種・家庭菜園・園芸・野菜 市川種苗店
本日金沢からのお客様がご来店くださいました。もちろん、佐世保に在住のお客様のお知り合いで、ご一緒にたまたまお立ち寄りいただいたとの事。ありがとうございました。
ミニトマト(アイコの接木苗)をお買い上げいただきました。お話をお聞きしていると、金沢ではトマトを斜めにしてやや深く植える!というお話でした。そのほうがよく根が張りよく育つとの事。大変興味深く聞かせていただきました。

(茎だった部分からも根がたくさん出てくる!)
ここで、「面白いお話を聞かせていただきありがとうございました。今後の参考にさせていただきます。」と応対するのが良識ある店長の務めだとは重々承知しておりましたが。つい、「しかしですね・・・」とやってしまいました。
「そうですか・・・お聞きしてよかったです」とご納得していただけて、ホッとしているのですが、そういかないことも多々あり接客業は難しいなと思うことも度々です。
さて、本題です。
《なぜ、斜めに植えるのでしょうか?》
①トマトはさし芽をしても苗が新たに出来るくらい非常に発根しやすい植物です。単に斜めだけではなく、苗のとき空気中に出ていた茎の部分も土の中に深く埋め込むだけで、そこからも旺盛に発根します。
②根の量が多くなると、養分や水分を吸収する力が大きくなれるので、当然、生育が旺盛になり、丈夫に育つ可能性が高まります。

(斜めだけではなく、単に深く植えるだけでもトマトは発根する)
《しかし、・・・・》
①トマト以外の一般的な果菜類はぜったに深く植えてはいけません。空気に触れていた部分が土に埋まると、その部分が呼吸できなくなったり、過湿になり、立ち枯れ病など、致命的な病気にかかる原因となります。
②根の量は増えますが、一般的に浅根で、地表付近に広く張りやすく、地中深くには張りません。したがってその量の割には乾燥に弱いのです。特に直根が発達していない場合には土の乾湿の影響をもろに受けるので、トマトの場合裂果が多くなる弱点があります。(逆に直根が発達していれば乾湿の影響を受けにくくなり、裂果が少なく尻腐れなどの生理障害も受けにくくなります。)

(実生と接木の苗は全く事情が異なります)
《接木苗は絶対に深植えしてはいけません!》
最も重要なことはこれからです。接木苗の最大の目的は、土壌病害に抵抗性のある台木のバリアーで病原の侵入を防ぐことにあります。「立枯れ病」「青枯れ病」「ツル割病」など致命的な連作障害の原因となる致命的な病害を最小限に留めることが可能なのです。
しかし、自分の根(穂木の根)が出てしまうと、そのバリアーに「トロイの木馬」みたいな「侵入口」がぽっかり明いてしまうことになるのです。つまり、接木苗を植える意味が全く失われてしまう結果になってしまいます!!
先に書いたように、トマトは非常に発根しやすいので、特に注意が必要です。
トマト自身が、土に直接根を下ろすことを絶対にさせてはならないのです!

(こんな感じで植えるとうまくいきます。)
《まとめ:繰り返します》
①苗は浅植えが基本です。
②トマトは実生に限り深植え可能です。しかし、リスクもあり!
③接木苗は絶対に深く植えてはいけません。少なくとも接木面が地表より十分離れている必要があります。
④株元は同様な理由でできるだけ乾燥させたほうが良いのです。
⑤特に、敷きワラなどをする場合は株元だけはワラを除けて土面を露出するようにして、株元を乾燥させるようにしなければなりません。
種・家庭菜園・園芸・野菜 市川種苗店
作り方のポイント 裏技・秘密のお話