E123 「いくつもの夜を越えて」はあの人のリスペクト
この曲のレコーディングしてるときベースのマイケルローズから「ワァオ!○○○○○!」って(笑)。
僕はそれを聴いてすごく嬉しかったのを覚えている。
「そう!大好きなんだよ!」と英語で答えた、「イエス!」。
コード展開やリズムパターンが珍しい。
メジャーのイントロから始まりマイナーコードで歌い出すパターン、これやってみたかった。
この曲では現地でアダマスの12弦ギターを借りた弾いた。
いわゆるダビングで弾いたのだけれどドラムマシンに慣れていたから生の演奏にギターのダビングが少々手こずったの覚えている。
イントロは12弦ギターから始まる、そこにスネアがリズムを刻む、そしてオルガン、決まったときには最高に気持ちよかった。
この曲はサウンドがストライクに大好きでオルガンとピアノが最高にイカしてる、オルガンはビルコーモ。
何度もオーと歌ってしまった、そしてイエィと叫んでしまった。
この歌で初めて「名前のついていない場所へ」という言葉がでてくる。
デビューまでの道のりの気持ちを歌った。
このときの純粋な気持ちは忘れてはいけないとリハで歌っていて改めて思った。
E122 「ちぎられた空の下」はあの人へのリスペクト
「早い曲が欲しいね!○○の○○○○○○みたいなさ!」
何曲かたまってきたときにリュウさんが言った。
同感!僕もそう思ってたとこだった。
めちゃめちゃ早い曲を作った、相変わらず歌詞はあとから。
「C R&R」と呼んでいた。
この歌詞はリュウさんの言葉からインスパイアされた。
当時僕の知ってる洋楽でこのタイプはありそうでなかった、だから○○は日本のアーティストだ。
リュウさんは○○○○が大好きなのだ(笑)。
この歌は言葉が詰まっている、たくさん言葉を言っている。
若者の経験や気持ちを書いてみた、このときにしか書けないだろう。
出てくる言葉ポケベルやコンビニや始発、コインロッカー、90年代の言葉ばかり。
とにかくなんでも書いてみた、この頃はパソコンがないから全部転手書き。
いっぱい書くから大きめのノートを使っていた。
文字を入れ替えられないから横線弾いたり、カッコで閉じたり。
レコーディングはとにかく元気に前向きに!
ダビングでラップスティールみたいなスライドギターが加わって最高にドライブしたテイクになった。
マットローリングの間奏のピアノソロは本当に最高。
タイトルは「C R&R」から「四角い空」そして「ちぎられた空の下」になった。
E121 「君にきずいて」あの人へのリスペクト
「君に気づいて」はアコースティックギターとピアノとスライドギターだけで出来てる。
とてもシンプルな曲でギターストロークで歌う歌。
ギターストローク、実はこれがすごく難しい。
シンプルであればあるほどギターストロークは難しいのだ。
ライブではやってきたけどレコーディングではやったことがなかった。
自分が弾くつもりで日本からマーチンD28とタカミネをもっていったのだが弾くことはできなかった。
ギターのケニーグリンバーグがこの曲を弾いた。
はっきり覚えてないのだけれどギブソンのJ35だったと思う(ちなみJ35はJ45が出る前の戦前モデルで数年しか発売されてなかった)。
ものすごい太い音がしてギラつきもある素晴らしいギターだった。
マーチンとは違う質感でフォークソングぽくなくなるという感じだった。
驚いたのは音ももちろんだったがリズムだった。
僕の仮歌に酔うように揺れながら正確なピッキング、ベース音のヒットのさせ方が最高だ。
アコギはベース音の確実なヒットをすることで安定しメロディーが引き立つ。
ピアノと同時レコーディングしたのだが、ピアノも酔うように揺れながら正確、歌詞にあったフレーズがバンバン飛び出す。
弾いてもらって本当に勉強になった。
あのリズム感は体に染み付いている。
このコード展開はあの人へのリスペクト。
残念ながらもう亡くなってしまった。
今でも大好きでよく聴いている。
E120 「飾られた街」はあの人へのリスペクト
ファーストアルバムの6曲は横浜の2DKのアパートで作った。
部屋は畳、西日が厳しい部屋で外階段は赤く錆びていて誰かが上り下りすると部屋が揺れた。
洗濯機は外、トイレは蓋なし、お風呂は穴が空いてた、そこで行ったことのないナッシュビルを想像しながら作った(笑)。
想像なら子供の頃から得意だった、それだけで幸せな気持ちになれるのは一つの特技なのかもしれない。
最初に何を作ったが忘れてしまったがマイナーロックを絶対やりたいと思っていた。
だから「飾られた街」を作った。
メロディーとアレンジだけが先行してできて、詞がついていないメロを歌ってるだけでワクワクした。
これをバンドでレコーディングしたらどんなにかっこいいだろうと想像するだけで眠れなくなるくらいだった。
イントロは大事だ、イントロは物語の入り口、数秒のイントロで世界に引き込む。
オクターブのピアノのイントロで曲が始まる、もう大好きなパターン。
あの人へのリスペクト、ピアノは絶対欠かせない。
アウトロでブルースハープを吹いた、完全にあの人へのリスペクト。
スタジオにはYAMAHAのグランドピアノがあって固めの音だった、でもそれがこのセッションにすごくあってた。
レコーディングの時ピアノのマットローリングに弾いてみせてコピーしてもらった、すぐコピーしてくれて感動だった。
写真左でサムズアップしてる人がマットローリング、僕の一つ上、ものすごいフレーズがバンバン出てくる、本当に感動。
E119 ファーストアルバムはとにかく曲先
楽曲を作る時メロが先が曲先、か詞が先だと詞先ということになる。
このころの僕は兎にも角にも曲先だった。
