ざっくり感想「ウルトラマンエース」第1話~第10話 | 怪獣玩具に魅せられて

怪獣玩具に魅せられて

ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。

さて、ここからは平成ウルトラマンの中でも一番好きな、ウルトラマンエースのざっくり感想です。

エースが好きと言っても、一つ一つの話をじっくり見た経験はあったかな? というくらい記憶がボヤっているので、これを機に、もう一度見直していきます。よろしければ、お付き合いください。

 



 あとこの本、めっちゃ面白いのでオススメです。

 

  『ウルトラマンエース』第1話~第10話 ざっくり感想

【第1話】

「輝け! ウルトラ五兄弟」(ミサイル超獣ベロクロン登場)

 記念すべき第一話! さすがにこの話の記憶は濃い。広島県福山市で大暴れするベロクロン。防衛軍相手に、全身武器を使って終始圧倒する、そのオーバーキル的な強さ。本シリーズから初登場する「超獣」の名を冠する筆頭に相応しい戦闘力で、気合が入っている。そこから主人公である北斗と南の出会い、TACへの入隊、TACの紹介、東京でのベロクロンとの死闘と、第一話の宿命か、何とまあ語ることが多い。ベロクロンは福山市を蹂躙し、東京タワーをへし折りと破壊シーンもこれまた豪快。エースとの戦いでも様々な技を駆使しているけれど、その技がミサイル攻撃であったり超能力的であったりと万能感があり、これも超獣ならではか。ミサイル攻撃がエースに通じずに火炎放射と金縛り光線で圧倒するなど、一つの戦いの中でも優劣の展開が際立っている。そして止めのメタリウム光線! ここまでの戦いが全て白昼の市街地だってのも嬉しい。TACの出撃シーンや、超獣との戦闘における戦闘機操演などは、一つ前の新マンと比べても、かなりアクロバティックなものに仕上がっている。色々な新要素をぶっこみつつも、それぞれが独り歩きして破綻しない程度に凝縮させて、一つ一つの見せ場はあっさりながら、北斗の性格よろしく豪快な感じで一話やりきった。エースの第1話には、そんなイメージがある。

 

 

【第2話】

「大超獣を超えてゆけ!」(古代超獣カメレキング登場)

 いきなり、「本当です! 信じてください!」展開かよ(笑)。この先が思いやられる。今話での見どころは恐らく、北斗と竜隊長の絆。それを際立たせるために、他の隊員がMAT当初以上にギスギスした感じで北斗にあたる。この展開は……新マンの最初でもうお腹いっぱいです。あとTACの歓迎会がしょぼくて気味悪い……(笑)。この世の中で一番いきたくない歓迎会。話の展開としては、竜隊長が北斗に出動停止を命じる、その真意が分かるシーンが良かった。無謀と勇気は違うと諭したり、超獣の戦いでも率先して危ない作戦に着いたりする竜隊長。早くも「防衛隊の父」たる貫禄が出ている。カメレキングは、ビル街を侵攻するシーンが巨大感出ていてGOOD。単純な火炎放射能力ではなく、白いガスであったり、翼による強風攻撃であったりと、怪獣の侵攻シーンにも相応の工夫がある。エースとの戦いは至極あっさりしたものだけど、途中で翼をもぐのは、平成ウルトラマンにありがちな攻撃の仕方。ラスト、「助けに来てくれたのは、君だった」と北斗に言うあたり、もしかしたら竜隊長は、この時からもしや……? と思っていたんじゃないだろうか。それを考えると、最終回のあの竜隊長のセリフにも意味深なものが見えてくる――かも。

 

 

【第3話】

「燃えろ! 超獣地獄」(一角超獣バキシム登場)

