プールサイドの人魚姫 -11ページ目

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

 

 

 

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB曇天,ISO200,SS/1.3秒,f/8 Z24-200mm f/4-6.3VR

 

 

 河津桜が咲く頃になると東京ソラマチへ出掛ける。スカイツリーの直ぐ下を流れる『北十間川』に架かる『東武橋』の辺りに河津桜が2本立っており、数多くの写真愛好家や、観光客で賑わう人気の撮影スポットである。

 2月下旬~3月中旬辺りが見頃となり、ライトアップされたスカイツリーを背景にした河津桜とのコラボは何回見ても飽きる事のない東京を代表する風物詩となっている。ただ、残念な事に撮影範囲が狭く人が多くなる夜間は密集してしまうため、撮影ポイントを見つけるのに結構苦労する。誰が撮っても同じような構図となり、自分の個性を如何に引き出すか、その辺りで狭い中を試行錯誤しつつの撮影だった。

 日中なら兎も角、夜景ともなればやはり三脚を使いたい所ではあるが、『三脚禁止』の赤い文字が目立っている。それでもそんなルールお構いなしの若いカメラマン数人が堂々と三脚を広げて場所を占領してしまうため、その間を縫うように奥へと入り込み、ベストポジションを何とか確保した。

 私はつい最近、低い位置に咲いている花の撮影のため、卓上のミニ三脚(SLIK)を購入しており、この日もカメラに取り付けていた。その三脚を自分の胸を台にして押し当て、モニターを見ながら構図を決め撮影。10~15秒といった長時間露光は無理でもかなり遅いシャッタースピードで撮る事が出来た。電信柱にでもなった積りで自分さえ動かなければ何とかいけると思った訳で、これが意外にも使える事が分かりこれでまた撮影の可能性が広がったと嬉しくなった。

NIKON Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO64,SS/125,f/5 NIKKOR Z MC105mm f/2.8 VR S

 

人は誰しも

心の奥に花を咲かせている

それが例えば

誰か好きな人のため

家族のため

世の中のため

或いは自分自身のため

心の奥に咲いた花は

決して枯れる事はない

それはあなた自身が

そんな花のように

心の優しい人だから

 

 Zマウントのマクロレンズ、Z MC105mmを購入したので、自宅近所に咲いている花を撮影に行った。花音痴は相変わらずなので種類は解らぬが多分、寒桜と芝桜ではないかと思う。マクロレンズはタムロンのSP90mmがあったので敢えて購入する必要もなかった。一眼レフのD810でタムキューを使っていた時は充分その優れた解像力を発揮してくれる非常に良いレンズだったのだが、ミラーレス一眼に変えてからどうもしっくり来ない。

 オートフォーカスが甘かったり、カメラ本体の手ブレ補正が使用出来なかったりと、少し不満を持ったのが購入の切っ掛けとなっている。ほぼ同時期に発売されたMC50mmとMC105mmのどちらにするかかなり迷った。MC50mmの方は何と言ってもその小さなサイズと軽さにある。写りも申し分のない優れたマクロレンズである事は間違いない。

 この両者を比較して様々な角度から検証して得た結果、やはりSラインのMC105mmに軍配が上がった。値段も12万と意外にリーズナブルである。因みにMC50mmは7万程度。購入してから後悔したくないので、ここは妥協せずMC105mmを選んだ訳である。私の得意とするのは風景写真なので花は結構苦手意識がある。それと風景よりも花を撮っている時の方がかなり体力を消耗する。マクロともなるとカメラを持つ手がプルプル震えるし、シャッターを切るまでの間は呼吸を止めて集中するから心肺機能の悪い私には実にハードな撮影となる。撮り終えた後、ハァハァと肩で息を整えるほど。だが、好きな女性を口説き落とすつもりで花に語りかけ、花がこちらに振り向いてくれた時の歓びは言葉では語れぬものがある。今後は積極的に花の撮影に取り組むつもりでいる。

 

NIKON Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO200,SS1/100,f/2.8 NIKKOR Z 28mm f/2.8

 