洋楽にかぶれていたのだ、サウンドのかっこよさに痺れていた。
洋楽にかぶれていたといっても、あらゆる洋楽を聴いていたわけではない。
自分の好きな分野だけ。
自分の中で非常に強いこだわりがあった。
このこだわりは今でもある。
時代によって音楽は変化していく。
ピアノが発明されてから強弱の音楽が広まった、それまでは一定の音しか出ないチェンバロだったから。
音楽がダイナミックになっていったのはピアノのおかげなんじゃないかって勝手に思っている。
これは当たり前のことで、機材や楽器の進歩で今までも音楽は変わってきた。
80年代、シンセサイザーがバリバリだったころ、相変わらずの楽器を使ってるバンドがあった。
なんかとても救われた気がした、ギター、ベース、ドラム、ピアノ、このスタイルでロックするのが大好きだ。
つい最近シーケンスソフトのlogicがバージョンアップした。
AIでいかようにもなんとでもできる時代、楽器経験や理論は関係ない、クリックやタップで選択、組み合わせの時代。
これから音楽は激変すると思う、それがいいか悪いかはわからない。
話がそれていきそうなので引き戻す。
かっこいいサウンド、しびれるサウンド、これにものすごくこだわっていた。
アコギとピアノが大好きで、この二つの音が聞こえてくると気持ちが上がる。
この二つの楽器は今までのほとんどの楽曲に入ってると思う。
そこにシンプルなドラムとベース。
ピアノのフレーズにはものすごくこだわった。
ピアノフレーズが世界を決めるくらいに思っていた、実は今でもちょっぴし思っている節がある。
ファーストアルバムは6曲入っているが全部曲ができてから詞を書いた。
楽曲「いまここから」は1.2行完成していずアメリカについてからナッシュビルのホテルで書いた。
飛行機の中でも考えたが書けなかった。
理論もへったくれもなかった、アパートで4チャンネルのMTRで録音したカセットテープを持って行って、あとは口頭で説明した。
なににも縛られずやりたいことをやった、やりたいことたくさんあったがまずは6曲に詰め込んだ。
E118 アルバム「名前のついていない場所へ」撮影のお話
「太陽の鼓動」の話を書いてたと思うがファーストアルバムの時の話に少しだけ戻ろうと思う。
ファーストアルバム「名前のついていない場所へ」はアメリカのテネシー州にあるナッシュビルという街で録った。
音楽の街として栄えていて、当時アメリカの50%のレコーディングがナッシュビルで行われてると聞いた。
ナッシュビルは南部の州で南北戦争の時には奴隷制に賛成していた州だ。
本当に恥ずかしながらそんな歴史も知らず(意識もせず)どんな状況かも知らず行った(反省している)。
僕が行ったのは1993年、ハイウェイの出口のところにあきらかに貧しい黒人が立っていた。
ガイドをしてくれたミスターナッシュビルのケーシーは「ホームレスや」と言っていた。
「お店には黒人の人たちもいるじゃない」と僕が聞くと「それはお金持ちや」。
ダウンタウンに来る黒人は富裕層らしい、居住区も分けられてると教わった。
そういえばプレスリーも黒人居住区で育ったと映画で観た。
だからあのロックンロールのプレスリーが生まれたのだと映画で知った。
ジャケット撮影をするためにナッシュビルの色々な場所に行った。
思っていたより街はおしゃれで楽曲のイメージに合わない気がした。
カメラマンのアリガさんがもっと田舎に行きたいと行っていた。
いわゆる黒人居住区で白人はあまり行かない場所ということだった。
ケーシーは「危険やからあんまり勧められないなぁ」と言った。
でも行ったのだ、アルバムジャケットは危険と言われてる場所で撮った。
僕は全然危なさみたいなものは感じなかったけどケーシーはピリピリしてた。
後悔してもしょうがないんだけど、やっぱり後悔している。
もっとアメリカ社会を知っておくべきだったと、歴史や地理を知っておくべきだったと。
いまさらそんなこと言ってもしょうがない、だから今知ろうとしてる。
撮影はずっと緊張していた。
初めてだし、アメリカだし、危険と言われてたし、写真は照れくさく苦手だし、色々だ。
黒人居住区で移動中に食料品を売ってるマーケットみたいなところがあった。
その時は張りつめてた緊張がほどけたなぁ、子供はかわいい。
作品をつくること
は本当に楽しい。
一言で言えば未来が開ける。
心を解放できるし、好きな楽器に触れられる。
こんな音がでるのか!こんな風に録音されるのか!
こんな自分がいたのか!
発見驚きは尽きない。
なんどやっても新しい。
作品をつくることは本当に楽しい。
6.2(日)アルバム再現ライブ!シェア希望!
<シェア希望です!>
6月2日が近づいていきました。
デビュー30周年企画アルバム再現ライブ。
「夜明け前」
「Rolling DOWN HOME」
「太陽の鼓動」とやってきた再現ライブ。
ついにファーストアルバム「名前のついていない場所へ」です。
アメリカナッシュビルで初めての本格的なレコーディング。
カセットテープを聴いて僕の口頭だけの説明でプレイしてくれたサウンド。初々しく若々しく生々しいサウンド。
https://open.spotify.com/int.../album/45kUc95T7x7CmRSs350Az5
是非是非!会いに来てください!
6/2(日)新横浜LiT
柿島伸次デビュー30周年企画
アルバム「名前のついていない場所へ」再現ライブ
メンバー:Dr&Cho 麻生祥一郎 / Ba&Cho タカバタケ俊 / Piano 西本明
open12:00 start12:30 前¥4000 当¥4500(ドリンク代¥600別)
ライブチケット予約はこちらから
info@shinyokohamalit.com