 出ました、エースの中でも大好きな話! なんてったって、一角超獣バキシムの大活躍回!! もう冒頭から最高じゃないですか。谷間に現れるバキシム。登場の仕方も、空を割って。このビジュアルだって最高だし、この後の超獣数名は同じ方法で出現。そこで現れた理由が、南隊員を謹慎させる目的だった――かどうかは分からないけれど、その谷間のある山村を拠点にしてTACをおびき出し、空間移動能力を駆使して空になったTAC基地を襲撃! 超獣側も戦略がしっかりしている。今回は、南隊員はともかくとして、北斗の謹慎は仕方がない。酒飲んで操縦しちゃダメ(笑)。人間同士の信頼関係を攻撃するのはヤプールの常套手段で、今回は衰退著しい村の中で、老人が子供に対してむける信頼や愛情を利用したものらしいんだけど、この辺はちょっとぼやけていたかな。少年を追ってTACの面々が墓場の中を追いかけるところや、お爺さんの歌に合わせて山村の寂しい様子を見せるところなどは、『怪奇大作戦』の「霧の童話」でもあった、寂れゆくものの哀しさを感じさせる。この辺り、ちょっと胸を打つような感傷が合って、これがまた良いんですよ。TAC本部でのバキシムとの戦闘は、地上と上空からの迎撃で、バキシムの姿が掻き消えるほどの爆炎で豪快。エースとの戦闘は、何と苦戦BGMを挟むことなく、奇麗に片を付けて終わる。最後、少年は既に死んでいた……という事実が分かってゾッとするところまで含めて、『ウルトラマンエース』の中でも、特に見ごたえのある一話に仕上がっている。

 

 

【第4話】

「3億年超獣出現!」(怪魚超獣ガラン登場)

 ちょっとどきっとするような、美川隊員のピンチ回。第3話と第4話は、それぞれ違った意味で、大人向けテイストが濃い。今回ヤプールが利用するのは、想い人に執着する個人のエゴ。このジトーっとした厭らしさが、人間の価値観を攻撃するヤプール人ならでは。睡眠薬を飲んで、あはんとなったり、ミニスカで縛られたりと、むしろ大きな子どもたちが喜びそうな要素に満ちている。女性隊員がフィーチャーされるのは、初代ウルトラマンの第4話と同じでかなり早め。ちょっと目のやり場に困りそうな美川隊員のピンチ姿と、全力振り切って気持ち悪い久里虫太郎さんの変態演技。この虫太郎さんが明らかに異常だと分かるシーンが、けっこう怖い。今回のガランは虫太郎さんの漫画によって操作されているので、姿を消すシーンが、消しゴムで消すように消えるとか、こうした工夫はやっぱり楽しいよね。先端の光から放たれるテレパシー操作により操縦不能に陥るなど、古代魚がそんな力を持っているわけはなく、やっぱりヤプール人の改造によるものなのかね。見ごたえのある空中戦からエースとの戦いへ。エースが終始圧倒するも、ガランと繋がっている虫太郎が、ガランの腕が吹っ飛ばされた時に苦しみ悶えるあたりから一気に不穏なムードへ。最後には大爆発なトンデモ結末を迎える。この回では、美川隊員が周囲の制止を振り切って勝手に出動。TACの皆さん、謹慎命令を破るのが、早くも常態化しておりませんか? ここはMATを見習え。

 

 

【第5話】

「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(大蟻超獣アリブンタ・地底エージェントギロン人登場)

 あれ? オープニングの最初に、アリブンタの声入ってる? と驚いたのも束の間、本編を見てさらなる驚きに。これは……30分に収まる分量じゃない。よくもまあ、前後編にせずに全部入れ込んだな。これ、エースの初ピンチ回でしょ? いきなり空が割れて、赤い空間から覗くアリブンタの目。犠牲になる女性と、名言「このぽかぽか陽気に夢でも見たんだろう」、さらなる犠牲、ダックビルの出動、夕子の囮作戦、エースのピンチ、ゾフィー登場。――いやいや、これを一話でやるのは、相当にしんどいはず。なんかもう5分に1回の割合で見せ場が追加されていく感じで、展開が忙しいもんだから、ツッコミどころも増える。とりあえず今回のTACの判断ミスはかなりデカい。序盤で北斗の言うことを聞いておけば、少なくとも地下鉄の犠牲は防げたかもしれないのに……。しかもこの地下鉄襲撃のシーンが、ちゃんとした特撮でかなり緻密に描かれていて悲惨さが際立つんですよ。蟻酸で人が骨になるところか、怖すぎる。ダックビルの危機からエースの登場、捕獲そしてウルトラサインが出てゾフィーが来る。ここまで来るともう粗筋を追っているだけで、見てる側に、ゾフィーが来た! とかの感動すら感じさせる余韻を与えない。ウルトラ兄弟対超獣・宇宙人のダブルタッグは、実はウルトラシリーズでも初? くらいの大見せ場だし、アクション自体には見ごたえもあるんだけど……わんこ蕎麦みたいな展開のてんこ盛りで、個々の要素が相応の輝きを持てなかったのが勿体ない――と見るべきか、1話でここまで語り切ったのを立派――と見るべきか。

