発することが出来る人もいれば、ほんの一時しか放てないような人もいます。

「今自分は命を輝かしているだろうか?」と考えたりしました。


一般に「死」は非常態で、「生」は常態です。もしかしたらその逆で、「死」は常態で、「生」は非常態なのかもしれません。

それはきっと誰が決めることでも線を引くことでもないような気がします。

よく人間の脳の半分は闇で使われないと聞きます。ということは人間は「死」んでいる?なんて考えてしまいました。


「生」とは?「死」とは?ということを考えさせられる一冊でした。

少し風変わりでとっつきづらいような印象も受けます。でも、その風変わりさがとても心地よく感じれました。


・読んだ日:'99/05/27~05/29。


『アムリタ』(上) 『アムリタ〈上〉』 - 吉本 ばなな(よしもと ばなな)

出版社 : 新潮社(書籍は福武書店)
出版日 : '02/09(書籍は'93/11/12出版)
売り上げランキング : 41,603
おすすめ平均☆

→ Amazonで詳しく見てみる
電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『中国傑物伝』歴代中国16人の傑物の列伝。

これを「偉人」とせずに、「傑物」とした着眼点が面白いです。

この「傑物」とは、劉邦ではなく名軍師張良、朱元璋ではなく名参謀劉基、孫文ではなく名将軍左宗棠を取り上げるということで、それが歴史の影に隠れがちな№2に脚光を当てていてすごく嬉しいです。
今回取り上げた人たちを挙げると・・・

范蠡・子貢・呂不韋・張良・漢の宣帝・曹操・苻堅・張説・馮道・王安石・耶律楚材・劉基・鄭和・順治帝・左宗棠・黄興。

もうこの人物を見ただけでこの本の特徴が分かります。


彼らは自分の役割や自分の立場をよく分かっている人たちでした。

もしかしたら誰かに仕えるとはそういうことなのかもしれません。


しかし、おもねることなくへつらうことなく自分を表現し続けました。

もしかしたら誰かを補佐するとはそういうことなのかもしれません。


でも彼らは誰かに仕えるという気持ちだったのでしょうか?彼らの気概や気骨は天に仕え、時代に仕えた男たちだったような気がします。

それだからこそこうやって時代を超えて時空を超えて、光彩を放ち心に訴えかけてくるのではないかな、という気がしました。


・読んだ日:'98/03/10。


『中国傑物伝』

『中国傑物伝』 - 陳 舜臣

出版社 : 中央公論社

出版年 : '94/09(書籍は'91/3/10出版)
売り上げランキング : 175,101
おすすめ平均

→ Amazonで詳しく見てみる

電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp

『ハネムーン』吉本ばななさんの書き下ろしの長編小説。

不思議な雰囲気の女性と暗い過去を背負った男性という吉本ばななさんお得意の設定です。しかし、今回はそこに白いテリアのオリーブという犬が存在があるのが大きく違っています。


しかも、今回の話は過去がものすごく暗いです。

「生きる」ということを誰にも肯定されていないという想像をすることのできない状態です。

もしも、自分の普段の生活に自分を否定するものが気付かないうちに少しずつ入ってきてとしたら・・・それは筆舌に耐え難い辛さなような気がします。

自分はこうして生きているのに、それを否定されてしまうということは本当に辛く、生きていることに価値を見出せるでしょうか・・・。


そんな過去の彼の告白の情景にすごく胸を打たれました。

自分には関係がないとはいえ、自分の血に肉に骨に血液に自分が忌み嫌うものが入っていると考えると本当に恐ろしいです。

海を眺めた二人が感じた「ちっぽけな力強さと美しさ」に命の荒々しさや息吹、滑稽さや素晴らしさを感じました。


また、挿絵のテリアはMAYA MAXさんなんですが、これがすごくぴったり!

この本の世界観とよくはまっていて、この本一冊が統一された不思議な世界を表していて心地よい一冊になっています。


・読んだ日:'99/07/06~07/10。



『ハネムーン』

『ハネムーン』 - 吉本 ばなな(よしもと ばなな)

出版社 : 中央公論新社

出版日 : '00/07(書籍は'97/11/25出版)
売り上げランキング : 6,632
おすすめ平均☆

→ Amazonで詳しく見てみる

電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp
『白河夜船』

「夜」というある種の“怖さ”を感じさせる空間を題材にした3つの短編集。
夏目漱石の『夢十夜』をほうふつとさせるような不思議な雰囲気。


表題作『白河夜船』・『夜と夜の旅人』・『ある体験』の3話のオムニバス。

自分と向き合いすぎて、眠ることでしか自分を解放することができなくなってしまって女。

そこに存在すること、生きていることを愛する男。

過去を愛せない男と過去を愛し続ける女。


おすすめは表題作『白河夜船』

主人公の眠りがどんどん深く長くなって、埋められない淋しさが・・・

そんな女性の再生のお話なんです。

眠りと覚ざめのバランスが崩れてしまうことってけっこうありますよね。

それをここまでの物語に出来る力量に感服です。


また、最後の『ある体験』もいいです。

大事にしていたものを失った喪失感の描写とその雰囲気の描き方がとにかく上手です。


それぞれに特有の優しさや冷たさ、せつなさ、やるせなさを持っています。

それは誰もが最初から持ち合わせているものだと思います。でも独自のものではなく、共鳴する部分や共有する部分は必ずあると思います。


この小説はどれもそんな「他人」と「自分」が「夜」という空間に存在しています。

不思議で、暖かくて、少し怖くて・・・「夜」がそれをすごく上手に演出しています。

永遠に続くように思えていつのまにか朝が来てしまう・・・。

そんな「夜」に起きた出来事はやっぱり「白河夜船」で寝過ごして気付かないことなのかもしれません。

本当にあったことだとしても。


・読んだ日:'98/02/09。
 この写真 → は、書籍発刊当時の画像です。福武書店さんでしたね~当時。懐かしい・・・。


4101359172

『白河夜船』 - 吉本 ばなな(よしもと ばなな)

出版社 : 新潮社(書籍は福武書店)

出版年 : '02/09(書籍は'89/07/10出版)
売り上げランキング : 127,087
おすすめ平均0

→ Amazonで詳しく見てみる

電子書籍のでじたる書房 電子書店ΣBook.jp