 押上のスカイツリーを撮影に行く際、必ず立ち寄る場所が『東京ソラマチ』の直ぐ近くにある『どんぐり共和国』。スタジオジブリ作品のキャラクターたちが所狭しと数多く揃っており、客の眼を愉しませてくれる。その中で最も人気のあるキャラが『トトロ』。正面ウインドウには、かなり大きなねこバスと小さなトトロの人形が展示されており来店客を出迎えてくれる。

 私の目的はキャラの購入ではなく、ただひたすら撮影するのみ。お気に入りのキャラを見つけ食い入るようにシャッターを切っていると、お店のオーナーらしきご婦人が話し掛けて来た。私は、春夏秋冬の年4回、必ず立ち寄り撮影しそれをInstagramに投稿している事を伝え、夏バージョンのトトロを見せるとご婦人は眼を丸くし驚き「これこの店ですか!」と信じられないような様子で撮影した何枚かの写真を見てくれた。

 私は撮影する際、必ず被写体に話し掛けるようにしている。すると不思議なもので想いが伝わったかのような表情を見せてくれるから面白い。

 さて、以前、Zマウントの単焦点レンズZ40mmを買う予定と記したが、手に入るのが早くて6月頃と言うので、それまでとても待てない私は同時期に発売した、Z28mm f2.8を衝動買いしてしまった。アップした写真はそのレンズで撮ったもの。重量160gと非常に軽く、しかも3万円と破格のお値段!28mmの広角レンズだが、最短撮影距離0.19mとかなり寄る事も出来るため、風景から物撮り、テーブルフォト、ポートレートまでと幅の広い撮影が可能な万能レンズである。

 その軽さの恩恵でもう1本レンズを持ち歩く事が可能になり、心臓の悪い私でもさほど苦にならないのは非常に有り難い。撮影の幅がまた一歩広がり愉しみがどんどん増えて行く今日この頃である。これでコロナさえ収まってくれれば言うことなしなのだが…。

 

NIKON Z7Ⅱ,Mモード,WB曇天,ISO64,SS1/40秒,f/7.1 Z14-30mm f/4 S

 

 

燃える夕陽に手を翳し

さよなら告げる

涙のしぶき

運河を渡る船の影

水の波紋に心も揺れて

走る去るのは

貴方への想いと

夕陽に染まる二人の影

二度と戻らぬ

わたしたち

過ち諌めて日が暮れる


 

 京浜急行の立会川駅から徒歩数分の所に『しながわ花海道』があり、四季を通して色とりどりの花を散歩がてら楽しむ事が出来る。その道を鮫洲試験場方面へ20分ほど歩くと、勝島運河に架かる鮫洲橋に出る。この夕景はその橋の上から撮影。真っ赤に染まる夕陽とその下をタイミング良くその日の仕事を終えたタグボート(曳船)が係留場所の『船だまり』へと帰港して来た所を捉えた。美しい航跡が左右に拡がり大きな波紋となって行く。そこに夕陽の赤が反射して現実離れした美しさを醸し出していた。その神秘的な風景に私は何度もシャッターを切った。

 橋の上に1時間近くいたと思うが、はっきりとは覚えていない。同じ場所から撮った写真が50枚以上ある事から時間の経過とともに変わりゆく自然が織りなす一期一会を根気よく納得出来るまで追い求めていたのだと思う。

 誰そ彼時は美しいけれども、その反面何処か悲しく哀愁を抱かせる。それ故、出来上がったポエムもやはり『終わった恋』或いは悲恋がテーマとなって来る。撮影している最中に空から言葉が降って来る…そんな感じで詩が生まれる訳である。

 

 

 

 

NIKON Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO200,SS/15秒,f/16 Z14-30mm f/4 S


 JCT(ジャンクション)シリーズも3回目となるが、今回は足立区にある『江北ジャンクション』荒川を跨いで走るアーチ型の『五色桜大橋』は圧巻である。都心との大きな違いは周りに高層ビル群が殆どないため、荒川土手からその迫力ある姿を楽しむ事が出来る。土手には人が殆どいないため、撮影ポイントに迷う事もなく周りに気を遣う必要もない。狙い目はやはり夕暮れ時が最も美しい。

