SING／シング

原題：Sing
監督：ガース・ジェニングス
ｷｬｽﾄ：マシュー・マコノヒー／リース・ウィザースプーン／セス・マクファーレン
配給：ユニバーサル・ピクチャーズ／東宝東和
公開：2017年3月
時間：108分

『怪盗グルー』シリーズや『ミニオンズ』を製作したイルミネーション・エンターテインメントが，声優陣に『インターステラー』のマシュー・マコノヒー，『アベンジャーズ』のスカーレット・ヨハンソン，『キングスマン』のタロン・エガートン，『テッド』のセス・マクファーレン，そして歌姫トリー・ケリーなど豪華キャストを起用し，音楽と歌の魅力を前面に押し出して描いた長編アニメーションを今夜は紹介。劇場公開時には3Dで上映された。

そこは，動物たちが人間そっくりな生活を送る世界。６歳の頃に舞台に魅せられ，ムーン劇場の支配人となったコアラのバスター・ムーン（マシュー・マコノヒー／吹替：内村光良）。しかし今や客足は途絶え，経営難に陥っていた。根っからの楽天家で，自分の劇場を何よりも愛する彼は，最後のチャンスとして世界最高の歌のオーディションを開催しようと決心する。しかし，200歳になるイグアナの劇場事務員ミス・クローリー（ガース・ジェニングス／吹替：田中真弓）の手違いで，募集チラシに２ケタ多い“10万ドル”の優勝賞金額が記されてしまい，劇場に応募者が殺到する事態に。そうとは知らず大喜びのバスター。

こうして，貪欲で高慢で自己チューのハツカネズミのマイク（セス・マクファーレン／吹替：山寺宏一），あがり症で内気なゾウの少女ミーナ（トリー・ケリー／吹替：MISIA），25匹の子供たちの育児に追われる母親ブタのロジータ（リース・ウィザースプーン／吹替：坂本真綾），ギャング団のボスを父に持つゴリラの青年ジョニー（タロン・エガートン／吹替：大橋卓弥），パンクロックを愛するヤマアラシの少女アッシュ（スカーレット・ヨハンソン／吹替：長澤まさみ），常にパーティー気分の陽気なブタのグンター（ニック・クロール／吹替：斎藤司）など，様々な思いを胸に秘めた参加者たちが集い，町のオーディションが盛大に始まるのだったが…。

さまざまな動物たちの登場する人間社会そっくりな世界といえば『ズートピア』を思い出すが，この作品には『ズートピア』に隠喩されていたような社会的な問題提起なんてない。愉快なキャラと，明快で誰もが共感しやすいストーリーと，笑いとやさしさに溢れている。

何より猛烈なパワーを発揮するのが，レディー・ガガの『バッド・ロマンス』や，ザ・ビートルズの『ゴールデン・スランバー』など，誰もが聴いたことのある60曲以上ものヒットソングや名曲の数々。“ミュージカル映画”ではなく“歌のシーンで歌う映画”だし，トリー・ケリーはもちろん，スカーレット・ヨハンソンやタロン・エガートンといった映画スターの素晴らしい歌唱力を聴けるのはご馳走。おまけにこの作品，全世界で唯一日本だけ，歌唱まで含めて全編吹替えられていて，MISIA，スキマスイッチの大橋卓弥と共に長澤まさみら，日本語でも全く違和感のない素敵な歌詞と歌唱が堪能できる。ソフトだと，オリジナルと吹替えで２度も楽しめちゃう。

キャラクターたちの歌う喜びと，それを聴く観客の喜びと，作品として見る者の喜びが共鳴するクライマックス。ぜひ体験してみて♪