 

 

【第6話】

「変身超獣の謎を追え!」(変身超獣ブロッケン登場)

 タロウでレギュラーになる健一くんが別役で登場! しかも声変わりしてない可愛い声!! 第4話で、さすがに個人的妄執にこだわりすぎたのを反省してか、今回はTACに関連する人間がターゲット。ウルトラ警備隊がよくやられた作戦ですね。ただ今回はバレたと感づかれるや否や超獣に変身して暴れるブロッケン。セブンの宇宙人に比べると迂闊というか、可愛げがあるというか。ブロッケンはエース前期の超獣の中でも強敵感のあるカッコよさで、「超怪獣」感のあるデザインが秀逸。これで本編での活躍も言うことなしなら神回になったかも知れないけれど、四つ足怪獣の良さを活かしてきれていないというか、逆に持て余しているというか……。ミニチュア模型がくるくる飛んだり、俯瞰からの爆発ショットがあったりと、相対的にブロッケンがちっちゃく見えるような撮り方をしているのが勿体ない。ストーリ自体はかなり薄味で、父親が宇宙人であるとバレる展開も速足だし、その後の展開もとにかく速い。こういう展開でこそ、子供の言うことを信じられないTAC側と、一人信じる北斗との対立、それを上手くとりなす隊長の判断が描けたと思うのだけれど。あと、ここまでの話を通して観て、山中隊員がやっぱりノイズ過ぎる。北斗と対立する存在として描くのは良いけれど、お前ちょっとは反省しろよと(笑)。そんなんだから言わんこっちゃない。次の前後編で、エラい目に遭うんだからな。

 

 

【第7話】

「怪獣対超獣対宇宙人」(幻覚宇宙人メトロン星人Jr・蛾超獣ドラゴリー・巨大魚怪獣ムルチ二代目登場)

 妖星ゴラン地球接近! 頼みの綱である大型ミサイル・マリヤ1号を破壊するメトロン星人の企みが、前編の見せ場。山中隊員の婚約者を殺害して、彼女に変身してTAC基地に潜入するなど、やり方は前作のブロッケン戦と同じながら、今回の方がより悪どく見える。話の展開としては、山中隊員の恋人が絡んでくるわけなので、何をどうやっても「信じてください!」展開にはなるんだけれど、いつもの山中隊員なら一方的、感情的に否定するところを、夕子のサポート含みで自ら真相に気づくなど、思ったよりも冷静。それよりも周りの方が酷かったね。結局、メトロン星人の計画通りにマリヤ1号は破壊されて、基地も散々な状態に……。絶望的状況の中、マリヤ2号を作る唯一の希望のありかを示す、梶隊員がカッコいい。セブンに登場した時とは打って変わって、つるりとした頭に魚みたいな目や鰭が気味悪いメトロン星人Jr。彩色がどぎついだけに、初代が持っていた優雅さというか、気品みたいなものはない。蛾超獣ドラゴリーはエースとの体高差もあって強敵感のある良い超獣。エースは2回戦い、2回戦目では3対1という圧倒的に不利な状況に追い込まれる。戦いは市街地から岩場に移動し、縦横無尽の大展開アクションに。エース絶体絶命という状況の中、ナレーションもなしに次回予告へ。凄い持って行き方だな(笑)

 

 

【第8話】

「太陽の命 エースの命」(幻覚宇宙人メトロン星人Jr・蛾超獣ドラゴリー・巨大魚怪獣ムルチ二代目登場)