 被写体が巨大な建造物のため、全体をカメラに収めようとするならやはり20~12mmの超広角レンズが望ましい。日暮里・舎人ライナーの『扇大橋』で下車し、徒歩15分程度で現地に着く。

 このJCTシリーズ、都内の全てを撮り終えるとするなら後どのくらい掛かるだろうか?ネットで調べて見ると大小合わせて30箇所になるようだ。今年1年で終わらせる事は可能だが、JCTばかり撮ってもその内飽きてしまうだろうし、工場夜景にも挑戦したいし、新しいレンズが手に入るとお気に入りの場所には何度も足を運ぶ事になる。同じ被写体でもレンズが変わればその表情も大きく変わってくるからきりがないのである。兎に角、自分が元気な内に出来るだけ多くの写真を撮っておきたいので、時間と身体が許す限り被写体を求めて出掛けるようにしている。

 

 

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO200,SS/10秒,f/16 LAOWA FFⅡ 14mm f4.0


 今年の冬は例年に比べると寒さが厳しく、夜景撮影の好きな私も流石に撮影回数が極端に減ってしまった。昨年の今頃は週二回のペースで撮影に出掛けており、日によっては5月上旬のポカポカ陽気の日もあった。撮影時、熱くてジャケットを脱いで撮影した事を覚えている。心臓の悪い私にとって寒さは大敵、慢性的な心不全だから常に血の巡りが悪いところへ寒さで血管が縮み更に流れが悪くなる…。

 あんまり冷えると私の場合、舌の先の感覚が無くなり、口の中がなんとも嫌な感覚に見舞われるが、身体が温まってくればそれらの症状は消える。コロナ禍と言う事もありもしかして「感染?」と疑いたくなって来る。オミクロンは一向に減る気配を見せないし、このまま春を迎え人流が増えてくれば更に感染拡大し、一気に7波に突入なんてこともあり得るだろう。全く、困った世の中になってしまったものだ…。

 このスカイツリーは、1月28日に撮影したもの。その日は気温も10℃以上あり風もなく比較的温かい一日だった。寒さの限界まで堪えて撮影した大雪の日に比べれば、温泉に浸って撮影している気分だった。

 私が初めてスカイツリーを訪れたのは2012年8月の事。完成間もない電波塔としては世界一を誇るこのとてつもなく高い塔をひと目見ようと、全国各地から毎日大勢の観光客が訪れ、入場まで3時間待ちは当たり前の反響ぶりだった。当時、あまりの人の多さと長い待ち時間に圧倒され、結局の所、首が痛くなるほど見上げ記念写真を一枚撮っただけで終わってしまった。

 写真に興味がある訳でもなく、日記代わりにその日の思い出として撮影していただけの頃だった。一眼レフを始めてからは、幾度となくこの場所を訪れ撮影はするけれど、未だに登ってはいない。日中は味気ない鉄の塊のこの塔が夕暮れと共にライトアップされ、その姿を一変させる。季節やイベント等により変化する光のパレードは見るものを魅了し、東京のシンボルとして多くの人から愛されている。嘗て東京タワーがそうだったように、人々の幸福を願いながら今夜も光輝いている…。

 

 

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO200,SS/20秒,f/16 Z14-30mm f/4 S

 

 この写真は昨年の秋、コスモスと観覧車のコラボを撮りたいと思い訪れた『葛西臨海公園』の時に撮影したもの。以前にも触れたが秋桜は何処にも咲いておらず、私の想いは空虚な秋の片隅へと追いやられた。何の成果もなく帰る気にはなれず、海の様に広い公園内を歩き回り、夕暮れが訪れるまで時間を潰した。

 その日は見事なまでの夕陽が美しく、東京湾の果に沈み征く太陽の姿をカメラに収める事が出来た。やがて夜の帳が太陽の残光で群青色に染まる頃、観覧車のある方へと歩を進めた。葛西臨海公園の目玉は何と言っても直径111m、高さ117mを誇る日本最大の『ダイヤと花の大観覧車』である。乗れば尚更、その観覧車から見下ろす東京の姿を一望出来、異空間の世界へと人を誘ってくれるだろう。

