ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(ネタバレ)

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ



原題:Hitler contro Picasso e gli altri
2018/イタリア、フランス、ドイツ 上映時間97分
監督:クラウディオ・ポリ
製作総指揮:ベロニカ・ボッタネッリ
原案:ディディ・ニョッキ
脚本:サビーナ・フェデーリ、アリアンナ・マレリ
撮影:マテウス・シュトレツキ
編集:クラウディオ・ポリ
音楽:レモ・アンツォビーノ
字幕監修:中野京子
出演:トニ・セルビッロ
パンフレット:★★★★(720円/コンパクトで薄めながらも企画が充実していて、それらのページデザインも良い感じ)
(あらすじ)
1933年から45年にかけて、ナチスがヨーロッパ各地で略奪した美術品の総数は約60万点にものぼり、戦後70年以上が過ぎた現在でも10万点が行方不明と言われている。権力は芸術をも支配できると盲信するナチスによる美術史上最悪の略奪と、今なお続く奪還をめぐる戦いを、歴史家や美術研究家、関係者らの証言をもとに描き、ヒトラーの思想の背景と略奪品がたどった闇の美術史を浮かび上がらせていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


現在、「2019年に観たにもかかわらず感想をアップできなかった映画」が78本あって、血を吐きながら続けるマラソン状態なんですけど(涙)、昨日は「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」「オーヴァーロード」、そして「アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲」の記事を連続アップしたということで、えぇい、今日も「VSナチス」映画繋がりとして、なんとなく本作の記事を更新しておきますよ。内容はまったく知らないものの、つい「ヒトラーvsピカソ」というタイトルの強さに惹かれて前売り券を買っちゃったので、5月16日(木)、ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞いたしました(その後、渋谷で「アレッポ 最後の男たち」「ナイトクルージング」をハシゴ鑑賞した…というドキュメンタリーまみれの日)。「チョット残念かな… ( ´_ゝ`) エラソウ」と思ったり。


前売り特典は「オリジナルクリアファイル」でした。


朝イチの2番スクリーン、10人ぐらいだったような。


鑑賞後の僕の気持ちを代弁するガイアを貼っておきますね(「刃牙道」より)。



いや〜、非常に勉強になりました。本作は「ナチスがユダヤ人から美術品を強奪した」という出来事をいろいろな人が語っていくという内容でして。恥ずかしながら「『イコライザー2』のユダヤ系老人の『姉の絵』はナチスのせいで失ったんですよね」程度の知識しかなかっただけに、「ひでぇなぁ (´Д`;)」とゲッソリするエピソードばかりでしたよ。特に「元所有者や遺族が返還を求めても証明するものがないとダメ→収容所に入れられたから、証明するものなんて無くなっている」という状況は、さまざまな問題に通じることであって、スゲー難しいなぁと思いました。

「美術品を略奪したナチス&グルになった画商」は間違いなくクズだし、「グルリット事件」に関しても「こんな奴の財産、没収すべきだろ」的に思っちゃいがちですけど、とは言え、映画終盤、T・G・アッシュという歴史家が「本当に悪い人は1人も見つからなかった」「あなたや私のように弱く人間的な人ばかり」と語ったように、要は全体主義がクソな人間を作った」ってことなんですよね。たぶん僕は劇中に出てくる「美術品を二束三文で売り払って出国ビザをゲットできた人たち」よりは、間違いなく「何もできずに収容所送りにされた人たち」側なんだろうなとは思うんですけど(汗)、これってまったく他人事ではないというか。現代の日本社会…だけに限ったことではなく「人間が作るさまざまな社会システムに起こり得る話」ってことなんでしょうな…って、すみません、難しいことを書きすぎて、何だか知恵熱が出てきました… ('A`) ウーン

ちなみに本作のタイトルにある「ピカソ」が出てくるのは映画のラスト。ある日、ピカソのアトリエを訪れたゲシュタポの将校が「ゲルニカ」のポストカードを指して「あなたの仕事で?」と聞いたところ、「いや、これは君たちの仕事だ」と答えた…なんてエピソードが流れまして。「芸術家はこの世の悲劇や喜びに敏感な政治家であるべきだ。無関心は許されない」「絵は家の飾りではなく、敵を攻撃し、防御するための手段なのだから」というピカソの主張はカッコイイし、権力に抗う精神性はさすがだなぁと感心しながらも、僕的には「ヒトラーの急所攻撃をあっさり防御した直後、ピカソが正中線に四連ゲルニカを叩き込む」といった、もっとフィジカルでストレートな「VS」モノが観たかったというか。正直、チョット残念だったので、60点という着地。まぁ、とてもタメになる映画なので、興味がある方は観ると良いザンス。


例えば、こんな能力を使うピカソでも良かったです(「JOJO第四部」より)。



おしまい ( ゚д゚)ノ ヘブンズドアー!




すでに配信がスタート&ソフトも販売中なのです。



デジタル盤のサントラでございます。



「ナチスの美術品強奪」関連ムービー、その1。「オーシャンズ」シリーズみたいで面白そうですな。



「ナチスの美術品強奪」関連ムービー、その2。評判がかなり良いのです。



収容所に入れられたせいで絵を失った老人が登場する映画。僕の感想はこんな感じ



こういう「ヒトラーVSピカソ」が観たかったなぁ。