p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:捕風追影
英題:The Shadow's Edge
監督:ラリー・ヤン
キャスト:ジャッキー・チェン/チャン・ツィフォン/レオン・カーフェイ
配給:クロックワークス
公開:2025年12月
時間:141分




ジャッキー・チェンの昨年の作品から,追跡のエキスパートが若手刑事チームを率いてサイバー犯罪集団に立ち向かうクライム・アクション『シャドウズ・エッジ』を今夜は紹介。2007年公開の香港映画『天使の眼、野獣の街』のリメイク作品で,中国では4週連続ランキング1位を記録し,公開約1ヶ月で12億元(約250億円)を突破する大ヒットとなった。

原題の『捕風追影』は,「捕風捉影(風を捕まえ影を捉える=雲をつかむように実体がない,根拠がない)」という中国の成語の「捉(つかむ)」を「追」に変えた言葉で,「風を捕らえ,影を追いかける」⇒「姿の見えない相手を執拗に追跡する」の意味を表している。英題の『The Shadow's Edge』は「影の縁(ふち),影の鋭い刃」の意味で,光の当たらない裏社会の境界線や,追う者と追われる者が対峙する危うい一線を表現しているという。脚本・監督は『ライド・オン』(2024年・Twin)でもジャッキーとタッグを組んだラリー・ヤン。

カジノや世界遺産を擁する世界的観光都市マカオ。華やかな街の裏側では,正体不明のサイバー犯罪組織が暗躍していた。マカオの司法警察局は成す術もなく,かつて“伝説”と呼ばれた元刑事ホワン・ダージョン(ジャッキー・チェン)が最後の切り札として呼び戻される。追跡術や近接格闘術のエキスパートだったホワンだが,自分の判断ミスで仲間の刑事を死なせてしまった過去を持っていた。その殉職した刑事の娘ホー・チウグオ(チャン・ツィフォン)は,高い能力と男顔負けの接近戦能力を持つ刑事だが,職場で孤立がち。

犯行グループを操るのが,暗殺術や変装術のエキスパートで“影”という別名を持つ元特殊部隊員フー・ロンション(レオン・カーフェイ)だと気づいたホワンは,AI操作で解体されていた追跡班を再度組織。若き精鋭たちと共にマカオの街に溶け込みながら,最新テクノロジーと監視術を駆使しつつ,粘り強く犯罪集団への包囲網を狭めていく。ホワンの命令で指令車に残されたホーは,現場に出たくてウズウズしてしまうのだったが…。

ジャッキーを刑事モノで登場させたらやっぱこういうポジションになるよね。でも,時折見せる鋭い目線やアクションは,古希を超えたとは思えない素晴らしさ。

脚本も良くできていて,ストーリーも深みと見せ場が満載。特に冒頭30分のマカオ・タワーでの強奪と逃走シーンは最高。ただ,この後の犯罪組織が,キャラはカッコいいのに何だか貧相で,全体のバランスが混沌としてしまう。せっかくのジャッキーvsレオンも,ホーの成長物語も,そんな混沌が邪魔をして,うまく輝いていないと感じた。“香港映画”から“中国・香港合作”になったのが,作品バランスの残念さの要因と考えるのは偏見だろうか。

ちなみに,リメイク元の『天使の眼、野獣の街』でも,役名は違うが窃盗団のリーダー役で登場していたレオン・カーフェイ。香港の映画祭では常連の人気俳優だ。


映画クタ評:★★★★


右矢印ジャッキー・チェン作品まとめ


■地上波OA情報■

8/21㈮ 21:00~ 日テレ系列
となりのトトロ』(1988年)

8/22㈯ 21:00~ フジ系列
踊る大捜査線 THE MOVIE 2/レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)

8/29㈯ 21:00~ フジ系列
ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)

9/4㈮ 21:00~ 日テレ系列
タイタニック』(前編)

9/5㈯ 20:00~ フジ系列
踊る大捜査線 THE MOVIE 3/ヤツらを解放せよ!』(2010年)

9/11㈮ 21:00~ 日テレ系列
タイタニック』(後編)

9/19㈯ 21:00~ フジ系列
踊る大捜査線 THE FINAL/新たなる希望』(2012年)

9/26㈯ 21:00~ フジ系列
交渉人 真下正義』(2005年)

10/1㈭ 21:00~ フジ系列
容疑者 室井慎次』(2005年)

10/3㈯ 21:00~ フジ系列
室井慎次 敗れざる者』(2024年)

10/10㈯ 21:00~ フジ系列
室井慎次 生き続ける者』(2024年)




監督:山田洋次
キャスト:倍賞千恵子/木村拓哉/蒼井優
配給:松竹
公開:2025年11月
時間:103分




今夜紹介するのは,松竹創業130周年を記念して作られた『TOKYOタクシー』。名匠・山田洋次監督が倍賞千恵子と木村拓哉を主演に迎え,日本では2023年に公開されたフランス映画『パリタクシー』をリメイクしたヒューマン・ドラマだ。倍賞千恵子と木村拓哉の共演は『ハウルの動く城』以来で実写映画では初めて,木村拓哉の山田組への参加は『武士の一分』以来19年ぶりとなった。