 私はこの夜空一杯に輝く美しい大観覧車を首が痛くなるほど見上げ、そしてシャッターを切った。1枚目と3枚目の写真は長時間露光で撮影。観覧車はゆっくり動いているから、シャッタースピードを遅く設定して撮ると、まるで高速回転しているように撮れるから面白い。肉眼では絶対見ることの出来ない姿がカメラで表現出来るのだ。

 夜景撮影の醍醐味はなんと言っても普段見る事の出来ない風景を映し出してくれるため、ハマるともう止められない。カメラはタバコやアルコールのようにどこか中毒性の魅力を秘めている気がする。レンズもマクロ~超広角まで一通り揃ったからもう不要と一時は思うのだが、少しするとまた別のレンズが欲しくなる。カメラが金食い虫と言われる所以である。私が今、一番欲しいのはZマウントのZ 40mm f2なのだが、かなりの人気商品のため、生産が間に合わないらしい。今年の春頃には手に入れたいと思っているのだが…。

 

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO200,SS/8秒,f/16 LAOWA FFⅡ 14mm f4.0

 

 

 正月3が日は新型コロナの感染者も比較的少なく、各地の神社には初詣に訪れる人々で賑わっていた。私は少し時期をずらして1月17日に神田明神(神田神社)へ赴いた。参拝客も少なく撮影もスムーズに行う事が出来た。おそらく誰もが思っているであろう、コロナ収束を祈願し、マスクの要らない日常を待ち望んでいるに違いない…。

 だが突きつけられる現実はそう甘くはなかった。僅か一ヶ月の間に感染者が全国で8万人を超えると言う、オミクロン株の急激な感染拡大により、日本全国に『まん延防止措置』が適用され、東京は『緊急事態宣言』の目安としていた病床使用率が50%を超えたが、都はその基準を変更し新指標を作った。だが、医療や検査を受けられない患者が巷に溢れ返っている現状は既に緊急事態と言ってよい。

 オミクロン株は「重症化しない」「風邪と同じ」という言葉だけがひとり歩きし始め、人々の気持ちに油断と軽視する風潮が蔓延り始めていたのも確かである。それが更に感染拡大に拍車を掛け、あっという間に感染爆発が国内でも広まってしまった。

 オミクロン株の猛烈な感染スピードは人智を超える全く持って想定外の事態だったのだろう。それ故、政府の対応は今回も後手に回り、3回めのワクチン接種も著しく遅延し、それに加えて検査キットやPCR検査試薬の不足が現状を更に悪化させている要因となっている。これらは全て政府の見通しの甘さが招いた人的被害と言えるだろう。

 この2年コロナと向き合って来て、教訓を嫌と言うほど得ているにも関わらず、相変わらず旧態依然とした対応に、国民もうんざりしているのではないだろうか?3回めのワクチン接種が終わる頃にはピークが過ぎ、次に控えている『ステルスオミクロン』と呼ばれる亜種の『BA.2型』に置き換わり、ゴールデンウィーク辺りは第7波に見舞われているかも知れない。先の見えないパンデミックの終焉はいつになったら訪れるのだろうか…。

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO100,SS/10秒,f/16,SIGMA 12-24mm f4.5-5.6ⅡDG HSM

 

 

 隅田川に架かる橋の五輪カラーシリーズもいよいよこの清洲橋でラストとなる。他にも幾つか撮影したが、最もライトアップが美しいものだけをピックアップしたつもりだ。他の橋と比べると、その優美な吊橋は何処か異国情調が溢れるデザインとなっているが、調べてみるとドイツの『ヒンデンブルク橋』をモデルとして設計されたようだ。

 関東大震災の復興事業として、永代橋と共に計画されたと言う。2007年には国の重要文化財に指定されており、橋の歴史を紐解くと新たな発見と驚きに満ち、撮影意欲も益々高まって来る。被写体について何も知らずに撮るのと、ある程度の知識を持って撮るのとでは、雲泥の差が生じる。つまり被写体に心から寄り添い敬う事によって、作品としての完成度も高まって来るものと思う。

