将棋の勝ち方(その3)-手の無い時こそ勝負どころ | カクザンのブログ(岡山市の親子将棋教室)

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子どもたち、保護者の方に、将棋の楽しさ・魅力をお伝えします。次回教室は高島教室が6/1(日)、津山おもちゃ図書館教室が6/8(日)の予定です。また、高島特別教室を6/29(日)の午後開催予定です。

手の無い局面で困った経験はありませんか?

 

「手の無い局面」の意味するところは、上級者と初心者とで、少し違いがあるかもしれません。

 

上級者が言う「手の無い局面」とは、いわゆる手詰まりの状態であることが多いのではないかと思います。そのような局面では、往々にして先に攻めた方が悪くなったりするため、お互いに手出しができず、わざと一手パスのような手待ちの手を指さざるを得ない状況になります。結果、千日手で指し直しになったりします。

 

一方、初心者が言う「手の無い局面」とは、単に「どう指したら良いか分からない局面」であることが多いように私は感じています。「棒銀戦法」を覚えたての生徒さんの場合、途中まで上手く攻めていても、途中からどのように攻めを続ければよいのか分からなくなってしまうことがあります。そういうケースの場合は、単なる経験不足が原因ですので、失敗した時に、相手の方や教室の先生に「どうすれば良かったのか」をたずねるなどして(感想戦といいます)、次の実戦で活かすようにしてください。

 

今回のテーマは、初心者の生徒さんにとって、恐らく一番つかみどころのないと思われる「中盤戦」での戦い方のコツになります。「序盤戦」での駒組みが終了し、そろそろ戦いが始まりそうな場面で、「攻めるべきか、さらに守るべきか、どうすれば良いのか分からない?」、そんな局面を思い浮かべてみてください。

 

まず、有名な格言を紹介しておかねばなりません。「手の無い時にはハシ歩を突け」ですね。将棋では「ハシ歩」を突くタイミングは難しく、遅すぎると相手に手抜きをされて損することもありますし、早すぎても相手から速攻されて損をする、といったことがよくあります。なので、手詰まり状態の時は「ハシ歩」を突くチャンスで、相手が手抜きをしてきたら、喜んでさらに「ハシ歩」を五段目まで伸ばしておけば自陣だけ伸び伸びした陣形になります。しかし、相手も「ハシ歩」を突いて来たら、こちらに手番が回ってくるだけで、やはり「手詰まり」状態が続きます。というわけで、「手の無い時にはハシ歩を突け」という格言には、「手詰まり」を解消させる効果はあまり期待できませんw

 

では、どうすれば良いのでしょうか?初心者の皆さんには次のような方針で行くことをオススメします。

 

1.相手に先に攻めてきてもらう

「手詰まり」の状態というのは、先に攻めた方が損をすることが多いので、相手からの攻めを待つことです。初心者の方は、攻めたがり屋の人が多いので、この展開に持ち込むことは比較的容易だと思います。ただ、初心者の方は受けが弱いので、そのまま攻めつぶされて負けてしまう可能性もありますが、そこは経験を積んでいきましょう。この場合の相手の攻めは、いわゆる「無理攻め」と呼ばれる攻めで、上手に受けることができれば、皆さんの方が自然に優勢になります。

 

2.有効な手待ちを覚える

「手待ち」という言葉を使いましたが、本来は「一手パス」を意味する手のことを指します。しかし、ここではもっとポジティブなイメージの「手待ち」で、要は相手が先に攻めてくるまで有効な手を指して待機しておく作戦です。この作戦のポイントは「遊び駒の活用」であり、大きく①玉の守りを固める、②攻撃態勢を整える、の2つの作戦に大別できます。ココが、今回のテーマのキモですので、詳しく説明します。

 

○遊び駒の活用

・盤面全体を見渡し、味方の駒で、「遊び駒」(働いていない駒)がないか探します。「遊び駒」がある状態の時に、攻め合いをすると、大抵は不利な戦いを強いられることになります。逆に、「遊び駒」がない状態の時に、相手に攻めて来てもらうと、強く迎え撃つことが可能になるのです。

 

○玉の守りを固める

・「玉の守りは金銀3枚」という格言があります。自陣の「玉」が金銀3枚で守られていない場合には、守りの陣形を整えて、相手からの攻撃を待つようにします。

 

○攻撃態勢を整える

・「攻めは飛角銀桂」という格言があります。自陣の攻撃態勢の中に「飛角銀桂」で1枚でも参加していない駒がある場合、その駒が「遊び駒」になっている可能性があります。その駒を活用して攻撃態勢を整えながら、相手からの攻撃を待つようにします。なお、「飛角銀桂」の攻撃態勢が整ったら、皆さんの側から攻撃を開始してOKです。

 

実は、最後の、「攻撃態勢を整える」は、カクザンが最も得意とする作戦の1つです。カクザン陣は「攻撃態勢」が整うまでに非常に時間がかかるという欠点があるのですが、そのかわり、一旦整うと、全軍躍動の総攻撃開始となるため、相当な攻撃力になっているのです。しかし、カクザン流の真の狙いは、自分からの攻撃にあるのではありません。「早く攻めて来ないと、私の総攻撃が間に合ってしまいますよ」と相手にプレッシャーをかけているわけです。相手に先に攻めてきてもらって、「手詰まり」になりそうな局面を打開するところに狙いがあるのです。

 

「平手」(ひらて)の対局では、お互いに全ての駒を使っているはずですが、初心者の生徒さんの将棋を見ていると、「飛」や「角」が遊び駒になっているようなケースが非常に多いです(「飛」が遊び駒になっているということは、「飛落ち」で戦っているようなものですw)。なので、「遊び駒」をつくらないような指し方を心がけるだけで、将棋の内容は劇的に改善されるはずです。そして、「遊び駒」を解消するチャンスが、一見「手の無い」ように見える局面であることが多いのです。

 

以上、なんとかまとまりました。「手の無い時こそ勝負どころ」だということを、心に留め置いておいてください。

 

 

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