音大への推薦の決まった愛娘・奈菜(中島瑠菜)の入学金や車検代,家の更新料など次々とのしかかる現実に悩み多き日々を送りながら,休みなく働く個人タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。ある日,同業の友人・佐田(明石家さんま)から頼まれ,高野すみれ(倍賞千恵子)という85歳の女性を,東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることに。東京の見納めにと,寄り道を依頼するすみれ。言問橋,上野恩賜公園,カトリック碑文谷教会など,様々な場所を巡りながら,自らの壮絶な過去を語り始める。

若き日のすみれ(蒼井優)は,在日朝鮮人2世のキム(イ・ジュニョン)と運命的な恋に落ちるが,キムは朝鮮戦争後の祖国再建運動に参加するため,引き留めるすみれを振り切り,北朝鮮へと旅立つ。キムの子を宿していたすみれは,母(神野三鈴)の飲食店を手伝いながら息子・勇(木村優来)を育てていたが,やがて小川毅(迫田孝也)という男性と出会い結婚するのだったが…。

日々に懸命だと月日の経つのを忘れそうになる。しかしそんな毎日は,後で振り返った時にはキラキラした想い出として,その人の脳裏に,表情に,そして言葉として誰かの人生に響いていく。

高速利用だと1時間半ほどの道のりを半日の遠回りにしたことで,優しく煌めく大切な想いの交換が生まれる。山田監督が“日本人好み”にアレンジした物語が,とても自然に心地よく,見る者すべての琴線を鳴らす。

ただ,オリジナルの『パリタクシー』が素晴らしすぎるので,知らない人は,まず『TOKYOタクシー』から見ることをお薦め。

第49回日本アカデミー賞では,倍賞千恵子が最優秀主演女優賞を受賞した。


映画クタ評:★★★★


右矢印山田洋次作品まとめ

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原題:F1
監督:ジョセフ・コシンスキー
キャスト:ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス/ケリー・コンドン
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ/Apple TV
公開:2025年6月
時間:155分




モータースポーツの最高峰F1(Formula One)。Formulaとは,全参加者と車両が準拠しなければならない「規定」を意味する。タイヤ,車体,エンジンをはじめレース中の細かなレギュレーションがあり,この規定に則したチームとドライバーが世界各国を転戦していく。その歴史は1950年に始まり,77年目を迎える今年は,19ヶ国22レースが開催される予定だ。年間の観客動員数は400万人を超え,今年3月末に鈴鹿サーキットで開催された日本グランプリには予選から決勝まで累計31万5000人が来場している。

モータースポーツにはたくさんのカテゴリーがあり,映画化されたものも多いが,ことF1を扱った作品となると『ラッシュ/プライドと友情』以来11年ぶり。中でも,現代F1を舞台とする初めてのオリジナルストーリーとして昨年公開されたのが今夜紹介する『F1®/エフワン』。監督は『オブリビオン』『トップガン/マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー。

かつてF1の天才ドライバーとして名を馳せたソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)。1993年のスペインGPでのクラッシュのためキャリアを絶たれて以来ギャンブル依存症に陥り,現在はバンで生活しながら各地のレースを転々としていた。“デイトナ24時間レース”で優勝を飾った彼のもとに,“ロータス”時代のチームメイトで,現在は“APXGP”のオーナーであるルーベン(ハビエル・バルデム)が姿を見せる。彼のF1チームは,シーズンの残り9戦で勝利を挙げられなければ,投資家たちに売却することになると言うのだ。

渋々ながらもそのオファーを引き受け,30年ぶりにF1へと復帰するソニー。常識破りな彼の振る舞いに困惑するチームメイトの若き天才ドライバーであるジョシュア(ダムソン・イドリス)や,テクニカルディレクターのケイト(ケリー・コンドン)。しかし彼らの目の前でソニーは,最新のF1マシンに苦戦しつつも,チームの弱点を即座に見抜き,スピード不足を補うために空力性能を強化したマシン改修を提案する。転戦中,度々衝突を繰り返しながら,次第に圧倒的なソニーの才能と実力に導かれていく“APXGP”チームだったが…。

ちなみに,“APXGP”は架空のF1チーム。しかし,F1シーズン映像や,現在のF1マシンやドライバー,OBなどが本人役で多数登場するのもファンには嬉しい。アブダビでの最終レースシーンの118分28秒から2秒位,観戦客としてこっそりクリス・ヘムズワースもいたりする。

とにかく,軽妙だが実力のあるソニー役を,F1マシン風に改装したF2マシンの実走までして演じ切ったブラッド・ピットの魅力が満載。相手役のケリー・コンドンはマーベル作品では人工知能フライデーの声を担当してきた女優だが,『プロフェッショナル』のデランといい,この作品のケイトといい,なかなかの実力派っぷりを見せてくれる。

第98回アカデミー賞では音響賞を受賞した作品だ。


映画クタ評:★★★★


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