 夕景や夜景撮影にも随分慣れて来た事もあり、細かな設定は辺りの雰囲気や灯りの数などで瞬時に判断する事が出来るようになった。一眼レフからミラーレス一眼に変わり、電子ビューファインダーの恩恵を十分受ける事が出来、撮影ミスが極端に減った。天候が写真の出来具合を左右する大きな要素となるため、撮影の予定がある日は先ず、空を眺めるようにしている。風景写真に動きを入れるにはやはり『雲』の存在が大きな鍵となる。超広角レンズを使う場合は尚更、雲のあるなしで随分と空の表情も変わってくる。

 真夏の入道雲などを見かけるとつい、興奮して身体が踊ってしまうのだ。秋から冬にかけては美しい夕暮れ、トワイライトタイムが待ち遠しい。足の怪我がまだ完全に戻っていないため余り無理は出来ないが、東京ゲートブリッジを早く撮りたいと思っている。

 

 

 

Nikon Z7Ⅱ,Mモード,WB晴天,ISO500,SS1/160,f/10 Z24-200mm f/4-6.3VR

 

 

 

初めて口紅塗ったのは

わたしが15の秋だった

もみじの紅が好きだと

あなたが言った事

遠い昔のおとぎ話しだけれど

わたしは今でも忘れない

君が紅く色付く季節に

迎えに来るよと

あなたの優しい眼差しが

語っていた

幾度となく季節が

わたしの中を通り過ぎ

朱い紅が溶けてくちびるを濡らす

二度と戻らぬ二人の季節に

さよならの手を振って


 

 都内の紅葉の名所と言えば数多くあるが、これまで訪れた事のない『六義園』へと赴いた。国の特別名勝にも指定されているため、さぞ美しい紅葉が望めるだろと期待で胸を膨らませていたのだが…。空は雲ひとつない快晴!絶好の撮影日和であった。整備や手入れの行き届いた日本庭園は見事である。然し、何処を見渡しても私が求める紅葉が見当たらないのだ。新宿御苑のような広大な敷地ではないから2時間程度歩けば園内全てを見る事が出来たが、結果的に自分の撮影意欲を充たす被写体と出会う事は出来なかった。コスモスの時と同じ様に、このまま終わる訳には行かないので別の日に今度は『旧古河庭園』へと足を運んだ。

 こちらも六義園と似たりよったりではあったが『洋館とバラ園』もあり、前者よりも僅かだが心が動いたのは確かだった。ここには『手水鉢』があると言うので是非とも撮影したと思い地図を見ながらさほど広くない園内を回ってみたのだが目的の物が見つからない。気が付くといつの間にか園を3周していた。そして最後にやっと見つけた『手水鉢』は実に残念な事に紅葉一つも浮かんでおらず枯れ葉のみだった…。

 結局、今回も紅葉に振り回される結果となったが、庭園は止めて寺院の紅葉に眼を向け、選んだ場所がここも初めての『九品仏浄真寺』であった。東急大井町線にある各駅しか停まらない小さな駅。その昔、上京したばかりの頃、大井町に住居を構え、大井町線には何度も乗った事があった。その頃は車体が濃い緑色だったと記憶している。

 何十年振りだろう大井町線に乗るのは…。ギターを質屋に入れて作った1万円をズボンのポケットに突っ込み、東海道線の各駅に乗り東京を目指したあの無造作な自分の姿が脳裏を駆け巡った。九品仏駅を下り、ほんの少し歩くと『浄真寺』へと続く参道に入る。道の左右には自分の眼の前にまで垂れ下がった紅葉が出迎えてくれた。この時「これだ!」と撮影意欲が爆発したのである。やっと自分が求めていた紅葉に出会えて、無我夢中でシャッターを切った。目標があったなら何事も諦めてはいけないのである。写真は一期一会。その時、その瞬間が自分の世界となるのだから。