タキオン粒子のある世界2 | 波動砲口形状研究
タキオン粒子砲を発射するとどうなるか、という話 の続きだが、当の雑誌である科学朝日1980年5月号の記事には、下掲のようなあまりにもご丁寧なイラスト付きで解説されている。

波動砲口形状研究


それによるとまず相手が爆発し、それからヤマトが砲撃するのが見えるという、因果が逆転した形で見えるのだそうだ。

波動砲口形状研究
*まず相手がドカン、

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*それから砲撃が始まる

古代くんは旧作で初の主砲発射の際、「こんなもの扱うのは生まれて初めてだから」と戸惑う。

しかし砲撃の前に敵が爆発するのを目の当たりにしたら戸惑うどころではない、これこそ想像を超えた異星人のテクノロジーだと度肝を抜かれることだろう。

・・・と書いてみたが、実はこうして因果が逆転して見えるのは、ヤマトや敵との相対速度が大きい、つまり静止した地上で非常に速く飛ぶヤマトと敵を見ているような人々で、古代くんからは普通に砲撃が先で敵の爆発が後に見える。

度肝を抜かれるのは静止している地上の人だけなのだが、それでも奇妙で面白いことには変わりない。

ところでこの図を見ていると(4)で飛んでいってしまった弾はどこに行くのか?という疑問が生じる。

この件になると記事でも歯切れが悪い。順序が逆転して見えるなら、爆発した敵から弾が飛び出し、ヤマトの砲塔に吸い込まれる、というのが素直な理解だが、著者はそのような因果の逆転は違う系からそう見えるというだけでも受け入れられないらしい。

波動砲口形状研究

*こういう分析に使われるのがローレンツ変換というものなのだが、これによって発射というイベントと着弾というイベントのどちらが先に見えるかはわかる。図の例ではt'=1でヤマトの砲撃イベントが発生している。タキオンが非常に速いウルトラ・ルミナルのとき、着弾イベントはt'=1より前になる。しかしそのイベント間をつなぐ事象をどう解釈するべきか、著者の人もはっきりしないようだ。

このあたりは私にはどう頑張ってもよくわからないので、詳しい方がこのブログを見つけ、よし教えやろう、と言ってくださるのを待とうと思う。

記事から32年も経っているわけで、今なら色々新しい知見も加わっているかもしれない。



ところでこの絵にはどうも見覚えがあるなあと思って松本版コミックスを引っ張りだしてみた。

波動砲口形状研究

明らかに同じだ。昔このイラストを見たことは覚えていたが、大分細部が抜け落ちた記憶になっていた。
今になって出典に気がつくことになるとは思わなかった。

記事には超光速が可能なら過去へ行ける可能性もあることに言及している。
とはいえタキオン粒子はいまだに仮想上の存在だし、あったとしても簡単ではなさそうだ。

しかしこの記事を見た32年前の気分には確かに戻れたように思う。

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