 初っ端からゴアなムルチ惨殺シーンが入る。いや、確かに巨大魚怪獣なんだけど、そんなお魚を捌くみたいにしなくても……これ、スタッフは後で相当怒られたそうな。二度にわたるエースバリヤの使用により絶体絶命に陥る夕子。これによって、二人いないと変身できないというエースの弱点が初めて露見するわけで、これが上手く機能すれば面白い展開が一つ加わったかも。今回は竜隊長の計らいで二人一緒に行動することになったから、あんまり上手く活かされなかったかな。あと、今回は私情ゆえの山中隊員の独断専行と、それによる事態悪化。これは北斗よりも酷い……。少なくとも今回の一件が終わったら、謹慎させないと北斗の気が済まないよ。妖星ゴランの接近に伴う異常気象には、新マンの「津波」のシーンが使われている。マリヤ2号を守るために猛進するTACの面々。勇ましいっちゃ勇ましいけど、まず超獣と宇宙人が暴れているど真ん中に打ち上げ台を出すなよ(笑)と。色々とツッコミどころはあるな。個人的に好きなのは、マリヤ2号が発射してるってのに止めもせずにあたふたしているメトロン星人。あと、今回の夕子のところに北斗が飛び込んでいく変身シーンは燃えた。ドラゴリーによって一度は倒されたエース。それが、マリヤ2号による妖星ゴランの破壊によって地球に光が差し、復活する。まさに「太陽の命 エースの命」ということで、今回はタイトルと展開が凄く奇麗に呼応している。そして止めのエースブレード。「宇宙の切断貴公子」の名を冠するに足るエースの一面が見れる。色々な要素でお腹いっぱいになる一作でした。

 

 

【第9話】

「超獣10万匹! 奇襲計画」(忍者超獣ガマス登場)

 割かしマイナー……と言っても、上の前後編の後だと、どんな話でも霞むかな。今回はおちゃらけな今野隊員と、キャラがとにかくムカつく女性カメラマンの話。この女が惚れている編集長っていうのも、何かもう……キツい(笑)。タイトルが「超獣10万匹奇襲計画」とかいうもんだから、どんなにか壮大な計画かと思いきや、何のことはない。プリントアウトされた写真分だけガマスの分身体が出現するという、今までのヤプールの計画とはやや毛色の違う回りくどい計画。実体化したガマスを翻弄する二機のTACアローがカッコいい。空中操演が本当に巧みで、特に巨大なTACファルコンとTACアローが並んで飛ぶシーンが最高に良い。今回はお笑い回ということもあってか全体的に軽いノリで進行し、彼女から焼き増ししてもらった写真に北斗が抱いた疑問を、脛に瑕持つもんだから必死に否定する今野隊員のシーンがあった直後に、竜隊長が北斗とおんなじ疑問を口にする流れは笑った。コントみたい。エースと超獣との戦いは、相手が忍者超獣だからってのもあるからかキレの良いアクロバティックなもの。途中に西部劇のような一幕も入って、人型超獣のアクション的見せ場に富んでいた。最後のパンチレーザースペシャルもカッコいい。ラスト、良い感じになった今野隊員をモニターで見ながら、「恋は盲目」の後に「女は魔物」と言った北斗を、素の顔で抓る夕子が可愛い。あれ? 何だかんだ言って、この話、けっこう好きだったな。

 

 

【第10話】

「決戦! エース対郷秀樹」(変身怪人アンチラ星人・犀超獣サイゴン登場)

 次郎くん久しぶり!! ちょっと前まで新マン観返していたから、顔なじみに再会したような懐かしさ。序盤、いきなり登場するサイゴン。市街地の中でも一番高いビルに突進し、破壊する。それだけで、今回の超獣の性質がよく分かる優れた展開。そしてまさかの郷秀樹再登場! これには当時の少年少女は熱狂したでしょう。けど――まさか宇宙人だったとは。ここでの郷秀樹の演技が良いよね。いつもの郷秀樹らしくない、重々しく沈んだ雰囲気。これが優れたミスリード。全体の風潮や、声が大きい人(山中隊員とか)の意見に流されず、よく調べるように諭す竜隊長。今回は梶隊員も現場に同行するなど、一風変わったテイスト。郷さんに再会できたと思ったのに偽物だった次郎君の怒りと悲しみが、それほどウエットにならずに描かれる辺りも、次郎くんと一緒にジャンプからのウルトラタッチなどの演出も好ましい辺り。サイゴンは、狂暴な肉食犀という感じで好きなデザインだけど、エースとの闘牛バトルは要らなかったような……。遊んでるから言わんこっちゃない。跳ね飛ばされてピンチになってんじゃん。エネルギー光球からウルトラナイフの流れが超スマートでカッコいいんだけど、最後に何故、サイゴンの首を立てて墓にしたのか。今回のエースは、ちょっとふざけ過ぎではないかと(笑)。こういう話をやったんだったら、やっぱりどこかで本当の郷さんに再会できる話を入れて欲しかったが……それはエースではやらなくても良いんだろう。