タキオン粒子のある世界1 | 波動砲口形状研究

タキオン粒子のある世界1

光速度に近いスピードで移動すると時間の流れが遅くなる、いわゆるウラシマ現象はおなじみだが、同じ原理から説明される次のような現象のことはご存知だろうか。

宇宙を進むヤマト。敵艦に遭遇し、全砲門撃て!の命令を下す古代くん。命令は艦内光回線を通じて各砲塔に伝わり、各砲塔は同時に射撃を開始する。古代くんにとっては命令した通りのことが起きているように見えるだろう。

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そのヤマトの活躍を地上で見ている者がいたとする。するとその人には第三砲塔が最初に発射され、第二、第一砲塔がその後に発射しているように見える。(図では説明を簡略化するため第二砲塔は省略している。)

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なぜそのようなことが起きるのだろうか。それは、だれがどんな立場から観察しても光の速度は秒速30万キロだという、光速度不変の定理による。

これは実験によって確認されている現象で、相対性理論の根幹をなすが、我々の頭を大分とこんがらがらせるものだ。

さっきの話に戻ってみよう。古代くんは非常に高速で進むヤマトの中にいる。その彼から見ても光はどの方向にも秒速30万キロで進む。

彼の出した「撃て」の命令はヤマトの進行方向である第一砲塔の方にも、逆の第三砲塔にも、秒速30万キロの光信号として伝わり、命令は同時に両砲塔に届く。主砲は直ちに発射され、古代くんには両方の主砲が同時に発射されるのが見える。

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*司令塔にいる古代くんから見れば発射命令の信号(黄色の矢印は)はどちらの砲塔にも同時に届く

ところで地球にいる人から見ても光はどの方向にも秒速30万キロだ。司令塔から出た命令は秒速30万キロで前方の第一砲塔に向かうが、その砲塔は非常な速さで前方に逃げて行っている。逆に第三主砲は命令の出処である司令塔に向かって進んでいる。
このため第三砲塔は第一砲塔より早く命令を受け取り、砲撃を開始する。

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*ヤマトの外で静止している人から見れば1番砲塔に向かう発射命令の信号は、砲塔が進行方向に逃げていくので届くのが遅い。

こうして同じ現象なのに、古代くんから見える同時と地上にいる人から見える同時は違うということが起きる。これが「同時性の不一致」として知られる現象だ。

相対性理論や量子力学の世界というのは深入りすると数式の羅列で逃げ出したくなるが、ちょっと覗くだけなら奇妙で面白い世界だ。

なぜこんな話をしているかだが、BDを見ていて、タキオン粒子は2199でもちゃんと設定として出てきているなあということに気づいたことがそもそもの原因だ。

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タキオン粒子について考えていた時、子供の頃に一般向け科学解説雑誌でタキオン粒子が実在してヤマトがそれを砲撃に使ったらどうなるかという記事を見たのを思い出した。

この連休、わたくしは図書館の蔵書を精査し、当の記事を発見することに成功しました。(新見女史風に言ってみた。)

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記事の結論を把握するためには違う系にいるもの同士の間には同時性は成立しないという話を思い出す必要があったので、今回のエントリとなった。

というわけで、タキオン粒子砲を持つ宇宙戦艦が敵機を撃つと何が起きるのか、というところで頁を分けたい。