田宮模型をつくった人々 伝説のプラモ屋 (文春文庫 た 45-2)
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また勘違いする。小川進「QRコードの奇跡」がデンソーのQRコード発明の話だったので、
タイトルをパッと見て「世界標準規格を生み出した(浸透させた)日本人経営者」のエピソード集かなと購入。
届いてみると「世界標準研究を発信した日本人経営学者たち」とあり、つまり経営者ではなく世界的な業績をあげた経営「学」者の本であった。ただ、読み始めると面白い。
本書は日本の高度経済成長の頃の話で、アメリカからみて「なぜ日本企業はこんなにも強いのか?」と日本に対する興味が強かった。ゆえ、一緒になって研究してくれる日本人研究者の需要があり、そこに今回紹介されている優秀で熱心な研究者が参画し、結果として彼らは世界的に標準となる成果を発表していく。そのエピソードの数々や「研究生活」一般の具体例もたのしい。
さて。いまの日本人経営学者は何を研究しているのだろう?と興味がわく。
まずは「ユーザーイノベーション」を読んでみるか。
本書は名古屋大学出版会編集長・橘宗吾さんによる学術書の編集論である。
名古屋大学出版会の編集長ではあるが、この本は慶応義塾大学出版会からの刊行だ。
「漢文脈の近代」という学術書について、企画の始まりから著者選び、原稿執筆の過程から完成まで、助成金制度を交えて具体的に語られている。編集者の本というのはこうした具体的なエピソードがあるから面白い。
さて。
読んでる最中、ずっと「むかし名古屋大学出版会の本を探していたよな~??」と頭をめぐる。
「日本の古本屋」で検索し頻繁に「名古屋大学出版会」の文字を目にしていた記憶。
思い浮かんだのが前田裕子「戦時期航空機工業と生産技術形成 三菱航空エンジンと深尾淳二」だったので現物を確認したところ、東京大学出版会だった。余談、前田裕子さんは名古屋大学出版会より「ビジネス・インフラの明治―白石直治と土木の世界」という本を出しており、これはこれで要チェックやな。
けっきょく名古屋大学出版会の本は思い出せずに記憶力の敗北ではあったけれど、久しぶりに書棚をアレコレ見回す愉しい時間をもてたとす。
本書「誰が音楽をタダにした?」を早とちりした。たしか「QRコードの奇跡」を読後にオススメに上がってきた記憶があり、近年音楽配信サービスで覇権をとった企業の物語かな?と読み始める。
冒頭、MP3がMP2に(標準規格採択で)敗れる。「どこで音楽サービス創業者が登場するのかな?」と進んでいくも、30%40%越えても出てこない。ついに全体の半分を通り越し「これは配信サービスの物語ではないのでは?」と気づく。
結論。本書は訳者・関美和さんのあとがきに要点が詰まっている。まずここをチェックしてから読み始めると「どこへ向かうんだ?」とソワソワしなくて済むだろう(300ページ以上あって方向性が見えないと飽きる可能性あるので)。
さて。「誰が音楽をタダにした?」ではCDの後にMP3が登場し、MDは出てこない。
わたしの記憶ではCDプレーヤの次にMDコンポ・プレーヤが出て、みんなCDをレンタルしてMDに落として自分編集の音楽アルバムを楽しむという感じだったのだけれど、アメリカは違っていたのだろうか?本書の肝は「CD工場から発売前の新譜持ち出し違法リーク、あらゆる音楽がファイル共有された結果、誰も音楽にお金を払わなくなった」ことなので、音楽の楽しまれ方は割愛したのかもしれない。
数学者のエッセイ集をよむ。
アメリカの大学院はTA(ティーチングアシスタント)報酬等で実質授業料がかからないようで(※それを補うために学部生の授業料が高い?)、日本とは違う運営の仕方だなと。私の場合、博士課程前期(修士)は学部と同じ学費であり、理論系と実験系の別もなく。理論系の自分は授業は週一程度で、基本的にはゼミとその準備にあてる。ゼミは(先輩の次の論文のための)研究発表の場だったので、テーマの基本的なキャッチアップや参考論文の読み込み等々、やるべきことは沢山。その勉強・研究に注力できる環境がよく、学費の高さは感じなかった(両親が払ってくれたので私に高い低いをいう資格はなく感謝あるのみ)。一方、奨学金も借りており、そちらは社会人生活15年かけて返済した。
唐鎌大輔さんの「為替市場を中心とした経済・金融分析」noteに興味があり、まずは著書を読む。
唐鎌さんは円安の一因として「新時代の赤字」を挙げており、それは例えば情報サービス基盤がGAFAMに代表される海外製になっていることであるが、本書はKindleで買ったので「新時代の赤字」の一部であるともいえる。
円安、というのは「円が弱い」ということで、日本は投資する側ではなく投資される側なのだという視点は成程なと。
グローバル企業の誘致という点はAI翻訳の加速度的な進化でうまく進んでいくかもしれない。
一方で個人としてこの日本の情勢にどう対峙していくか?は継続的な情報収集がカギになるので、
こうした筋の良い情報は活用していこう。
著者東條英利さんが最後に語るように、いまここにいる我々には当然上の世代がおり、80年以上前には全員が戦時下にあった。その意味では、歴史の証言というものは特別なモノではなくすぐ目の前にあるのだけれど、一方で要職にあった人の周辺話というのは中々に聞く機会もなく、個人的に貴重である。
本書は、東條英機とはどんな人物だったのか?を知る一冊。
ちなみに東條由布子さんは英利さんの叔母である。
さて。
東條英機に貼られたレッテルの1つ、民家のゴミ捨て場を見て回る=民衆を監視しているという話。
それは配給がキチンとみんなに届いているか、不公平がないかを実地で確認していたのであるが、
これは頼山陽「日本楽府」の「炊煙起こる」と重なる。仁徳天皇が民のかまどから煙が立つのを見て民がキチンと生活出来ていることを確認して安心するという漢詩で、東條さんもその故事に倣ったのかもしれない。
さいごに。
この本のもう一人の主人公は、英利さんの父・英勝さんである(つまり東條英機氏の孫)。
戦後(英勝さんは小2)、東條なんてという非難を一身に受けるも、一切語ることなく、生きた。