華麗の空~小難しい本のナルホド書評
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田宮模型をつくった人々〜模型の聖地静岡

「田宮模型をつくった人々」を読み返す。
前著「田宮模型の仕事」は学生の頃、駅前の書店で棚に1冊置いてあるのをたまたま見つけた。のち文庫も買い、オンラインストアで英語版も取り寄せる。田宮俊作社長(当時)のサイン入り。

ものすごいリスクを取って会社を発展させてきた歴史が分かる。滝博士のエピソードもオススメ。 

 

 



鉄道ダイヤ回復の技術:運行管理システムの進歩と駅係員のホーム捌き

本書は平成22年刊行でもう15年以上経過しており、運行管理システムはより進歩していると思われる。

「回復の技術」がテーマで、ダイヤ図の読み取りがちょっと難しかった(自分の理解不足)。

ITシステムを活用してダイヤを組み替えたりするのだが、駅係員は状況を正確に把握し、乗客に聞かれたら適切に応対しなければならず、係員の情報整理力はすごいなと。

 

余談、さいきん航空無線にハマっており、運行管理の実際を見たり聴いたりは楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

森功:国商 最後のフィクサー葛西敬之~JR誕生から安倍政権、菅政権までの権力模様

JR東海のドン葛西敬之氏の国鉄解体から菅政権までの関わりを追いかけたノンフィクション。

まず牧久「昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実」を読んでおくと前半部の理解が容易になる。

さらに立花隆「日本共産党の研究」に目を通しておくと、革マルとか中核などに詳しくなり深まる。

本書の良い点は、葛西敬之氏一個人の生き様を知れることではなく、国鉄解体(言い換えるとJR誕生)の時代から令和の菅政権まで、政治家や官僚の人間模様がどのように移り変わってきたかを追えることである。

たとえば菅総理(当時)が何の因果があって誰を要職に就けたか等々を述べているので、自分なりの政界・官界の見方の参考になるのである。

 

 

 

 

 

小川進:世界標準研究を発信した日本人経営学者たち~円安時代における研究者への道のりは如何に?

また勘違いする。小川進「QRコードの奇跡」がデンソーのQRコード発明の話だったので、

タイトルをパッと見て「世界標準規格を生み出した(浸透させた)日本人経営者」のエピソード集かなと購入。

届いてみると「世界標準研究を発信した日本人経営学者たち」とあり、つまり経営者ではなく世界的な業績をあげた経営「学」者の本であった。ただ、読み始めると面白い。

本書は日本の高度経済成長の頃の話で、アメリカからみて「なぜ日本企業はこんなにも強いのか?」と日本に対する興味が強かった。ゆえ、一緒になって研究してくれる日本人研究者の需要があり、そこに今回紹介されている優秀で熱心な研究者が参画し、結果として彼らは世界的に標準となる成果を発表していく。そのエピソードの数々や「研究生活」一般の具体例もたのしい。

 

さて。いまの日本人経営学者は何を研究しているのだろう?と興味がわく。

まずは「ユーザーイノベーション」を読んでみるか。

 

 

 

 

 

橘宗吾:学術書の編集者@名古屋大学出版会の本の作り方

本書は名古屋大学出版会編集長・橘宗吾さんによる学術書の編集論である。

名古屋大学出版会の編集長ではあるが、この本は慶応義塾大学出版会からの刊行だ。

「漢文脈の近代」という学術書について、企画の始まりから著者選び、原稿執筆の過程から完成まで、助成金制度を交えて具体的に語られている。編集者の本というのはこうした具体的なエピソードがあるから面白い。

さて。

読んでる最中、ずっと「むかし名古屋大学出版会の本を探していたよな~??」と頭をめぐる。

「日本の古本屋」で検索し頻繁に「名古屋大学出版会」の文字を目にしていた記憶。

思い浮かんだのが前田裕子「戦時期航空機工業と生産技術形成 三菱航空エンジンと深尾淳二」だったので現物を確認したところ、東京大学出版会だった。余談、前田裕子さんは名古屋大学出版会より「ビジネス・インフラの明治―白石直治と土木の世界」という本を出しており、これはこれで要チェックやな。

けっきょく名古屋大学出版会の本は思い出せずに記憶力の敗北ではあったけれど、久しぶりに書棚をアレコレ見回す愉しい時間をもてたとす。

 

 

 

 

 

 

 

誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち:圧縮解凍MP3とファイルシェアとラップ隆盛。

本書「誰が音楽をタダにした?」を早とちりした。たしか「QRコードの奇跡」を読後にオススメに上がってきた記憶があり、近年音楽配信サービスで覇権をとった企業の物語かな?と読み始める。

