4月上旬、目黒川の桜並木を撮りに行った。こちらの桜は今回が初めてである。千鳥ヶ淵とどちらか迷ったが千鳥ヶ淵には過去に数回行っているため気分を変えて目黒川にした。目黒と言えば随分昔の事だが某大手リース会社に就職した際の最初の勤務地が目黒だったので、懐かしい思い出に浸る事も出来た。普段利用している都営三田線で乗り換えなしで行けるので便利だし交通費も掛からず経済的である。
目黒駅から目黒川を目指し着いた場所が目黒新橋だった。右と左どちらに行くべきか悩んだが、人の流れを見ながら先ずは五反田方面へと足を運んだ。途中で幾つか橋があり、そこで撮影している人が多いので私もその中に紛れ込んで撮影。花見客を乗せた小型のクルーズ船が往来していた。船から桜を眺めながら撮影してみたいと思いつつシャッターを切った。首都高の手前にある市場橋まで行き、そこから反対側の並木道に出てUターンしたものの、この道がどこまで続いているのか全く分からずGoogleマップを見ながら歩を進めた。
陽が沈み掛かる頃から急に気温が下がって来た。日中は暑いくらいで上着を脱ぎたいほどだったが、体感温度は10℃と真冬並の寒さで風も少し強くなった。カメラを持つ手が凍てつくほどで、途中で帰ろうと思ったが、肝心の桜の風景をまだ撮り終えていなかったので気合を入れ直して夕暮れの目黒川を撮りながら更に歩を進めた。
いつの間にか辺りは夜の帳に包まれ、あちこちでライトアップされた桜が浮かび上がって来た。日中に見た景色が一変し紅一色に染まって行く。桜祭りの提灯が見え始めた辺りが最も赤く輝いていた。その神秘的、幻想的とも言える光の帯が川面に溶け込み反射して、この世の物とは思えぬ光景が眼前に広がっった。人気の観光スポットでもあるため半端でない人の数で本来であれば夜景の撮影は三脚を使用するのだが禁止だろうと思い全て手持ちでの撮影となった。以前お話しした35mmf1.4の明るいレンズのためISO感度をさほど上げる事なく1200程度で十分綺麗に撮れたと思う。因みにシャッタースピードは1/50秒である。田楽橋の上で最後の撮影を終え帰路に着いたが途中で目黒駅までの近道を探しながら歩いている時、靴紐を自分で踏んでしまい転倒、左膝と右親指に怪我を負い出血。それ自体は気にするほどではなかったが、途中でとんでもなく長い登坂に出くわし心臓が爆発寸前になり戻ろうかと思ったくらいである。心臓が悪くなければこんな坂道など走って登れるんだろなぁと健康な心臓に嫉妬した。