冒頭、MP3がMP2に(標準規格採択で)敗れる。「どこで音楽サービス創業者が登場するのかな?」と進んでいくも、30%40%越えても出てこない。ついに全体の半分を通り越し「これは配信サービスの物語ではないのでは?」と気づく。

 

結論。本書は訳者・関美和さんのあとがきに要点が詰まっている。まずここをチェックしてから読み始めると「どこへ向かうんだ?」とソワソワしなくて済むだろう(300ページ以上あって方向性が見えないと飽きる可能性あるので)。

 

さて。「誰が音楽をタダにした?」ではCDの後にMP3が登場し、MDは出てこない。

わたしの記憶ではCDプレーヤの次にMDコンポ・プレーヤが出て、みんなCDをレンタルしてMDに落として自分編集の音楽アルバムを楽しむという感じだったのだけれど、アメリカは違っていたのだろうか?本書の肝は「CD工場から発売前の新譜持ち出し違法リーク、あらゆる音楽がファイル共有された結果、誰も音楽にお金を払わなくなった」ことなので、音楽の楽しまれ方は割愛したのかもしれない。

 

 

 

 

吉田豪と15人の女たち~2018年時点のインタビュー集

「証言モーヲタ」で結構なサブカルに触れ、本書「吉田豪と15人の女たち」よむ。

2018年刊行時より7年ほど経過しており、さいきんのTverバラエティでお見掛けする方もいて趣アリ。

 

 

 

 

河東泰之:数学者の思案~日米の大学院の違い?

数学者のエッセイ集をよむ。

アメリカの大学院はTA(ティーチングアシスタント)報酬等で実質授業料がかからないようで(※それを補うために学部生の授業料が高い?)、日本とは違う運営の仕方だなと。私の場合、博士課程前期(修士)は学部と同じ学費であり、理論系と実験系の別もなく。理論系の自分は授業は週一程度で、基本的にはゼミとその準備にあてる。ゼミは(先輩の次の論文のための)研究発表の場だったので、テーマの基本的なキャッチアップや参考論文の読み込み等々、やるべきことは沢山。その勉強・研究に注力できる環境がよく、学費の高さは感じなかった(両親が払ってくれたので私に高い低いをいう資格はなく感謝あるのみ)。一方、奨学金も借りており、そちらは社会人生活15年かけて返済した。

 

 

 

唐鎌大輔:弱い円の正体 仮面の黒字国~日本は投資される側、という事実認識。

唐鎌大輔さんの「為替市場を中心とした経済・金融分析」noteに興味があり、まずは著書を読む。

唐鎌さんは円安の一因として「新時代の赤字」を挙げており、それは例えば情報サービス基盤がGAFAMに代表される海外製になっていることであるが、本書はKindleで買ったので「新時代の赤字」の一部であるともいえる。

円安、というのは「円が弱い」ということで、日本は投資する側ではなく投資される側なのだという視点は成程なと。

グローバル企業の誘致という点はAI翻訳の加速度的な進化でうまく進んでいくかもしれない。

一方で個人としてこの日本の情勢にどう対峙していくか?は継続的な情報収集がカギになるので、

こうした筋の良い情報は活用していこう。

 

 

 

 

東條英利:東條家の証言~東條英機のひ孫、語る。

著者東條英利さんが最後に語るように、いまここにいる我々には当然上の世代がおり、80年以上前には全員が戦時下にあった。その意味では、歴史の証言というものは特別なモノではなくすぐ目の前にあるのだけれど、一方で要職にあった人の周辺話というのは中々に聞く機会もなく、個人的に貴重である。

本書は、東條英機とはどんな人物だったのか?を知る一冊。

ちなみに東條由布子さんは英利さんの叔母である。

さて。

東條英機に貼られたレッテルの1つ、民家のゴミ捨て場を見て回る=民衆を監視しているという話。

それは配給がキチンとみんなに届いているか、不公平がないかを実地で確認していたのであるが、

これは頼山陽「日本楽府」の「炊煙起こる」と重なる。仁徳天皇が民のかまどから煙が立つのを見て民がキチンと生活出来ていることを確認して安心するという漢詩で、東條さんもその故事に倣ったのかもしれない。

さいごに。

この本のもう一人の主人公は、英利さんの父・英勝さんである(つまり東條英機氏の孫)。

戦後(英勝さんは小2)、東條なんてという非難を一身に受けるも、一切語ることなく、生きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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